マンション管理は大丈夫?修繕積立金の妥当性と管理会社の質はこう見抜く!

マンションは買って終わりじゃない。その後の管理・メンテナンスが大切

住宅は買って終わりではありません。購入後には、適切に管理していくことで快適な暮らしを実現できます。

特にマンションの共用部分の管理は、ほとんどの場合、管理会社が引き受けています。自主管理であるマンションはわずかです。

そうなると、マンション購入前に「どこの管理会社が管理しているのか?管理の質はよいか?」ということが気になるかもしれません。

しかし、管理会社の規模や知名度などで善し悪しを判断するのは困難です。

そして、それが分かったからといって管理会社で購入するかどうかを判断する(管理会社を先に決めて、物件を探す)のは現実的ではありません。

マンション管理会社はずっと同じじゃない!管理組合の意思で変えられる

さらに、管理会社だけでマンション管理するのではなく、むしろマンションの所有者で構成される「管理組合」が当事者意識を持って主体的に取り組むべきものです。

マンション住人の管理意識を向上させることが先なのです。その上で、管理会社の質が悪ければ、組合の合意に基づいて会社を変えることもできます。

つまり、ずっと同じ管理会社である必要もなく、購入前にマンションの管理会社で物件を絞り込んだりすることは、あまり意味がないということです。

ただそれでは購入前に何もチェックしないのかというとそうではありません。ここでは、購入前と購入後に分けて、マンション管理で気を付けるべき点をみていきましょう。

【購入前】修繕積立金をチェック!水準は妥当か?積立方式は?値上げは?

購入前に必ずチェックしなければならないのは、修繕積立金です。2割以上のマンションが積立金不足に陥っているという国交省の調査もあります。

まず、積立金の水準が妥当かどうかを確認しましょう。

参考になるのは国交省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」です。この中で、マンション階数や延べ床面積に応じた標準的な積立金の㎡単価の目安を示しています。

階数平均値2/3が包含される幅
15階未満5,000㎡<延床面積218円/㎡・月165~250円/㎡・月
5,000㎡≦延床面積<10,000㎡202円/㎡・月140~265円/㎡・月
10,000㎡<延床面積178円/㎡・月135~220円/㎡・月
20階以上206円/㎡・月170~245円/㎡・月

  • 超高層マンション(一般に20階以上)は、外壁修繕などのための特殊な足場が必要となったり、共用部分の占める割合が高くなったりするため、修繕工事費が増大する傾向にあり、「20階以上」をわけて示しています
  • 15階~19階のマンションの目安については、15階未満の目安と20階以上の目安との間に収まるものと考えられます
  • 特別避難階段等の設置が義務付けられる15階~19階のマンションについては、供給量が少なく、目安算定に用いる事例も十分でないため、15階未満の目安として示しています
例えば、10階建てで延床面積7,000㎡のマンションの専有床面積が80㎡の場合、修繕積立金の目安は「16,160円/月」となります。さらに、多くの事例が収まる価格帯としては、「11,200~21,200円/月」ということもわかります。

実際のマンションごとに事情は異なるため、この目安が絶対正しいというわけではありません。ざくっと、「㎡あたり200円くらいの修繕積立金」と覚えておき、それより安すぎたり高すぎたりする場合には不動産会社に理由を聞いてみましょう。

マンションの修繕積立金の妥当性をSelFinで確認!将来の値上がりリスクも

「均等積立」はずっと固定、「段階増額積立」は後で値上げ。一時金の徴収にも注意

積立金の額が妥当であっても、積立方式のチェックが必要です。積立方式には、毎月同じ額を積み立てる「均等積立」と、毎月の積立額があがっていく「段階増額積立」の2種類があります。

多くの場合、「段階増額積立」が採用されています。これは、段階増額積立の方が初めに安く修繕積立金を設定できるため、マンションの売主(ディベロッパー)は「この物件は毎月の積立金負担が少ないですよ」と買主にアピールできるためです。

また、マンション住戸の所有者は30年間ずっと同じとは限りません。築浅であまり修繕費用も掛からない時の所有者と、建物が劣化しそれ相応の修繕費を要する時代の所有者間で不公平感が生まれないようにという理由付けもあります。

均等積立方式

段階増額積立方式

ひとつ注意しなければならないのは、均等積立であればずっと毎月の積立金が同じとは限らないということです。もし、長期修繕計画が見直され、毎月の徴収額が上がる可能性は常にあることには注意しておきましょう。

さらに、購入時にまとまった額の「修繕積立基金」を徴収することや、修繕時に一時金を徴収したり、金融機関から借り入れたりすることを前提とした積立方式を採用している場合もあります。

このように、将来の値上げや一時的な積立金の徴収があるのかということは、不動産会社に問い合わせて、できる限り調べてもうらことが賢明です。

機械式駐車場の有無と積立金額の妥当性を確認。稼働率(空き状況)もチェック!

