新築と中古のメリット比較で見落としがちな注意点。後悔しない家の買い方とは?
※住宅ローン減税制度は改正されています。
本記事の内容は、一部古い内容を含む可能性があることにご注意ください。
目次
【新築のメリット】初期費用や購入後のランニングコストの安さ?
「新築と中古物件、どちらがいいのかな?」と考える方も多いでしょう。ここでは、新築と中古の一般的なメリット・デメリットを整理した上で、見落としがちな注意点をみていきましょう。
まず、新築住宅のメリットとしては大きく以下の4つがあげられます。
新築住宅のメリット |
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初期費用が安い(物件価格の5%以内で収まることが多い)
※ただし修繕積立基金を徴収される場合がある(新築分譲マンション) |
当初はランニングコストが安い
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10年間の瑕疵担保が付く(住宅の主要構造部分の瑕疵) |
新築に住むという精神的な満足感が得られる |
それぞれについては、なるほどと納得できる部分もあるかもしれません。
しかし、その意味を正確に理解しておかないと、安物買いの銭失いになってしまいます。
仲介手数料が発生しない代わり、業者と直接交渉することになる。一時金の徴収も
新築の場合は、一般的に初期費用(諸費用)が安く済むといわれます。「仲介手数料がかからず、初期費用が3%安くなる」というものです。
確かに新築分譲マンションなどでは、売主(ディベロッパー)と買主の間に仲介業者が入らず、仲介手数料(物件金額の約3%)がかかりません。
仲介手数料を払わないということは単純に考えればよいことのように思えますが、思わぬ落とし穴もあります。
それは、裏を返せば不動産のプロである売主(業者)と素人である買主(個人)が直接交渉をするということです。情報格差は大きく、間に入る仲介業者の目で「本当に買ってよい物件か?」が検証されないリスクがあることは覚えておきましょう。
さらに、購入時に修繕積立基金という一時金が徴収されるケースも少なくありません(20~50万円程度)。
初期費用が安いというメリットは、1回きりに支払う費用が軽減されるという新築の利点です。目先の利益にとらわれず、実際にはどれほどあなたに恩恵を与えるものなのかしっかり検討しましょう。
そのほかにも、特に新築マンションでは仲介手数料以上に損をすることがありますので十分注意してください。
新築の固定資産税が小さいのではなく、中古は少額だから優遇されないだけ?
ランニングコスト(毎年発生するような費用)について、固定資産税が半額になる優遇措置はよく指摘されることです。
具体的にいえば、「居住部分の120㎡までは、家屋の固定資産税の1/2が減額」されるものです。戸建てであれば3年度分、マンションは5年度分です。
ただし、この優遇措置は、建物(家屋)部分にだけ適用され、その期限も3~5年と比較的短いことを理解しておきましょう。
そして、新築の場合には固定資産税の優遇措置があることと、だからといって中古住宅よりも固定資産税「額」が安いわけではないことにも注意が必要です。
税額の基になる「建物の固定資産税評価額」は、築後経過年数が経つほど安くなります。つまり、できたばかりの新築は固定資産税がもともと高いのです。
中古住宅であれば、買った当初から(このような優遇措置がなくとも)固定資産評価額も小さく税額も安いのです。新築だから固定資産税額が小さくなるのではなく、もともと高いものを少し割り引いているという制度だと理解しましょう。
【新築のデメリット】物件金額の高さと、購入後の値下がり幅の大きさ
一般的にいわれる新築住宅のデメリットは以下の4点です。
新築住宅のデメリット |
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物件金額(不動産価格)が高い
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購入後のマイホームの値下がり幅が大きい |
実際の出来上がりは想像に任せた「青田買い」 |
自分好みの設計ができず分譲仕様(新築マンションや建売住宅の場合) ※新築注文住宅の場合には、間取り・設備・外観・外溝などの設計の自由度が高い |
なんといっても、物件金額が高いというデメリットがあります。これは、売主が業者となるためどうしても利益を上乗せすることで仕方ありません。また、(中古の個人売主では発生しない)モデルルームや広告費などの費用がすべて家の値段に含まれるのです。
それに加え、建設業者は不動産市況がどうであれ、毎年一定数建築販売していかなくてはならず、土地値や建築費が高騰していてもそのコストをかけて建築せざるを得ません。その分、住宅価格に跳ね返ってきてしまいます。
さらに、高い価格で買ったはいいものの、上乗せされたコスト分、一気に自宅の価値が下がってしまう傾向にあります。
また、新築の戸建てを建てるために土地から探す場合には、郊外エリアにしか土地が残っていないということにもなりがちです。その場合には、不便な立地で自宅の売却価格が大きく下がるリスクもあります。
