国が中古住宅の見分け方を公開?!「安心R住宅」がマイホームに及ぼす影響とは

国が優良な中古住宅を認定する制度が始まる!物件サイトでも一目でわかる

中古住宅は新築物件よりも安く購入でき、リフォーム・リノベーションで間取りや設備を自分好みに変えることもできます。

また、建物の状況や近隣・周辺環境も実際に確かめることができるメリットもあります。

一方で、建物の不具合はないか、汚れはないか、などといろいろ心配してしまいます。また、検討しようとした中古物件の情報を詳しく知ろうとしても、(個人の売主が多いこともあり)図面や履歴がないなど、情報が少ないケースも少なくありません。

そこで、国が優良な中古住宅を「安心R住宅」と認定する制度が始まることが決まっています。物件ポータルサイトなどにも、それが一目で分かるように商標を付けることが予定されています。

これまでは、「本当にこれを買ってもいいのかなあ…」と不安を抱きながら購入していた中古を、「具体的にこういう物件だから安心して購入できる」と納得感を得られることで、中古住宅の売買を活発にしていこうとしています。

中古物件を「〇〇住宅」と認定する制度が始まる?不安・汚い・分からないを解消

どのような基準をクリアした中古物件が「安心R住宅」と認められるの?

「安心R住宅」と認められるためには、一定の基準があります。

耐震性があることや、建物状況調査(インスペクション)を実施して「構造上の不具合」および「雨漏り」が認められないこと、「既存住宅売買瑕疵保険」を付けることができることなどです。

また、リフォームを実施するか、または、実施しない場合にも、参考価格を含むリフォームプランの情報を付すことなどが求められます。

さらに、住宅に関する情報があるかどうかを調べて公表します。具体的には、住宅性能や設計図書など「新築時の情報」、点検・診断の履歴など「維持管理の履歴」、「保険・保証」、「省エネ」、「共用部分の管理」の5項目があります。

これらによって、中古住宅に対する不安やマイナスイメージを払拭しようとするのです。

ここではこの制度の内容に深くは踏み込まず「適正な中古住宅をあらかじめ選別すること」が始まれば、どのような影響が期待できるかを考えてみましょう(制度の詳細は以下のページをご覧ください)。

【安心R住宅】耐震性やインスペクションに問題ない中古物件。国のお墨付き

売主が自宅メンテナンスを始める?将来の買い手を意識して資産価値を維持

マイホームを売りに出そうとした時、「安心R住宅」という商標が付けられれば、買主に大きなアピールになります。

この制度が始まることで、マイホームの所有者(将来の売主)が「将来の買主はこういうことを意識するんだな」と、自宅について考えるキッカケになる可能性があります。

「しっかりした中古住宅だな」と買主に思ってもらえれば、自宅を高く売ることができます。その為に、売主は積極的に建物の不具合を直したり、雨漏りやシロアリの対策をしたりと、住宅をメンテナンスする大きな動機付けになるでしょう。

現在は、自宅を買った後にそのままほったらかしにして特別なメンテナンスをしないことも少なくありません。売却活動も、不動産会社に丸投げして任せることが多いでしょう。

新築は不動産のプロである業者が建設し売却活動をしますが、中古物件はほとんど個人が所有しています。売る時になって初めて、「あちこちに不具合があるし、図面や修繕履歴もなにも残っていない」と判明することもあります。

普段から、住宅市場でなにが求められるかを意識させられることで、将来の売却を有利に進められることはもちろん、適切な管理を行うことで住環境が向上し、普段の生活でも快適な暮らしを送ることができるようになるでしょう。

買主がイメージだけで買わなくなる?“見えない部分”も意識し始める

中古住宅をマイホームとして買おうとする時、不動産取引に詳しくない買主はイメージで“なんとなく”購入を決断しがちです。

間取りや設備など内装がキレイというだけで、買うことを決めてしまうこともあります。逆にいえば、それ以外の情報が分かりにくい・調べなくても取引を進められる危険な状況にあるともいえます。

いくら表面が美しくても、地震が来たら壊れてしまう家や、シロアリが巣くっている物件であることを知っていれば買おうとは思わないでしょう。

この制度では、耐震性や建物の構造上の不具合、雨漏りの有無など、「直接は目にみえないところ」を業者と売主があらかじめ調査します。万が一に備えて瑕疵保険に入ることができる状態にして、売りに出すことも求められます。

