「思ってたのと違う…」これを防ぐ物件状況確認書(告知書)と付帯設備表とは?

不動産の状況を売主・買主がお互い確認してトラブルを未然に防止する

中古住宅を買ったのはいいけれど、実際に生活してみたら雨漏りがあった…建具の建付が悪く床が傾いていることが分かった…など、購入してから気が付くことがあります。

また、住宅の設備についてもエアコンが壊れていた…シーリングライトやカーテンレールがなくなっている…という設備のトラブルもあるでしょう。

通常の不動産取引では、売主しかわからない住宅の事情について「物件状況確認書」(告知書)と「付帯設備表」を記入してもらい、状況を買主が納得した上で引き渡しが行われます。

この2つの書類は、将来のトラブルを避ける効果があり、売買を行う上では重要な書類です。ここで具体的にみていきましょう。

物件状況確認書(告知書)は、売主と買主で不動産の状況を共有する書類

物件状況確認書(告知書)は、売主が生活をしていて知っていることを買主に伝える書類です。

建物について、雨漏りやシロアリ被害がないか、建具の傾きなど欠陥がないか、給排水管の故障(漏水)などがないか、土地について、地盤に問題がないか、土壌汚染がないか、境界確定の状況など、居住しているからこそわかることを伝えます。

さらに、騒音や臭い、近隣トラブルの有無など周辺環境の状況や、心理的な瑕疵(事件・自己・自殺など)、その他買主に引き継いでおいた方がいいことも含めて記します。

部位項目
建物雨漏り、シロアリ被害、建物の瑕疵(傾き・腐食・不具合など)、給排水施設の故障・漏水、新築時の建築確認済証・設計図書、住宅性能評価、耐震診断、増改築・修繕・リフォームの履歴
土地境界確定の現況・越境、土壌汚染の可能性、地盤の沈下・軟弱、敷地内残存物(旧建物基礎・浄化槽・井戸など)
周辺環境騒音・振動・臭気など、周辺環境に影響を及ぼすと思われる施設など、近隣の建築計画、電波障害、近隣との申し合わせ事項、浸水などの被害、事件・事故・火災など
その他売主から買主へ引継ぐべき事項

ただし、これらは売主が詳細に検査した事実を伝えるものではなく、例えば雨漏りを「発見している」「発見していない」、土壌汚染の可能性を「知っている」「知らない」というように、あくまで売主の認識を問うものです。

ここに「雨漏りを発見していない」という項目にチェックが入っていても、事実として雨漏りがないかどうかは別問題ということです。

この告知書は、売買契約時の不動産の状況がどのようなものであると認識しているのか、売主・買主の双方で共有する意味合いがあるのです。

付帯設備表は、売主から買主に引渡す設備を確認。契約時の状況は関係ない

中古住宅を売却する場合、売主としては、自宅に備え付けてあるエアコンなどを引っ越し先に持っていきたい場合と置いていく場合の両方が考えられます。

また、買主としては、もともと持っているエアコンを購入するマイホームに備え付けたり、せっかくの機会に新品に買い換えたい場合もあり、売主のエアコンが不要な場合もあります。

そこで、売主と買主は、売主がどの設備を置いておき、どの設備を撤去するのかをあらかじめ決めておきます。また、そもそも存在しない設備も明示しておくことで「TVアンテナがあると思ってたのになかった!」などというトラブルを未然に防ぐ役割もあります。

部位設備
キッチン流し台、換気扇、ガス、ガステーブル、ビルトイン食器洗浄乾燥機、ガス湯沸かし器、給湯器
浴室・トイレ給湯器、ヒートポンプ、シャワー、風呂釜、追い炊き、保温、浴室内乾燥(暖房)機、トイレ設備
洗面設備・洗濯機洗面台、鏡、シャワー、コンセント、曇り止め、洗濯機用防水パン
冷暖房・照明・収納冷暖房機、暖房機、冷房機、床暖房設備、照明器具、吊戸棚、床下収納
玄関・窓・その他下駄箱、何度、雨戸、畳・ふすま、カーペット(敷込式)、カーテン、カーテンレール、インターフォン、TVアンテナ、物置、庭木・庭石、門・堀、車庫

そこで、売主は各設備に対して「有」「無」「撤去」をいずれか選び、使用不可や故障などがある場合には「備考欄」にその旨を記載します。

引き渡す設備については、買主は当然引き渡し後に使うことを前提としてマイホームを購入しますし、売買金額にも織り込まれるべきです。

後のトラブルを避けるためにも、引き渡し予定の設備がはじめから故障していることが分かっている場合にはその旨を設備表に記入し買主に伝え、故障を前提とした取引(売買金額の値下げなど)を行いましょう。

【注意】買主へ引き渡す設備について記入する!契約時の状況を書くものではない

付帯設備表には、契約時の状況を書くのではなく、売主から買主に引き渡す設備について記載します。

つまり、契約時にエアコンがあるないか?ではなく、買主に引き渡すエアコンがあるかないか?ということです。

売主がエアコンを引っ越し先にもっていく場合には、(契約時に)エアコンが自宅に備え付けてあってもそれは取り外される予定のものですので「無」にチェックを入れます。

同時に、売主は買主に引き渡すまでは「善良なる管理者としての注意義務」をもって契約時の状態を保持するよう努めるよう求められます。

つまり、買主に引き渡す設備については、契約後に傷や故障が発生しないようできるだけそのままの状態を保つよう努力しましょうということです。

告知書に虚偽記載をしたら契約解除や損害賠償義務が発生。正直な告知を!

