いい不動産屋が取引成功のカギ!中古マンション売買が円滑に成約した裏側
仲介業者が不動産取引を左右。優秀な不動産屋だと困難な取引も成立する
不動産取引の難しさは、買主と売主の間に入る仲介業者(不動産屋)によっても取引が左右されることです。
物件が素晴らしく、売主は売りたい・買主は買いたい、と思っているケースであっても、間に入る不動産屋が対応を間違えれば取引が成立しないこともあります。
その代表的な例が「囲い込み」といえるでしょう。
逆に、間に入る不動産屋が優秀な場合、困難な取引でも成立することがあります。間に入る不動産会社は、時に取引を左右することもあるのです。
ここでは、売主側の不動産会社が4つの場面で素晴らしい対応をしてくれたおかげで、取引がスムースに成立した事例を振り返ります。
【基礎知識】不動産取引には、売主・買主、それぞれの仲介業者の4者が登場
話に入る前に、前提となる基礎知識だけ確認させてください。
不動産取引では、通常4人の登場人物がいます(売主も買主も個人の場合)。売主と買主、そしてそれぞれの仲介業者(不動産屋)です。
買主側の不動産屋を業界用語で「客付業者」、売主側の仲介業者を「元付業者」と呼びます。買主側と売主側それぞれに不動産業者が入り、交渉事はお互いの不動産会社を通じて行います。
【売主】-【売主側の不動産屋(元付仲介)】-【買主側の不動産屋(客付仲介)】-【買主】
この4者が登場する取引を「片手取引」といいます。今回は、この片手取引の場合のお話です。ミトミが買主さん側の仲介業者(客付業者)、そして今回ご紹介するのは、売主さん側の不動産屋(元付業者)がとても優秀だった事例です。
尚、取引によっては売主と買主の間に入る不動産屋が1社となるケースもあります。これを「両手取引」と呼びます。
【売主】-【売主側の不動産屋】-【買主】
今回はこの特別なケースではありません。売主と買主の間に2社の仲介業者が入っている「片手取引」の話ですので誤解のないようにしてください。
目次
①売主さんの都合を事前チェック。所有者居住中の物件でもすぐ内見調整
ミトミに住宅購入をご依頼いただいたAさん。中古マンションをリフォーム・リノベーションして住むことをご希望でした。
そこで、物件探しをして内覧したい物件をピックアップしました。その中の1物件を後に購入することになりますが、その中古マンションの元付業者(売主側の不動産会社)の担当者がBさんが素晴らしい方でした。
このマンションは売主さんが居住中の物件で、内覧(内見)日時を買主さんと売主さんのお互いの日程が合う日時に調整する必要があります。
担当者Bさんに連絡を取り「今週の土曜日11:00から内見したい」と内見依頼をしたところ、その場ですぐ「その日時なら内見可能です。私が立ち会います」との返答がありました。
「売主様に確認しなくても大丈夫でしょうか…」と聞いたところ、「あらかじめ今週末の予定は売主さんにお伺いしてますので大丈夫です」とのことでした。
このやり取りをした時点で、Bさんが担当であるこの物件なら安心して取引できると直感しました。そして後述する通り、その直観は正しいものでした。
内見依頼の調整がスムースであることは、この物件を責任を持って売りたいという意思の表れです。内覧が立て込む週末の予定をあらかじめ売主さんから聞き出しており、先回りして対応してくれてもいます。
売主さんとの信頼関係もしっかり築かれていることがうかがえ、とても頼もしい印象を受けました。
居住中物件の内覧調整ができずに、他の買主に物件を取られるケースもある
中古物件の場合、売主さんが居住中である物件は結構多いものです。自宅を売ったお金で次の住み替え先の物件を買うことが多いためです。
例えば、居住中物件を2物件、同じ日に内覧することになるとそれぞれ調整が必要です。できるだけ内覧する時間を連続して行うよう調整します。その方が買主さんの負担も少ないためですね。
しかし、売主さんの都合も直前でないと分からない場合や、一方の物件は午前中のみ、別の物件は夕方以降しかダメといった場合は、やむを得ず一日のうち時間を分けて内覧することもあります。
いずれにしても、できるだけ早く売主さんの都合を抑え、スケジュールを確定することが必要です。なかなか都合が合わず、そうしているうちに他の買主さんに物件を取られることもあるため、やはりスピード感が大事です。
しかし中には、やる気のない不動産業者もいます。日時調整にのんびりと1週間以上かけることもあります。
ひどいケースになると「私が立ち会えないので無理ですね。来週も忙しいのでちょっと厳しいですね」と売り側の仲介担当者の都合で内覧が実現できないことや、あえて内覧させない(囲い込む)ためにズルズル調整を引き延ばす悪質なケースもあります。
そういう対応がまかり通る中、Bさんのスピード感ある対応はとてもありがたく、幸先のいいスタートを切ることができました。
②業者が売主さんへ遠慮なく質問・確認することで満足度の高い内覧に
さて中古マンションの内覧を迎えました。内覧当日のBさんの立ち回りも、とても心強いものでした。
所有者が居住中の内覧は、売主さん(所有者)、買主さん、両方の仲介業者の4者で行います。その時に誰が率先して説明するかは、その場で決まることが多いです。雰囲気にもよります。