不動産市況が落ち込んでいるタイミングでは新築マンションは割安に手に入ったり、立地によっては購入後も値上がりする一部地域はあります。しかし、その数は限られており、金銭的なメリットを得たい方は購入前に慎重な検討をしましょう。
新築の設備は最新でも上位モデルでもない。業者は大量安値仕入れでコスト削減
「新築住宅なら最新設備が手に入る」という声もありますが、それは新築注文住宅の場合に、施主(お客様)が設備を指定した場合と考えておきましょう。
新築建売住宅や(高級でない)通常のマンションの場合には、業者は最も利ザヤの取れる設備を導入する傾向にあります。
大量に同じ型番の製品を安く仕入れ、それを多くの分譲住宅に設置していきます。この場合、かなり古い型番ではないものの、少し前の型番がを使うケースもあります。また、コストを削減するため、上位モデルはまず使いません。
そもそも、設備メーカーには「ビルダー向け商品」や「裏商品」とも呼ばれる商品もあり、通常のカタログに載っていないものもあります。
設備を重視してこだわる場合には、中古住宅を買ってリフォームする際に型番を指定した方がよいかもしれません。
【中古のメリット】価格の安さや好立地物件の多さ。後悔の少ない購入可能
中古住宅のメリットは、物件金額の安さがあげられます。
中古住宅のメリット |
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物件金額が安い
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購入後も値下がりしにくい(好立地物件が多い) |
物件の選択肢が圧倒的に多い
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実際の状況が確認できる(管理状況・コミュニティ・建物の不具合・景観など)
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新築よりも安価に、新築同等の住宅性能や自分好みの間取り・設備が得られる
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中古ならではの味わいある家に住むという精神的な満足感が得られる |
新築の場合と異なり、照明やカーテンレールなどをそのまま引き継ぐ形での売買取引が多いものです。場合によっては、エアコンや食器棚なども売主から譲り受ける場合もあります。
そして、購入後に値下がりしにくいことがあります。中古住宅は資産性に大きな影響を与える「立地」がかなり有利なためです。
立地のいい場所から建物が立ち並び、周辺地域に広がっていくため好立地ほど先に家が建てられます。つまり、好立地には中古が多くを占めるのです。
新築物件の数に比べて、中古物件の数は圧倒的に多い(選択肢が多い)ことも忘れてはならないメリットです。
中古物件は、通風・日当たり・景観など実際の建物の状態が確認できる
中古住宅の大きなメリットは、実際に時間を経た状態を確認できることです。
建物は不具合があってもすぐにはわかりません。その分、時間が経った中古住宅は実際の状況が確認できるため安心といえます。
また、通風や陽当たり、景観などもチェックできます。
新築の場合には、想像やイメージを膨らますしかなく、そのイメージ通りではなかったということは少なくありません。
「思い描いていた物件じゃなかった…」と後悔してしまうケースもあります。
マンション住人やコミュニティの状態、管理状況まで見通すことができる
マンション住人や地域住人のコミュニティが実際に形成されており、雰囲気もわかります。
確かに新築マンションの場合でも、入居者が一から関係を築き、同じような家族構成・生活レベルの住人が集まりやすい傾向にあるため仲良くなりやすいという話もあります。
しかし、皆が良好な関係を築けるとは限りません。マンションにおいて大切なのは、(所有者の団体である)管理組合がうまく機能し、この先何十年にもわたってうまく合意形成しながら良好な管理状態を維持することです。
お隣さん数世帯とお友だちになり仲良くなれることと、マンションの管理や長期修繕がうまくいくことはまったく異なる話です。
それを新築時に見通すのは難しいというのが実態です。
中古マンションであれば、これまでの修繕・管理の状態や今後の計画の妥当性を推測することができます。これは大きなメリットといえます。
中古物件でも、設備や住宅性能を新築並みにできる。予算と品質はあなた次第
家は「箱」と「中身」でできています。箱の部分を「スケルトン」、中身の部分を「インフィル」と呼ぶこともあります。
マンションの一室でも、すべての中身を取っ払って、構造躯体などの骨組みだけにすることができます。つまり、普段目にし、体に触れる部分(中身)をピカピカの新築同様にすることは可能なのです。
さらに、壁を剥がして断熱材を入れるなど住宅性能向上のリフォームや、(戸建ての場合)耐震補強も費用を掛ければ可能です。
中古住宅は不安というイメージが付きまといますが、綺麗さや住宅性能はいくらでも対応できるということを覚えておきましょう。
浴室はそのままで、こだわりの強いキッチンだけ最高級品にグレードアップするなど、残すところは残し、変えるところは変えるという風に、予算と品質のバランスをあなた自身がコントロールできるメリットもあります。
【中古のデメリット】諸費用の高さや瑕疵担保(住宅品質)の不安?
