20年後はどのエリアの人口が増えてる?マイホームは”売れやすい家”を買う!
目次
人が集まるエリアは家の資産価値が下がりにくい。2040年の人口分布は?
今から家を買う場合、20~30年後(2040~2050年ころ)には家を売りに出す時期に入ってくるでしょう。
では、そのころにはどのエリアに人が集まっているのでしょうか。逆にどんなエリアの人口が大きく減っている可能性が高いのでしょうか。
人が集まるエリアは、それだけ将来の買主が潜在的に多く(需要が高く)、家の価格も下がりにくいといえます。逆に人が急減するエリアは、家の価格の値下がりも早いといえます。
ここで一つ参考になる調査結果があります。総務省が2018年7月に「自治体戦略2040構想研究会」においてまとめた最終報告書です。
これから約20年後の2040年において、各自治体がどんな課題を抱えどう対策していくかなどについて提言したものです。中間報告時にも「2040年には自治体職員の数が半減する」といった報告がなされニュースとなっていました。
ここではその最終報告書の中で、特に人口に関わる部分に焦点を当ててみていきましょう。
全国レベルで人口減少は深刻。2040年には人口ピラミッドが棺桶型に?
日本全国を俯瞰すれば、人口の減少は深刻な状況にあるといえます。
出生数だけみても、団塊の世代・団塊ジュニアの世代には200万人/年以上いたのが、近年の出生数は半分(100万人/年)にも満たない状況です。
2040年には人口ピラミッドはいわゆる「棺桶型」となるといわれています。高齢者層の部分(上部)までは分厚く、若年層(下部)に行くほど狭くなっている形ですね。
【出典】「日本の将来推計人口(2017年推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)
2015年⇒2040年で、生産年齢人口(15~64歳)は7,728万人⇒5,978万人(▲1,750万人)と約▲23%も減少すると予想されています。さらに、▲40%超の人口減少が見込まれる市町村数は約25%もあります。
一方で個別具体的にみていくと、様子は少し変わります。(例えば関東圏などにおいては)人口がこれから増加していくと予想されるエリアもたくさんあるのです。
つまり、人が集まるエリアとそうでないエリアが明確に分かれ始めるということです。
政令指定都市では最大▲20減。東北・北海道エリアでは▲20~40%減も目立つ
まずは全国的な様相をみていきましょう。
総務省の最終報告書(概要)の2・3ページ目には、2015年⇒2040年の間でどれくらいの人口増減が予想されるか、市区町村ごとに推計されています。
人口100万人以上の都市では「さいたま市」「川崎市」「福岡市」の3市が増加見込み、▲10~20%の減少は「仙台市」「神戸市」となっています。
政令指定都市の中でも、増加~▲10%に留まる地域、▲10~20%の減少地域と明暗が分かれる推計結果となっています。ただ、政令市の中では▲20%を超えて減少する市はなく、減少は一定程度に留まるとみられます。
また、人口20~50万人規模の都市では、東北地域や北海道において▲20~40%減のエリアが目立つなど、人口減少が加速することが予想されます。
その他、読み取れることは多く今後の日本の人口動態をうらなう上で参考となる資料です。
東京23区はほぼ増加~▲10%に留まる。関東3県は人口密度が二極化?
