人口流入はわずか8都府県のみ!一極集中が進む東京圏、その理由と未来は?

転入超過はわずか8都府県のみ、東京圏への人口の一極集中が拡大している

2019年1月31日、総務省統計局は「住民基本台帳人口移動報告(2018年)」を公表しています。

2018年1~12月までの日本国内の移動(転入・転出)において、都道府県から出て行った転出数よりも、他の都道府県から人が入ってきた転入数が多い「転入超過」は8都府県のみとなっています。

都道府県別転入超過数(2017年・2018年)【出典】住民基本台帳人口移動報告(総務省)

具体的には、東京都・埼玉県・神奈川県・千葉県・愛知県・福岡県・大阪府・滋賀県です。その中でも、転入超過数が特に多いのは東京都(79,844人、前年比+6,720人)です。

一方、転出超過となっているその他39道府県のうち、最も転出超過数が多いのは茨城県(7,744人、前年比▲2,590人)です。

さらに、2017年⇒2018年にかけて、転入超過が拡大していると県の数は増える一方、転出超過が縮小している県の数は減っています。

つまり、流入する都府県にはますます流入、人口が流出する道府県はますます流出している様子が浮かび上がってくるのです。

市町村レベルでみれば「27.9%」で転入超過も。全国的に人口流出し、関東圏へ流入

市町村レベルでみれば、全国1,719市町村の内、転入超過は479市町村と全体の「27.9%」に上ります(便宜上、東京23区を1市と数えています)。

その中でも、特に転入超過の多い市町村をリストアップ(以下表左側)すると、やはり東京23区が群を抜いて数が多い状況です(60,909人)。

その外には、さいたま市、川崎市など、関東圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の市町村や、大阪市や札幌市、福岡市など指令指定都市がランクインしています。

転入超過数の市町村順位(2018年)【出典】住民基本台帳人口移動報告(総務省)

一方で、転出超過は1,240市町村で全市町村の「72.1%」に上ります。

これも転出の多い市町村をリストアップすると(同右側)、北海道や東北、関東、中部、中国、九州地方など全国多くの市町村が入っていることが分かります。

市町村レベルでみても、全国的に転出増・流入先は東京(関東圏)ということが確認できます。

3大都市圏でも東京圏だけ人口流入超過。東京へ人口が吸い上げられている

3大都市圏(東京圏・名古屋圏・大阪圏)でみると、全体として123,054人(前年比+11,761人)の転入超過です。

具体的には、過去5カ年を遡っても転入超過となっているのは東京圏だけであり、+139,868人(=東京都79,844人+埼玉県24,652人+神奈川県23,483人+千葉県11,889人、前年比+14,338人)です。

3大都市圏の転入超過数の推移(2014年~2018年)【出典】住民基本台帳人口移動報告(総務省)

大阪圏・名古屋圏はともに転出超過で、名古屋圏は▲7,376人の転出超過(前年比▲2,916人)、大阪圏は▲9,438人(前年比+339人)となっています。

実は、東京圏以外のすべての43道府県から東京圏へ人口が流入している構図があります。例えば以下グラフの通り、最も多いのは大阪府からで、東京圏の転入超過数の約1割を占めるほどです。

道府県別にみた東京圏の転入超過数(2017年・2018年)【出典】住民基本台帳人口移動報告(総務省)

東京一極集中が鮮明である状況がよくわかりますが、2017年と比べても東京圏へ転入する道府県の数はますます増えている状況です。

名古屋圏・大阪圏の内部状況をあわせてみていくと、道府県から集めた人口を東京圏に吸い上げられている構造があることがわかります。人が首都圏(東京圏)へ流れる構図が出来上がっているのです。

道府県別にみた名古屋圏の転入超過数(2017年・2018年)【出典】住民基本台帳人口移動報告(総務省)

道府県別にみた大阪圏の転入超過数(2017年・2018年)【出典】住民基本台帳人口移動報告(総務省)

