不動産業界にセカンドオピニオンが少ない3つの理由。住宅購入で気を付ける点は?

医療業界で当たり前のセカンドオピニオン。なぜ不動産業界で浸透しない?

医療業界でいえばセカンドオピニオンは当たり前です。

特に命に関わる病気の場合には、複数の専門医の意見を聞き、治療のメリット・デメリットを検討、最終的にはどのお医者さんに治療をお願いするか決め治療方針を固めます。

一方、不動産業界は「この物件を買おうか迷っているから、他の不動産会社にも意見を聞こう」とはなりません。

同じ物件をどの不動産会社でも取引できることが理解されていないこともありますが、それに加えて「押し売りされそう…」「対応が悪い不動産屋だったらどうしよう」と相談そのものをためらうことが多いのです。

不動産取引は(命には関わりませんが)多額の財産が動き、将来の生活や資産形成、ライフスタイルにまで大きな影響を及ぼす取引です。

それならば、一つの不動産会社・一人の営業担当者だけの意見を聞いて購入判断をせず、多くの意見を聞くことは決しておかしくありません。ここではセカンドオピニオンが普及しない理由などをみていきましょう。

①不動産屋は物件“紹介”はするが意見を言わない。買主にリスク押し付け

病院に行ってお医者さんに診察をしてもらう時、基本的に薬を処方してもらいます。

「この薬を飲めば、この症状が改善します」という具合に、お医者さんがしっかりと現在の症状を踏まえ、それを治すための方法や身体への影響まで含めて提示します。

では不動産会社はどうでしょうか。希望条件を聞いて物件を紹介します。

その時、「これはいい物件ですよ」「内覧しましょう」「買いませんか?」「他の方にとられますよ」などといった営業トークばかりが目立ちます。

そもそも、買主さんの資金計画や将来のライフプランなどを把握せず、年収だけ聞いて住宅ローンが組める上限価格帯の物件をどんどん紹介してくることもあります。

いわば、患者さんの容態に関わらず、副作用の強い劇薬や安くて効果の小さい薬、高価で効き目が強い薬などを「どんどん紹介」することだけに力を入れているようなものです。

住宅購入リスクや将来の影響の調査・検証なく、買主の自己責任で選ばせるよう誘導

つまり、不動産会社は「この物件を買えば将来こういう影響がある」という見解・意見を述べず、あくまで物件紹介に留めがちです。

住宅購入のリスク(副作用)も積極的に開示しないのです。余計なことを言っては売買契約が遠ざかるかもしれないためです。

マイホームを買った後に無理なく生活できるか、将来の住み替え時に売りやすい物件か、専門家(建築士)の調査の結果建物に不具合がないか、などこそ積極的に知りたいところです。

しかし不動産業者からすれば「面倒くさい」「契約が遠ざかることはしたくない」と、お客さんがどの家を買うか選ばせることに注力しがちです。

そうすると結局、買うか買わないかは顧客(買主)判断になります。買主さんの自己判断・自己責任だけに任せて、リスクを消費者に押し付けるのです。

診察に来た患者さんに薬を並べ立て「好きなものを選んでください。どれかは効くでしょう。あなたが選んでください」と言うだけの営業が最も楽だからです。

②物件広告が蔓延、買主さんもアドバイスを不動産会社に求める意識がない

不動産会社といえば物件情報、とばかりに店舗やホームページにも物件情報ばかり並んでいます。

日本ではいまだに物件の情報格差で不動産屋がビジネスをしている傾向があり、「不動産屋=物件紹介」というイメージが強くできあがっています。

そのため、お客様(買主さん)側でも「不動産会社は物件紹介と内覧、契約をしてくれるところ」という印象が強いようです。

そもそも「買ってもいい不動産かどうか」を相談したりアドバイスを受けたりする場所という認識がほとんどありません。ミトミへ相談いただいた方からも同様の声を多く聴きます。

それをいいことに、「綺麗な家ですね」「気持ちのいい家ですね」といった具合に、感情的・主観的な評価しか行わない業者も多く、漠然とした話しかできない会社も少なくありません。

アメリカのように資産形成の一環としてマイホームを買う、という意識が乏しく「夢のマイホーム」と感情的に購入判断をさせようとするなど、住宅に対する評価の視点が極めてあいまいな中で購入判断を迫るのです。

なぜ不動産屋は物件紹介型ホームページばかり?潜むリスクと会社の選び方

「雰囲気」や「当たり前の事実」のみ指摘、不動産屋が楽な方法で取引を進めている

買主さんは、不動産会社にアドバイスが期待せず、十分な情報提供がないまま主観的な評価だけで購入判断しているともいえます。

不動産は最も高額な買い物の一つとされますが、その意思決定において「雰囲気」や「物件の内装」など曖昧なところで判断せざるを得ない状況に追いやられているのです。

アドバイスらしいアドバイスはなく、「間取りは3LDK、キッチンはカウンターキッチンで、バルコニーは南向きです」といった誰でもわかる事実説明や、その他、建築基準法や法令制限関係の話に終始することが多いのです。

