築30年超の中古マンションは意外と多い?!築年数と売買価格の関係は?
目次
現時点でも全国のマンションの30%は築30年超、10年後には40%以上に
全国のマンションの内、築30年を超えるマンションはどれくらいあるのでしょうか?
30年超マンションは、2017年末時点で約185万戸(国交省)、東京カンテイ社の試算では2019年現在で215万戸(2019年3月6日付日経新聞朝刊)とされています。約200万戸前後ですね。
一方、2018年末時点で全国のマンション戸数が709万戸(同)とされます。
つまり、現時点でもマンション全体の内「約30%」が築30年を超えています。現在のペースで新築マンションが供給されれば、10年後には「40%以上」が築30年を超えることになります。
さらに、マンションは(戸建てに比べて)取り壊しが難しく、一度建てられれば基本的には修繕を繰り返しながら使われていきます。
今後もこの流れが大きく変わらない限り、築年数が古いマンションは増え続けることが予想されます。
2018年4月までに建替えられたマンションはわずか237棟(0.3%未満)しかない…
もちろん、マンションは建替え(取り壊して再度新築)すればまた築年数ゼロ年にリセットされます。
しかし、建て替えるためには資金面でも権利者との調整面などでも、いくつものハードルを越えなければなりません。
「マンション建替法」が改正されたとはいえ、マンション住人間(管理組合)での合意形成の難しさや、(容積率に余裕がなく)建て替え費用を捻出できない資金不足などがあります。
建替えしたくとも取り壊せないマンションが少なくないのが実態なのです。
事実、2018年4月時点までの建て替え実績はわずか「237棟」(わずか0.3%未満)に留まり、いかにマンションの建て替えが難しいか、その現実を示しています。
首都圏の中古マンション売買、4件に1件が築30年超だった(2018年)
中古マンションの築年数が30年を超える物件はめずらしくないことが分かりました。
年々マンションは古くなっていき、また、既存マンション総数の方が新たに新築分譲マンションとして供給される数より圧倒的に多いため、売り出されるマンションの築年数は古くなります。
上図に「新規登録物件」とあります。これは、不動産会社専用の物件データベース「REINS」に新規登録された物件数、つまり新しく売り出された物件を築年数ごとに示したグラフです。
2008年当時には築31年以上経過したマンションが売り出されたのは首都圏全体の14.4%でしたが、10年後の2018年には35.5%にまでその割合が増加しています。
築年数(築後経過年数)が古くなっているマンションの割合が増えるにつれ、売り出される(REINSに登録される)マンションも古めの物件割合が増えている様子が分かります。
築年数が古い物件も売買されている。10件に1件は築40年を超えたマンション
売り出さされた(REINSに登録された)からといって、実際にその中古マンションを買うかどうかは買主さん次第です。実際の売れ行きはどうでしょうか。
首都圏の中古マンションの2018年の売買実績をみると、2018年の成約実績の内25.3%が築30年以上のマンションです(上図赤枠)。
つまり、首都圏の中古マンション売買が成立した取引の内、実に4件に1件が築30年超経過した物件なのです。
さらに、この赤枠で囲った成約割合25.3%を分解すると、築31~40年が15.0%、築40年超は10.3%であることがわかっています。10件に1件は築40年以上経過した物件ということです。
築年数が古いマンションであっても、売買が成立している事実がわかりますね。
築年数と㎡単価の関係は?一定年数経過すれば価格が横ばいになる傾向
マンションの築年数が古い物件が増え、かつ、(少なくとも首都圏では)実際に売買が成立していることがわかりました。
では、築年数と価格の関係はどうでしょうか。いくら売れていても二束三文では意味がありませんからね。
REINSを運営する東日本不動産流通機構によると、2018年の売買が成立したマンションでは、築年数と㎡単価において、以下のグラフのような関係にあることがわかりました。
大雑把に読み取れることとしては、ずっと右肩下がりになるのではなく一定年数が経過すれば横ばいになる傾向にあることです。価格がずっと落ち続けるわけではないのですね。