学生を集めても、就職時期になれば所得の高い東京圏へ上京する傾向が強い

東京圏・名古屋圏・大阪圏で、年齢別(世代別)に流出入をみていくと人口の流れの背景がより詳しく理解できます。

以下のグラフは、東京圏・名古屋圏・大阪圏の転入・転出を年齢別に分けたグラフです(縦軸がそれぞれの都市圏でスケールが異なることにご注意ください)。

東京圏では、学生世代(15~19歳)や新卒世代(20~24歳)、労働世代(25~54歳)まで転入超過であることが特徴的です。東京には魅力的な学校・所得水準の高い企業が集まっていることが背景にあります。

東京圏の年齢5歳階級別転入超過数(2017年・2018年)【出典】住民基本台帳人口移動報告(総務省)

一方で、名古屋圏は75歳以上の高齢世帯の人口流入が多いことが分かります。大阪圏では、学生世帯(15~19歳)には人口流入が多いものの、新卒就職世代(20~24歳)から一気に人口流出していることがわかります。

名古屋圏の年齢5歳階級別転入超過数(2017年・2018年)【出典】住民基本台帳人口移動報告(総務省)

大阪圏の年齢5歳階級別転入超過数(2017年・2018年)【出典】住民基本台帳人口移動報告(総務省)

つまり、就職活動の時期に大阪圏から東京圏へ上京するケースが多いという状況が続いているのです。労働力不足が深刻化し、所得の高い東京圏に人が集まる状況がより鮮明化していることが伺えます。

大阪にとっては、大学入学を期に上京してきた若者が教育を経た後、東京に人材流出するという大きな課題を抱えている状況といえます。

20~30年後の人口分布の予想図は?人口が増えるエリアに家を買いたい

今後、このような状況が続いた後、20~30年後にはどのような人口分布になっているのでしょうか。

国立社会保障・人口問題研究所の『日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)』によれば、2015年⇒2045年の間に人口が(都道府県レベルで)増加するのは東京都のみという推計があります。

※北海道・東北・関東・中部地方

※近畿・中国・四国・九州・沖縄地方

人口維持率
※2015年=100
日本全国(都道府県)
※2045年時の自治体人口区分(2015年比)
100%~東京都
80~100%玉県・千葉県・神奈川県・石川県・愛知県・滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・岡山県・広島県・福岡県・熊本県・沖縄県
65~80%北海道・岩手県・宮城県・山形県・福島県・茨城県・栃木県・群馬県・新潟県・富山県・福井県・山梨県・長野県・岐阜県・静岡県・三重県・奈良県・和歌山県・鳥取県・島根県・山口県・徳島県・香川県・愛媛県・高知県・佐賀県・長崎県・大分県・宮崎県・鹿児島県
50~65%青森県・秋田県
~50%※該当なし

市区町村レベルでは、それぞれの地域圏で人が集約する未来が描かれています。それぞれのエリアで、核となる地域ができ、それ以外の市町村では人口が大きく減る可能性が示されています。

東京都以外でも市区町村レベルでは人口が増加するエリアも複数存在するということです。ただ、県庁所在地であっても人口が大幅に減る可能性の高い都市(例えば青森市や秋田市など)もあることは知っておきたいです。

2045年の総人口指数 ※2015年=100とした場合(出典:国立社会保障・人口問題研究所)

人口維持率
※2015年=100
日本全国(市区町村)
※2045年時の自治体人口区分(2015年比)
100%~94市区町村(5.6%)
80~100%345市区町村(20.5%)
60~80%555市区町村(33.0%)
40~60%590市区町村(35.1%)
~40%98市区町村(5.8%)

将来人口の分布について、詳しくは2045年時の日本人口の推計を解説したコラムも参考にしてください。

少子高齢社会の日本、これから家を買う場合には将来の人口動態を知った上で購入判断をしたいものです。将来を見据えて流動性の高いエリアにマイホームを買ってくださいね!

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