住むエリアを市町村が限定する立地適正化計画!家の資産価値に大きなインパクト

住宅や商業施設を集約して公共交通ネットワークで結ぶ“立地適正化計画”

2014年8月1日に施行された改正都市再生特別措置法に基づき、全国の自治体がその地域全体を見渡したマスタープランを策定する「立地適正化計画制度」が創設されました。

立地適正化計画は、住宅や各種施設を拠点ごとに集約させて立地させることで、都市機能を集約し、地域全体を効率的に運用することを目指します。

その地域の中を「人が住むエリア」「商業施設のエリア」「医療施設のエリア」など効果的な配置となるように誘導して、その拠点間を公共交通ネットワークで結ぶものです。

「コンパクトな街(拠点)」を「公共交通ネットワーク」で連携させようとするものですね。

(概ね20年後を想定してどのような街にするかを策定する)都市計画マスタープランの一部で、市町村が自分たちで作ります。

2016年11月1日時点で国交省が公表したところによると、既に4つの自治体が計画を作成・公表しました。さらに、25市町が住民説明会や懇談会、パブリックコメントの募集、素案の公表など具体的に対外発信を行っています。

【背景】分散した街は利便性が悪い。地方財政のひっ迫で行政サービスの効率化も

背景には、急激な少子高齢化があります。

高齢者は行動範囲に制約があります。住宅地や商業施設や病院が分散していては、生活が不便になり、高齢者にも快適に住みよい街づくりを実現できません。

また、特に地方部では少子高齢化が顕著であり、財政がひっ迫している自治体は少なくないという事情もあります。現状のまま、分散して居住している広いエリアに等しく行政サービスを提供することは困難になっています。

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そのため、分散している人や施設を集め、各拠点を交通ネットワークで結ぶことで、人口密度を維持しながら効率的な行政の運用を行おうとしているのです。

国交省としても、少子化の対策として、住居や商業施設、医療福祉施設を集約してそれぞれの拠点を公共交通機関で結ぶという「コンパクトシティ・プラス・ネットワーク」という考え方を打ち出しています。

その中で2014年8月に都市再生特別措置法が改正、行政・住民・民間事業者が一体となったコンパクトなまちづくりを促進すべく、全国の自治体で「立地適正化計画」を策定できるようにしたのです。

資産価値に影響大?市町村が“居住誘導区域”と“都市機能誘導区域”を決める

立地適正化計画を策定する各市町村は、「居住誘導区域」や「都市機能誘導区域」を設定します。

居住誘導区域は、ここに人を住まわせたいというエリアです。その中に、病院や子育て支援施設、複合的商業施設、交通機関などを誘導する「都市機能誘導区域」を定めるのです。

都市計画と民間施設誘導の融合(国交省:みんなで進める、コンパクトなまちづくり)

また、指定するかどうかは任意ですが、あまり人を住まわせたくないというエリア「居住調整区域」も定めることができます。住民の反発も予想されるため、あえて「居住調整区域」が定められないケースも多いでしょう。

一方で、いくら利便性が高くとも、土砂災害ハザードエリア(土砂災害警戒区域)には居住誘導を避けるなど、長期的に安全安心な街づくりも意識されています。

つまり、危険でないエリアに人を住まわせたい区域を定め、その中に商業施設などを集約させる区域を決まます。場合によっては、人に住んで欲しくないエリアも特別に決めることができるということです。

居住誘導区域に選ばれなかったエリアは、人が住まなくなり、交通の便も悪化する?

