自宅をメンテしてきたのに高く売れない!中古物件の取引が増えるカギは建物評価
目次
中古が余っても新築が建つ日本。適正物件もボロ物件も築年数でゼロ円に?
日本の住宅市場は、中古物件が余っていながら新築がどんどん建っている状況といえます。
全住宅流通量(中古流通+新築着工)に占める中古住宅の流通シェアを見ると、日本はわずか約14.7%(2013年、国土交通省)であり、依然として欧米の6分の1程度と極めて低い水準にとどまっています。
この理由はさまざま指摘されていますが、中古住宅の「建物の評価方法」が問題の一因です。
日本の住宅評価方法のイメージをいうと、適切にメンテナンスされている適正物件でも、そのまま放置したボロボロ物件でも、建築後の経過年数によって等しくゼロになっていきます。
つまり、住宅の価値が回復・向上するリフォームを行った物件でも、管理がされていない放置状態だった物件でも、20年~25年経てば建物は同じ「価値ゼロ」とみなされる慣習があるのです。
ボロ物件が評価ゼロはOK。問題はメンテナンスされた自宅が売れないこと
問題は、不動産の評価をする時に、物件のメンテナンス状況をみていないことです。
ボロボロ物件の価値がゼロ、これは問題ありません。適正物件(ピカピカ物件)の評価が高い、これも問題ないです。
「自宅の建物評価が低いなんてやだな」ということが問題なのではありません。むしろ、評価額が下がり、相続税が少なくなり嬉しいことかもしれません。
問題は、適切にメンテナンスされようがされまいが、物件の評価を等しくゼロとすることなのです。評価と実態がかけ離れているのです。
そして物件の評価がでないと、いくらあなたの自宅を買いたい人がいても、その買主がおカネを借りられません。つまり、あなたの物件が売れなくなってしまうのです。
銀行が評価しないと将来の買主はローン(融資)を組めず、あなたの自宅を買えない
例えば、本当は8,000万円(=土地5,000万円+建物3,000万円)の価値があっても、その“評価”が5,000万円(=土地5,000万円+建物0万円)だとどうでしょう。
あなたは8,000万円で売りたい、買い手も8,000万円で買うことに合意している。しかし、銀行の評価は建物をゼロと評価し、「5,000万円までしか融資しませんよ」と言ってくるのです。
そうすると、残りの3,000万円をキャッシュで払える買い手に限定されてしまいます。もしくは、泣く泣く5,000万円で手放すしかないのです。
本来であれば成立していた取引が、よく分からない評価というものに歪められ、誰も得しない状況に陥っているのです。
国を挙げて中古住宅流通の活性化を実施。家に対する銀行評価も変化?
これら評価方法一つとっても、中古住宅流通市場活性化の大きな阻害要因となっているのです。
このような状況を見直し改善するため、国はスクラップ&ビルドでどんどん新築を立ててきた方針を転換し、品質の良い優良な中古をメンテナンスして長く使わせようとしているのです。
その中で、建物評価の改善に向けた指針も策定されています。その流れを受け、従来の基準とされていた「耐用年数」に縛られない評価をする柔軟な金融機関もでてきています。
中古住宅が適正に評価できるようになると、銀行としても貸出金額が大きくなりその分金利で利益を得ることができ、金融機関にとっても悪いことではありません。
このように、今後中古不動産に対する判断基準の改善が進むと、中古不動産の流通を間違いなく活性化させるでしょう。
レモン市場からの脱却!国が適正な中古住宅にお墨付けする安心R住宅も
中古住宅は「買った後に欠陥があったらどうしよう…」という強い不安があり、買った「後」でないと本当のところはわからないという怖さがあります。
皮が分厚くて包丁で切ってみないと腐っているかどうかが見分けにくいレモンにかけて、「レモン市場」とも呼ばれます。
これらの不安に対しては、建築士が建物を調査するインスペクションや、中古住宅用の瑕疵保険など、各種制度が整えられています。
さらに、国が一定の要件を満たした中古住宅に対して「安心R住宅」と認定して売り出す制度も2018年4月から始まります。
レモンを切らなくても、買う「前」に住宅の品質がわかりやすくなります。そして、万が一の備え(保険)を使うこともできるという制度も整っているのです。
安心して中古取引ができるようになっており、このような制度をうまく活用して、中古マイホームも選択肢の一つとして考えていきたいですね。
中古住宅×リノベーションという新しい住まいの買い方。優良住宅が増える
このような中古マイホームを見直す流れを受け、中古住宅を購入してリノベーションするという買い方も着実に増えています。
新築で7,000万円を使うより、中古物件を4,000万円で購入して、1,000万円かけてフルリノベーションしても、総取得費用は新築の相場を大きく下回るのです。
建物の内部は新築同様になり、しかも中古は立地が良く資産価値の高い住宅が多いのです。安く、価値の高い家が手に入るのです。
中古住宅に対するネガティブなイメージの見直しも行われれば、新築・中古物件の需要と供給はこれから大きく変化していくことでしょう。
中古住宅が適正に評価されると認知されれば、中古マイホームの取引が活性化されます。それに加え、「自宅をしっかりとメンテナンスしよう」というインセンティブも働き、優良な家が残されていく好循環に繋がります。
売主の立場としても高く自宅が売れて嬉しいですし、買主の立場としても家を買う時の選択肢が増えます。今後、マイホームの選択肢として中古も含めて考えたいですね!
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