基本的には最も物件を知り、接客にも慣れている売主側の不動産業者(元付仲介)が物件を案内・説明するのが望ましいといえます。中には、売主さん自ら丁寧に説明してくれることもあります。
ただ、売主側の業者がやる気のない場合、「自由に見てくださいね~」と一言だけ述べて後は知らんぷりということもあります。この場合には、買主側の仲介業者(客付仲介)が案内・説明します。
今回のケースでは、元付業者であるBさんが積極的に説明をしてくれました。特に、買主さんが遠慮しそうなことは率先して売主側の仲介業者Bさんが対応してくれました。
例えばクローゼットを開けて中を確認することや、写真を撮ること、バルコニーに実際に出ててみることを促したりしました。バルコニーには人数分の外履き用スリッパも用意されていました。
遠慮がちな買主さんによっては、「本当はバルコニーの大きさを目視したかった」「写真を撮りたかった」「バルコニーの大きさを確認したり、日当たりや風通りも肌で感じたかった」と後から感じることもあります。
もちろん買主側の仲介業者も積極的に動きますが、やはり今回の担当者Bさんのように率先して動いてくれると内覧もスムースで雰囲気もとてもよくなります。
隣人の情報や住みづらい点など聞きづらい「物件のデメリット」を売主に聞く
売主さんが内覧時に立ち会う場合、売主さんしか知らないことをその場で聞くことはとても有意義です。
ただ、中には聞きづらいこともあります。その場合には、客付仲介業者が空気を読んで代わりに聞いたりします。
今回のケースでは、売主さん側の仲介業者担当者Bさんが、聞きづらいことも積極的に聞いてくれました。
例えば、売主さんに対して「このマンションとてもいい物件だと思いますけど、正直、このマンションで住みにくいと思った点や不満ってなんですか?」とサラっと質問を投げかけてくれます。
買主さんにとって、物件のデメリットはぜひ知っておきたいことです。しかも実際に住んでいる売主さんの意見は貴重です。
「隣人との付き合いってどんな感じですか?トラブルや変な人っていました?」と、売主さんしか知り得ないことも聞き出してくれました。
買主側は初めて売主さんとお会いするため遠慮しがちです。客付業者も、なるべく失礼がないようにと積極的に聞けないこともあります。
その点、信頼関係ができている売主さん側の仲介業者が、自然な会話の中で率先して聞いてくれると非常に効果的な内覧になるものです。
傷やクロスの剥がれなどの不具合箇所を指差し確認。将来のトラブルの芽を摘む
また、あらかじめ物件に不具合があることを買主さんに開示しました。
「ここに傷があります」「あの天井付近の一部、クロスが剥がれています」と、不具合箇所を指差し確認して指摘したのです。
これは、将来のトラブルを避ける意味でも重要です。
さらに説明するばかりではなく、買主さんのペースで自由にみる時間を適宜取るなど、買主さんが内覧にストレスに感じない雰囲気作りもしていました。
いい雰囲気があれば買主さんもリラックスでき、売主さんへの配慮というハードルを越え、確認したいことを確認でき、聞きたいことを聞け、満足度の高い内覧ができます。
このように、仲介業者の立ち回り方で、内覧がとても有意義になることがあります。今回のケースではBさんに大変助けられました。
③売主さんに“意味”を伝えリノベ現地見積もり(再内覧)にも快く応じる
買主Aさんは、中古物件をリフォームしてマイホームを購入することを考えていました。
内覧した中古マンション(仲介業者Bさんが担当する物件)に決め、この物件をどこまでリノベーションするか決めていく段階に入りました。
この時、Aさんご自身でリフォーム会社を3社選んで、それぞれ相見積もりを取らせたいとの強いご要望がありました。
住宅ローンにリフォーム費用を組み込むため、決済・引渡し前にリフォーム工事の見積書を取得する必要があります。また、予算的にもギリギリのラインになりそうだったため、現地での精度の高い見積もりがいる状況でした。
空室物件なら仲介業者立会いの下でリフォーム業者が現地見積もりを行えばいいのですが、今回は売主さんが居住している物件です。売主さんのご都合もあり、何度も家に出入りすることに難色を示されるケースも想定されます。
一方で買主Aさんはリフォームに対するこだわりも強く、自分の納得する工事が予算内に収まるかどうかは、住宅購入の判断に直結する重大事項です。
ご自身で選んだリフォーム業者に物件内部を見てもらった上で、具体的なリフォーム提案を聞きたい想いもありました。
購入意欲が高い再内覧を歓迎。図面や規約も速やかに送付、早々と見積書が完成
そこで、3社の現地見積もりを取りたいのだが可能か、ということを売主側の仲介業者Bさんに相談をしました。
すると、「大丈夫です。売主さんにはご理解いただると思います。採寸目的での再内覧などはあり得ることは伝えています」とおっしゃっていただけました。
「助かります。でも本当に大丈夫ですか?」と聞くと、「むしろいい話だと思っています。リフォーム現地見積もりをするのはそれだけ購入意欲が高く、買主さんが本気ってことですよね?売主さんにもそう伝えれば分かっていただけると思います」と返答がありました。
