家を買う前に価格検証は必須!相場より割高な物件の購入を避けた3事例

「この物件は3,800万円です」高いか安いかノーチェックで取引する現実

マイホーム購入をしようと物件をいろいろ見ていくと、様々な価格で不動産が売り出されていることが分かります。

それもそのはず、各々の物件は、それぞれ立地(駅からの距離)や広さも違えば、新しさ(築年数)も設備も多くの条件が異なります。

分かりやすい場合はいいのですが、中には同じような物件なのに価格が違うこともあります。売り出される価格はあくまでも売主希望価格(言い値)であるためです。

売出価格が相場通りの適正価格である保証はありません。「この物件は3,800万円です」と不動産業者から紹介されても、相場より高いこともあれば、安いこともあります。

そして、多くの取引において価格の妥当性のチェック・検証が行われないまま、取引が行われている現実があります。

内覧しても、間取りや設備などをただそのまま説明を受けるだけで、肝心の価格について専門的な検証結果を聞く機会はないことが多いのです。

不動産仲介業者としては、売出価格が高いことを指摘してしまうと物件を買ってもらえず(契約が遠のき)、仲介手数料がもらえないためです。

ここでは、実際のミトミへ寄せられた相談を振り返りながら、割高な価格で買うことを事前に防げた事例を振り返ってみましょう。

①相場より高いリノベマンション。仕入れ価格が高くてコスパも悪いリノベ

Aさんは、東京23区内でマンションをお探しでした。

SUUMOなどで物件を探して気になる物件が見つかりました。しかし、物件情報サイトのどこをみても価格が適正かどうかの情報がなく、ご自身で判断できなかったため、ミトミに相談に来られました。

ミトミで価格の妥当性を検証したところ、かなり割高である物件であることが分かりました。

このマンションは1980年代に新築されたギリギリ新耐震基準のマンションです。

20年程度経過したころから価格が落ち着き、その後横ばい傾向を示しています。築30年程度経過すると、リノベ業者が住戸を買い取り、フルリノベーションのマンションとして売り出すケースが増えます。

Aさんが検討していたマンション(赤)もフルリノベマンションでしたが、同じマンションの過去の成約価格(㎡単価)よりも明らかに高いです。最近のフルリノベーション物件と比較しても、高い様子がわかります。

グラフでパッと見でも㎡単価15万円程度(価格に直すと900万円程度)高いことがわかります。なぜこんなに高く売り出されているのでしょうか。

売主業者「仕入れ価格が高くて…」リノベーション内容に見合わない割高な価格設定

取引事例比較法だけで判断するのは性急なため、売主であるリノベ業者に連絡を取り、ストレートに価格の設定根拠を聞いてみました。

親切にも正直にお答えしていただいたのですが、内容をまとめると以下の事情で高く価格設定せざるを得なかったとのことでした。

  • 築古マンションがリノベ業者間で仕入れ競争になっており安く仕入れられなかった
    (業者買取価格の相場よりも高く仕入れざるを得なかった)
  • 高く仕入れた物件にリノベーション+業者利益をのせた結果、高く売り出さざるを得なくなった

確かに人気エリアの駅近マンションですので、仕入れ競争があるのは理解できます。

ただ、より詳しくみていくとリノベーション単価も高いことがうかがえました。この業者は中小不動産業者で、数多くのリノベを手掛けているわけではありません。

設備仕入れや職人単価など、規模の経済性を生かし切れていない印象で、リノベ内容に対して(業者利益を加味しても)価格が割高であると判断せざるを得ませんでした。

リノベマンションは、築古物件の設備刷新や給排水管の取り換えなど、将来の修繕費用の先払いという側面もあり、㎡単価10万円程度(500~700万円程度)高くなっても購入をおすすめできる物件はあります。

ただし買っていい物件は、リノベ業者(売主)が安く築古物件を仕入れ、規模の経済性を生かしたコストパフォーマンスの良いリノベーションを実施している物件です。例えばこの事例など)

