住宅ローンの基準「長期金利」が低下!金融政策決定会合後の市況は?
目次
日銀の長期金利ゼロ%への誘導目標後、それに反してマイナス幅が拡大
日銀は9月21日、金融政策決定会合で(固定型の住宅ローンの基準となる)長期金利を0%程度に誘導させる目標を掲げた新たな金融緩和の方針を発表しました。量(マネタリーベース)から金利への転換です。
この新たな枠組みが発表された21日には、前日20日の終値の利回り▲0.065%から▲0.035%へと金利が上昇しました。
しかし、それから約1週間経ちますが、マイナス金利水準にあった長期金利は0%へ向けて上昇するどころか、▲0.035%(21日終値)からマイナス幅をさらに拡大させ、10年物国債利回りが▲0.060%(26日終値)へと低下しています。
長期金利は日銀といえども簡単に誘導できない
そもそも長期金利は市場参加者の合意形成によって定まり、日銀といえども単独で決められるものではありません。資金需要と供給のバランスのみならず、インフレ率に対する市場プレーヤーの予想や将来への見通しなどが複雑に織り交ざって決まるのです。
日銀が利回りを指定して国債を購入する方法である「指値オペ」も日銀が発表しましたが、市場機能を軽視したものとも受け取られかねません。それよりも、市場によって形成される金利水準から、多くの参加者がどのような予想で動いているか読み取ることが大切でしょう。
現在の状況は国債発行残高の1/3を超える量を日銀が保有しているという異常事態であるため、日銀が市場を牛耳っているという特殊な状況がそれを許しているのです。しかし、それでも長期金利は下がっており、日銀でも簡単に誘導できない状況です。
実際に、日銀の黒田総裁は9月26日に行った大阪市内での講演後の記者会見で「短期金利はコントロールできるが、長期金利は操作目標であり完全にコントロールできない」と認めています。
日銀は当面、国債の買い入れ額を減らさない?
今回、発表からまだ1週間程度(国債市場が開く営業日換算では3営業日)しか経っていないため、今後についてはまだ市場も日銀の動きを模索している状況ですが、市場は当面日銀が現在の買入れ水準を保つとみられています。
9月26日に日銀が発表した「残存期間5年超10年以下の国債」の買い入れ予定額が、発表前の9月20日と同じであったためです。
市場は「日銀がこれまでのペースを保って国債を買ってくれるから、まだ国債利回りは下がる(価格は上昇する)。まだ買っても、日銀がさらに買ってくれるなら、それを売却すれば利益が出る」と考え、買い入れの安心感を得た格好です。
今はまだ長期金利の下げが小幅に留まっていますが、この調子であまりにもマイナス金利が拡大した場合、日銀も政策目標を発表した手前、(理論的には)国債の売却などの手を打ってくる可能性があります。
どこまで日銀が長期金利が下がるか、市場が日銀の想いを探っているともいえる状況なのです。
日銀は長期金利がマイナス金利となることを許容?
日銀の長期金利ゼロ%の操作目標の効果が出ず、さらなる金融緩和が必要となった場合、長期金利はどのようになるのでしょうか。
日銀は2%の安定した物価上昇率に向け、マイナス金利(短期政策金利)の深堀りや長期金利誘導目標の引き下げ、資産買入れの拡大、資金供給量の拡大ペースの加速など追加緩和策を用意しており、今後の状況をみながら柔軟に方針変更すると考えられます。
特に、黒田総裁は26日の講演で、今後の金融緩和の手段としては「マイナス金利の深堀り」と「長期金利操作目標の引き下げ」が中心的な手段になると発言しています。21日の発表を踏襲した形で、量から金利へシフトすることを確認したものといえます。
長期金利も場合によっては、ゼロ%より目標を引き下げることを匂わせており、マイナス金利を許容する姿勢をみせているとも読み取れます。
”理論的には”金融緩和姿勢が崩れる可能性あり。長期金利ゼロ%の呪縛!?
日銀が長期金利をゼロ%へ誘導するということは、現在マイナス水準にある10年物国債利回りを上昇させる(価格を下落させる)、つまり、市場全体として国債の売り圧力が高まらなければなりません。
つまり日銀が保有する国債を売却する(市場からおカネを吸い取る)、または、売るまではしなくとも買い入れ額を減らす方向性ということになります。
これは、マネタリーベースを増加させ、市場に出回るおカネの量を増やすという量的緩和の姿勢を崩すことになります。
もちろん、市場参加者が購入量を減らせば日銀が購入量を維持してもゼロ%が実現できるかもしれませんが、先ほど述べた通り、少なくとも現状では市場はまだ買い上がっている状況なのです。
日銀の発言や立場に一貫性を欠く面が透けてみえるのは、背景にマイナス金利の行き過ぎによる金融機関の収益圧迫への配慮など、各方面への調整結果の賜物としての今回の方針変更があり、この二面性(矛盾)が生じているのです。
なぜ長期金利ゼロ%が適切なのか根拠に乏しい。今後も要注視!
そもそも、なぜ長期金利がゼロ%水準が望ましいのかについての説明に乏しく、市場としては、今後の日銀の政策目標が変更するリスクも含め、疑心暗鬼になっている一面もありそうです。
ですので、ゼロ%へのこだわりがどこまであるか現在は読み切れない状況です。21日の日銀発表では、国債を年間80兆円をあくまで”目途”としており、若干の買い入れ額変動による調整はあるものとみておくのが無難といえるでしょう。
事実、日銀の黒田総裁は9月26日に行った大阪市内での講演で、「金利操作方針を実現するため、ある程度上下に変動する」として買い入れ額の減額も示唆しています。
固定型住宅ローンの金利水準に直結する長期金利。今のところ方向性は手探りといった状況ですが、まだ当面は空前の低金利は続きそうです。今後もしっかり注視していきましょう!
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