仲介サービスがスカスカな業者が頼る「おとり物件」。見分け方は「現地集合」

摘発が続くおとり広告。今月も42社に対し物件情報サイト掲載拒否の罰則

売ったり貸したりする意志がなく、実際には契約できない物件をインターネットの物件サイトに載せる「おとり広告(おとり物件)」。

ミトミでも、過去におとり物件の実例を目の当たりにしたことがあります。

今年に入っても、おとり広告に対して罰則を科すニュースが駆け巡っています。例えば2017年11月には、関東・甲信越の10都県の不動産業者42社が「おとり物件」をインターネットに掲載したというニュースもありました。

首都圏不動産公正取引協議会は、SUUMOなどの物件情報ポータルサイトに対して違反した42社の掲載を1か月以上停止するよう求め、ポータルサイト各社はそれら悪質業者の掲載を取りやめています。

これは、2016年12月に新たに導入された罰則規定が実際に初めて適用された形です。それにしてもなぜこんなにもおとり広告が蔓延し、それがなくならないのでしょうか。

おとり物件の目的は自社に来店させること。そして他の物件を契約させる

おとり物件は、実際には契約することができない物件をあえて消費者に対して周知します。目的はただ一つ、「自社に来店することを促すため」です。

賃貸物件でも売買物件でもおとり物件は見受けられますが、好条件な物件をネットに掲載し、お客様からが問い合わせしてくれるのをじっと待つのです。

そして来店したお客様に対して、「実は別のお客様から申し込みが入ってしまって…でも同じような他の物件がございますので」と他の物件で契約させようとするのです。

自分の店舗にお客様を釣るため・呼び込むための「餌」として、架空の優良物件(もしくは実在していても契約できない物件)を載せるのですね。

しかし、自社に来店を促すためとはいえ、なぜ特に不動産業界にはこれほどまでにおとり広告が根強く残っているのでしょうか。

隣の不動産屋でも同じ物件を取り扱える構造だからこそ、自社の来店にこだわる

その大きな原因の一つが、「どの物件でも、どこの不動産会社でも契約できる」という業界構造にあります。

不動産業者は「REINS(レインズ)」という業者専用のネットワークにアクセスできます。業者版SUUMOのようなイメージです。そこには全国の売り物件や貸し物件がほぼ全て掲載されています。

 

 

つまり、不動産屋の立場からすると「隣の不動産屋でも、うちと同じ物件を取引できるから、とにかくうちの会社に来店させて、うちを通して契約させたい」という動機が強く働くのです。

物件は同じでもお客様が選んだどこの不動産屋でも取引できるという不動産取引構造があるため、物件紹介だけしかできない(仲介サービスに中身のない)業者は嘘の物件を作り出すしかないのです。

おとり広告をせざるを得ない業者は、他社と差別化できない力のない不動産屋ともいえ、決してそのような業者とは取引しないようにしたいですね。

図面情報から見抜くのは難しい?実在する物件を使ったおとり広告も

おとり物件かどうかを、ネットに掲載されている図面だけから事前に見分ける方法はあるのでしょうか。

様々な意見がありますが、「こういう間取りだから、これはおとり物件だ」という分かりやすい言い方はできません。

というのも、おとり物件ではない、まっとうな実際に存在する物件情報をそのまま掲載して「物件価格」や「家賃」だけを安く表示させることなども行われているためです。

一見、普通の物件だなと感じても、周辺相場に比べて安かったり、設備が良かったりするものは要注意です。とはいえ、それは周辺物件を並べ立ててわかるもので、必ずしも初めから明確にわかるものではなかったりします。

例えば、「マンション名の記載がない」「住所が途中で切れいている」「外観写真がないなど、物件を特定する情報がない」というのは一つの目安にはなりますが、だからといって必ずしもおとりというわけではないのが実態です。

おとり物件の中には、ほんの少し優良に見せるような巧妙な手口も散見されます。図面情報だけから瞬時に判断できるものではありません。ではどのように確認すればよいでしょうか。

有効な見分け方は「現地集合」をお願いすること。拒否する場合は要注意

最も効率的な方法の一つは、「現地集合」をお願いしてみることです。

おとり物件は、内覧(内見)することができないため、不動産業者に内覧させる意思があるかを確認するのです。

架空の物件である場合にはそもそも現実にその物件はありません。実際に存在する物件でも契約する意思がないため、実際に現場を特定させて内部を見せてしまうと、後になって「まだ空いてるじゃないか!」と言われかねないのです。

ですので、好条件すぎる物件でおとりかどうか疑わしい場合には「お店への来店ではなく、現地集合でこの物件をみさせてください」とお願いしてみましょう。

業者としては、わざわざ来店してもらって現地に行って…という時間や手間暇が省けるため、本来であれば内覧が効率化でき嬉しい申し出のはずです。

それに対して、「お会いできないと住所をお伝えできません」「現地集合は迷われた場合に困ります。入居者から不審者扱いされます」「店舗に来ていただいて、お車で送迎します」などと頑なに拒否する場合は怪しいと考えましょう。

物件情報はどの不動産屋も同じ。仲介サービスを差別化している業者を選ぶ

おとり物件の問題がなくならないもう一つの原因は、不動産業界が「物件至上主義」という意識を持ち続けていることにもあります。

つまり、「不動産業」=「物件紹介業」といわんばかりに、多くの不動産会社が物件情報をまるで宝物のように打ち出しているのです。どの不動産会社でもほとんど同じ物件情報を共有しているのに、です。

それが、お客様に対して暗に「マイホーム購入は物件選びだ(賃貸取引はお部屋探しだ)」というメッセージを刷り込もうとしているともいえます。

 

 

それは、多くの不動産会社が自社のホームページに所狭しと物件情報を並べ立てていることからもよく分かります。特におとり物件を広告するような会社は、仲介サービスが差別化できておらず、アピールするものもなく、スカスカなのです。

本来、特に不動産売買(マイホーム売買)において大切なのは、物件を選んだ先にある「検証業務」です。

物件情報につられることなく(価値はなく)、不動産のリスクはなにか?といったことをしっかり見極めることこそ不動産屋の存在意義であり、役目であることを忘れないようにしましょう。

REINSを隠す不動産会社は、自社利益を優先するオイシイ取引を狙う?

実際、多くの不動産会社はREINS(レインズ)を隠したがります。虎の子の物件情報をお客様にみられることを嫌うのです。

それは、REINSには「誰が売主(側の仲介業者)か?」が記載されており、お客様が直接売主側の仲介業者に行くことを恐れるためです。「仲介サービスで差別化できない自社を通す意味がない」とお客様に悟られることを怖がるのです。

また、過去の成約価格や周辺の物件一覧など有用な情報もREINSには記載されており、そういった情報でお客様が知恵をつけるのを嫌う側面もあります。

例えば、SUUMOなどに載せる場合には、(両手取引など)手数料の多くとれる都合のいい物件(売主が業者の物件)だけを載せることができますが、REINSにはその他の物件も多く登録されています。

お客様にとっては利益があるが自社に利益を呼ばない物件を知られてしまっては、“オイシイ契約”ができなくなってしまうのですね。

不動産取引は物件探しではなく、物件探しの「前」に、リスクも積極的に開示する不動産会社を探しましょう。どうか安全で満足度の高い取引を行ってくださいね。ミトミにもお気軽にご相談ください!

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