中古物件を「〇〇住宅」と認定する制度が始まる?不安・汚い・分からないを解消
目次
中古の「不安・汚い・分からない」を払拭すべく、認定マークを与える制度
2016年12月19日に国交省で「流通促進に寄与する既存住宅の情報提供制度検討会」が発足しました。
「流通促進に寄与する既存住宅の情報提供制度」、いわゆる「プレミアム既存住宅」登録制度の在り方について検討されているものです。
これは、消費者が中古住宅に抱く「不安」「汚いイメージ」「わかりにくさ(情報不足)」を払拭しようとするものです。
具体的には、一定の品質について要件を満たしたと認定され、かつ情報提供を行う中古住宅にわかりやすい標章(マーク)を付与する案を検討中です。
認定の要件 | 認定基準(案) |
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耐震性 |
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構造上の不具合及び雨漏り |
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シロアリ被害・給排水や換気等の設備の不具合・省エネ性能 |
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外観(汚いイメージの払拭) |
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情報開示 |
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住宅の品質レベルに応じて「〇〇住宅」と分かりやすく表示。※安心R住宅が制度化
第2回の検討会は2017年1月23日に開催され、徐々に制度概要の輪郭がみえてきました。
次章で示す通り「制度検討の方向性」は示されたものの、現段階(2017年1月時点)では具体的な制度は確定していません。認定マークを付与する要件案としては上表のように示されています。
一定の品質をクリアすることで「不安」「汚いイメージ」を払拭し、それを分かりやすく示そうというものですね。
新耐震基準の適合物件など、住宅品質のレベルに応じ「納得住宅」「安心住宅」「適格住宅」「保険付き住宅」「基本スペック住宅」などを付与することが検討されています。
マークを取得できれば、中古住宅の売却時に買主へアピールできる効果が見込めます。2017年度にも運用を開始する予定です。
※【2017年12月追記】実際には2018年4月から「安心R住宅」として運用が開始されることになりました
インスペクション、瑕疵保険などによって家の欠陥に対する不安を解消
今後の精度改革の方向性は、第1回検討会および事業者団体等ヒアリング結果を受けた制度検討の方向性で示されています。
消費者アンケート結果から示された中古住宅への三大敬遠要素「不安」「汚い」「わからない」を払拭する制度の方向性を検討しています。
「不安」の払しょくは、耐震性や構造上の不具合・雨漏りで不具合がないことに加え、万が一の備え保険・保証をつけることを求めます。
具体的には、インスペクション(建物状況調査)や既存住宅売買瑕疵保険などを活用しようとしています。
払拭 | 求められること | 制度検討の方向性 |
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「不安」 |
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「汚い」 |
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「分からない」 |
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「汚い」には内装・外装の写真を充実、「分からない」には積極的な情報開示で対応
「汚い」イメージの払しょくは、特に消費者が気にしている水廻りや内装・外装など現況の写真を開示することを想定しています。
「分からない」ことへは、開示するべき品質や維持管理の情報を国が決め、それをお客様に積極的に開示し情報提供の充実させようとしています。
対策(方向性)に特段目新しさはないものの、逆にいえば、お客様にとってはこれらの基本的なことが徹底されていなかったから中古住宅の取引を敬遠していたともいえます。
これを国が主導して、一定の枠組みを作ることで中古住宅の取引が活性化することが期待できます。
団体は苦情窓口を設け、さらに購入者のアンケートに基づき審査基準の厳格化を前提
安心な取引環境を作ることも忘れていません。