次は日本の中枢である関東エリア(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)を抜き出してその様子をみていきましょう。
東京都では、23区中18区が増加、4区は~▲10%に留まりますが、足立区は▲10~20%の減少が見込まれます。
東京26市では、調布市や西東京市など7市が増加、府中市や町田市など12市が~▲10%の減少、八王子市や青梅市など5市が▲10~20%の減少、福生市に至っては▲30~40%の減少が見込まれています。
東京都 (2015⇒2040年) | 区・市 ※太字は10万人以上の自治体 | 町・村 |
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増加 | 大田区・世田谷区・杉並区・板橋区・練馬区・港区・新宿区・文京区・墨田区・江東区・品川区・目黒区・渋谷区・豊島区・荒川区・中央区・台東区・千代田区(18区/23区) 調布市・西東京市・三鷹市・小金井市・日野市・狛江市・稲城市(7市/26市) | 御蔵島村 |
~▲10% | 江戸川区・中野区・北区・葛飾区(4区/23区) 府中市・町田市・立川市・武蔵野市・小平市・東村山市・国分寺市・東久留米市・国立市・東大和市・清瀬市・武蔵村山市(12市/26市) | |
~▲20% | 足立区 八王子市・青梅市・昭島市・多摩市・あきる野市(5市/26市) | 瑞穂町・日の出町・小笠原村 |
~▲30% | 羽生市 | 新島村 |
~▲40% | 福生市 | 大島町・利島村・神津島村・三宅村・青ヶ島村 |
~▲50% | 八丈町 | |
~▲60% | 檜原村・奥多摩町 |
神奈川県では、川崎市と藤沢市が増加、横浜市や相模原市を含む7市が▲10%減までに留まると推計されています。
平塚市や厚木市など7市は▲10~20%減と予想されており、横須賀市は▲20~30%減の範囲に入っています。多くの市区が▲10%減までに留まっていた東京と異なり、明暗が分かれている結果となっています。
神奈川県 (2015⇒2040年) | 市 ※太字は10万人以上の自治体 | 町・村 |
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増加 | 川崎市・藤沢市 | 開成町 |
~▲10% | 横浜市・相模原市・茅ヶ崎市・大和市・伊勢原市・海老名市・綾瀬市 | |
~▲20% | 平塚市・厚木市・鎌倉市・小田原市・秦野市・座間市・逗子市 | 葉山町・寒川町・大井町 |
~▲30% | 横須賀市・南足柄市 | 大磯町・二宮町・清川村 |
~▲40% | 三浦市 | 愛川町・松田町・箱根町・湯河原町・中井町 |
~▲50% | 山北町・真鶴町 |
埼玉県では、さいたま市や川口市、ふじみ野市など9市が増加となる反面、所沢市や熊谷市など11市が▲10~20%減となっています。
さらに、10万人以上の自治体でも春日部市など3市が▲20~30%減と推計されるなど、埼玉県内でも二極化が進むことが予想されます。
埼玉県 (2015⇒2040年) | 市 ※太字は10万人以上の自治体 | 町・村 |
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増加 | さいたま市・川口市・越谷市・戸田市・朝霞市・三郷市・ふじみ野市・志木市・吉川市 | 伊奈町・滑川町 |
~▲10% | 川越市・上尾市・草加市・新座市・富士見市・東松山市・蕨市・和光市・八潮市・白岡市 | |
~▲20% | 所沢市・熊谷市・鴻巣市・深谷市・入間市・久喜市・坂戸市・本庄市・桶川市・蓮田市・鶴ヶ島市 | 三芳町・上里町・宮代町 |
~▲30% | 春日部市・加須市・狭山市・行田市・秩父市・飯能市・羽生市・北本市・幸手市・日高市 | 杉戸町・松伏町・嵐山町・美里町 |
~▲40% | 毛呂山町・小川町・寄居町・越生町・川島町・吉見町・鳩山町・神川町・横瀬町・長瀞町 | |
~▲50% | ときがわ町・皆野町・小鹿野町・東秩父村 |
千葉県では、柏市や木更津市などが増加する見込みですが、市であっても▲40%・▲50%減のエリアが複数見込まれるなど、埼玉県以上に人口密度の差が激しくなることが予想されています。
千葉県 (2015⇒2040年) | 市 ※太字は10万人以上の自治体 | 町・村 |
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増加 | 柏市・木更津市・流山市・浦安市・印西市 | |
~▲10% | 千葉市・船橋市・市川市・松戸市・成田市・習志野市・八千代市・鎌ケ谷市・四街道市・袖ケ浦市・白井市 | 一宮町 |
~▲20% | 野田市・佐倉市・我孫子市・東金市 | 長生村 |
~▲30% | 市原市・館山市・茂原市・旭市・鴨川市・君津市・八街市・富里市・大網白里市 | 酒々井町・横芝光町・睦沢町 |
~▲40% | 富津市・匝瑳市・香取市・山武市・いすみ市 | 栄町・東庄町・神崎町・芝山町・長柄町・御宿町 |