注意したいのは「居住誘導区域」に選ばれなかった地域は、自治体が「積極的に住んで欲しいエリアではない」と考えているということです。

そうなると、(調整区域として指定されなくても)そのエリアは新たな住宅を建てることを見送られたり、老朽化しているインフラの更新(投資)が抑制される可能性が高いといえます。

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つまり、居住誘導区域に選ばれなかったエリアは人が集まりにくくなり、資産価値が大きく損なわれる恐れがあるのです。

さらにいえば、この立地適正化計画に従って鉄道やバス路線などの延伸や再編も考えられます。公共交通ネットワークの大幅な改革が行われる可能性もあるのです。

これは、不動産の資産価値に大きな影響を与えるもので、立地適正化計画のインパクトは極めて大きなものとなる可能性を秘めています。

マイホームを買う前には、居住誘導区域を確認!将来不便になるリスク大

立地適正化計画を公表している各市町村でマイホームを購入する場合、「居住誘導区域」に入っているかどうかは必ず確認しましょう。

居住誘導区域外でも、基本的には住宅を建設することはできます(ただし、3戸以上の住宅建設や1,000㎡以上の宅地開発などは届け出を実施しなければならないなどの制限が課されます)。

しかし、地域の公共サービスを提供する自治体側からすれば、街の機能が集約され、おカネをかけるところとかけないエリアが明確に分かれてくれた方が運用コストを圧縮できます。

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裏を返せば、市町村としては「発展させるエリア」(住んで欲しいエリア)と、「衰退させるエリア」(住んで欲しくないエリア)を分けようとしていると考えるのが自然でしょう。

そんな中で、自治体が人や施設を集めたくないエリアに住宅を購入すれば、20年後には買い物にも不便、バス便もなくなり、学校や病院も遠いといった利便性の極めて悪い周辺環境となるかもしれません。

これは現在、実際に郊外のベッドタウンにみられる現象でもあり、立地適正化計画はこのようなエリアをあらかじめ自治体が予想するものであるともいえます。

マイホーム購入は街への投資?「立地適正化計画」で資産価値のない立地を避ける

コンパクトシティは地方だけの問題ではない。政令指定都市も計画を作成

現時点で策定を予定していない市町村も、適正化計画を作る自治体は増えていくでしょう。

事実、2016年3月末時点で「立地適正化計画の作成について具体的な取組を行っている都市」は276団体でしたが、4カ月後の2016年7月31日には合計289団体(市町)まで増えています。

さらに、2016年11月1日時点では北海道札幌市岩手県花巻市大阪府箕面市熊本市は計画を作成・公表済み、それ以外の市町村の内、115団体は2016年度に計画を作成・公表する予定です。

東京都では日野市と福生市のみですが、既に公表した札幌市以外にも、名古屋市、神戸市、岡山市、広島市など規模の大きな政令指定都市も作成に着手しているのです。

立地適正化(コンパクトシティ)はなにも地方だけの問題ではなく、政令指定都市も含め、全国的な問題なのです。

いち早く少子高齢化問題に対応する日野市!「立地適正化計画」に取組む

計画を作る自治体は今後増える。定期的な見直しで誘導区域が縮小する可能性もある

政令指定都市でさえ、早速計画を作成しているのですから、今後も計画策定に着手する自治体はどんどん増えていくことは間違いないでしょう。

特に、地方の自治体は財政難に直面しています。地域すべてにおカネをかけサービスを提供する現在の状況ではいつか立ち行かなくなっていきます。

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そして、立地適正化計画は一度作って終わりというものではなく、居住誘導区域含め、見直しがなされていく性質のものです。

人口減少が想定より進んでしまった場合、効率を高めるために居住誘導区域をどんどん縮小していく可能性も否めません。継続的に計画をチェックしていきましょう。

将来「負債」となる立地を教えてくれる。いつでも売れる物件購入を!

マイホーム購入は資産購入です。資産価値を強く意識した買い方が重要であることに変わりはありません。

資産価値の高い住宅とは「いつでも貸したり売れる物件」です。その逆である「ずっと貸せず売れない物件」を購入してしまっては、それは資産ではなく負債となります。

この適正化計画は、将来”負債物件”となるエリアをあらかじめ自治体が計画するものであるともいえます。

市町村が人を集めたくないという地域に指定したエリアは人口流出がかなりのスピードで進む恐れもあります。

引き続きこの計画を注視し、住宅を購入される前にしっかりと確認するようにしましょう!

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