資産価値を高めるリフォームとは?ポイントは「将来の買主が喜ぶか?」

リフォーム・リノベーションは”買い手にとって魅力的か”が大切

日本より10年も20年も先をいくといわれる不動産先進国アメリカ。活発にリフォーム・リノベーションをして資産価値を高めている印象がありますが、やっていいリフォームと、やってはいけないリフォームがあります。

もちろん適切なリフォームは資産価値を高め、売却価格を上げることにつながりますが、事実、リフォームをしたがために売却価格が下がることもあり得ます。

thinking-man_ssその差は「独りよがりではなく、将来の買主のことを考えているか」ということに集約されます。

米国の事例ですが、7 Home Improvement & Remodeling Ideas that Increase Home Value(Heather Levin)(邦訳:マイホームの資産価値を上げる7つのリフォームとやってはいけない10のリフォーム)を参考にしながらリフォームの考え方を紹介します。

価値を上げるリフォームは、多くの人が求める”適度な”修繕に留める

多くの人は住宅設備の内、キッチンにこだわります。それは、毎日使う場所でもあり、家族の食事を作る住宅の心臓部ともいえるため、当然ともいえるでしょう。

kitchen_thiking_woman_menu_sしかし、そのこだわりが強すぎると将来の買い手にとって「こんな豪華な設備は求めていない」「最新鋭かもしれないけど自分には使いづらい」と購入を敬遠されてしまう可能性があるのです。

ポイントは、自分好みのキッチンリフォームを過度にやりすぎるのではなく、多くの人が求めるであろう適度な水準に留めることです。

【実例】豪華なキッチンにし過ぎて売れ残った住宅

先ほどの記事には失敗例が紹介されています。

1900年代に建てられ、たくさんの装飾が施された古風な美術工芸スタイルの家に、売主はキッチンリフォームに6万ドルも費やし、リビングと同じくらいのかなり広いキッチンを持つ住宅にしました。その

failure_foreign-man_s結果、2年もの間売れ残ってしまいました。

住宅の設備バランスも悪く、近隣の住宅に比べても明らかに特殊な間取りとなってしまい、買い手が購入をためらってしまったのです。

国は違えど考え方は同じ。その改修は「買主のニーズを満たすものか」を考える

その他、上記記事では広い国土を有するアメリカならではといった事例も紹介されています。

例えば、デッキの設置が資産価値をあげる(売却価格を高められる)と指摘しています。アメリカ人が休日を自宅で過ごすことが多くなってきており、庭などを魅力的にすることで買主がそこにメリットを感じるのです。

国土の狭い日本では少し感覚が違いますね。しかし、将来の買い手にとって魅力的に感じるリフォームを行うことで資産価値があがる、という考え方そのものは共通しているのです。

みんなが意識している省エネリフォームにおカネをかける

先ほどの実例では、設備を華美なものにするより(同じキッチンリフォームでも)例えばエネルギー効率の良い調理器具など、具体的にコストメリットが訴求できるような修繕であれば、買主は家計を節約できることが魅力的に映ったでしょう。

woman_delighted-_happy_sまた、Heather Levin氏は「キッチン塗装をするのであれば、low-VOC(揮発性有機化合物の低い)塗料を使うことは、より環境に優しくベンゼンなどの危険化学物質を吸うリスクを軽減できる」と指摘しています。

つまり、個人の感性によるところの大きい奇抜なデザインなどより、多くの人が気にする健康や安心に繋がる塗装の方が価格を維持しやすいと示唆しているのです。

エネルギー効率の良い家は長い目でみてお得

エネルギー問題は世界的に共通認識の課題となっており、住宅においても近年エネルギー効率を意識するようになっています。特に断熱性の高い家は、住宅の温度変化が緩く健康面でもメリットがあります。

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エネルギー消費を抑えるためのリフォームは、隙間風の通る窓や間仕切りを、二重窓や密閉性の高いドアに変えることで対応でき、多くの費用を要さない上に将来の買手にとって魅力度を高められます。

エネルギー効率に配慮して改修されていない家は、住んで維持するのによりランニングコストがかかることは買い手は十分理解しており、米国では値下げ交渉が始まるキッカケにもなります。日本でも近い将来そうなる日もくるでしょう。

小規模修繕でコストパフォーマンスのよい省エネ化も

記事の中では、簡単なDIYとしてCFL電球(Compact Fluorescent Light Bulbs:電球型蛍光灯)への交換も指摘されています。CFL電球は通常の電球より75%のエネルギーを削減でき、節約にもなります。

また、Programmable Thermostat(冷暖房の温度を設定でき自動的にスイッチを入れたり切ったりする装置)に変えることも一つの方法です。(米国の)買主のほとんどは、近年これを期待しているとのことで、年間で平均180ドル冷暖房費が安くなるとの試算もあります。

cfl-electric-bulb_sまた米国では、省エネルギー型電気製品のための環境ラベリング制度である「エネルギースター」の窓を導入すれば、自然エネルギー促進法による10%の税額控除が受けられるなど、国としても省エネに力を入れています。

日本でも、2020年以降、新たな省エネ基準である「改正省エネルギー基準」を満たさない住宅が建てられなくなるなど、省エネが一つの住宅性能を表す指標となるでしょう。

【追記】住宅の省エネ化の流れは変わらないものの、2020年の義務化は撤回されました。詳しくは以下コラムをご参照ください

省エネ住宅の義務化が白紙撤回?!今後、新築戸建てを買う場合の注意点とは?

一人一人の意識の高まりが、良質な中古住宅を残すことにつながる

日本では、これら設備について売買時に本格的に考えることは多くないかもしれません。

しかし、エージェント制など、不動産取引の仕組みがしっかりしている米国では、もし家の基本的な間仕切りが乏しくドアも古く、熱と寒気が大量に家の中に入ったことがわかれば、買い手側の不動産調査人やエージェントは買主にこの事実を伝えます。

インスペクション(住宅診断)_ss逆に、CFL電球やその他節電効果が高いことが証明される住宅であればそのメリットも伝えます。売主も、自分の行ったリフォーム・リノベーションが適切に評価されることが分かっていれば、資産価値を高めるDIYを積極的に行う動機になります。

結果として、良質な中古住宅が残される仕組みが整っているといえます。日本でも、築年数のみによらない新たな評価法を実施する動きも出てきており、自分で資産価値を高める住まい方が定着することを期待します。

もちろん自分の好きなリフォームを!近々売却を考えている時は要検討

自分自身が快適となるリフォーム・リノベーションをしてはいけないということでは決してありません。

次の買主のことばかり考えるのではつまらない生活になってしまいます。自分の暮らしやすい住環境とし、快適な住まいを満喫することをもちろん優先ください。

安心・女性_ssただ、数年以内に売り出す予定があり、売却価格を意識する場合には一歩踏みとどまって、リフォーム内容を考えましょうということです。

その場合には、多くの人に受け入れられる主流なリフォームを実施するか、または、万人受けはしないけれど一部には根強いニーズがあり、確かな需要層が存在するようなリノベーションを行うことが得策でしょう。

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