おとり物件って意味あるの?契約できない物件を不動産屋が広告する理由
目次
好条件なのに価格が安い!?…なぜ契約できないおとり物件を広告するの?
家を買おうと物件探しを始めると、“あまりにも好条件なのに価格が安い”という物件を目にすることがあります。
ネットの物件情報サイトに載っていることもあれば、怪しい物件広告が郵便受けに入っていたり、電柱に広告されていたりと目に触れる機会はいろいろとありますね。。
いざ問い合わせてみると「いやーその物件は先ほど他のお客様がお申し込みをされまして…」などと言われるでしょう。
これがいわゆる「おとり物件」です。問い合わせを呼び込むためだけに、架空の物件や契約済みの物件をまだ販売中かのように装って広告するのです。
物件情報サイト側も黙っておらず、厳しい態度で規制を始めています。ただ、ふと考えてみると不動産屋さんにとって、そもそも契約できない物件を広告するメリットはあるのでしょうか。
それほどまでに「問い合わせ」を獲得したい理由は何でしょうか。ここではその裏側をみていきましょう。
物件情報はどの会社も同じ。差別化できないから架空の物件を作る
おとり物件広告をする会社のみならず、多くの不動産屋さん(仲介業者)は物件情報でお客様からの問い合わせを待つ営業手法を取ります。
もし、各社ともに自社でしか取引できない物件をそれぞれ持っていたらどうでしょうか。
わざわざ架空の物件(もしくは実際に存在する物件でも成約済みの物件)を広告するまでもなく、自社だけの商品(物件)があれば買い手が現れるのを待てばいいのです。
しかし、後述するように物件情報はどの不動産会社でも同じだけ持つような仕組みが整えられています。
つまり、基本的にどの会社も同じだけ物件を持っているということです。だから自社独自の物件情報という差別化はできないのですね。
だからこそ安易な考えで、「それだったら優良な物件を作って反響(問い合わせ)を待とう」という考えに至るのです。
なぜ不動産屋さんは同じだけ物件情報を持ってるの?REINSで繋がる不動産業界
どのようにして、不動産会社によって物件情報量にバラつきがでないようになっているのでしょうか。
売主さんが「自宅を売ってくれ」といわれたX不動産会社(元付仲介業者)がいます。一方で、「家を買いたい」と依頼を受けたその他大勢の不動産会社(客付仲介業者)がいるとします。
これらの不動産会社は「REINS」という不動産屋さんだけが使っている物件データベースで接点を持つのです。
つまり、売り物件を預かったX社がREINSというシステムに物件登録すれば、直ちに全国の不動産会社に物件情報が共有されるようになっています。
SUUMOなどのインターネットの物件情報サイトは、その多くがこのREINSから転載されたものに過ぎません。
大手不動産会社も、中小零細も、このREINSという膨大な物件情報を共有しており、どの物件であってもここから紹介することができるのです。だからこそ、物件情報量はどの会社も同じなのですね。
なぜ原則として非公開物件が禁止されるのか?仲介業者を選ぶ権利を保護
なぜREINSにほぼすべての物件が登録される(不動産会社で同じ物件情報を持つように共有される)のでしょうか。
それは、不動産売買は高額な取引であり、生活に大きな影響を与えるためです。
そのため国としては、特定の仲介業者を通じてしか取引できないような仕組みを許さず、宅地建物取引業法という法律で「基本的にはすべての物件を、どの不動産会社でも取引できるような仕組み」を作っています。
だからこそ、お客様(買主)が気になる物件は、どの不動産会社でも取引できるようになっています。
つまり、買主さんに与えられた強力な権利は、不動産会社を選べること(嫌な業者をお断りすること)なのです。
だからこそこの権利をフル活用して、仲介サービスそのものを比較して、魅力的だと思う仲介会社を選びたいですね。
【参考】一部の非公開物件はREINS掲載が不要。でも登録を促される仕組みがある
ごく一部の物件はREINSに登録しなくても構いません(いわゆる非公開物件)。
