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販売図面と登記簿謄本の床面積は異なる?!減税制度が適用外になることも
床面積とは、読んで字のごとく床の面積です。
床面積は販売図面(マイソク)や登記簿謄本などさまざまなところに表示され、また、「床面積が50㎡以上」などと減税制度などの一つの基準にもなります。
床面積といっても大きく「専有面積」「登記簿面積」「課税床面積」の3つの種類があります。
きちんとその定義を知っておかないと、「住宅ローン減税制度が受けられると思っていたのに適用できなかった」と後悔する事態になり得ます。しっかり理解しましょう!
専有面積は壁芯面積で計算。マンション(区分所有建物)のみに使用
マンションなどの区分所有建物を購入される場合、販売図面やパンフレットに専有面積が記載されています。戸建て住宅の場合には専有面積という概念はありません。
専有、つまりその部分に所有権があり独占して使える部分の面積のことです。具体的には壁・床・天井に囲まれた空間です。
どこを境目とするかには諸説ありますが、もし壁・床・天井の境界線としてしまうと、壁や床の塗り替えなど内装工事ができないことになります。ですので、壁の真ん中を境界として計算したのが専有面積です。
つまり専有面積は、壁や柱の中心(壁芯:「へきしん」または「かべしん」)から計算した壁芯面積で示します。壁や柱の厚みを半分含めて面積を算出するのですね。
建築基準法でも床面積といえば壁芯面積を意味し、建築確認も壁芯面積で行います。
尚、壁の真ん中まで専有面積といっても、壁などは躯体部分であり穴を開けたり削ったりすることはできませんのでご注意ください。
バルコニーや専用庭は、マンション管理規約に沿って使用する「共用部分」
専有以外の部分が共用部です。
共用部分は、躯体部分や廊下、屋上、エレベーター、給排水管などの共用設備、窓やサッシ、玄関ドアなど外部と接続する部分、そしてバルコニー・ベランダ・庭も含みます。
バルコニーは意外に思われるかもしれませんが、ここは専有ではなく専”用”部分とお考えください。
つまり、共用部分ではあるけれど、それぞれの区分所有者がそれぞれ自分専用で使いましょうと合意が取れた部分なのです。
ですので、勝手に棚を作ったり物を置いたりなど、バルコニーは勝手な使い方ができず、マンションの管理規約に従って使わなければなりません。
登記簿面積(登記面積、公簿面積)はマンションと戸建てで計算方法が違う
登記簿面積は、不動産を登記する際の面積で登記簿謄本に掲載される面積です。「登記面積」「公簿面積」も同じ意味です。
マンションは、壁や柱などの厚みを考慮しない「内法面積」。実際に使用する空間
マンションなど区分所有建物の場合には、登記簿面積は壁や床の境界より内側を登記簿上の面積とします。
つまり、壁や柱などの厚みを一切考慮しない「内法面積」とよばれる面積を計算します。尚、「内法」は「うちのり」と読みます。
居住者が実際に生活で使用する空間が所有している部分であるという説を採用したものですね。
戸建て住宅は、登記簿上も建築確認もすべて壁の中心線から測った「壁芯面積」
戸建て住宅など一般建物の場合には、所有権がすべての土地建物に及びますので専有部分という概念がありません。
そのため、壁の中心線からの面積である壁芯面積が登記簿面積として採用されます。
戸建ての場合は、登記の面積も建築確認における面積も、この壁芯面積で行われます。
マンションは、専有面積と登記簿面積が異なる!販売図面は若干大きな面積で表記
壁などの厚みを含めて計算される専有面積(壁芯面積)は、当然ながらそれらを一切含めない登記簿面積(内法面積)より大きくなります。
販売図面やパンフレットに記載されていた専有面積(壁芯面積)に比べ、不動産売買契約書などに記された登記簿面積が小さくなりますが、ビックリしないようにしましょう。
ただし、後述するように、各種減税制度を利用する場合、登記簿面積が要件の一つとなることがあります。
例えば住宅ローン減税を利用する場合、登記簿面積が50㎡以上であることが条件の一つですが、販売図面の専有面積が52㎡と表記されていて安心していても、実際に登記簿面積は49㎡であれば適用できません。
