二世帯住宅(3世代同居)や近居が増加?!メリット・デメリットと税優遇

親や子どもとの同居・隣居・近居が倍増!共働き・介護のしやすい暮らし

核家族や単身世帯が一般的となり、いまや東京都では平均世帯人数が2人未満となっています。

その反面、東日本大震災を契機に「親や子どもとの同居・隣居・近居のための住み替え」を行う人が増えてくるのではないかという声もあります。

最近5年間に実施した住み替えの目的(複数回答・主なもの)(国交省:住生活総合調査(確報集計)結果の概要

5年ごとに国交省が実施している「住生活総合調査」の最新統計(2013年)をみると、2011年に起こった東日本大震災以降、「親、子などとの同居・隣居・近居」を2008年~2013年の間に実施した割合は10.6%と、その前の過去5年の5.3%と比べ倍増しています。

共働き世帯数が専業主婦(主夫)の世帯数1.5倍超まで増える中、保育所の待機児童数の解消が進まないことなどもあり、(親子間の協力によって)共働きがしやすく、かつ介護も安心な住まい方を模索しているともいえます。

親・子・孫が近くに住むための「住み替え」が増加中?暮らし方が見直されている

今後5年以内の住み替えを考えている(2013年時点)世帯のうち、その目的として「同居・隣居・近居」は第4位の「17.7%」となっています。

さらに実際に過去5年で同じ目的で住み替えた世帯は「10.6%」だったことを考えても、今後さらに家族と一緒に住まう暮らし方が増えていくかもしれません。

今後5年以内の住み替えの目的(複数回答・主なもの)(国交省:住生活総合調査(確報集計)結果の概要

実際には配偶者の反対や、住んでみて「やっぱり同居を解消したい…」となる場合もあることを考えると、どの程度受け入れられるかは不透明ではあります。

親・子・孫の3世帯同居や近居といった暮らしがあらためて見直されている今、そのメリット・デメリットを押さえておきましょう。

同居(二世帯住宅)には3種類。「小規模宅地等の特例」の適用条件に注意

同居(二世帯住宅)の戸数は、1985年ころから2010年までは右肩下がりで減少しています。しかし、核家族化などによるプライバシー意識の高まりなどを、世帯の“距離”でカバーできれば今後増加に転じる可能性も否定できません。

同居はその距離によって、大きく3つの種類に分類されます。

二世帯住宅の種類メリットデメリット
完全独立型
  • プライバシーが確保される
  • 同居のハードルが低い(配偶者の合意を取りやすい)
  • 互いの様子が分かりにくく子育て支援・介護がしにくい
  • 設備費や光熱費などがかさむ
完全同居型
  • 互いの様子を容易に把握でき、子育て支援・介護が円滑
  • 設備費や光熱費が節約できる
  • プライバシーが確保しにくい
  • 生活時間を合わせる必要がある
一部共用型
  • 一定のプライバシーが確保され、お互いの世話がしやすい

具体的には、すべての設備を独立させ生活空間を分離する「完全独立型」、逆に完全に同じ空間で生活する「完全同居型」、それらの中間として、キッチンや浴室など一部を独立させ、その他リビングなどを共用する「一部共有型」です。

それぞれのメリット・デメリットは上の表の通りで、距離が近いとお互い協力しやすい反面、ストレスになる可能性もあります。

共用型は、独立型・同居型の折半方式でそれぞれのメリット・デメリットを緩和するものといえます。それぞれの目的に応じて考えたいですね。

狭小地に3階建住宅を建て、賃貸併用住宅するケースも。事前検討をしっかりと!

特に都市部では、二世帯住宅を建てるには土地が小さすぎる場合があります。また、老後の年金代わりの収入が欲しいと考える場合もあります。

その対策として、狭小地に3階建(以上の)住宅を建てたり、その一部を賃貸として(1階部分を店舗として、または3階以上部分を居住用の部屋として)貸し出して賃料収入を得る「賃貸併用住宅」も建てられています。

しかし、人口減少・二極化と賃貸アパート・マンションの急増が起こる中、楽観的な事業計画を基に資金計算をしてはいけません。

例えば、その立地で本当に入居者がつくのか、三階建ての住宅供給は需要が少なく将来の買い手がつくのかといったことです。

また、賃貸経営において「大家さんと一緒のアパートに入居したくない」という方もいます。賃貸併用住宅を作るということは、不動産事業の経営者としての覚悟が求められます。しっかり事前検討しましょう!

【参考】敷地の相続税評価額80%減額の特例は、区分名義では適用されない!

自宅の敷地(土地)なら最大330㎡まで80%も相続税評価が減額される「小規模宅地等の特例」があります。

この特例は相続税額に大きな影響を与えるためぜひ利用したいものですが、適用条件が少し複雑です。

例えば、二世帯住宅が親子の共有名義であれば適用されますが、(二階建て二世帯住宅の一階部分が親名義、二階部分が子名義など)親子それぞれで区分登記をしている2世帯住宅の場合には適用されません。

区分登記の場合には、親の土地の上に、親の住宅・子の住宅それぞれ別の建物があると解釈され、子どもが別居し、親は親で一人で暮らしている状況と解釈されてしまいます。いわゆる「家なき子」という状態になるのです。

特に二世帯住宅の場合には、あらかじめ税理士などの専門家に相談しましょう。

子育て世代の60%にとって、同居や近居が理想の住まい方?!税の優遇も

「同居」の他に、「隣居」や「近居」も増えています。同じ(隣の)マンション内の別の住戸で暮らしたり、同じ敷地内に別々の戸建てで「程よい距離感を保って暮らす」ケースです。

子育て世代にあたる30~40歳代の約60%が3世代同居または近居を理想の住まい方と考えているとのアンケート結果もあります。

30~40歳代が考える理想の家族の住まい方(内閣府:家族と地域における子育てに関する意識調査報告書より国交省「若年・子育て世帯、高齢者世帯の現状と論点」)※アンケートは2013年10月4日~11月4日で全国20~79歳の男女を対象に実施

内訳をみると、同居よりは近居を選ぶ割合が多いようです。プライバシーや生活リズムを守るためにも、それぞれ自分の生活空間を確保した上で、お互い協力していくというのが一番抵抗感が少ないのかもしれません。

また、保育園の入園許可や介護認定にも、同居の有無が関係してくるため、あえて近居という立場をとる世帯もいるでしょう。

国の所得税控除や自治体の支援制度など複数。優遇措置を利用して快適な暮らしを

政府が推し進める1億総活躍社会実現プランでも、3世代同居や近居を後押ししています。

一定の要件を満たす複数の世帯が同居するためのリフォームや増設・増改築などを行った場合に所得税額が控除される優遇措置「同居対応改修に関する特例措置」や、同居や近居世帯に助成金を出すなど、自治体独自の支援制度もあります。

また、「子どもが近くに住んでくれるなら、住宅購入資金を援助してもいい」という親も少なくありません。住宅取得資金は、一定金額まで贈与税が非課税となる特例もあります(額は要件や時期によって異なります)。

同居や近居・隣居は、おカネの損得だけで考えられるものではありませんが、人間関係などその他に問題なければうまくこれらの制度を活用したいですね!

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