「日影規制」と「日照権」の違い。日当たりの良し悪しは個人間で解決!

日光を確保する権利「日照権」と、公平に分配する「日影規制」は別物

マイホーム購入やお部屋を借りる上で、日当たり(陽当たり)を重視される方は多くいらっしゃいます。やっぱり太陽の光を浴びるのは気持ちいいですよね。

住居の日照(太陽の光)を確保する権利は一般的に「日照権」と呼ばれています。実は、法律には具体的に明記されていないのですが、実際に多くの判例でこの権利は認められているようです。

一方で、過密化する都市において日光という資源を公平に分配させる「日影規制」(にちえいきせい・ひかげきせい)というものがあります。

日影規制は建築基準法という公法上の規制であり、これは国家と個人の間で公益を守るための規制であるため、建物が建築される際には必ず守らなければなりません。一方で、日照権は(民法など)私法の範疇であり、個人間の問題です。

つまり、日影規制が守られていても「日当たりが悪い!」とトラブルになることがあるのです。日照権について争う中で、日影規制の内容が判断材料として考慮される場合もありますが、考え方は別物なのです。

日影規制は最低限の基準。トラブルは個人間(私法)で解決する

日影規制は、地面にできる日影(日陰)を規制するものではなく、地面から1.5mや4m、6.5mなどの定められた基準面(測定水平面)より高い位置にできる日影を規制します。

地面からの高さは用途地域によって異なりますが、例えば中高層住居専用や住居地域では測定水平面が4mですので、(4m未満に位置する)「1階部分は日光が入らなくても建築基準法上は問題ない」という考え方なのです。

また、隣地の境界線から5m超10m以下の部分と、10m超の部分で、日影となる時間を制限するものであって、境界線から5m以下の部分は考えられていません。

さらに、原則として商業地域、工業地域、工業専用地域にはそもそもこれらの規制が適用されません。

日影を規制する法律、というとしっかりと日に当たるように設計された規則と考えてしまいますが、建築基準法は最低限の規制を課す法律です。そこから派生する問題は日照権として業者や個人間で(民法の範囲で)解決してくださいという考え方なのです。

「測定水平面」や「隣地境界線」の基準は不明確?!公益と私益に挟まれた苦肉の策

測定水平面は1.5mが平均的な1階の窓の中心、4mは2階の中心であり、隣地境界線は平均的には5m程度の南庭が取れることを想定して決められたとの国会答弁もあるようです。しかし平均的な住宅が本当にそうなのか、根拠はあいまいに感じます。

しかし一方で、過密する都市部や、容積率400%などを当たり前の前提としている商業地域などでは、あまりにも日影規制で縛るとそもそも住宅やビルを建てられない事態に陥ります。

日影規制は、日影となる時間を3時間以内にしなさい、などというルールです。規制されている部分もずっと日が当たるわけでもなく、地面の影など規制対象でないからといってずっと日が当たらないわけでもありません。

まずは最低限の太陽光を公平に分配できるような基準を設け、その後それでも発生する権利主張に対しては「日照権の範疇としてお互いの受忍関係の下に解決してください」という苦肉の策ともいえるものなのです。

マイホーム購入時には重要事項説明をしっかり聞く。将来イメージも持つ

マイホームを購入される場合、売買契約書の前に重要事項説明があります。これは、不動産取引における重要なことを一つずつ説明していくものです。

専門用語などが使われながら一気に説明される場合もあります。重要事項説明に納得ができないまま契約をしてしまうのはとても危険です。その場合には遠慮なく「もう一度分かりやすい言葉でご説明をお願いします」と伝えましょう。

日影規制についても、将来、用途地域が変更されればそれに合わせて適用内容が変わることもあります。隣にマンションが建設され、当初考えていた陽当たりではなくなる可能性もあります。

重要事項説明においては「将来法律が変更され、マイホームの周辺環境が変わる可能性があります」といった説明がなされるでしょう。その際に「例えばどんなことが考えられますか?」と聴いてみましょう。

すべてのリスクや可能性を説明することは不可能ですが、長い目でみてどのような変化があるか、あなた自身で想像しながら、積極的に説明を聞くことをおすすめします。

【参考】違法性のない建築は差し止めではなくおカネで解決?!

「日照権が侵害されるからマンションの建設をやめてほしい!」という主張をしたくなる時があります。

しかし多くの場合、このような裁判では建築基準法などに従っている場合には、建築を差し止める判断まで踏み込むことはないようです。

その代わり、「建築することは違法性がないので認めます。だけど日照権を奪われた近隣住民へ損害賠償としておカネを払ってください」と、金銭での解決を図る傾向にあるようです。

ただでさえ、建物を建てる際には多くの規制を受けており、都市部の土地有効活用の視点からも、できるだけ建築そのものを抑制するような風潮になると不動産取引の安定性が損なわれる恐れもあるためです。

一方で、太陽光発電の普及が本格化している現在、今後は日照権の争いも増加する可能性があります。最低限の基準を定める「日影規制」も改定されるかもしれませんね。

【SelFin】AI(人工知能)が物件の価値とリスクを一瞬で判断!

こんなリスク情報、不動産屋さんも教えてくれなかった…

「不動産屋はいいことしか言わない…」「ネットの物件情報もいいことしか書いていない…」ならばAIを使ってこっそりチェック!(無料)

“買ってはいけない不動産”を誰でも簡単に判定できる「SelFin(セルフィン)」、無料で操作も簡単。これを使うことで分かることは…





価格は適正か(妥当性)
将来の売りやすさ(流動性)
住宅ローン減税の対象かどうか
地震に強い建物か(耐震性)
管理の状況(マンション)
土地の資産性(戸建て)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA