都心には空き地がまだまだ残っている?!容積率緩和が生み出す「上空」
とうとう東京も“上”に伸び始めた
国交省が6月13日にホテル用地の容積率(=建物の延べ床面積÷敷地面積)を緩和するよう各地方自治体に通知、24日には東京都が「原則として容積率を最大300%上乗せする」という運用基準を発表しました。
かみ砕いていうと、高層ホテルが立てやすくなり、「上空の土地」を活用する方向に動きだしたのです。
都心部の人口密度は低い。上空という空き地
「東京は人が多いから人口密度が高い」一般的にはこんなイメージがあるでしょう。しかし、それは昼間人口の話で、夜になると東京は人口密度が一気に減るのです。
実際に利用されている容積率は、都心4区(千代田区・港区・中央区・新宿区)や山手線内でも200%~400%の範囲に収まります。
山手線内と同程度の面積であるマンハッタン(ニューヨーク)では平均1,500%もの容積率が利用されていることを考えると、東京はもともと夜間に人が泊まる部屋が圧倒的に足りないと分かるでしょう。
人口密度で比較しても、都心4区で1万人/km2程度であるのに対し、マンハッタンでは2.5万人/km2もあります。
これを是正する鍵は「上」にあります。「東京は住宅が密集していてこれ以上土地がない」という声もありますが、上空を見つめれば“空き地”はあり余っているのです。
国際都市化に向けて避けて通れない「容積率の緩和」
マンハッタンには、タイムズスクエアやメトロポリタン美術館、ロックフェラーセンターなどさまざまな施設が集積しています。そのことが街の魅力を最大限発揮し、外から人やカネを引き込んでいるのです。
一方、日本は容積率に縛られ思うように上空を有効活用できていません。そもそも都市計画に基づいて用途地域ごとに指定されている日本の容積率について、その数値に合理的な根拠はありません。
今回の容積率緩和はホテル用地に限定されています。その背景には訪日外国人客が急増しているため、高層のホテルを建てることで客室数を増加させる狙いがあります。民泊の規制緩和とあわせ、訪日客の受け皿づくりを急いでいるのです。
しかし、より大きな視点で考えれば、長期的に海外から資源を取り込むために、ホテル用地のみならずビルや住宅においても容積率を拡大していくことになるでしょう。これは、国が目指すコンパクトシティにも通じる方向性といえます。
実態に合わない制度も、常識も、街も変わる
実は日本でも上空の土地を意識した動きは既に始まっています。
例えばJR東日本が、東京駅上空の余った容積(空中権)を周辺の「新丸の内ビル」や「ツインタワー」、「東京ビル(TOKIA)」などへ約500億円で売却し、東京駅の改装費用を捻出したことは有名です。
ただ、虫食い的に容積を挿げ替えることが必ずしも望ましいわけではありません。むしろ、局地的に高度利用を行うことは、渋滞や混雑を引き起こします。
地域全体が最適化するよう適切なタウンマネジメントを行い、また、日照や通風、採光など、個々の権利を調整する必要もあるのです。
利便性の高い地域に人が集まる時代へ。2050年には60%の地域で人口半減?
簡単にはいかないとはいえ、大切なのは、利便性の高い地域に人が集まる社会に向け動き出している大きな流れを捉えることです。近年は「コンパクトシティ+ネットワーク」という概念も提唱されています。
長期的には、マンハッタンの摩天楼のように超高層ビルが日本にも当たり前にでき、人口を都心で大きく吸収する時代がくるかもしれません。
国交省も「国土のグランドデザイン」の中で、2050年には日本国土の60%以上の地域で人口が半分以下に減少するという試算がなされています。逆にいうと、人口を局地的に集約することで国を維持していく必要があることを意味します。
容積率のみならず、法定耐用年数に縛られた不動産の評価や減価償却期間など、実態とかけ離れた現行制度には多くの問題が指摘されています。
人口も世帯も減少していく右肩下がりの時代に突入している日本、今後ますます制度改革が求められ、今の常識の延長上では推し量れない街が形成されていくでしょう。
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