住宅を購入した場合の、将来の家計(キャッシュフロー)への影響や、物件所在地の将来人口推移、街の発展度合い、流動性(売りやすさ)など「将来にわたる影響」の見解がありません。

建築士やファイナンシャルプランナー(住宅専門・独立系)も含め、専門的な意見・アドバイスを聞いて「買ってもいいか」判断するという意識が根付いていないのです。

不動産会社からすれば、その方法が最も効率的で短時間で契約に持っていけるためです。業者にとって楽な方法で不動産取引が行われているといえるでしょう。

そもそも家を買ってもいいの?失敗事例と正しいマイホーム予算の決め方

③自社の商圏エリアを悪く言えず、リスク情報を伝えられないという事情も

不動産会社は店舗を構えるエリアを主な商圏としています。大手であっても各支店ごとに担当エリアを決めています。

複数店舗を持たない中小不動産会社であれば「地域密着」「地場密着」などといわれ、基本的には店舗から近い地域を中心に取引を行う場合がほとんどです。

これは、あまりに遠いエリアだと内覧の対応が難しいことが理由の一つです。

地元のことをよく知っているため近場であればより具体的な情報提供ができるメリットもあります。

一方で、気を付けたい点は「自社の商圏エリアを悪く言えない」ということです。

土地や周辺環境の悪さがあったとしても「このエリアはおすすめできませんよ」とはなかなか言いづらく、積極的にリスク情報を伝えられない事情があるのです。

地場企業でなくともエリア情報はチェックできる。商圏外の業者意見も参考にしたい

自分の商圏をいいような動機づけがなされるため、例えば地盤の状況やエリアの災害耐性を知らずに買ってしまうことになりかねません。

洪水や地震などが発生しやすい地域というのは数多くあります。それが悪いのではなく、事前に知ることで建物の耐震性のチェックや避難場所の事前確認などを行うことで安全に住むことができます。

戸建てであれば耐震補強工事を実施することで解決できる手立てもあります。

また、今や地域情報などは他の方法でも情報入手できる時代です。さらにいえば、買主側の不動産会社(客付け業者)から売主側の不動産会社(元付業者)にヒアリングすれば、エリア情報もわかります。

冷静な商圏外の会社の意見や違った見方ができるかもしれません。

狭いエリアでは自分にあう不動産会社がいない場合、信頼できる不動産会社の意見が聞いていみたい場合にも、やはりセカンドオピニオンは重要な役割を果たします。

物件紹介から検証へ!家を買った後の将来の影響を知り、取引の失敗を防ぐ

以上、不動産仲介業者にとってアドバイスすることは契約を遠ざける行為になりかねないことが分かりました。

「この物件、どう思いますか?」と聞かれても「いい物件です、当社でも取引できます!」ということが最も楽で簡単な営業方法であることが容易に想像できます。

こういった状況にあり、セカンドオピニオンの普及が難しい状況にあります。そのため危険な取引が後を絶たず、むしろだからこそセカンドオピニオンは必要といえます。

今後、不動産業界は「物件紹介」という情報ビジネスから、「物件検証」という診断サービスの強化が望まれます。そうなれば、各社が専門家として意見を述べ合い、より安全な取引が増えていくでしょう。

物件そのものの説明よりも、その不動産を購入することで「家を買った後にどのような影響を及ぼすのか」という将来視点でアドバイスを提供する会社が増えることを期待したいです。

そうすることで、買主さん視点でも「夢のマイホーム」という漠然とした住宅購入で後悔する事例が減らせ、より現実的な目線でマイホーム購入を捉えられるでしょう。

物件情報だけではない不動産会社を選ぶ!AIの判断やデータベース活用も

実際にこれから住宅購入する場合には、物件情報”以外”に価値あるサービスを提供している不動産会社を選びましょう。

例えば、リスクやマイナス情報こそ積極的に伝える不動産屋を選ぶことは、取引の安全性を高めます。

また、人を介在しない評価も参考になります。

例えばミトミでは、AI(人工知能)が不動産の価値とリスクを一瞬で判断する「SelFin」や、マンション偏差値や口コミなどが閲覧できる「マンションデータベースなどを無料でご提供しています。

ぜひ「長い目でみて買ってもいい不動産か?」を意識して、失敗のないマイホーム購入をしてくださいね。もちろん、いつでもミトミにご相談ください!

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