「売り出し前の物件です」非公開物件を紹介された時の失敗しない対応法は?

「非公開の中古マンションあります。買うかどうか今週中に判断ください」

先日こんな相談が寄せられました。

不動産会社から「まだ売り出す前の非公開物件があります。中古マンションの7階を3,700万円でどうですか?」と電話が掛かってきたというのです。

さらに、「今週末までに購入申し込みいただけない場合には、正式に売り出しますので他の買主様も知ることになります」といわれ、今週中に購入可否を判断するよう迫られたようです。

実際「非公開物件(未公開物件)を紹介します」といった話はよくあります。一般に広く公開せず、閉ざされた空間で相対取引を持ち掛けてくるのです。

とてもいい話のように思えますが、本当にそうでしょうか。こんな時、どのように対応したらよいのでしょうか。

ここでは「焦って購入・ゆっくり後悔」しないためにも、相対取引を持ち掛けられた場合の対応方法をみていきましょう。

【参考】非公開物件はREINS未登録のもの。ネット/REINS両方に非掲載の物件も

非公開物件というのは、一般的には不動産会社の物件共有データベース「REINS」に登録されていない物件のことです。

REINSに登録されれば、どの不動産会社でもその物件をお客さんに紹介することができます(ほとんどがこういう物件です)。

一方で、REINSに登録されないごく一部の非公開物件は、紹介できる不動産会社が限定されます。

SUUMOなどの物件情報サイトや自社ホームページなどインターネットにだけ掲載され、REINSに登録されない物件は、掲載した不動産会社を通してしか取引(契約)できません。

売主さんからも買主さんからも手数料をもらう両手取引となる物件で、危険な取引となる可能性が高い物件です。

さらに「この物件、非公開ですがどうですか?」と個別に聞いてくる場合には、ネットにも載せておらず、完全に情報を不動産会社だけで止めていることも多いものです。

【物件の質】公開されているかどうかと物件の質はまったく関係ない!

まず、「非公開物件です」=「質の高い物件です」「掘り出し物件です」ということではありません。

非公開物件になるには様々な理由があります。例えば「近隣に売られていることを知られたくない。まずはこっそり紹介してみてください」と売主さんからの要望があるだけで、未公開物件になります。

公開されているかどうかと、物件の質が高いかどうかは関係がないということです。

一方で、だからといって悪い話であると決めつけるのも早計です。売主さんがいち早く現金化したいなどの理由で、安値で話が入ってくることもあるからです。

いずれにせよ、公開か非公開かで偏見を持たず、まずはフラットな頭で物件を評価することが大切です。

「非公開物件です」=「広く一般には公開していません。あなたにとってこの物件が魅力的か、まずは考えてみてください」というメッセージと捉えることが大切ですね。

【時間】非公開物件はプロ向け?短時間で決断を急かされることが多い

不動産会社が非公開物件を紹介してくる時、冒頭のご相談のように「今週中までに購入申し込みを出すかどうか教えてください」と急かされることが多いです。

REINSに登録しておけば、全国の不動産屋さんが客付仲介業者として、買主を探してくれます。

それが非公開物件の時には、直接自社でつながりのあるお客さんや、(ネット掲載している場合には)ネットを閲覧したお客さんなど限定された買主だけが相手です。

数多くの顧客に対して広告できない(物件情報を伝えられない)中で、早い者勝ち的なスピード重視の営業をかけてきます。もちろん、物件の調査や検証など手間暇をかけたがりません。

買うか買わないかの意思表示をしてもらい、最終的にダメな場合にはREINSにも登録して一般公開物件として売り出すのがセオリーです。

時間も情報も限られた中で判断を迫られるのが非公開物件です。そういう意味ではプロ向けともいえ、安易に判断しては危険な取引となる可能性があるのです。

【価格】個人に紹介される時点で割高?掘出物件なら業者が買うことが多い

「非公開物件です」と言われると、どうしても掘り出し物件?と思ってしまいますね。。

特に不動産取引に普段接することのない個人のお客様であればなおさらです。そして、その期待を紹介元の不動産仲介業者も利用しようとしているかもしれません。

そもそも、かなり割安なお得な未公開物件があれば、ほとんどの場合に不動産業者間で売買がなされます。ローンを組まず現金一括購入などスピードも速く、お互い不動産取引に慣れているため、楽に取引できるためです。

一方で、個人の買主さんにそういう情報が流れてきた場合には、なんら価格メリットがない場合も少なくありません。

売主さんが自宅を売却していることを近隣に知られたくない…と思って、こっそり売られているというケースもよくあります。一旦冷静に考えて判断しましょう。

もちろん、売主さんに売り急ぐ事情があり、価格が相場よりとても安い物件も中にはあるでしょう。いずれにせよ、まずは通常の物件情報として受け取りましょう。

売主の属性や売却理由を知ることも有効。どういう動機で価格を設定したかを推測

「非公開物件でして…」と言われた時には、「売却理由はなんですか。売主さんはどんな方でしょうか」と聞くのも有効です。

コラム冒頭のご相談では、売主さんは個人の方だったようですが不動産業界の関係者だったようです。

また、売却理由としても「今は高く売れる時期であるから」という主旨の説明をされていたようです。

売主さんの価格設定の動機を探ることで、自宅を高く売って利益を出そうとしていた想いが透けてみえてきますね

【営業手法】閉ざされた空間で購入を迫る。アンカリング効果に騙されない

コラム冒頭にあげたご相談では、不動産会社から「この物件を3,700万円でどうですか?」と打診されたようです。

ミトミでチェックしてみたところ、相場よりも600万円程度も割高な金額でした。非公開物件の紹介は、不動産取引に慣れていない個人顧客に“閉ざされた空間で”購入の決断を迫ります。

