仲介手数料が不要の新築マンション…売却時に▲1,000万円以上損する理由とは?

「仲介手数料を払うのがもったいないから、新築マンションにしたよ」

先日、喫茶店で“最近マンションを買った”という言葉が近くの席から聞こえてきました。

言葉はさらに続き、「仲介手数料を払うのがもったいないから、新築マンション買ったんだ」「買えるなら中古より新築マンションだよね」といった会話がされていました。

仲介手数料を節約するために、仲介業者がかからない新築マンションを買ったというのです。

もしかしたらこの方は、不動産取引に対する理解が不十分なまま、”木を見て森を見ず”という状況の中で購入されたのかもしれないと感じざるを得ませんでした。

ここでは新築マンションの購入時に気を付けたいことや、不動産取引を行う上で注意したい点などをみていきましょう。

新築マンションは仲介業者が入らず手数料は不要。でも販売管理費が大きい

一般的に新築マンションは、デベロッパー(売主)が直接、個人のお客さん(買主)に販売するため、仲介業者が入らない取引です。

直接取引となるため、(新築戸建てや中古マンション・中古戸建てのように)仲介業者が取引に入ることはありません。ですので、仲介手数料は発生しないことは確かにその通りで正しい理解です。

一方で、新築マンションにかかる大きな費用があります。それは販売管理費です。

モデルルームの設置や新聞折り込み、チラシ配布などなど広告費もこの販管費に含まれます。新聞を取っている場合、毎週のように新築マンションの織り込み広告が入っていますよね。

例えば、総住戸100戸の新築マンションに広告費5億円をかけた場合、それだけで各住戸+500万円の値上げがされるということです。

つまり、確かに仲介手数料を払わず契約しますが、(手数料以上の)広告費が物件価格の中に含まれていることが多いのです。

実は新築も仲介されることがある。売れ残り物件は手数料を払っても大幅に安い!

尚、実をいうと、新築マンションでも仲介業者が取引に入ることがあります。それは、住戸が売れ残った場合です。

ディベロッパー側(売主側)からすれば、マンションは全体で利益が取れればOKです。残り数戸になった時点で、既に利益が確保されていれば安値でたたき売りするという判断もあります。

そういう場合にはモデルルームや広告費を積極的にかけずに、仲介業者を通じて買主を効率よく探すこともよくあります。

その場合には「REINS」(不動産会社専用の物件共有データベース)に物件情報を登録して、仲介業者にも情報をオープンにするのです。

この段階までくると、初めから販売価格が大きく値下げしているか、値下げしていなくても指値交渉(値下げ交渉)を受け付けることがよくあります。

売れ残った場合ではありますが、仲介手数料を支払った取引の方が、総額でうんと安く買えるようになるのは皮肉なものですね。。

新築マンションは売れ残りを最も嫌う!販売方法を知れば、意外と安く買える?

土地や建築費の高騰分も価格に上乗せ。今の新築マンションはコスパが悪い

新築マンションの値段は(需給バランスなどとは関係なく)積み上げ方式で決定されます。

販売管理費以外にも、新築マンションは「土地仕入れ値」「建築費」「販売管理費(広告費など)」「業者利益」の合計の値段で決まるのです。

つまり、同じグレード・質のマンションを建てるにしても、値段が高くなっている時期に仕入れた土地、建築費が高騰しているタイミングに建てられたマンションはコスパが悪いのです。

現在は土地(マンション用地)の仕入れが激化しており、ディベロッパーは入札形式で競って用地仕入れをしています。建築費もオリンピックに向け人件費が高止まり、材料費も数年前に比べて高い状況です。

土地の仕入れ値や建築費が高騰しているこれらの状況は、すべてマンション価格に反映されます。低金利も手伝って新築マンション相場が高止まりしている現在、価格の上乗せ分には注意が必要です。

賢く買うなら中古だったということも多いのです。

新築が割安だった時期もあったが…今はマンションが高騰していることに要注意

もちろん、新築マンションだから直ちに悪いわけでは決してありません。

まず、新築マンションのプレミアム感をお金に換えることを許容できる(購入後の値下がり分を受け入れる)人にとっては問題ありません。

次に、やはり金銭的な収支も気になるという方でも、リーマンショック後の新築マンション市況のように、割安に建てられていた時期であればお買い得でした。建物の質(グレード)もよく価格も安かった時期です。

【売買価格推移】東京都心の某築浅マンション(値上がり) ※リーマンショック後に土地仕入れ・建築

その時期に好立地に建てられたマンションは、今現在中古物件として売り出されていても、購入時の価格より値上がりしているものもあります(立地にもよります)。

実は上の図はまさにそのマンションです。こういう時期は、新築マンションの購入も検討してよかったタイミングです。

その時々で、価格の妥当性や流動性(将来の売りやすさ)をしっかり見極めてから購入判断したいですね。

値上がり・値下がりするマンションの見分け方は?過去の売買価格をチェック!

新築を将来中古マンションとして売却すると…▲20~30%の損失が発生?

