ブラックリストは存在しない!?住宅ローン審査でストップがかかる個信とは?
目次
クレジットカードの返済などにトラブルがないかを示す「個人信用情報」
住宅ローンの審査において、銀行などの金融機関の審査部門は必ず「個人信用情報(個信)」をチェックします。
個人信用情報(個信)とは、簡単にいえば過去おカネの返済にトラブルがなかったか?という情報です。
個信は、一般社団法人全国銀行協会が運営する「KSC」(全国銀行個人信用情報センター)、クレジットカード会社の信用情報を扱う「CIC」(株式会社 シー・アイ・シー)、古くから続く「JICC」(株式会社 日本信用情報機構)の3つの機関が保有しています。
情報機関のKSC・CIC・JICCは、融資返済の履歴について、延滞などのトラブルがあった際にその都度履歴を蓄積しておくのです。
情報機関の会員となっている金融機関は、お客様のローン審査をする際にこの個信(履歴情報)をチェックし、過去に返済事故がなかったかどうか調べます。「住宅ローンを貸して、本当に返してくれるのか」を測るための一つの材料にするのです。
登録される情報は、シンプルに事実のみ記載。経緯や理由などを考慮しない
例えば自動車ローンなどの返済を延滞してしまった場合、個信には「いつ延滞があった」という事実情報が蓄積されます。
それが、うっかり忘れたものであっても、忘れてはなかったけれど急用ができてどうしようもなかったとしても、生活に困窮して支払うことができなかった場合も、同じように延滞の客観的な事実がシンプルに記載されるのです。
「たった1回のうっかりミスも登録されるの?」というところについては、情報機関としてはどういう経緯で支払いがなされなかったか知る由もありませんので、仕方ないといえます。
実際には1~2回の支払い遅延であればいちいち登録しないともいわれていますが、どのように情報を登録するかは各金融機関で統一されていない事情もあり確かなことはわかりません。
ただし、仮に登録されても住宅ローンの審査で1回の延滞で審査が通過できないということは考えにくいため、そこまで神経質になる必要はないと考えられます。
しかし、情報機関や金融機関が「1回なら大丈夫ですよ」などと公表しているわけではなく、方針も変わる可能性があるため、返済を忘れず行うに越したことはありませんね。
個信に大きな傷がつくと住宅ローンは厳しい。完済してから5年待つことに
住宅ローンを借りることが難しくなるのは、個信に“大きな傷がついている”場合です。
特に、個信に「移管」や「代位弁済・保証履行」、「強制回収手続き」といった情報が記された場合は住宅ローンが組めなくなる可能性が非常に高いといえます。返済条件の緩和(リスケ)の場合にも厳しいでしょう。
ただし、未来永劫ずっと無理というわけではありません。
返済トラブルが起こっても、未納分が完済してから5年間経てば信用情報から削除されるとされています。また、自己破産などの債務整理を行った場合には5~10年で削除されると一般的にはいわれています。
ひとたび削除されてしまえば、その後に銀行が個信を照会してもなにもでてきませんので、審査に通ることでしょう。
ブラックリストなんてない?!債権移動や代位弁済など返済事故があった状況を指す
「住宅ローンの審査で引っかかるのは、ブラックリストに載った場合ですか?」というご質問を受けることがありますが、そもそもブラックリストというものは存在しません。
いわゆる「ブラックリスト」といわれるものは、先ほどの例に出したように、個信に「移管」や「代位弁済・保証履行」、「強制回収手続き」といった情報が記された状態のことを指します。
移管というのは、銀行が融資したおカネを回収できないと判断して、おカネを返してもらえる権利(債権)を第三者に安値で譲り渡すような場合をいいます。
また、代位弁済や保証履行は、銀行の代わりに保証会社などに未回収の貸付金を支払ってもらい、肩代わりした保証会社が債務者に対して「おカネを返してください」と請求するものです。
強制回収は、その名の通り、金融機関などが差押えをかけることなどで強硬的な手段で残債の回収をした場合で、自己破産になる場合も含まれます。
いずれの場合も、当初の予定通り支払いができず、明らかな返済事故が起こっている状況です。このような、個人信用情報に大きな傷がついた状態を通称「ブラックリスト」と呼んでいるようですが、明確な定義があるわけではありません。
【注意】ローン申込みや審査の履歴も残る。クレカを複数申し込まない!
個信には、ローンやクレジットカードの申し込みの状況や、審査に落ちたか、審査を通過し成約に至ったのかなどの状況も記載されます。
いくらの融資を受けたのか、クレジットカードであれば限度額やキャッシング枠もわかるようになっています。
住宅ローンに申し込む際に、「他からの借入はありません」と言ってもバレてしまいます。後から嘘が分かるととても心証が悪くなり、審査に通るものも通らなくなってしまいますので注意しましょう。
さらに、短期間にクレジットカードを複数枚申し込んでいると「かなりおカネに困っているのかな」と疑われてしまいます。
これら申し込み記録は6カ月間、情報が保存されますので住宅ローンを組むことを考え始める前には不用意な申し込みは控えるようにして、希望通りの融資を受けられるようにしましょう!
【参考】自分の信用情報は開示請求できる!ネット申し込みも可
「住宅ローンに複数申し込んだけれど、すべての銀行でお断りされた」という場合には、一度個信をご自身でみてみるとよいでしょう。
もしかしたら、身に覚えのない借金が残っていて延滞している状況であるかもしれません。
各個信情報機関は、インターネットや郵送、窓口で「自分の個信が現在どのようになっているのか知りたい」という方向けに、個信を開示しています。
手数料も1,000円と安いです。インターネットでも申請が可能ですので、チェックしたい場合にはぜひ申し込みましょう。
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