これは、売主さんと売主さんから売却を依頼された不動産会社の間で「他の会社にも売却依頼できる」という一般媒介契約を結んだ場合に限定されます。
つまり、この売主さんに対しては、他の不動産会社も「うちの会社にも売却依頼してもらえませんか」と営業活動をすることが許されるため、自然とREINSへ登録されることが促されるのです。
例えば2社の仲介業者が直接売却依頼を受けて、それぞれの会社が売却活動をする時、REINSに登録すれば一気に全国の不動産屋さんが販売活動の応援団になってくれます。
頑なにREINSに登録をしないと、もう1社がREINS(客付仲介業者)を通じて先に買主を見つけてきてしまいますので、競ってREINSに登録するよう力が働きます。
もちろん、売主さんと元付仲介業者の間に特別な関係にあれば、完全に非公開な物件というものも出来上がりますがごく一部の話です。基本的にはREINSに登録されるように促される仕組みが整っているのですね。
※尚、非公開だからといって掘出物件であることとは全く関係がないことには注意しましょう。
おとり広告する業者が危険な理由。仲介業務で差別化できず押し売りに
物件情報量はどこもほぼ一緒です。おとり物件広告をしてしまう業者は、物件紹介の後にある仲介業務を差別化できない業者ともいえます。
ちなみに「物件情報No1!」という広告も見かけますが、本当の意味は「インターネット掲載量がNo1」という意味合いです。アクセスできる物件情報は大手不動産会社も中小も零細もほとんど変わりません。
だからこそ(契約することができない)魅力的な条件の物件を作り、お客様(買主)からの問い合わせをじっと待つということをしています。
そして、反響のあった買主さんには別の物件を紹介します。この時気を付けたいのは、おとり広告をする会社は、仲介業務自体に力を入れていない会社ということです。
そうすると、安全性や資産性の検証もせず、取引リスクも伝えられず、(他社で契約される前に)契約を急かす押し売りを受ける可能性が高いということです。
物件は同じなら、仲介業務にしっかり力を入れる会社を選びたいですね。
アメリカでは物件情報ではなくエージェント(担当者)を重視して不動産屋を選ぶ
不動産先進国アメリカは、日本の10年も20年も先を言っているといわれます。
情報公開の質・量、エージェント(不動産担当者)の対応、社会的なステータスまで異なります。
例えば、日本でいえば不動産業界って胡散臭い…というイメージがありますが、米国では弁護士や会計士などと同じ部類で専門家として認知されています。
そのアメリカでは、日本よりもはるかに非公開物件を厳しく規制しており、物件情報を等しく公開するということがかなり徹底されています。
そのため、買主さんとしては、物件情報ではなく、仲介サービスの質そのものに価値を置いて、不動産仲介会社(エージェント)を選びます。
どうせ同じ物件を買うなら、信頼できるエージェント(不動産担当者)を通じて買おうという考え方が根付いているのですね。
おとり物件かどうかに関わらず、物件の価値・リスクを一つ一つ検証する
おとり物件の広告は不動産業界の古くからある課題の一つです。
おとり物件かどうか?を見抜くのは「現地集合」を提案するという方法があります。
ただ、いちいち手間もかかります。それよりも、おとり物件かどうかに関わらず、一つ一つの物件の価値やリスクを冷静な目でしっかり見極めるクセをつけることが、失敗しないマイホーム購入の第一歩です。
そのためにも、(どの業者も同じである)物件情報ではなく、仲介サービスそのものに力を入れている不動産会社を選ぶことが大切です。
例えば、販売価格は妥当なのか、将来売る時に売れやすい物件なのか、耐震性に問題はないか、住宅ローン減税制度は適用できる物件か、管理状況はどうか、接道状況は大丈夫か…etcを当たり前にチェックしたいですね。
もし「今の不動産会社に不安がある」「買ってもいい家かチェックしながら家探ししたい」などのご希望がありましたら、いつでもミトミにご相談くださいね。
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