今回のケースではいずれの条件も満たしておらず、Aさんには購入しない方がよいとアドバイスし、見送ることにしました。

②同じマンションの別住戸の設定金額に引っ張られる。相場無視の割高価格

Bさんは、ミトミの住宅相談をご利用いただき、物件探しを進めていました。

その中で、Bさんご自身が「この物件を買いたいと思うがどうか?」と連絡があったのは東京都内23区内のとあるブランドマンションでした。

この中古マンションは、2000年代に建てられた品質の良いマンションであり、駅からも近く、この物件自体はおすすめできるものでした。

しかし、売出価格はかなり高い印象を受け、実際に適正価格かその妥当性をチェックしたところ、許容できるレベルを超えて高く売り出されていました。

このマンションは、成約価格が示す通り、新築時より価格を維持してきた優良なマンションです。

通常のマンションは、年数が経過するほどに価格が下がり、15~20年程度経過すると価格が落ちづらくなる【\_】という形状のカーブを描きます。

しかし価格が落ちづらい人気マンションは、ある一定幅で上下する帯状【=】の形状を描くことが多いものです。今回検討したマンションも帯状であり人気マンションであることを裏付けるものでした。

とはいえグラフが示す通り、㎡単価70万円前後の物件相場であるところ、いきなり+4割増しの㎡単価100万円を超える価格で売り出されていました。あまりにも高いのです。

公示地価の推移や周辺相場の上昇率、金利の低下率などを考慮してもあまりにも高値水準です。なぜこのような価格設定になっているのでしょうか。

値上がり・値下がりするマンションの見分け方は?過去の売買価格をチェック!

同じマンションの最上階のプレミアム価格を参考に値付け。適正価格への改定を待つ

実は、同じマンションの最上階の100㎡超の広い物件が、1年以上にわたり同様の㎡単価(100万円程度)で売り出されていたのです。

この最上階物件に引っ張られて、最上階物件に合わせるようにBさんが購入検討していたマンション住戸も高い価格で売り出されたのです。

この最上階物件は1億円を超えるプレミアム価格で売り出されており、1.3億円⇒1.2億円⇒1.15億円とだんだんと値下げしているものの、それでもかなり割高です。

Bさんが検討していた物件は、この最上階物件ではなく、1階下の階の別の住戸ですが、だいたい同じ㎡単価で価格設定されており、9,000万円台の割高物件でした。

売主さんの気持ちになってみれば分かりますが、同じマンションの別の部屋と大きく価格差を付けて売り出したくはありません。

わざわざ安く値付けしなくても、類似住戸と似たような価格にすれば高く売れるかもしれません。逆にあまりにも安いと「なにかあるんじゃないの?」と疑われるかもしれないこともあります。

売主さんから売却依頼を受けた業者も「上の階が1億円超えで売り出されているのに、なんでうちは7,000万円代で売り出すの?」と、売主さんから文句を言われかねません。

このように、他の部屋に引っ張られて高値で売り出されるケースは少なからずあります。

あまりにも価格が乖離していて「相場に見合った価格で取引できないか?」と話を持ち掛けても、「他の方から購入申込がある可能性があるため、もう少し様子見します」という返答がほとんどです。

売主さんも「高く売れるかも?!」とその気になって期待しているため、早々に値下げには応じません。なかなか売れずに適正価格に変更されるのを待つほかありません。

結局、Bさんにはこの物件にはすぐ手を出さない方がいいとアドバイスし、見送ることになりました。

③売主の感情や事情によって超割高価格に。その金額で買うメリットなし

②の例で、最上階物件がかなり高く価格設定されていました。ではなぜこの最上階物件は超割高な価格で売り出されたのでしょうか。

最上階物件の売主側の仲介業者ヒアリングなどにより調査したところ、以下など複数の理由が浮かび上がってきました。

  1. 売主自身が物件スペックを過度に高く評価
    最上階、角部屋、100㎡超の広い住戸、ルーフバルコニー付、3方角部屋、無垢材フローリング施工など
  2. 売主はこの物件が売れなくても問題ない
    現在空室で売主は別の住宅に居住中。このマンションはたまに別荘地代わりに使っている程度
  3. 値下げ交渉を想定しあらかじめ高く価格設定