床面積とだけ表記されている場合には、必ず契約書を結ぶ前にその定義を確認しておきましょう。
固定資産税などで使われる「課税床面積」(現況床面積)は共用部も合算
不動産の税金の特例措置において、床面積が要件の一つとなることがよくあります。
この文脈でいう床面積とは「課税床面積」(現況床面積)とよばれ、「共用部を含む登記簿面積の延床面積」と覚えておきましょう。
登録免許税、不動産取得税、固定資産税・都市計画税、贈与税・相続税など、各種税は以下の計算式で算出される「課税床面積」を基に税額が決定されます。
自宅の課税床面積は、固定資産評価証明書に記載されています。専有面積や登記簿面積よりも大きくなりますが、このような事情があることを知っておきましょう。
戸建て住宅の場合の課税床面積は、登記簿面積の床面積を合算したもの
戸建ての場合、2階建てなど複数階がある場合には、登記簿謄本に記載されている床面積を足し合わせたものです。
一般建物の課税床面積=登記簿面積の合計額
マンションの場合の課税床面積は、登記簿面積に共用部分の持ち分を合算したもの
マンションの場合は、内法面積で測った専有部分の面積(登記簿面積)に、共用部分の自分の持ち分を足し合わせたものです。
区分建物の課税床面積=自分の登記簿面積+共有部分の面積×自分の登記簿面積÷全員分の登記簿面積
減税特例の適用は複雑。どの床面積を使うのかは購入前に要確認!
ここはややこしい話ですので無理にご理解いただく必要はありません。
しかし、減税の特例などをご利用される予定の方は、物件を購入する前に不動産会社や自治体、税理士などに確認することをおすすめします。
各種減税措置を利用する場合、ある制度では登記簿面積であったり、また違う制度では課税床面積で判断されます。
適用の条件に合致すると思っていても、床面積が足りなかったり超えてしまったりする場合があるのです。
登録免許税・住宅ローン減税・贈与税の軽減措置は「登記簿面積」で判断される
具体的には、登録免許税や住宅ローン減税、贈与税の減税措置は場合は登記簿面積で判断されます。
一方で、不動産取得税や固定資産税の特例措置は(登記簿面積より大きい)課税床面積で決まります。
例えば、住宅ローン減税の注意点で述べたように、購入したマンションが専有面積52㎡・登記簿面積49㎡・課税床面積55㎡の場合、登記簿面積の49㎡で判断されてしまいます。
マンション販売図面などに記載されている専有面積が50㎡以上であったとしても、住宅ローン減税の適用条件である「床面積50㎡以上」の要件を満たしていないのです。
固定資産税・不動産取得税の軽減措置は「課税床面積」。大き過ぎる物件にも注意
一方で、固定資産税の軽減措置の要件の一つである「50㎡≦床面積≦280㎡」は課税床面積で判断されます。
取得したマンションが専有面積52㎡・登記簿面積49㎡・課税床面積55㎡の場合であれば、登記簿面積は49㎡と小さいですが課税床面積が範囲内に収まっているためOKです。
しかし、専有面積260㎡・登記簿面積250㎡・課税床面積290㎡の場合、課税床面積が280㎡を超えてしまいます。
いくら専有面積や登記簿面積が範囲内だったとしても適用外となります。不動産取得税にも同様です。面積が大きすぎる物件にも注意しましょう。
床面積(専有・登記簿・課税床)のまとめ
床面積には、専有面積・登記簿面積・課税床面積の3種類があり、壁芯法や内法法など、それぞれ計測する方法が異なるため、面積が違ってきます。
また同じ登記簿面積であっても、戸建てなどの一般建物とマンションなどの区分所有建物とでは計測方法が異なるのです。
建物の種類 | 専有面積 | 登記簿面積 | 課税床面積 |
---|---|---|---|
一般建物(戸建て) | - | 壁芯面積 | 延床面積 (登記簿面積の合計) |
区分所有建物(マンション) | 壁芯面積 | 内法面積 | 専有面積+共用部分 |
特に注意すべきは、減税制度を利用する場合で、登記簿面積と課税床面積のどちらを適用するかは税の種類によって違ってくることです。
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