「表面利回り」が高い=ハイリスク物件?!将来の売却まで含めた検討を
利回りの計算方法。「表面」(グロス)と「実質」(ネット)の2種類ある
不動産投資を行う場合、「投資した金額に対してどれくらい効率的に収益を上げられるか」を測る指標として「利回り」という概念があります。
利回りには表面(グロス)と実質(ネット)の2種類あり、それぞれ以下の式で計算されます。
- 表面利回り=年間収入÷購入価格
- 実質利回り=(年間収入-年間支出※)÷購入価格
- ※固定資産税・都市計画税、管理費、修繕費、火災保険料、(マンションの場合)管理費・修繕積立金など
実質利回りは、収入から支出を引いたものでより現実に近い利回りを計算できます。
上の例と同じ物件で、固都税や管理費などの総費用が年間▲200万円であれば、実質利回り「5%」(=(700万円-200万円)÷1億円)と計算されます。
利回りの定義を確認。収入は想定か、費用はどこまで含めるかなどで大きく変わる
不動産販売広告に記載されている利回りは、年間収入を「満室想定」として計算されることが多いものです。
つまり、現在実際に入居者と契約している賃料はそのまま、空室の部屋は「募集中の賃料」を使って計算することが多いのです。募集中の賃料はあくまで想定の賃料で、本当にその家賃で入居者が付くのか相場を確認することが欠かせません。
さらに、入居済みの賃料といえども、家賃が高かった過去から長い間居住している場合には、その居住者が退去すれば家賃を下げて募集せざるを得なくなります。どこまでしっかり想定されているかをチェックしましょう。
また、実質利回りの年間費用をどこまで含めるかは計算する人によりさまざまです。定義をきちんと抑えることが大切になります。
特に修繕費は、物件の状況によって正確にいくらかかるか見極めることが難しく、計算から除外され実質利回りが高く表記されていることがあります。場合によっては大きな金額となるため、精査しましょう。
また、区分マンションの場合には、管理費・修繕積立金の支払いが発生します。この出費は賃料に対する割合が大きく、利回りに大きな影響を与えます。必ずそれら費用を含めた実質利回りを計算しましょう。
利回り=リスク?(元本保証される)銀行預金の「利息」と同じではない
利回りは、その計算方法から銀行預金の場合の利息に相当するものといわれることがあります。そうすると、利回りは高い方がよい収益物件だと考えてしまいがちですがそうではありません。
預金であれば、事実上、元本が保証されているため利息が高ければ高いほど嬉しいものです。
しかし、不動産投資は元本保証もない投資商品です。投資商品はすべて、リスクとリターン(利回り)は比例します。どちらかだけが高いということはありません。
つまり、利回り(リターン)が高いということは、それだけリスクも高いことを肝に銘じておく必要があるのです。
「高利回り物件」は「高リスク物件」ともいえ、そのリスクを許容できるかどうか、不動産を購入後自分でうまく経営していくことができるか、事業シミュレーションは問題ないかなどを精査し、決して利回りだけにつられた購入判断をしないようにしましょう。
高利回り物件は、需要が薄いエリアの物件や借地物件など資産性に劣る収益不動産
利回りの高い物件は、年間賃料に対して販売価格が小さい物件であり、売主が弱気の物件ともいえます。
例えば、地方の郊外にあり、入居需要も低く、賃料の値下げや空室リスクが高い場合には販売価格を下げて(利回りを上げて)売るしかありません。
借地物件も、(銀行の融資が付きづらいことや、地主への地代や承諾料の支払いが発生することなどから)将来の買い手がつきづらくなり、利回りが高くなります。
一方で、好立地にあり賃料の下落リスクや空室リスクも小さく、将来の売却も買い手が付き売りやすい(流動性の高い)物件は、売主も売却価格を吊り上げるため、利回りは下がります。
利回りの低さは資産性の高さともいえます。あなたの許容リスクと相談しながら、適正な利回りを探しましょう。
利回りはあくまでインカムゲインの目安。キャピタルゲインと総合して検討
利回りは、年間収入と購入価格の比率を表したものです。利回り5%であれば、20年間で購入価格が回収できるということです。これは、毎年の収入(インカムゲイン)の収益性を測る目安です。
一方で、不動産投資のトータルの手残りキャッシュは、インカムゲインに加えて売却益(キャピタルゲイン)も含めて考えなければなりません。
利回りの低い物件は、好立地にあるなど資産性の高い物件であることも多いものです。
毎年のインカムゲインは少なくとも、土地の資産価値が高く売却時の価格が高く予想される場合にはトータルで手残りキャッシュが多くなることもあります。
不動産投資は多角的な検討が必要であり、利回りだけで意思決定するのは片手落ちといえます。リスクある不動産投資、しっかりと検討してくださいね!
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