物件金額の妥当性を知るのは不動産屋だけ?適正価格に関する注意点4つ

「物件価格は本当に適正なの?」価格の妥当性をチェックする時の注意点

数千万円もの多額のお金が動く不動産取引。

「このマンションは5,000万円です」「この戸建ては6,000万円です」「この物件は4,500万円です」といわれても、「まあそんなものか…」といった漠然とした理解しかできませんよね。

もしそれが適正な価格であれば問題ありません。しかし、中には相場よりかなり割高に売り出されたり、売れたらラッキーという値付けがされているケースもあります。

ですので、マイホームを買う前には、「本当にこの価格は妥当なのか?適正価格はいくらなのか?」という価格の妥当性検証は必須といえます。

ただ、この価格の妥当性については誤解されることや質問を受けることが多いトピックでもあります。

ここでは、価格の妥当性をチェックする際の注意点や特に気を付けるべき4つのポイントをみていきましょう。

尚、価格の妥当性のチェック方法は別コラムでご紹介しましたのでそちらをご参考ください。

戸建て住宅の適正価格はいくら?検討物件の価格の妥当性を確認する方法

①唯一無二の適正価格はない。目的や購入者、個人の事情で価格は変化する

不動産の価格には「この価格が絶対的に正しい」という唯一無二の適正価格というのはありません。

まず、目的によって価格は異なります。例えば、固定資産税や相続税など、税額の基になる不動産評価額は、それぞれ特別な計算を行い価格が決められます。

また、誰に対して売るかによっても価格は違ってきます。

例えば、マンション住戸を「マイホーム購入希望者」にそのまま売り出す場合と、賃貸に出して入居者を入れた状態で「投資家」に売る場合にも価格は異なります。

賃貸物件(オーナーチェンジ物件)は投資家向けに販売されるため、賃料と利回りによって価格が決められ、マイホーム用とは根本的に値付け方法が異なるのです。

さらに、個々人の事情によっても価格は異なります。

売り急ぎたい事情のある所有者が売却する場合には、価格は安くなるでしょうし、どうしてもその物件を手に入れたい購入希望者が取引すれば、価格はあがっていくでしょう。

また、住宅ローンの残債が多く残っている場合や、売れたらラッキーと強気姿勢で価格を設定した場合など、個人の事情や思惑でも価格は変動します。

不動産は一品もの。売主と買主が1対1の取引で価格を慎重に合意形成していく

このように、不動産の価格は目的や購入者、取引関係者の事情、その他多くの要因によって価格評価は異なります。

コンビニで売られているような小売商品(量産品)であれば、誰に対しても同じ値段で売られます。

不動産の場合には、同じ不動産は2つとなく一品ものです。

売主と買主との間の1対1の取引であり、お互い意見を出し合いながら価格を作っていくという側面があるため、同じ物件であっても、価格が違ってくるのですね。

一つの土地に4つの価格があるという意味で一物四価という言葉もあるほどです。

だからこそ、売買の目的や背景も汲み取って、価格の妥当性チェックや検証をしていく必要があります。

不動産会社の担当者など、不動産のプロのアドバイスや意見を聞きながら慎重に購入判断しましょう。

②売出価格は売主の希望価格に過ぎない。価格の妥当性は成約価格でも確認

適正価格かどうかを考える場合、「売出価格」と「成約価格」は明確に分けて考える必要があります。

売出価格は、売主の希望価格に過ぎません。

例えば、売主さんによっては値下げ交渉が入ることを前提に、少し高い価格で売り出すこともよくあります。買主がその価格で買ってくれればラッキー、買ってくれなければ値下げして売ろう、という戦法です。

さらには、売却依頼が欲しいがために不動産会社が明らかに相場より高い査定価格を売主さんに出すことがあります。

売却依頼を受ける不動産業者は、自社が売主の物件を買い取るわけではないので、ノーリスクでいくらでも高い査定価格を出せます。

注文住宅など、新築当初にかなり高値で買った物件や、売主さんの思い入れの強い物件であれば、売主さん側から「この家はもっと高額で売れるはずだ。とりあえず、私の言い値で売り出してくれ」と相場より高く売り出すこともあります。

特に、売り出されて間もない物件の場合、とりあえず割高に売り出す「様子見価格」である場合が少なくないため注意が必要です。

実際に取引された成約価格も絶対正しいわけではない。売出価格と総合的に判断

このように、売出価格は高めに出ることが多い傾向にあるのです。

一方で、実際に取引された価格である「成約価格」は売主と買主双方が合意した合理的な価格です。割高な物件であれば、値下げ交渉された結果、売出価格より下がった価格です。

