交渉順位は購入申込順とは限らない!人気物件を買うには信頼関係が大事な理由

人気物件の第一交渉順位を確保したい!でもどの買主を選ぶかは売主次第…

「魅力的な家!価格も安いしぜひ買いたい!」と思うような物件が見つかった時、まずは買付証明書(購入申込書)を売主さんへ提出します。

この時、人気物件であれば複数の買付申込書がバッティングします。1番手になる(第一交渉権を得る)ことができなければ、買うことができなくなってしまいます。

では買付申込書が複数入った時、誰が一番優先されるのでしょうか?それは、売主さん(or 売主さん側の仲介業者)次第としか言えません。

「誰を優先するか」「いくらで売るか」などは、最終的にはすべて売主さんの一存で決まるところがあるのです。

たとえ元付業者(売主側の不動産会社)が「売主さんがこの条件で〇〇さんと契約したいそうです」と言っていても、売主さんの気が変わり「やっぱり売るのをやめた」といえば取引できません。

売買契約が成立するため何が起こるか分からなのが不動産取引なのです。

買付申込書提出順、住宅ローン事前審査、契約、決済…売主によって異なる優先順位

普通に考えれば、買付申込書を提出して購入の意思表示を示した順に交渉権を得ると考えたくなります。

しかしながら、住宅ローンの事前審査が通過した買主候補者を優先したり、売買契約が先にできる人を優先したり、決済が早い人(キャッシュ一括で買える人)優先など、基準は様々です。

売主さん側の事情や都合によって、なにを重視するかは異なるのです。特に、人気物件であればあるほど、取引を支配するのは売主側になります。

ですので買主側としては、事前審査を早目の内に通しておくことや、契約日時の都合などをできるだけ売主さんに合わせることなどが求められます。

時には急にキャッシュ一括払いの買主候補者が現れた場合、「売主さんが現金化を急いでいて、申し訳ないですが今回はご縁がなかったということで」と断られることもあります。

なかなか理不尽だと感じることもありますが、契約直前で撤回などでない限り、やはり売主さんの意向が通ってしまう側面があります。

人気物件の場合、指値(値下げ)するなら他決覚悟で。買上げは即断即決

買付申込書を出す際に、値下げ(指値)をすることがあります。

ただ、複数の申し込みが被るような人気物件の場合には、たとえ一番手に出したとしても値下げされた買付申込書自体をはじかれる可能性があります。

また、一番最初に(値下げした)買付申込書を出したからといって、満額での購入申し込みが他の買主候補者から入った時、それを知らせてくれる保証はありません。

「今回はご縁がなかったということで…」と売主さん側から断られたその裏で、満額申し込みをしてくれた二番手の方と「それでは契約日時を決めましょう」と話を進めることは十分考えられます。

値下げをした一番手が「もし他から買付申込書が入ったら満額に買い上げます」という前提で申し込んでいたとしても、初めから満額で申し込んでくれる買主さんを売主さんが選べば終わりです(他決します)。

人気物件に対して値下げして買付申込書を出す場合、他決リスクがある(他人で決まる・他の方が購入する)ということを理解しておきましょう。

「満額の買上げ打診がきたらどう答えるか?」を事前検討しておきスピード決断を!

実際には、一番初めに買付申込書を出した買主候補者に「他から満額の申し込みが入ったけれど、買い上げできませんか?」と聞いてくれることも多いものです。

業者間でしっかりやり取りがなされており、売主サイドと買主サイドで信頼関係ができている場合には、まずは一番手に確認をしてくれます。

その際には、買主としては「買い上げるか」「断るか」をすぐに決めなければいけません。

新たな買主候補者を待たせている状況であり、売主さんとしても「どちらでもいいから早く売りたい」と思っているなか、一番手の意向を確認するためにわざわざ待ってくれている状況です。