いずれも、買主側にはなんらメリットのある理由ではありません。売主側の都合によるものであることが分かります。

価格の値付け理由を知らずに「売り出されている価格は適正だろう」と思って何も調べずに買ってしまうと、恐ろしく高値で買ってしまうことになります。

売主の自宅評価が異常に高い場合などは「売れたらラッキー」な高い金額になりがち

1の物件スペックを過剰に高く評価することは、売主が自宅への思い入れが強いケースによく起こります。

例えば新築で買った家、特に注文住宅などで売主自身が「自分の物件は優良な物件だ」と物件にほれ込んだケースではよくみられる傾向です。

新築マンションでは、最上階と他の階など、物件の条件の違いに応じてかなり大きな価格差を付けます。これは、一斉にマンションの分譲住戸を売り出す際に、それぞれの買主に納得してもらいやすいためです。

しかし、中古物件として売り出す時には、新築マンション当時ほどの価格差は出ないのが一般的です。いくら新築価格が他の住戸より高かったり、最上階というプレミアムを売主が感じていたとしても、中古市場ではそれほど評価されません。

このような売主の思い入れや感情の差が、価格差となって買主と売主の想定価格に乖離が生まれる原因となります。

また、売れなくても困らない場合(2)には売り急ぐ必要はないため、強気価格を押し通すことができます。価格を高く設定しつづけることで、「誰かが買ってくれたらラッキー」程度で様子見していることもあります。

実際に売れることもありますし、このケースのように1年以上にわたり売れ残ることもあります。いずれにしても売主自身では困っていないため、そのまま放置し続けても問題ないのです。

そのような中で、②のケースのように他住戸の物件価格に影響を与えるケースもあり、何も知らずに割高に買ってしまう購入者が生まれることになります。

高い物件でも誰も教えてくれない。自分で価格をチェックするのは不可能

金額が相場よりかなり高い物件を買ってしまうと、買った瞬間に大きな損をしてしまいます。

ここであげた例以外にも、例えば売主の住宅ローン残債が多く残っており、そのローン残高以下に物件金額を下げられないため相場より高く売り出される例もあります。

いずれにしても売主の都合によるもので、こういう物件を買うのであれば「将来損をする」「売りづらくなる」ということを知っておかなければなりません。

ですので、不動産仲介業者を通じてマイホームを購入する際には、不動産屋(仲介業者)に価格の妥当性をチェックするようお願いしましょう。

ただ中には、「価格の高さを指摘すれば、契約をしてくれなくなる」「売主への価格交渉をすると他の買主に取られる」「価格検証する専門的知見がない」など、積極的に適正価格を教えてくれない業者も少なくありません。

だからといって、自分で価格の妥当性を検証するのは難しいのが実態です。

専門的な内容を含むことや、過去の細かな成約価格データが入手できないこと、売主側へヒアリングできる立場にないなど、買主個人では十分なチェックができる環境にないのです。

物件金額の妥当性を知るのは不動産屋だけ?適正価格に関する注意点4つ

不動産屋が価格の妥当性をチェックしない ⇒ 価格検証する仲介業者に変更

業者に価格チェックをお願いしても応じてくれない場合には、その不動産業者で取引するのは危険です。

他の不動産屋に変えて、取引することをおすすめします。不動産会社は、物件情報をREINSという物件データベースで共有しているため、不動産会社を変えても同じ物件を取引できます。

ミトミにも、『価格が高いと思うが、今の不動産屋に聞いても「そんなもんですよ」「みなさん気にせず買ってますよ」しか言ってくれなくて困っている』という相談を受けることがあります。

価格が適正であるかどうかということは、意外と分かりづらく、気づかないまま知らずに割高に買っている例はたくさんあります。

結果、将来「なんでこんなに安値でしか売れないんだ…」と後悔することになるのです。将来の住み替えが難しくなる可能性もあります。

将来にわたって経済的にも安全・安心して暮らしていくためにも、まずはしっかり価格の妥当性をチェック・検証する不動産会社を通じて住宅を購入してください!

【P.S.】「この家、買っていいのかな?」…迷わずご相談ください!

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