買う時に価格が高くとも、売る時に同じような価格で売れれば問題ありません。ただ、それが難しいのが新築マンションです。

まず、新築で買ったマンションであっても一度でも住めば中古マンションの扱いになります。中古として売り出す時には、誰も新築時のプレミアムは考慮してくれません。

都心の好立地であれば価格下落に歯止めがかかりますが、それでも土地値や建築費が高騰している現在のような市況で仕入れた物件は収支が悪い印象があります。

今や新築マンションは高止まりしている状況であり、この時期に安易に手を出せば(特に郊外の)新築マンションは将来▲20%~30%程度は価格が落ちることが予想されます。

将来の売却時には購入価格より▲20~30%値下げして売るということは、例えば、7,000万円で買った新築マンションなら▲1,400万円~▲2,100万円ものお金が失われるということです。

仲介手数料の支払わないことだけにこだわって、他の部分で大きな損を出してしまう…そういうことのないよう、全体像を知った上で購入判断したいですね。

“新築が買えないから中古”ではない!「資産価値がある家」を買うことで損を防ぐ

ちなみに、冒頭の会話の中で「新築が買えるなら新築だよね」といった言葉もありました。

その言葉の裏側には「新築を買えない人が、中古マンションを買っている」という認識があるのだと感じました。ただ「新築か中古か」という2軸はあまり意味を成しません。

新築マンションも、鍵を回した瞬間に中古マンションになります。当たり前ですが、今の中古マンションも元々は新築だったのです。

そうであれば、(新築であれ中古であれ)購入したマンションの価格が妥当であるか、将来売れやすいか(流動性は良好か)など、資産価値があるかどうかで判断したいところです。

新築を買う理由は「気持ちがいいから」が大半を占めるという国交省のアンケート結果や、売却時の損失が▲1,000万円以上となる割合が25~40%もあります(不動産流通経営協会・2015年)。

政府も中古住宅の活性化に舵を切っており、“なんとなくいいなという感覚”だけで購入してしまうと、将来損してしまう可能性が高いことは注意が必要ですね。

物件紹介だけでは「仲介手数料を払う価値がない…」と思うのも当たり前?

これまで「仲介手数料を払いたくないから新築マンション」と安易に判断することの危険性を見てきました。

ただ、冒頭の話に戻ると、こういった言葉が出てくるお客様の深層心理には「そもそも仲介手数料の中身が分からない」「支払う意味・価値を見出せない」ということがあるからだと思います。

「仲介業者(不動産会社)を取引に入れる意味や、具体的に何をしてくれるのか」といった、「仲介サービスの価値」を理解いただくことを本来考えていかなければならないでしょう。

仲介手数料を支払う価値がほとんど感じられないというのはよくわかります。

事実として、物件情報を紹介するだけ・契約書を作成するだけ、後はSUUMOやat-homeといった物件情報サイトに掲載する広告料ばかりかけている不動産屋は多いからです。

だとしたら、仲介業者を挟まずに直接売主・買主が取引をした方が余計なお金がかからないという結論になってしまうのは当然のことともいえますね。

本来の仲介サービスは、検証業務や価格交渉など買主さんの利益にかなうサービス

本来、仲介業者は物件紹介や契約業務以外に「この物件は買ってもいいか?」といった検証業務にこそ、力を割くべきところでしょう。

不動産先進国の米国では当たり前の考え方であり、物件情報などはどの不動産屋も同じだけ持っていることを米国民はよく理解しています。

日本ではどうしても「物件情報は大手がたくさん持っている」などという印象・イメージが強く、どの不動産屋もREINSという物件データベースで繋がっていることすら周知されていません。

そうすると、業者としては物件情報でお客さんを釣るという手法が楽で、どうしてもSUUMOなどの物件情報サイトに広告費をかける経営をしがちです。

しかし本来は、買ってもいい物件かという検証や、適正価格への価格交渉、災害耐性調査、インスペクション…などなど、買主の利益にかなうような取引を主導的に進めていくことこそ仲介業者の存在価値でしょう。

もし不動産屋さんが何をしてくれるのか不明な場合は、遠慮なく「仲介サービスとして具体的にどんなことをしてくれますか」と聞いて安全に取引してくださいね!

不動産屋さんに不信感がある…⇒信頼できる会社で、同じ物件を購入検討!

不動産屋さんに不信感がある場合、一度落ち着いて考えることをお勧めします。

不動産取引では、客付け仲介(買主さん側の仲介業者)でさえ「売りたい」と思い、マイナス情報を隠しながら契約を強く迫ってくることも珍しくありません。

気に入った物件があっても「不動産屋さんがなにも調べてくれない」「いいことしか伝えてこない」(マイナス情報を教えない)という状況なら、不動産会社を変えることも考えましょう。

同じ物件を、信頼できる他の不動産会社を通じて買うことができます。逆に言えば、まずい仲介業者で買ってしまうと後から大きなトラブルが待っているかもしれません。

価格の妥当性や流動性(将来の売りやすさ)、耐震性や優遇制度の適用可否などをきちんと理解した上で、購入検討してくださいね。

お困りごとがあれば、もちろんミトミへのご相談・ご依頼もいつでもお待ちしています!

【P.S.】「この家、買っていいのかな?」…迷わずご相談ください!

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