ゆっくりと考える時間はなく「1~2日考えさえてください」とでも言ってしまえば、「それなら二番手の方で話を進めます」といわれてしまうだけです。

人気物件に指値で買付を入れた場合には「満額買上げが来たらどう答えるか?」をあらかじめ考えておき、スピード決断できる状態にしておきましょう。

買主も売主を選ぶし「やっぱり止めた」も。信頼関係が全ての不動産取引

ここまでの話では売主さんが横柄なイメージかもしれませんが、買主さんも「やっぱり止めた」ができるため、立場としては一緒なのです。

例えば、「この物件がいい!」と気に入って購入申込書を提出したものの、翌日にもっと魅力的な物件が出た時「やっぱり先日の申し込みを取り下げます…」とおっしゃる買主さんがいます。

また、他の物件が見つかったわけではなく「やっぱり家を買うことが怖くなりまして…」と家を買うことそのものを止める場合もあります。

客付け仲介業者(買主さん側の不動産仲介業者)が「買主さん、この物件すごく気に入ってます!」と言っていたものの、後日買主さんの気が変われば取引はなくなります。

こういうケースでは、基本的に売主さんとしてもどうしようもありません。

売買契約書が正式に結ばれるまでは何が起こるかわからない、という点で、買主さん・売主さんお互い様なのです。結局は信頼関係がすべてといえるのが不動産取引なのですね。

後から話が復活することも。断る時・断られる時こそ相手を尊重し丁寧な態度で!

お互い様であることを理解することと同時に、断るときは丁寧な態度で、また断られる時も相手を尊重しておくことを覚えておきましょう。

というのも、売主さん側も買主さん側も、他の買主候補者や他の物件に目移りしたものの、結局そちらの話がうまくいかなかった…ということもよくあります。

そういう時に、「そういえばこの前の買主さん(売主さん)の話、一度断ってしまったけど、もう一度興味を示してくれないかな…」ということも起こりえます。

後から声がかかる・声をかけたいと思うこともあるのです。特に、一度断った相手に声をかける時には、相手方の誠意ある対応が呼び起されれば声もかけやすいものです。

その意味でもやはりお互い気持ちよく交渉し、断るときにも相手を尊重するといった基本動作が大事といえます。

実際には、売主と買主の間に入る客付・元付仲介業者間でやり取りされることが多いものですが、次につながる断り方・断られ方ができる営業担当者は優秀といえますね。

【注意】話が具体化したにも関わらず一方的な契約止めは損害賠償の対象に

買付証明書(購入申込書)には法的拘束力はありません。

だからこそ、売買契約成立するまでには買主さんも売主さんも、お互いある程度自由な裁量でその話を飲むか断るかを決めることができます。

一方、どんな状況でも無責任に交渉を打ち切ったり、話を勝手に打ち切っていいのかというとそれは違います。

例えば、交渉がスムースに進んで具体的な契約日時も決まり、その他なんら問題もない状況で、いきなり契約前日になって「やっぱり止めた」はあまりにも一方的すぎます。

倫理的に問題ということに加え、法律上でも相手方から損害賠償を請求される事案に該当する恐れがあります。

ある程度話が進み契約の準備段階に入れば、(実際に契約を締結していなくとも)一定の信頼関係に基づき、相手方に不合理な損害を与えないように注意する義務が発生するためです。

契約成立前でも信義誠実の原則が適用、「契約締結上の過失」が問われる可能性あり

ご参考まで、より法律的に踏み込んだ説明をしておきます。

日本では民法上、(たとえ契約成立前であっても)信義誠実の原則が適用されることがあります。

話が進んだ段階で正当な理由もなく勝手に売買契約を反故にする行為は、信頼関係を一方的に崩し、信義則上の注意義務に反して相手に損害を与えたとされることがあります。

こういう状況では、「契約締結上の過失」があったとみなされ、この過失責任を取って損害賠償責任を負うべきとされることがあるのです。くれぐれも注意しましょう。

やはり大事なのは交渉相手を尊重しつつ、信頼関係を築きながらよりよい取引をお互い目指していく姿勢ですね。よい取引ができること、応援しています!

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