郊外のハンバーガー店が2割も減る?!人口減で2040年に消滅するサービスとは

郊外の人口減少に伴ってサービス提供が困難に。銀行や病院の撤退が進む

人口減少が続いている日本。特に、郊外での暮らしに大きな影響を与えます。

マイホームを購入した当初には便利なスーパーや病院、銀行などが周りにあり生活圏内で一通りの用事が住ませられるかもしれません。

しかしその後、10年20年と経っていくうちにそれらのサービス施設が撤退したり統廃合します。それは、人口が減っていくと売上高も減少し利益が確保できなくなるためです。

ある程度の規模の顧客数が見込める場所でないと営業を続けていくことができません。そこで、将来自分が住む自治体の人口がどれくらいになるのかを知っておくことは将来の利便性を推し量る指標となります。

ここでは、各種サービスを提供するお店を続けていくために必要な人口や、2040年に郊外ではどのような状況と予想されるかをみていきましょう。

サービス事業が成り立つためには、自治体に何人の人がいればいいの?

国交省は、3大都市圏(関東圏・大阪圏・中部圏)を除く市町村において、サービス別に必要な人口規模を算出しています(国土のグランドデザイン2050参考資料(2014年7月4日、国交省国土政策局))。

例えば「銀行」は、6,500人以上の自治体であれば50%の確率で存在し、9,500人いれば80%の確率で銀行が営まれていることを示しています。

サービス必要人口(人)
存在確率50%存在確率80%
飲食料品小売業500人500人
飲食店500人500人
旅館・ホテル500人500人
郵便局500人500人
一般診療所500人500人
歯科診療所500人2,500人
介護老人福祉施設500人4,500人
喫茶店2,500人7,500人
学習塾5,500人6,500人
一般病院5,500人27,500人
銀行6,500人9,500人
訪問介護事業8,500人27,500人
介護老人保健施設9,500人22,500人
税理士事務所17,500人27,500人
緊急告示病院17,500人37,500人
ハンバーガー店32,500人52,500人
有料老人ホーム42,500人125,000人
結婚式場業57,500人82,500人
博物館・美術館57,500人87,500人
法律事務所57,500人77,500人
ショッピングセンター77,500人92,500人
映画館87,500人175,000人
公認会計士事務所87,500人275,000人
大学125,000人175,000人
スターバックスコーヒー175,000人275,000人
百貨店275,000人275,000人

これは、以下の式で示される「存在確率」をサービス別に算出したものです。

存在確率(%)=一定人口規模で事務所が存在する市町村数÷一定人口規模の全市町村数

先ほどの銀行の例でいえば、9,500人以上存在する市町村のうち、その8割の自治体で銀行がある(つまり営業を継続できている)ということがわかります。

ちなみに、スターバックスコーヒーは17.5万人で存在確率50%、27.5万人で80%となっています。人口が多い好立地を狙って進出している様子が伺えますね。

飲食や小売・郵便局は5百人、一般病院や銀行、介護は5千~1万人。映画館は9万人

上の表をみると、飲食や小売業、郵便局は500人が集まれば存在することができることがわかります。

しかし、一般病院や銀行、介護関連施設など基本的な生活インフラを求めるなら最低5,000人~10,000人は欲しいところです。

さらに、ショッピングセンターや博物館・美術館、映画館など、日々の利便性や文化的な生活を求めるなら最低6~9万人規模の市町村であることが求められるでしょう。

やはり、高齢者となればコンパクトな街で理想的には徒歩圏内ですべての用事が終わることが望ましいと考えられています。

マイホームを購入する場合、将来の自治体の様子をイメージしながら、基本的な施設が維持できるかどうかを検討しましょう。

2040年には地方の2割の映画館やバーガー店が消える。百貨店は4割減

3大都市圏を除いた市町村(総数は1,229)の2040年時点における人口を予想した場合、どのようなサービスの維持が困難となるかを内閣府が算出しています。

具体的には、2010年時点の人口規模では立地できる確率が50%以上あるものの、将来人口推計に基づく2040年の人口規模になるとその確率が50%未満になる市町村の割合を計算しています。

将来人口を前提にした場合に立地が厳しくなるサービス別自治体数(3大都市圏を除く)(内閣府|地域の経済2016

3大都市圏を除く地域(地方の郊外)では、1割超の自治体で一般病院や銀行が消滅し、介護関連施設では約15%~25%くらいの自治体からそのサービスが消えることになります。

多くの人口が求められる百貨店に限って言えば、実に約4割もの市町村から消えてなくなると予想されます。ハンバーガー店や映画館は約2割、ショッピングセンターは15%超の街から消えます。

少子高齢化が続けば、大学も約25%の自治体から消滅すると内閣府は予想しています。少子化のインパクトはかなり大きいということがよくわかる数値です。

ICT技術を活用したサービスの効率化に期待!しかし、それにも限界がある

通信販売など、立地にとらわれないサービス提供が進めば、市町村の人口が減少してもサービスを受けられる可能性はあります。

例えば、医療も遠隔地とのテレビ電話による診察や、インターネットから注文・配達依頼ができるネットスーパー、オンライン上で振り込みや手続きができるネットバンクなどです。

実店舗を持たずサービス提供できる業種は、今後の人口減少時代にますますありがたい存在になっていきますね。

とはいうものの、すべてをインターネット上でサービス提供することには限界があります。また、遠隔地からでは緊急事態に対応しづらいという性質もあります。

やはり基本となるのは住んでいる街の人口であり、今後も人を呼び込めるような街づくりをしていく自治体を選んで住み続けたいですね。

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以上のことを考えると、購入しようと考えているマイホームについて、将来街に人が集まるのか、街の活気はどうかということは気になります。

病院も銀行も撤退していく環境であれば、あなた自身が住む場合にはもちろん不便となります。住み続けず、将来売却しようと思っても、さびれた郊外住宅を買おうと思う将来の買主が現れず、家が売れないというリスクがあります。

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