首都圏の新築マンションが高止まり!反動で中古や戸建て取引が活況に

首都圏の新築マンションが売れない。供給戸数を絞っても価格高止まり

首都圏の新築マンションが、供給戸数も契約率も振るわず一人負けの様相を呈しています。

不動産経済研究所によると、全国の2016年の新築マンション発売(供給)戸数は「76,993戸」と、24年ぶりの低水準になりました。

その中でも大きく減少したのが(供給戸数の約半数を占める)首都圏です。発売戸数(35,772戸)も契約戸数(29,873戸)も、初めて中古マンションを下回る結果となりました。

競争の激しい首都圏において、土地仕入れ価格の上昇や建築資材の高止まり、人手不足による人件費の高騰、節税目的でのタワーマンション購入などにより、ボリュームゾーンである中間層に手の届かないところまで価格が上昇したことが要因です。

実際、全国の新築マンション価格の平均が「4,560万円」であるのに対し、首都圏が「5,490万円」、東京23区に至っては「6,629万円」と突出して高止まりし、買い手が不在なのです。

低金利以上に価格上昇、契約率も70%を割る水準に落ち込み。強気の価格設定も裏目

これまでは住宅ローンの空前の低金利によって、マンション価格の上昇はある程度許容できていました。

しかし世帯年収が緩やかな上昇に留まる中、首都圏の新築マンションは購入を敬遠する水準にまで値上がりしたのです。

結果として、供給戸数を絞り込んでいるにも関わらず首都圏における新築マンションの年間契約率(=契約戸数÷発売戸数)が好不調の節目といわれる「70%」を割り込み、需要と供給の両面が低調となっています。

売れ残りマンションには大手ディベロッパーの人気ブランドマンションも少なくありません。

供給側の要因として、特に大手ディベロッパーは強気姿勢で値付けしていたという要因もあります。過去の販売好調時に稼いだ資金が潤沢にあることや、空前の低金利で建築資金の金利負担が軽いなどの理由で売り急ぐ姿勢をみせていなかったのです。

同じ新築マンションでも近畿圏は需給共に好調。首都圏の価格値下げは時間の問題?

一方、同じ新築マンションでも近畿は好調です。

足元の2017年1月では約26年ぶりに新築マンションの販売戸数が、首都圏よりも多い状況となっています。

具体的には、同研究所が発表した1月のマンション市場動向によると、近畿圏の1戸当たりの平均価格は「3,341万円」、発売戸数が前年同月比+55.3%増の「1,396戸」、契約率も「75.1%」と需給共に好調です。

首都圏の価格値上がりが鮮明である一方、近畿圏は中間層にとって手ごろな価格の範囲で推移しており、これが供給戸数や契約率の差として如実に表れる結果となっているのです。

ここまで首都圏の販売不調が続けば、各社が値下げに踏み切るのは時間の問題といえるでしょう。

中古マンション・中古戸建ての成約件数は過去最高に。経年化も進む

発売(供給)が減らされ、契約率も振るわない新築マンション。その反動で、消費者の目が中古物件に向かっている構図が浮かび上がっています。

首都圏マンションは中古も新築も平均価格は上昇していますが、新築の「5,490万円」に対して中古の成約価格が「3,049万円」(東日本不動産流通機構)と明らかな開きがあります。

同機構によれば、2016年の首都圏中古マンションの成約件数は「37,189件」(前年比+6.9%)、中古一戸建ても「13,195件」(前年比+8.6%)となっています。

共に2年連続で前年を上回り、過去最高を記録しました。

中古は品質や保険制度など安心な取引環境が整備。築年数で安値購入の選択肢も

中古の取引が活発化した背景には、インスペクションの普及などで中古住宅の品質が分かりやすくなり、瑕疵保険制度など安心・安全な取引環境が整備されたこともあるでしょう。

加えて、中古物件は築年数が経つほど価格が安くなる傾向もあり、予算に応じて幅広い価格帯から選択できるという特徴があります。

実際、成約した物件の築年数も長期化傾向が続いています。

同機構によると、2016年はマンションが「20.26年」、戸建てが「20.81年」となり、安く購入するために経過年数の長い物件が成約している状況がうかがえます。

土地仕入れが安価でスピード開発が可能な「新築戸建て」も活況

首都圏の新築マンション販売の失速によって、割安感のでてきた新築戸建て販売が盛り上がりをみせているとの報道もあります(2017年3月13日付日本経済新聞朝刊)。

事実、2016年における首都圏新築戸建住宅の成約件数は5,245件(前年比+10.7%)と、2年連続で前年を上回っています。成約物件価格は首都圏平均で「3,522万円」と2年ぶりに前年を上回ったものの、新築マンションに比べて依然安い状況です。

新築マンションは、土地を先に仕入れて(建物規模に応じ)1~3年程度の時間をかけて建物を建てます。時間差があるため、土地を買った後に建築費の高騰があれば価格を上乗せせざるを得ないなど、中古と異なりディベロッパーの事情で価格が決まる仕組みです。

一方で、新築の戸建ては安値での用地取得が容易、仕入れから建築までのタイムラグも小さくスピード開発が可能です。狭小地でも建設でき、土地の仕入れ競争がマンションほど厳しくないためです。

そのため、新築マンションの価格高騰を好機と捉えた戸建て住宅販売会社が、都心部での販売活動を強めている様子が報じられているのです。

安さだけに惑わされない。長期的な資産価値と価格のバランスが重要

価格の高い首都圏の新築マンションを避け、中古物件や新築戸建てに消費者が流れることは資金面でみれば合理的ともいえます。

一方で、新築に比べ安いとはいえ、中古マンションもミニバブル期のピークを記録した2008年を上回る水準にまで上昇しています。今後は新築・中古共に値下げ圧力が高まると予想されます。

その意味では、首都圏の新築マンションの高騰や、その反動としての中古物件への流れは一過性の現象とも捉えられます。

目先の価格上昇に惑わされることなく、購入時期を冷静に見極める判断も必要でしょう。

購入価格だけで判断しない。事前検討をして、資産性のある住宅購入を!

安値物件にはそれだけの理由があります。特に、柔軟な供給ができる新築戸建ては、土地も建物も安くするだけなら簡単です。

例えば価格の安い旗竿地(出入り口部分の間口が狭く、奥まった場所にある敷地)や狭小地、駅から遠い土地でも建てられます。また、2020年度にはすべての新築住宅が改正省エネルギー基準に合致するよう義務付けられる予定ですが、今なら不適合な住宅も建てられます。

しかしながら、立地が悪く建物性能も悪い自宅は、将来の売却価格が安くなる可能性が高まることを忘れてはなりません。

マイホームは消費財ではなく、「多額」「長期」「不動」という特徴を持つ資産です。つまり住宅購入は、大きなおカネが動き、かつ購入後も長期的に付き合っていく投資です。さらに言葉通り購入後には「不動」な資産でもあります。

価格に対して資産性が見合っているかを事前にしっかりと検討し、長い目でみて優良な資産を購入しましょう。

【追記】住宅の省エネ化の流れは変わらないものの、2020年の義務化は撤回されました。詳しくは以下コラムをご参照ください

省エネ住宅の義務化が白紙撤回?!今後、新築戸建てを買う場合の注意点とは?

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