機械式駐車場がある場合には、メンテナンスコストがかなりかかります。

その修繕積立金の目安を国交省が示しています。例えば、3段昇降式(ピット2段)、駐車台数60台の駐車場で、負担割合が70/9000(面積按分)であれば「2,819円」が目安となります。

また、駐車場の稼働率(空き状況)にも注意が必要です。最近はカーシェアなど、マンションの住人でも自動車を保有しない世帯も少なくありません。

駐車場の空きが多い場合、それらの空いている駐車場からは積立金を徴収できないため、修繕積立金が不足する場合があります。

積立金が不足していないのか、不足している場合にはどういう対策を考えているか(立地がよく駐車場需要が見込め、外部へ貸し出しができるのであれば穴埋めができます)など、聞き出せる範囲で不動産会社に確認してもらいましょう。

ここで説明したマンションの修繕積立金を簡単にチェックできるWebアプリ「SelFin(セルフィン)」を無料でご利用できます。


「SelFin」は、マンション価格の妥当性や流動性(将来の売りやすさ)、耐震性、住宅ローン減税の適用可能性、管理状況などもあわせてチェックできる優れものです。ぜひマイホーム購入のお供としてご利用ください!

【購入後】管理会社は会社名や規模だけで選ばない。担当者や姿勢を見る

マンションを購入後、管理会社の質が悪く要望を出しても変化がないと思えば、管理「組合」の合意があれば管理「会社」を変えることができます。組合は、マンション所有者が集まった団体です。

とはいうものの、組合員はマンション購入者であり、マンション管理に必ずしも精通しているわけではありません。

管理会社から出された提案書や見積書をみても、「勘所が読み解けない」ということも考えられます。また、マンションの管理というのは、表面的な仕事の項目自体は大きな差がなく、書類上の提案内容が似たり寄ったりとなる場合が少なくありません。

実際のところは、蓋を開けてみないとわからない状況ともいえるかもしれません。事前に管理会社の善し悪しを判別する方法というのもないというのが現状です。

だからといって、知名度や会社の規模だけで判断していいものではありません。ディベロッパー系か独立系かという立場の違いもあまり意味をなしません。では何で判断すればよいのでしょうか。

実際の管理担当者の能力と変更可否?修繕契約や規約を積極的に見直すか?

管理業務は、フロント担当者の知識・知恵・経験、担当する物件数などによってサービスの品質が大きく変わります。「管理業務主任者」や「マンション管理士」の資格を持ち、担当物件が10以下であることが望ましいでしょう。

また、能力が劣る場合や組合と相性が悪い担当者は変更してもらえるよう管理会社と事前に取り決め(できれば契約書の条文に追加)しておくと安心です。質の悪い担当者にあたっても、他のフロント担当者で改善が見込めます。また、健全な牽制にもなります。

さらに、「長期修繕計画」を面倒くさがらずに定期的(目安は1~5年)に見直しを実施する会社を選びましょう。計画をはじめに立てたまま、そのままにしておくマンション(管理会社)も少なくありません。

法改正や標準管理規約(国交省が推奨する規約)の改定をしっかりモニタリングしていることも重要です。変更が確認されれば、すぐに組合に対してその報告と、それに対する対応の提案を行う会社は安心です。

例えば、共用部分の著しい変更を伴わない場合の大規模修繕は、区分所有法改正によって行いやすくなっています。具体的には、3/4以上の賛成が必要な「特別決議」ではなく1/2以上でよい「普通決議」でよいこととなっています。標準管理規約もそれにあわせて変更しています。

1人で1/4超の住戸面積を持つ所有者がいるなど、議決権に偏りがあるマンションの場合、少人数の意向によって必要な大規模修繕工事が円滑に進まない事例があります。機動的な修繕実施のためにも、規約の見直しは極めて重要なのです。

【マンション管理会社の選び方】知名度や規模だけで選ぶと失敗する

管理会社は管理組合のサポート役。大事なのは組合の不断の見直し

管理会社の選び方としては、他にもチェックポイントがあります。しかし、それよりも大事なのは、「管理組合が継続的かつ主体的に管理状況や管理会社を見直していく」という組合の心構えといえるかもしれません。

あくまで管理会社は、管理組合のサポート役に過ぎません。一義的に責任を負うのは管理組合です。実務を担うのが管理会社、それを監督するのが組合ともいえます。

管理組合の役員は所有者が交代で就任し、その任期はせいぜい1~2年程度でしょう。役員になるのがある意味「罰ゲーム」のように感じられ、自分の番が回ってこない方がいい…と思っている方もいらっしゃるかもしれません。

それはそのはず、マンションの管理業務について専門知識を持っていない方が多数でしょうし、会社が業務をすべて引き受けてくれるなら「丸投げ」したくなるのも分かります。

しかし、管理会社がそれを見透かし、組合が自分たちに“すがってきている”と分かれば、高コストで低品質なサービスを提供したり、不要な工事を高い費用をかけて行ったりする恐れもあります。

組合の役員だけでなく全員の意見を集める。管理意識や資産価値の向上にも貢献

マンションは多くの住人が暮らし、所有者の集まりである管理組合で重要な方針を決定していく「運命共同体」です。

管理会社変更など重要な変更の時には、課題の整理など、初期段階からマンション住人全員にアンケート用紙を配るなど全員参加で決めていくことが望ましいでしょう。

総会に参加せず、委任状を提出する所有者も少なくないものですが、それを逆手にとって管理組合の役員だけで勝手に変更を推し進めることは絶対に避けましょう。後々、トラブルとなる可能性が高いものです。

管理会社の変更に際して、最も大事なことの一つは所有者全員が積極的にこの問題に取り組み、合意形成を行っていくことなのです。

逆に、現状の管理の問題点や会社変更の理由などをしっかりと所有者全員で共有すれば、納得感が生まれマンションの連帯感が増します。住人全員の管理意識の向上につながり、ひいてはマンションの資産価値も向上するでしょう。

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