省エネ住宅は光熱費削減だけでない!見落としがちな4つのメリットとは?

気温上昇や“再エネ賦課金”などで電気代は上昇。光熱費が安い家は重要に

住宅を省エネにする、というと光熱費がお得になる!というイメージがありますね。

実際にその通りで、断熱性や気密性を備えた家では電気代が安くなります。

特に、地球温暖化の影響などで日本の平均気温も上がっており、室内の保温性がよい家は効率的に冷暖房ができます。

太陽光発電のフィードインタリフ制度によって、電気代への「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の上乗せ額が上昇・高止まりしています。

これらを考えても、やはり電気代のかかりにくい家は今後ますます家計に大きな影響を与えそうです。

建築費アップ分を光熱費削減分で回収なら35年という試算もあるが…他の利点も大事

一方、省エネ基準適合のための建築費追加コストを光熱費で回収するためには35年かかるとの試算例もあります。

(これは小規模住宅の省エネ義務化を見送る際の公表資料であり、一定のバイアスがかかっている可能性も否定できませんが、、)

省エネ基準適合のための追加コスト・光熱費の低減額・回収期間の試算例 【出展】国土交通省

ただ、省エネ住宅を光熱費の削減だけで考えると大事なことを見落としてしまいます。また、光熱費だけでみても削減の効果があること自体は確かです。

「新築の一軒家を買う場合、省エネ住宅を買った方(建てた方が)がいいの?」という疑問をお持ちの方は、光熱費以外のもっと重要なメリットもしっかり理解しましょう。

①ヒートショックの予防。交通事故者数より多く、特に高齢者は要注意

まず、省エネ住宅は断熱性や保温性に優れ、ヒートショックを和らげる効果が期待できます。

特にヒートショックが起こるリスクの高い高齢者や血圧が不安定な方にとっては、省エネ住宅で安全に暮らすことが望まれます。

ヒートショックとは、急激な温度変化によって、血圧が急変動して体に大きな負荷がかかる現象です。

意識を失ったり、脳梗塞や心筋梗塞など重篤な症状を引き起こす原因となるものです。

入浴中の急激な血圧変動で年間19,000人が入浴中急死しているとのデータがあり、これは年間の交通事故死亡者数約3,500人の実に約5倍以上の規模です。

冬場に増える浴室でのヒートショック事故。肌の露出が増えるトイレなども要注意

特に気温の下がる冬場にはヒートショックによる事故が増えます。

暖房のきいた暖かい部屋から、お風呂に入ろうと脱衣所で服を脱ぐと、一気に血管が縮まることで血圧が急上昇します。

その状態で浴槽に入ると血管が広がり、今度は血圧が急降下してしまい、最悪意識を失って溺れてしまう結果になってしまいます。

また、浴室だけでなく、暖房が行き届かない空間で肌の露出が多くなる場所(トイレなど)でもヒートショックのリスクが高いことにも注意しましょう。

②家の中で温度変化が小さく、健康増進にも。遮音性もあがり騒音も抑制

断熱性能が高い家は、家の中の空間の温度がある程度均質に保たれます。

立ったり座ったりしても室温の変化が小さく、また、廊下やトイレ、脱衣所など、家の中を移動した際にも寒さ・暑さが和らぎます。

室内でも室外移動でも、冬場に足元が冷える!という不満が解消でき、家の中のどこでも快適で暮らしやすい生活が実現します。

温度変化は人の健康に与える影響も大きく、断熱性が悪い家では風邪を引きやすい方などにとっては特に健康上のメリットは大きいといえます。病院に通う回数も減り医療費の削減にも繋がりますね。

また、断熱対策として二重窓(ペアガラス)や二重サッシを導入している場合には、外部の騒音もかなり小さく、夜間も静かに眠りやすくなるでしょう。

③結露が抑えられ、カビやシロアリを抑制。建物の耐久性があがり長寿命化

断熱性に優れる住宅は、温度差が小さいことから結露が生じにくくなります。

そのため湿度があがりジメジメすることを抑えられますので、カビやシロアリの発生も抑制できる効果があります。衛生面でも健康面でもメリットがあるといえます。

また、結露によるカビの発生や木材の腐食などが抑えられるということは、建物の長寿命化にも貢献します(耐久性が高まります)。

海外の先進諸国の住宅よりも、日本の木造住宅が短命といわれる一つの原因が、耐久性や省エネ性、気密性を犠牲にしても、安さ重視で新築を建てることともいわれています。

省エネ住宅など、質の高い家に住まうことで、メンテナンスしながら長く住むというライフスタイルが実現できるのですね。

④補助金や税金・金利の優遇を受けやすく、建築費の増加分を回収できる

住宅の省エネ化は国が積極的に推し進めようとしています。

そのため、不動産取得税・登録免許税・固定資産税・所得税・贈与税など各種税金の減額、補助金の支給制度などが作られており、うまく活用することで費用回収も可能です。

使える制度は省エネ基準の水準によって異なりますが、例えば長期優良住宅や低炭素住宅であれば優遇幅は大きくなります。

また、フラット35Sの技術基準の一つに省エネルギー性に関する基準(断熱等性能等級4)があるため、金利優遇の恩恵も受けることができます。

今後も省エネ住宅を普及を促進させようとする流れはますます強くなると考えられ、積極的に補助金などを活用することで、コストアップ分を抑えやすいといえるでしょう。

“省エネ住宅”にもレベルはさまざま。最低限の基準として断熱等級4を!

省エネ住宅には、光熱費削減以外にも、ヒートショックの予防、健康増進や建物の長寿命化、税や補助金の優遇制度など有形無形のメリットがあることがわかりました。

一方で気を付けたいのは「省エネ」とひとくくりに言っても、そのレベルには大きな違いがあるということです。

もし新築戸建て(注文住宅・建売住宅)ならば、「断熱等級4(最高等級)」を満たす家を最低限の水準として建てる(買う)ことをおすすめします。

日本の省エネ基準は実は先進諸外国と比べて高くありません。(最高等級が取れる)現行のH28基準であっても、断熱性は1999年当時の基準が引き継がれていたりします。

より高断熱性・高気密性を求めるなら、ZEH(ゼッチ:ゼロ・エネルギー住宅)やNearly ZEH(ニアリーゼッチ住宅)などもあります。

補助金や税優遇も、長期優良住宅や低炭素住宅に認定されるかどうかで変わってもきます。この辺りは、省エネ住宅を購入される際に不動産屋さんにしっかり確認してみてください。

省エネ住宅にするかどうかは買主次第(義務化見送り)。建築士の説明も参考に!

実は既に、エネルギー消費量で過半数を占める大規模~中規模建築物(住宅以外)については省エネの義務化がされています。

小規模住宅(新築戸建てなど)については「着工棟数でみると84.0%と大部分を占めるが、エネルギー消費量は28.7%に留まる」ことも指摘され、一旦義務化は見送られました。

セグメント別のエネルギー消費量と着工棟数との関係 【出展】2017エネルギー・経済統計要覧・2017年度建築着工統計などより国交省作成

つまり、個人消費者に最も関わりのある戸建て住宅については、省エネ住宅を建てるかどうかを施主(建築主・買主)に委ねる格好になっています。

注文住宅を建てる場合には、設計段階で建築士が「省エネに適合している家かどうか」を説明することを義務付ける制度も始まります。

建築士からの説明も参考に、今後長く付き合っていく家に省エネ性能をつけるかどうかしっかり検討くださいね。

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