これが当たり前になれば、いくら見た目が綺麗であっても、最低限の安心が確保されている物件でないと買い手が付きづらくなるでしょう。

この制度が普及すれば、買主から具体的に「インスペクションの結果はどうですか?瑕疵保険は付けられますか?」と安全な取引の知恵を付けていくことが期待されます。

不動産屋が事前に物件調査することが当たり前に?押売りもしにくくなる

不動産会社(仲介業者)は、物件ポータルサイトにとにかく数多くの物件(商品)を載せ、その物件に興味を持つ買主に営業をかけることで不動産取引に持ち込みます。

日本全国の物件情報は、REINS(レインズ)という不動産会社専門の物件データベースで共有されているため、いくらでも物件を載せることができます。

 

 

逆にいえば、それら一つ一つの住宅性能を丁寧に調べることに、手間も時間もかけることができていません。実際は、間取り図や家の大きさなど簡単に入手できる情報しか載せていません。

安心R住宅が普及すれば、少なくとも自社が売却を依頼された物件については、安心R住宅を満たす物件かどうか調べることになるでしょう。

安心な中古住宅であることをアピールしたい売主から、「安心R住宅の基準をクリアしているかどうか調べて欲しい」といわれるようになれば、なおさらです。建物調査を実施したり、瑕疵保険を付けたりと基本的な安全性を確認するようになることが期待されます。

買主に「いいこと」だけ言っても「安心R住宅の基準を満たしている?」と返される

不動産業界は押し売りや強引な契約が、まだまだ行われています。不動産屋は契約して初めて仲介手数料を稼ぐことができるため、「いいこと」だけ言って成約に持ち込むのです。

このような取引が実現する原因の一つは、個人の買主が、中古住宅の見方やリスクを十分理解できる環境にないためです。情報提供しなくても売買ができる、もっといえば、不動産屋がお客様を騙すことができる環境にあるともいえます。

安心R住宅の理解が進み、買主が安心R住宅の基準を最低限確認しておくべき項目だと認識するようになれば、「この物件はインスペクションをしていますか?」などとリスク情報を開示するよう不動産屋に促すことが期待されます。

不動産屋から「いい物件ですよ!」といわれても、「建物の構造上の不具合がないことを確認していますか?なぜいい物件といえますか?」と具体的に確認できます。

買主に対して真摯な姿勢で対応せざるを得なくなるともいえ、安全な取引環境が整う可能性を秘めているのですね。

安心R住宅が広まるかは未知数。でも中古の“買い方”が広まれば大きな成果

実際にこの制度が普及するかどうかはまだ未知数といえます。

不動産屋がいちいち手間暇かけて調べないかもしれない、調べてもそのコストが中古物件に上乗せされては本末転倒、安心R住宅を満たす物件が全体の数%だったら意味がない、などなどさまざまな課題が指摘されています。

しかしここで大切なのは、国として具体的な要件を決めて、中古住宅を買う時に最低限確認するべき(善し悪しを判断する)基準を決めたことでしょう。

それによって、消費者(買主)が「マイホームは、見た目ではなく品質も考えて買うものだ。具体的には、こういうところをチェックしなければいけない」という視点を持つこと自体、買主を危険な不動産取引から守ることに繋がります。

買い方そのものを、国が主導して広めていこうとしているともいえ、とても意義深いチャレンジともいえます。

消費者の反応をみながら改善を続ける。まずは2017年夏頃に制度詳細が発表

国交省としては、この制度の運用が開始された時に、実際に消費者がどのように反応するか?をみながら改善していくとしています。

「こんな情報も欲しい」「これはあまり意味がないのでは?」などの意見を踏まえながら、今後どんどん制度や要件は変え、実態に合った制度に変えていくつもりということです。

既にパブリックコメントの募集を終えており、それらの意見を基に現在、国交省が細かな点を詰めている段階で、今年の夏ころには制度の詳細が明らかにされる見通しです。

立地や資産性に優れた中古住宅の売買が活発になる可能性を秘めた「安心R住宅」、今後の動きに注目したいですね!

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