面倒くさがらずに対応してくれるどころか、前向きにとらえ、話を前に進めてくれたのです。
売主さんに対して、ストレートに「あと3回内覧があります」とだけ伝えると「いい加減にしてくれ」と言われかねません。
しかし、契約まで大きく前に進ませるためのプロセスであるという「意味」もきちんと伝えると印象は大きく変わります。
売主さんも買主さんも不動産取引には慣れていないことが多く、一つ一つのプロセスを丁寧に説明するという仲介業者の振る舞いだけでも、契約が進展するかどうかは大きく左右されることがあるのです。
実際にはリフォーム業者にも事情を理解していただいた上で、2社は連続した時間で現地見積もりしてもらうなどなるべく売主さんの負担を減らしました。
また、併せて詳細な図面資料や設備関係書類、マンション管理規約(フローリング床材の遮音性能の規定など)をBさん経由ですぐにご送付いただき、スムースに見積もりを取ることができました。
④買主さんへコスパのいいリノベ業者を紹介。金額を大幅削減でき予算内に
買主Aさんは物件も気に入り、リフォーム内容も固まり、あとは予算内に収まるかどうかだけが問題になっていました。
しかし、想定以上にリノベ費用が膨らみリフォーム業者3社の見積もりすべてが予算オーバーとなってしまいました。
当初は、予算内でできる範囲でリノベをするはずだったのですが、買主Aさんはリノベーションに対する希望が膨らみ「せっかくマンションを買うんだったらあれもこれも奇麗にしたい!」というマインドになってしまったのです。
今更大幅に予算を増やせる余裕もなく、設備グレードを落とすことや、一部の工事を取りやめることなどで調整してもらいましたがそれも限界でした。
そのため、売主側の仲介業者Bさんには「リノベ費用が想定上に膨らみ、もしかしたらこの物件の購入は見送ることになるかもしれません。申し訳ありません。また進展あり次第ご連絡します」と一報を伝えておきました。
「なんでも協力しますよ」業者の紹介価格で安く施工、約150万円の費用削減に成功
その後、Bさんから特別な提案がありました。
「知り合いの一人親方のリフォーム業者でよければご紹介できます。紹介価格でかなり安く施工できます。紹介料やキックバックは一切ないのでご安心ください。ただ、接客は期待しないでください」とのお申し出です。
聞けばBさん自身も元々リフォーム業界出身とのことで、紹介業者は昔の知り合いとのことでした。広告費をかけず、無駄なコストを徹底排除して、ホームページも持たずに顧客紹介で成り立っている会社さんです。
さらにこの中古マンションの他住戸も工事経験があり、管理組合への工事申請の仕方やタイミングもよく分かっていました。
ただし、一人で請け負っている小規模な会社のため、大手リフォーム業者のような丁寧な接客が難しく、打合せも一度きりにして欲しいということでした。
詳細な見積もりを取ってもらった結果、確かに相場よりかなり安く、これにより約150万円もの費用削減ができました。
最終的に、買主Aさんが依頼した3社にはAさんからお断りの連絡を入れ、この紹介業者さんでリフォームを行うことで予算内に収めることができました。Aさんも大満足の取引となりました。
仲介業者Bさんがおっしゃった「私も売りたいので、(売主の利益を損ねること以外)協力できることは何でもしますよ」という言葉はとても頼もしく感じました。
【まとめ】主役の買主・売主を支える仲介業者が円滑な取引を実現する鍵!
この事例では、売主側の仲介業者の対応が素晴らしく、取引を円滑に進めることができました。
売主、買主それぞれの仲介業者は、それぞれから媒介(仲介)の依頼を受けている以上、いわば売主・買主の利益を追求する立場です。時には厳しい交渉を行うこともあります。
一方で今回の事例のように、内覧の手配や情報開示、リフォーム調整など、取引を円滑に進めるために、売主・買主どちらにも利益になることはたくさんあります。
それらを如何に円滑かつ柔軟に進めていくかが、満足度の高い取引を実現させるかどうかの分かれ道ともいえます。
不動産取引において主役は買主さん・売主さんであり、決して仲介業者ではありません。
しかし実際には黒子であるべき仲介業者が取引を遅延させたり、囲い込みのような悪質な営業をすると取引自体を握りつぶすことにもなります。仲介業者が障害になる例も多いのです。
今回のケースでは、スピード感持って多くの提案をしてくれる売主側の担当者のおかげで無事取引が成立しました。不動産取引は、物件との出会いも、業者との出会いも、ご縁の巡り合わせでもあると感じさせてくれる取引でした。
私たちミトミも相手側の仲介業者から「今回のマイホーム取引、買主さん側の担当者が円滑に進めてくれた」と思ってもらえるように精進します。
そして何より、買主さんから「ミトミは長く付き合っていける不動産屋さんだな」と将来にわたって安心していただけるように頑張ります!
【P.S.】「この家、買っていいのかな?」…迷わずご相談ください!
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