中古住宅の一般的なデメリットは、なんといっても「中古は不安…」という品質に関わるものです。
中古住宅のデメリット |
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初期費用が高い傾向(物件価格の5~8%程度)
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メンテナンスコストが高くなりがち
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品質への不安・リフォーム費用がかかる ※品質不安は、事前の建物状況調査(インスペクション)でカバー可能 |
個人売主の場合、瑕疵担保がつかない・期間が短い ※ただし、中古住宅版の瑕疵保険制度(既存住宅売買瑕疵保険)や仲介会社独自の保証も充実してきている |
ただし、インスペクション(建物状況調査)に代表されるように、中古の品質をあらかじめ調査する取引が標準化されています。不具合がみつかれば、修繕することで安心して住むことができます。
尚、築年数や管理状態によって老朽化度合いが著しい場合や、大規模な変更を行う場合はリフォーム・リノベーション費用が高い場合もあります。予算と照らし合わせて購入の判断をしましょう。
また、個人が売主の場合には現況有姿(そのままの状態で引き渡す売買)での売買が行われることが少なくありません。この場合、隠れた瑕疵(不具合や欠陥)が見つかっても、売主は保証しなかったり、保証があっても3カ月以内の短期間に留まることが多いものです。
しかし、これに対しては既存住宅売買瑕疵保険という中古住宅用の瑕疵保険を使って解決することができます。また、仲介会社が売主に変わって保証する制度も充実してきています。
このように、品質に対する不安を払拭する制度は既に整備されているため、大きなデメリットではなくなりつつあります。
個人売主の場合の意外な盲点?消費税が非課税のかわり、住宅ローン減税が半分に…
中古住宅でも、住宅ローン減税(控除)の制度が使えます。
床面積基準(登記簿面積で50㎡以上)など諸条件をクリアしなければならないのは新築と同様です。また、築20年を超えた物件でも、耐震性を証明するなどして適用させることもできます。
しかし、業者が売主の時に比べて控除額が半額になることに注意しましょう。一般住宅の場合、業者が売主であれば最大400万円の控除が受けられますが、個人売主の場合には200万円が限度になります。
そもそも、業者が売主の場合には消費税が課税されるため、ローン控除でその分取り返すことができるように設計されたものです。
中古住宅でも、業者が買い取ってリノベーションして売り出すような場合には、業者売主になりますので、住宅ローン減税で最大400万円の控除が受けられます(消費税はかかります)。
消費税を支払うか、ローン控除を諦めるか、単純にどちらがお得とはいえませんね。
「新築か中古か?」にこだわり過ぎない。何を買うかよりも家の“買い方”
ここまでみてきたように、新築にも中古にもそれぞれメリット・デメリットがあります。
新築の物件価格は業者利益や販管費が乗っかっていて高い“傾向”にありますが、購入タイミングや立地によっては購入後も値上がりするものもあります。中古が安いといっても安物買いの銭失いになることもあります。
「新築だから」「中古だから」という一般的なイメージで考えるよりも、あなたが購入されようとする物件の「安全性」「資産性」「快適性」などを一つ一つ検証し、是々非々で判断してみてください。
特に、家を買う時には住んでいる時のことだけを考えるかもしれませんが、長い目でみれば自宅を他人に貸したり売ったりする時期がいずれきます。
その時には、資産価値のある“いつでも貸せて売れる”物件は長い目でみてあなたに金銭的なメリットを受けられます。買う時に売ることも考えて、広い視野で検討してみてください。
その為には新築か中古か?ということよりも、「買ってもいい不動産かどうか」を検証する力のある不動産業者選びが大事になります。何を買うか?よりも、マイホームの買い方(検証の仕方)が大切ということですね。
「新築は気持ちいい」「中古はかっこいい」など感情“だけ”で考えない
実際の購入においてはこのようなメリット・デメリットを越えた主観的な判断で買うかどうかを決めるという方も少なくないようです。
新築を買う大多数の人が「新築は気持ちがいいから」という理由で買っているというアンケート結果(国交省)もあるくらいです。一方で、中古の味わい深さが好きという方も一定数います。
そのような主観的な判断を否定するものでは決してありませんが、ただ、新築物件もカギを回して生活を始めた途端に中古物件になります。
極論と思われるかもしれませんが、新築マンションのモデルルームの夢のような空間に魅せられて購入しても、少なくとも数年住めば、あちこちが汚れ“中古”という名がついてくることは間違いありません。
一方で、中古住宅でも古めかしさがいいといっても躯体部分がボロボロ、耐震基準にも合致しておらず、シロアリが発生しているような物件では家族の安全を守ることができません。デザイナーズ住宅のような凝った家は買い手がつきにくい傾向にもあります。
家は今後長く付き合っていくものです。目先の感情や感覚も大切ですが、他人(将来の借主・買主)からみてどう映るかといったことも含め購入の判断してください。もちろん、いつもでミトミにご相談くださいね!
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