住宅ローンの金利が急上昇する?!日銀の憂鬱「出口戦略」

国債を売るに売れない?いずれの出口も資本が大きく毀損する

現在、日銀は異次元金融緩和を継続し、長期金利もゼロ%付近に抑え込んでいます。足元では、低金利で円安株高が進んでいるため短期的には乗り切れるでしょう。

c47877a0dcbe516b26276d331a6c27c2しかし将来的にはこの異常事態を脱し、正常化する時が来ます。その時どのような出口が待ち構えているのでしょうか。

2016年9月期の日銀の財務状況を考えた場合、財務の健全性を担保しながら大規模緩和を終了させられるのかということに対しては、かなり厳しい目を向けなければならないでしょう。

国債を売るのも保有するのも、どちらも課題山積。一筋縄ではいかない出口戦略

長期金利が本格的に上昇するフェーズに入れば、国債利回りも上昇していることになり、それは国債価格が下がることを意味します。

巨額の国債を保有する日銀は、持っている国債の価格を下げて売らなければならず、多額の評価損が発生します。つまり、量を減らしたくても、国債を売れば売るほど損がでる状況になり動くに動けない状況になります。

nippon-ginko_ssもし国債を売らず償還日まで待てば国債の売却損はでません。しかしながら、金融正常化の過程において(現在はマイナス水準にしている)当座預金の短期金利も当然引き上げればなりませんから、銀行への多くの利払い費は発生します。

そうなると、(国債を保有したままということは、売却してキャッシュを確保しないことを意味しますので)低利回りのクーポン収入しかない状況で多額の利払いが発生してしまいます。

いずれにしても、出口の時に大きな課題にぶつかり、日銀の純資産を食いつぶしてしまう状況がうかがえます。

【参考】現段階で自己資本比率も目標ギリギリの8.0%まで小幅下落

日銀は、自己資本比率として概ね8~12%の範囲に収まるよう調整する方針を掲げていますが、今回の上半期決算ではそれが下限ギリギリの「8.00%」(前年度末8.05%)にまで落ち込んでいます。

8.00%=(資本金1億円+法定準備金等31,590億円+債券取引損失引当金29,353億円+外国為替等取引損失引当金15,819億円)÷銀行券平均発行残高958,411億円

尚、日銀のいう自己資本比率は、自己資本に対する銀行券発行残高に対する比率のことをいい、民間企業で用いられているような自己資本の総資産に対する比率ではなく、あまり意味がないという声もあります。

ちなみに民間企業で用いられる自己資本比率で言えば「1.7%」と極めて低い水準にあることが分かります。

住宅ローンの固定金利水準は日銀の動向に左右される

住宅ローンの固定金利は、新発10年物国債の利回りが基準になっています。今は日銀が、損を覚悟で毎年80兆円程度の巨額の国債を引き受け、それをゼロ%水準に抑え込んでいます。

電卓・住宅ローン_ssしかし、今後日銀の財務状況がさらに悪化し、その方針を覆さないとも限りません。

日銀の動向によって住宅ローンが左右されるともいえるのです。

史上空前の住宅ローン低金利時代はいつか終わる。目先の利益にとらわれ過ぎない

短期的には今の空前の金利低水準が続くでしょう。ただし、住宅ローンは30年以上にわたる長期の返済が待ち受けており、その間に金利が上昇していくことは十分にご注意ください。

トランプ相場によって日本国債もつられて上昇したように、外部環境が日銀の政策を凌駕することもありえます。先行き不透明な状況が続き、長期的には乱高下が待ち受けているかもしれません。

financial-plan_housing-loan_s固定金利は変動金利より早く上昇する性質があります。「固定金利が上がりだしたら、変動から固定にしよう」は大きなリスクがあるのです。「長期金利はなかなかあがらない」と予想して変動金利にした結果、金利が急騰して返済に苦しむことになるかもしれません。

くれぐれも目先の利益にこだわり過ぎず、あなたのファイナンシャルプランに沿って住宅ローンを選択してくださいね。

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