中古住宅購入時のリフォーム費用に、最大50万円の補助金が出る?!

改修内容に応じて補助。インスペクション(住宅診断)費も支給

中古住宅×リフォーム・リノベーションという買い方が普及する中、中古住宅の購入と同時にリフォーム工事を行う場合に、政府が1件あたり最大で50万円を補助する制度が作られます(2016年8月21日付日本経済新聞朝刊)。

尚、中古住宅と併せて実施するリフォーム工事に対する補助で、中古住宅を購入するのみ、またはリフォームのみを行う場合には補助対象外です。

住宅・おカネ_s

秋の臨時国会に提出、成立すれば年内にも新制度が始まる見通しです。2016年度の2次補正予算の概要に250億円を織り込んでいることから、単純計算で250億円=50万円/件×5万件となり、少なくとも5万件の利用を見込んでいることがうかがえます。

補助対象物件はマイホーム。40歳未満に限定

今回の制度で補助対象は、自ら居住するための住宅(マイホーム)で、子育てなどに伴いおカネが不足する傾向にある40歳未満に絞られていることが特徴です。

この世代の住居費用を低減する効果を狙っているようですが、晩婚化が進む中、この年齢制限が妥当かどうかは疑問の残るところかもしれません。

申請にはインスペクション(住宅診断)が必要

申請は、リフォーム会社が施主(建築主)の代わりに国へ申請する仕組みが想定されている模様で、その前に住宅インスペクションを行うことが必須です。

このインスペクションの費用を含め、耐震補強や省エネ向上など、住宅の性能を維持・向上させるためのリフォーム工事内容によって、補助額が決定されます(50万円を限度)。

背景には中古住宅流通の促進

2016年3月、政府は今後10年の住宅政策の方向性を定めた「住生活基本計画」を閣議決定し、2013年に11兆円規模である中古市場を「20兆円」(=中古住宅市場8兆円+リフォーム市場12兆円)とすることを決定しました。

parliament-house_ss現在、中古住宅の取引が70~90%の欧米に比べて、15%程度と圧倒的に少ない日本の現状を懸念し、全国で820万戸にも増えている空き家の解消策としても中古住宅の流通を促進させる方針です。

新築住宅においても、長期優良住宅に対して減税措置を設けるなど、新築しては壊すというフロー社会から、「良いものを適切にメンテナンスして長く使う」というストック社会への転換を推し進めています。

前提は安心安全な取引環境の醸成

今回の補助制度はインスペクション(住宅診断)を前提としており、国としても安心安全な中古住宅流通市場を形成したい想いが透けてみえます。

2016年5月にはインスペクションの説明を不動産仲介業者に義務付ける法案も成立しています。宅建業者は買主に対して、住宅診断を実施するかどうかを確認しなければなりません。

安心・女性_ss実際にインスペクションを実施するかどうかは任意ですが、インスペクションという方法で中古住宅の健康状態を確認できる選択肢があることが買主に必ず周知されるようになります。

今後も不安を払拭する市場環境を整えながら、中古住宅にまつわる補助や推進策が展開されていくと予想されます。特に、「良い家を長く使う」事業には補助金がつく流れが活発化するでしょう。

【参考】過去の補助金の類似例「既存住宅流通・リフォーム推進事業」

過去にも同様な補助事業があり、例えば2012年度の国庫補助事業である「既存住宅流通・リフォーム推進事業」があります。

この時は、新耐震基準に適合かつ2002年までに竣工した中古住宅を対象とし、以下の要件を満たすリフォームに対して、1戸当たり50万円を限度に補助しました。

この際も、瑕疵保険の契約の手数料や現場検査料を含めて補助しています。

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