価格が本当に妥当なのかもよくわからないままです。しかも、渋っているうちに「それでは▲200万円値下げできるよう売主さんを説得してみます!」と言われたらどうでしょうか。

安い!と感じる方も中にはいらっしゃるかもしれません。ただそれでも3,500万円です。元々の相場が3,100万円前後でしたので、+400万円で買わされることになります。

相手から最初に言われた価格「3,700万円」が基準となって、その価格に引っ張られてしまう(判断に影響を与える)のです。

行動経済学でいうところの「アンカリング効果」によって、安いと錯覚されないように気を付けましょう。

不動産会社との関係性は?信頼関係がない場合には売主の利益が優先されがち

さらに、そういう非公開物件がなぜ自分に紹介されたのか考えることも有効でしょう。

不動産業者としては、契約できれば仲介手数料が入ってきますので、関係性の濃さ・薄さに関わらず紹介されることは少なくありません。

ただ、特別仲が良くて信頼関係が結ばれてる業者からの紹介でなければ、買主さんの利益となるような取引とならないことが容易に想像できます。

マイナス情報やリスク情報の開示がされなかったり、(適正価格でない場合にも)売主側と値下げ交渉も行わない可能性が高いです。中には押し売りをしてくることもあります。

このように、むしろ直接繋がっている売主さんの利益を最優先するように取引がなされることが多いといえるのです。

関係性の薄い業者からの場合、自分以外の顧客にも物件紹介していることがほとんどです。紹介者(不動産会社)が誰のために話を持ち掛けているのかを知ることで、言葉の真意や取引の安全性も推し量ることができます。

割高か割安かが不明なら「待つ」のが鉄則!不動産市場が判断してくれる

非公開物件を紹介され、もし価格が妥当かどうか分からなければそのまま待つ(一旦見送る)のが安全です。

閉ざされた空間での相対取引、不透明な状況で手を出して大きな損失を出してしまうことは絶対に避けたいものです。

売主さんとしては、相対取引(非公開での取引)をしてくれる買主さんがいないと分かれば、通常通り一般に公開して(REINSに登録してもらって)売り出します。

その時に、相場からかけ離れた価格で出しても市場から相手にされません。もともと割高な価格で相対取引を持ち掛けていた場合、一般公開の時に売出価格を値下げすることもあります。

もちろん、そのまま明らかな割高な価格で出す場合もあります。それは売主さんが強気で売り急いでない(ゆっくり買い手が現れるのを待つ)時です。

ただそういう場合にはしばらく売れ残る可能性が高く、そういった状況をみながら、価格が適正かどうかの判断の一つとすることもよいでしょう。

他の買主が購入したとしても、それが良い取引だったかは別。むしろ損失を回避?

一般公開されれば相場の圧力がかかる(不動産市場が価格の歪みを是正してくれる)のですね。

もし非公開のまま、他の買主に買われてしまえばそれはそれでご縁がなかったと考えましょう。そもそも、他の買主さんが購入できたことと、それが本当にいい買い物をしたかどうかはまったく別物です。

むしろ、売主さんの利益がたっぷり乗ったことを知らずに購入してしまったのかもしれず、損な取引を回避できたということも十分考えられます。

いずれにしても、非公開物件の紹介を受けた時には通常の物件紹介と同じく、冷静な頭で判断してみてください。

そして購入するという判断をした場合には、価格面だけでなく、建物や土地の安全性などその他の物件リスクも知った上で購入しましょう。

非公開物件は不動産業者が限定された状況で家を買うかどうか判断しなければならない取引です。プロ向けであることを理解し、早急な判断だけはしないようぜひお気を付けください。

信頼できる不動産屋を選ぶ!非公開でも公開でも、検証してから家を買う

以上、非公開物件を紹介された時の対応・心構えなどをみてきました。

非公開物件の対応が難しいと感じてしまうのは、信頼できる不動産会社ではないところから紹介されているからです。

そもそも不動産会社専用の物件データベース「REINS」に登録せず、閉鎖された状況で高額な物件を売ろうとすること自体、少なからず怪しい業者です。

ですので、しっかり検証する不動産会社を選ぶことが大事です。公開かどうかに関わらず「買ってもいい家か?」をしっかり検証した上で購入検討しましょう。

価格の妥当性のみならず、土地の災害耐性や建物の耐震性、将来の売りやすさ(資産性)など、複数の角度からチェックするようにしていれば失敗することはないでしょう。

もし「不安がある」「家の買い方を詳しく知りたい」「損する家を買いたくない」などのご不安・ご希望があれば、いつでもミトミにご相談くださいね。

【P.S.】「この家、買っていいのかな?」…迷わずご相談ください!

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