尚、このグラフは、エリア・駅距離・間取り・向き・階数などを無視し、築年数と㎡単価の2軸のみで多くのマンション成約実績の平均を取ったものです。
例えば、築15年で価格が落ち着くものもあれば、築25年でも下落傾向になる物件もあります。価格が落ちることなく維持・上昇するマンションもあり、必ずしも価格推移の実態を表しているわけではないことにご注意ください(合成の誤謬)。
築15~20年にかけてマンション価格は落ち着く。築30年以降なら横ばい傾向が多い
上のグラフは、首都圏全体の中古マンションの売場単価を単純にグラフ化したものです(2018年)。
状況の異なるマンションであっても、それらを重ねあわせて平均を取っているためやや分かりづらいグラフとなっています。
ここで、要素が類似するマンション、例えば最寄り駅を同じくする駅距離10分圏内の中古マンションをピックアップした場合には、その様相が変わってきます。
【売買価格推移】東京23区内の某マンション
駅距離などが似ているマンションは、築年数ごとに㎡単価を取ってみると築15~20年程度かけて価格が落ち、その後は価格が落ち着く傾向になることが多いです。
特に築30年以降のマンションは、築年数による価格の変動は小さい傾向にあります。
物件情報サイトでも、検索条件では「築30年以降」とひとくくりにしていることが多いこともあり、30年以降となれば40年だろうがあまり違いはないと認識されがちな面もあるかもしれませんね。
築30年を超えると、築年数(数字)よりも管理状況(実態)が重視される
築年数が古い物件も一定数あり、かつ、価格も下げ止まる(築年数が古ければ古いほど安くなるわけではない)ことが分かりました。
実際、前章の中古マンションの平均㎡単価のグラフでは、「築26~30年」よりも「築30年~」の方が㎡単価が高くなっています。築年数が古いからといって価格が下がるわけではないのですね。
理由はいろいろ考えられます。例えば、1990年前後に新築された(築26~30年の)マンションの質・価格のバランス(コストパフォーマンス)が、築30年超の物件より悪かったことなどです。
他にも、築30年以降のマンションの場合には、築年数という「数字」ではなく、マンション管理の状況という「実態」をより重視されてくるという側面もあります。
築30年程度経つと、適切にメンテナンスしているマンションとずさんな管理で放置されている物件とでは、外観や設備状況に大きな違いがみられます。
実際に現地に物件を見に行くと、「築30年とは思えないほど外観が汚い…」「築40年だけど管理がしっかりしていてまだまだ大丈夫そう」といった印象の違いも生まれるでしょう。
価格が落ち続けるマンションもある。郊外の不便な立地なら管理状況が良くてもNG
このように、築古マンションでも管理状況が良好であれば問題なく取引されています。
築年数が古くなればなるほど価格が安いという、築年数と価格が反比例の関係には必ずしもなっていないのですね。
一方で、管理状況だけではありません。そもそも都心か郊外か、駅へのアクセスがよいか(駅距離)などマンションの立地にも大きく依存します。
マンション価格と築年数の関係の一般論が、個別具体的な取引状況にそのまま当てはまるものではありません。
実際に取引される場合には、不動産会社に「買ってもいい物件かどうか」しっかりとチェックしてもらってください。
「買ってもいいマンションか?」を不動産屋に検証してもらって購入判断
以上をまとめると、結局「築古マンションを買っていいかどうか?」は、マンションの基本に立ち戻った検証が大事ということです。
築年数に関わらず、立地や利便性、耐震性、災害耐性、周辺環境など基本的なチェックは怠らず、そしてマンションを買う場合にはやはり管理状況をしっかりと確認したいですね。
その他、価格の妥当性や流動性、耐震性、住宅ローン控除の適用可否なども併せて評価してもらいましょう。
不動産会社から積極的な説明がない場合には、「このマンションを買うリスクはなんですか?」「価格は適正ですか?」「耐震性は問題ないですか?」など質問してみましょう。
いいことだけ言って契約を急かすケースもあるようです。ご不安があればいつでもミトミにご相談くださいね!
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