ただ、成約価格が絶対的に正しいわけでもなく、もちろん限界はあります。

例えば、売主が売り急ぎたいがために適正価格より大幅に下回る価格で取引したケースでは、適正な相場価格とは言えない成約価格で取引されることになります。

売出価格がとんでもなく割高に売り出された場合であっても、買主がそれに疑問を持たずそのまま取引されれば、当然、売出価格がそのまま成約価格になります。

以上のように、売出価格だけで考えると判断を誤り高値で買ってしまう可能性があることに加え、成約価格だけで判断してもミスリードしてしまうこともあります。

適正価格を検証する際には、売出価格や適正価格の特徴を踏まえ、それらを総合的にチェック・判断しましょう。

③購入希望者が複数いる人気物件では、割高で買わざるを得ない物件もある

周辺相場や過去の売買履歴、地価や金利水準などからみて、明らかに割高に売り出されている物件があるとします。

しかし、その売出価格で買わざるを得ない時があります。購入希望者が2人以上いて、物件の取り合いになるケースです。

この場合にはどれだけ「この物件の価格は、現在の売出価格より500万円値下げした水準が適正です」と理由をつけて主張しても無意味です。

売主は「それなら売出価格満額で買ってくれる方とお取引しますので」と、値下げには応じない姿勢をみせるでしょう。

1対1の相対取引においては「相場」ではなく、お互いの「合意」によって取引されます。そのため、中には割高な取引にならざるを得ないことも知っておきましょう。

物件金額を値下げして欲しい…価格交渉を成功させるコツは?不動産屋選びも大事

相場より高い物件をあえて購入するのもあり。個別の状況に応じて冷静に判断する

そういう状況になれば、売主の言い値で買うか、物件購入を見送るかの2択になります。

どちらが正しい選択肢というわけではなく、個別の状況に応じて判断することになります。

住宅ローン返済計画上問題なく、許容できる範囲の価格であれば、相場より高いと分かっていても購入することは悪いことではありません。

価格以外にはすべてが気に入った物件の場合には、あまりに適正価格にこだわり過ぎることで機会損失を生むことがあるためです。

①で述べたように、絶対的に正しい適正価格というのはありません。次に買いたいと思える物件がいつ見つかるかも分かりません。

価格が割高であるという理由だけで物件を見送ると、賃貸物件に住んでいる場合には家を買うまで家賃の支払いが続きます。住宅購入を見送ったばかりに、その間に金利が上昇してしまうリスクもあります。

次に買いたいと思える物件に出会えるのがいつになるのかも分かりません。

後になって「確かにあの時は相場より高かったけど、今にして思えばあの物件を買っておけばよかった」となることもあるのです。

逆に、他の購入希望者に取られることを恐れるあまり、正常な判断がくだせないこともあります。結果として、値下げ交渉もせずに無理やり買ってしまって後悔することもあります。

買う、買わない、どちらが正解というわけではなく、個別の状況を踏まえながら冷静に判断したいですね。そのためにも、信頼できる不動産会社の担当者のアドバイスももらいながら、後悔のない判断をしてください。

④住宅購入者は成約データを入手できない。価格検証は不動産会社の仕事

個人の住宅購入検討者が価格検証をしようにも、適切なデータが入手できないという問題があります。特に成約価格は入手しづらい現状があります。

確かに、一般に公開されている成約データとして「不動産取引価格情報検索」(国土交通省)や「REINSマーケットインフォメーション」(全国指定流通機構連絡協議会)があります。

しかし、取引の内容(住所や価格、築年数、取引時期など)が大雑把にしか分からないことや、一部の取引のみ掲載されていることなど、情報のきめ細やかさに欠けます。

これらの一般公開データは参考程度に使うにはいいものの、しっかりと価格の検証をする際には使い物になりません。

個人の住宅購入検討者は、価格の妥当性を検証する元となるデータが事実上入手できない状況なのです。

不動産屋だけが使える物件データベース「REINS」には精度の高い成約事例が登録

一方で、不動産業者が使うことのできる物件データベース「REINS(レインズ)」であれば、成約事例が一つ一つの情報が細かく取得できます。

例えば販売当時の物件概要書(販売図面)などから物件の個別の状況や写真、リフォーム有無・修繕箇所なども分かります。

もちろん、REINSに登録されたない事例もありますし、登録された案件でも物件によっては物件概要書が未登録などもあるため、完ぺきにデータが揃うわけではありません。

ただし、不動産取引価格情報検索やREINSマーケットインフォーメーションよりははるかに情報量や情報の網羅性には優れているものです。

だからこそ、不動産会社に依頼して、購入検討している物件が適正価格であるかどうか調べてもらいましょう。

万が一、検証しない・できないという不動産業者であれば、割高に物件を買わされる可能性が高いです。同じ物件を他の業者でも取引できるため、不動産屋を変えることも検討した方がよいでしょう。

【まとめ】価格の妥当性を検証する不動産屋を選ぶことで大きな損失を防ぐ

不動産の価格が適正な範囲にあるかどうかを確認することで、数百万円という大きなお金を失うことを防ぐことができます。

ただ、価格の妥当性をチェックするのは簡単ではありません。そもそも絶対的に正しい適正価格というものもなく、取引の当事者の事情によっても成約価格が違ってきます。

また、相場価格より明らかに高く売り出されている場合でも、その売主の言い値をのまざるを得ないケースもあります。その場合には冷静に購入判断してください。

さらに、個人の住宅購入検討者が価格検証しようにも、データが入手できない事情もあります。事実上、価格を検証できる立場にあるのは不動産業者のみといえます。

以上を踏まえると、価格の妥当性の検証や物件購入判断の冷静なアドバイスを受けるためにも、しっかり価格チェックができる不動産屋を選んで取引することが大事になります。

物件の価格に対する満足のいく分析や説明がない場合には、納得するまで不動産業者に説明を求めましょう。それでも対応してくれない場合には、不動産屋を変えるのも一案です。

大きな損失を生まないためにも、物件情報量だけをアピールする不動産屋ではなく、責任を持って価格の妥当性を検証する不動産会社を選んで取引してくださいね。

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