~▲50% | 銚子市・南房総市・勝浦市 | 多古町・九十九里町・白子町・長南町・大多喜町・鋸南町 |
以上をまとめると、以下のようになります(%は、区・市・町村ごとの割合。例:東京都の増加欄における78%=18区÷23区)
人口増減 | 東京都 (23区・26市・13町村) | 神奈川県 (19市・14町村) | 埼玉県 (40市・23町村) | 千葉県 (37市・17町村) |
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増加 | 18区(78%) 7市(27%) 1町村(8%) | 2市(11%) 1町村(7%) | 9市(23%) 2町村(9%) | 5市(14%) |
~▲10% | 4区(17%) 12市(46%) | 7市(37%) | 10市(25%) | 11市(30%) 1町村(6%) |
~▲20% | 1区(4%) 5市(20%) 3町村(23%) | 7市(37%) 3町村(21%) | 11市(28%) 3町村(13%) | 4市(11%) 1町村(6%) |
~▲30% | 1市(4%) 1町村(8%) | 2市(11%) 3町村(21%) | 10市(25%) 4町村(17%) | 9市(24%) 3町村(18%) |
~▲40% | 1市(4%) 5町村(38%) | 1市(5%) 5町村(36%) | 10町村(43%) | 5市(14%) 6町村(35%) |
~▲50% | 1町村(8%) | 2町村(14%) | 4町村(17%) | 3市(8%) 6町村(35%) |
~▲60% | 2町村(15%) |
家が売れる(人が集まる)エリアと、売れ残るエリアが明確に分かれ始めた
日本全国としては人口が大きく減る時代に突入していることは間違いありません。
一方で、例えば東京23区や、神奈川県・埼玉県・千葉県の主要都市では人口が増加する(~▲10%に留まる)エリアが多いことも分かりました。
つまり、人が集まるエリアとそうでないエリア、言い換えると、家が売れるエリアとそうでないエリアが明確化され始めたともいえます。
人口が増加していた時代には、どのエリアの家を買っても売れていました。また、売れなくとも、子供世代・孫世代がその家を代々引き受けてきたのです。
それが全国的な人口減少時代では、既に家が余り始めています。人が集まらないエリア(将来の買い手が少ないエリア)では、価格が大きく下落するリスクがあります。
逆に人が集まるエリアでは、(むしろその地域の住宅需要が増え)価格が下がりにくく、むしろ売れやすくなるともいえるのです。
自治体は「立地適正化計画」で、人を誘導するエリア・見捨てるエリアの選別も開始
さらに自治体戦略2040構想研究会においては、将来の課題として、老朽化したインフラや公共施設が大幅に増加することや、水道料金などの値上げも議論されました。
特に地方圏では、人口減少に伴って電車やバスなど公共交通の利用客が減少すれば、民間鉄道会社などの経営環境が大きく悪化し統廃合や撤退する可能性が高くなります。
自治体職員の不足も指摘されており、特に地方圏においては個々の市町村が個別に行政サービスを提供するのではなく、複数の市町村が連携して圏域単位で行政を行う必要があるとしています(総務省)。
【公共交通】乗合バス・鉄道の廃止路線が増加
その解決策の一つとされているのが、国や自治体が進める「立地適正化計画」(コンパクトシティ+ネットワーク)です。
散らばって住むのではなく、人を集約させ人口密度を高めることで公共サービスの維持を図ろうとしているのです。
総務省の最終報告書の中でも、DID(Densely Inhabited District:人口集中地区)の低密度化の進行や、中山間地域における低密度化の発生など、人口密度に対する懸念が強く意識されています。
人口の高密度化や立地適正化計画というのは、言葉を変えれば盛り上げるエリアと見捨てるエリアを選別し始めているともいえるのです。
【注意】このデータが絶対ではない。物件よりも不動産会社選びを慎重に!
人口減少時代、人がどのエリアでも減るのではなく、むしろ人が集まるエリアとそうでないエリアに分かれ始めていることが分かりました。
注意したいのは、この総務省の研究会のデータが絶対的に正しいわけではありませんし、同じエリアでも駅からの距離などその他要因によって売れやすさは変わってきます。
家を買う時には、物件情報ではなく、将来売ることまで考える不動産会社を選んで取引をしましょう。
つまり、そのエリアの20~30年後(売却を考え始める時期)の将来像も考え、不動産会社にしっかりと「買ってもいい家か?」を検証してもらいましょう。
その他、建物自体に不具合がないかや、土地の履歴、災害耐性など検証することは多くあります。不動産よりもまずは不動産屋、慎重に選びたいですね。もちろんミトミにもご相談ください!
【P.S.】「この家、買っていいのかな?」…迷わずご相談ください!
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