告知書は、売主が知り得た事実を買主に伝えるとても大切な書類です。

例えば、売主が雨漏りの事実を知っているのにも関わらず告知書に記載しなかった場合、説明義務違反に基づく契約解除や損害賠償などの法的な責任を問われることになります。

もちろん、雨漏りがある場合などは、その補修費分などを売買金額から差し引かれその分安く売ることになる可能性が高まります。

しかし、後になってウソがばれてトラブルになれば、契約解除や損害賠償を請求されたり、雨漏りを放置したために大規模な修繕が必要になるケースもあります。

金銭的にも精神的にも正確な告知が得策でしょう。

告知した瑕疵(欠陥・不具合)について売主は責任なし。買主はすぐにチェック!

そもそも、瑕疵担保責任は「隠れた」瑕疵(欠陥や不具合)に対して売主に責任を問うもので、既に買主に告知した不具合については責任を負いません。

例えば、売買契約時に売主から買主に対して、雨漏りがあることをきちんと告知していれば、買主はそれを分かった上で購入することになります。それは隠れていない瑕疵であり、売主は責任を問われません。

ですので、正直に告知しておくことが売主を護る意味でも得策です。正直な申告が売主自身を守るのです。

買主側からすれば、物件状況確認書(報告書)に書かれてあることについてはしっかりと理解し、それを基に購入判断しなければならないということです。

この書類は簡単にみえる書類ですが、極めて重要な役割を担うことがわかりますね。買主は、引き渡しを受けたらすぐにマイホームの状況を確認し、告知書の内容と異なる点がないか確認しましょう。

買主は引き渡された家の状況をすぐにチェック!故障は売主に補修させる

付帯設備表において「有」かつ「故障なし」とされていた設備については、買主がそのまま継続して使用できることを前提にマイホームを売買したということです。

つまり、売買金額の中には、故障なく引き渡される設備の金額も含まれていると考えて買主は購入し、売主は、設備も含めて売り渡したということです。

ですので、決済が終わり引き渡しされた場合には、買主はすぐにすべての設備を動かして正常に作動するかチェックしましょう。

多くの場合に、売主は7日間は設備を保証するという内容で契約します。あまりに長期間保証すると、経年劣化や買主の責任で壊れてしまったのかなど不透明になるためです。

もし、入居後すぐに故障がみつかったら売主(または仲介業者)にすぐ連絡をして、売主の責任において補修してもらえます。

「故障あり」の設備は売主の補修義務なし。ただし詳細な記述がトラブル回避に有効

あらかじめ「故障あり」とされていた設備については売主は補修義務はありません。

しかし、買主としてはどの程度修繕したら使用可能な状態になるのか知りたいものですし、故障以外にも注意することがあれば備考欄に書いておきましょう。

例えば、エアコンはあるけれどリモコンを紛失した、駐車場はあるけれど大型車は駐車できないこと、カーテンレールは残すけれどリビングのレールだけは持っていくなど、可能な限り買主との共通認識を深めておきましょう。

後々トラブルとなるのは、「聞いていたのと違う」「それは言っていたはずだ」など、お互いの思い込みが招くものが多くあります。

形に残る書面で、できるだけ詳細に記述しておくだけで不要なトラブルもだいぶん少なくすることができます。少しの手間で大きな面倒を回避できますので、売主は丁寧に記述し、買主はしっかり確認しましょう。

【注意】瑕疵担保免責であっても、嘘の告知には売主の責任が発生する!

個人売主の中古住宅売買の場合、「瑕疵担保免責」とする場合があります。

つまり、通常では認識・知見することができない「隠れた瑕疵(欠陥・不具合など)」が見つかった場合に、売主の責任を免除しましょうという特約です。

個人が売主の場合には不動産に詳しくなく、自宅といってもどこにどんな不具合があるかわかりません。その欠陥が見つかった時にも責任を負ってしまっては怖くなって不動産取引が委縮してしまいます。

また、中古住宅であれば経年劣化により、どこかに不具合があるのではないかという一般認識の下、価格もその分安く売買されると解釈されることもあります。

ですので、個人の売主が中古住宅を売る時には、この瑕疵担保免責条項を付すことが少なくありません。尚、売主が不動産業者の場合には買主に不利な特約は無効とされ、瑕疵担保免責の特約を付けることはできません。

知り得ていたのにその瑕疵を伝えない場合には、瑕疵担保免責は使えず責任が発生

「知り得ていてた欠陥を買主には伝えないでおこう。もし買主から瑕疵を指摘されても、瑕疵担保免責だから」と個人売主が考えるのは誤りです。

確かに、瑕疵担保免責という特約は個人が売主の場合には有効ですが、知っている事実を伝えていなかった場合には免責特約が無効となる規定が民法に明記されているのです。

民法第572条 売主は、第五百六十条から前条までの規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。

ただし、知り得ていなかったかどうかを買主が客観的に証明することはなかなか難しく、実際には揉めることが多いというのも事実です。

安全な取引のためにも、買主も売主の言い分を鵜呑みにすることなく、インスペクション(建物状況調査)などを実施して、できる限り買主側でも住宅をチェックすることが求められるでしょう。

もちろん、売主・買主が信頼関係を築きながら取引をすることが一番です。気持ちよく取引したいですね!

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