事業者団体が商標(マーク)を与える中古住宅の審査を客観的に実施したり、不動産会社などがきちんと情報できるよう研修・指導を行います。
主体 | 求められること | 制度検討の方向性 |
---|---|---|
事業者団体 |
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制度の枠組み |
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さらに、消費者からの苦情相談窓口を設置することも想定されています。
その上で、実際に商標が付与された既存住宅を購入した消費者から業界団体が満足度アンケートを実施し国に報告することも盛り込んでいます。
それに照らし合わせて今後、審査基準を厳しくすることを前提に、運用しながら制度を改善していくことを想定してスタートさせようとしています。
【背景】国交省のアンケートが示す消費者の本音。既存住宅が“分からない”
中古(既存)住宅を選ばなかった理由を探ろうと、国交省が2016年10月にアンケート調査を実施しました。
結果として、大きく「分からない(情報不足)」「見た目の汚さ」「品質の不安」「価格」の4つに大別されることが分かりました。
特に、「好みに合う中古住宅がない」「価格が妥当か判断できない」といった情報不足を指摘した回答(複数回答)が、それぞれ38%、31%と高い比率を占めました。
分類項目 | 詳細(複数回答) |
---|---|
分からない (情報不足) | 【38.0%】好みに合う中古住宅がない 【31.3%】価格が妥当か判断できない |
価格 | 【21.9%】想定した以上に中古住宅の価格が高い 【20.8%】リフォーム・リノベーション費用が高くつきそう 【6.8%】新築住宅の方が税制面で有利 【4.4%】中古住宅は融資を利用しにくい |
品質の不安 | 【18.8%】設備の老朽化が不安 【17.8%】耐震性に不安がある 【16.2%】長く住むつもりであるため 【12.0%】耐久性(耐震性は除く)や品質に不安がある 【8.8%】断熱性に不安がある 【7.3%】セキュリティ・防犯性が不安 【6.1%】保証やアフターサービスがない |
見た目の汚さ | 【14.2%】新築住宅の方が気持ちいい 【13.3%】見た目がきれいでない 【12.0%】水廻りが古い・汚い 【7.3%】リフォーム・リノベーションが手間に感じる |
「分からない」、つまり業者や団体による情報提供不足は大きな反省点です。そのため、一定の品質をクリアするのみならず、情報提供をしっかり行った物件に認定マークを付与する制度設計となっています。
その他の項目も踏まえ、国交省は、「中古住宅」のイメージの払拭のために従来の「中古住宅」に対する「不安」、「汚い」、「わからない」というイメージを変えようとしています。
その結果として、消費者が「住みたい」「買いたい」と思う「新しいイメージの既存住宅」を市場に供給することを目指す検討を始めたのです。
消費者は「写真」で判断するしかない状況?本当はリスク情報などを希望している
その他のアンケート結果では、「写真の点数が多い」「内装・外装の写真」といった写真を求める声が強いことが分かります。
これは、「不動産会社を選ぶポイント」「広告で魅力に感じた情報」という項目に対する回答です。注目したいのは、同時に「物件のウィークポイントも書かれている」ことも求められている点です。
さらに、来店後の要望ともいえる「不動産会社に求めること」には「正確・詳細な物件の説明」がトップにきています。
これは、見た目の情報(写真)とともに、そこからはみえないリスク情報や、「良いこと」を過度に強調することなく冷静に検討できる事実を適切に伝えて欲しいということを望む姿がうかがえます。
今後はリスクや正確な情報を提供をする“エージェント型仲介”が求められる
今や手軽に写真を取れる時代。見た目の情報は豊富に提供できる環境が整っているといえます。
それらの情報に加え、これから求められるのは、写真や図面からは読み取れないマイナス情報やリスクといったネガティブ情報を積極的に開示する不動産エージェントでしょう。
消費者が容易に読み取とれない情報を具体的にイメージできる仕組みが求めらえれているとも解釈できるでしょう。
さらに、不動産の詳細や住宅優遇制度など周辺情報も含めて、買主に寄り添った情報提供のあり方が問われていると考えられます。
これらの要望に応えるには、やはり物件紹介業としての不動産屋ではなく、エージェント型の不動産サービスだと考えます。
ここで検討されている「新しいイメージの既存住宅」によって、もっともっと買主が安心安全に不動産取引に参加できる環境が整っていくことを大いに期待します!
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