農地(生産緑地)を貸しやすくなる?不動産の2022年問題を乗り切る国の対策

都市の農地や緑を維持しようと政府が本格的に動き出した!

つっちーです!今日も、ミトミに転がってた日経新聞を眺めてました。。ええっと9月6日の古い新聞ですけど。。。

その一面に『都市農地維持へ税優遇 「生産緑地」22年期限 農水・国交省、転用を抑制』とあったんです。なかなか難しそうなお話ですが、生産緑地コラム眺めて読んでいたので、ちょっとは分かります。ちょっとは。。

「あ!生産緑地って知ってる!」 ※風邪ひいてます

内容をみると、農林水産省と国土交通省が、都市部の農地(生産緑地)をなるべくそのまま維持しよう!って動き出したということらしいです。

東京23区内でも、意外と田んぼがポツンと存在するエリアがあるのですが、都市の緑化は必要だからそのままにしようねってことみたいですね。個人的には嬉しいです(∩´∀`)∩

「なるほどわからん」

そもそも生産緑地が注目されるのは、「不動産の2022年問題」ともいわれていますが、これまで農地だったものが2022年に一気に住宅地になってしまうのか?!(地価が暴落するのか?!)という懸念があるのです。

本当にそうなるとは思えませんが、それでも念には念を入れ、「農地を農地のまま使って都市に緑を供給して欲しい」っていう政府の思いを反映した制度が作られていっているということですね。

1億㎡もの農地が住宅地に?!地価が暴落すると噂される「2022年問題」とは

そもそもなぜ都市部に農地が残っているの?「生産緑地」ってなに?

詳しくは、生産緑地コラムを読んでもらうことにして、、、ざくっといいますね。

むかーし昔、30年ほど昔の日本は、家を建てる住宅地が足りないという古き良き時代がありました。きっと不動産屋さん儲かってましたねー( `ー´)ノで、当然土地の価格が高騰して、放っておくと建物ばっかりになってたんです。

だから、良好な住環境を維持するためにも、農地(農業を営むための土地)を宅地(住宅を建てるための土地)にすることに一定の制限をかけました。つまり「この農地は農地のまま使ってね。宅地にしたらだめだよ」と指定された土地が「生産緑地」なのです。

ただそれだと農地を所有する農家からすれば、「宅地として不動産業者に売ったり、アパートを建てて不動産経営した方が儲かるのに!」という不満が出ます。

だから、農業を営む義務を課されることと引き換えに、固定資産税や都市計画税をうんと安くしたり、相続税の支払いを延期してもらったりと手厚い優遇をしたのです。

まあそうなると今度は、「農家ばっかり優遇して不公平だ!」「農業じゃなくてもっと他の用途に土地を利用した方がいい!」と反対する声もあったようですけどね。。難しい問題ですね。

2022年に生産緑地の指定が切れる!空き家が増える中で、家がドンドン建つの??

ざくっと言えてるか不安ですが、、要は生産緑地は税が優遇されることと引き換えに、農業する義務を負った土地ということです。

だから住宅が建つことはなく、住宅地にポツンと田んぼがあったりするんですね。そういう“農地縛り”を受けた土地(生産緑地)が、約30年前(正確には1992年)に生まれたんです。

そして…2022年にその30年が経過してしまうのです!

しかもこの30年間で状況は一変しました。バブル期にはあれだけ地価がぐんぐんあがっていたのに、その後急落、今は少し底入れした感がありますがまだまだあの当時の水準には程遠いです。

そして、あれだけ土地がない!て言っていたのに、都心部でさえ空き家が目立つようになり今後もこの傾向が続くとみられています。

こんな状況で、農地を一気に住宅地に変えられたら不動産市場が歪んでしまう!という懸念があるのです。さらに、災害避難場所や都心部での公園や緑の重要性が再認識されていて、やっぱり緑は欲しい!という声もあるみたいですね。

「農業を続けるか、土地を売るか…」困る地主。政府は選択肢を増やす

さて、この問題に政府はどのようにして緑地を維持しようとしているのでしょうか。

生産緑地法という法律に従って、多くの(生産緑地の所有者の内、約8割の)地主さんは、2022年がきたら「農業を続けるか、農地を売るか」という判断を迫られます。

身体的にも経営的にも農業を続ける体力がないから売却という選択肢が現実的です。売り先は、法律的にはまずは市町村なのですが、自治体の財政がひっ迫していてそんなに買い取る余力もないといわれています。

事実上、売り先は不動産開発業者(戸建て建売業者やアパート・マンション建設業者)になります。

あああああ…こうなると家がバンバン建って空き家増加に拍車がかかる!(´;ω;`)ということで、国は「特定生産緑地制度」というものを作ったのです。

つまり、「農業を続けるか、農地を売るか」にプラス「10年間、生産緑地の指定を延長するか」というオプションをつけました!つまり、問題先送り現状維持できる選択肢を作ったんです(; ・`д・´)これを「特定生産緑地の指定」といいます。

「特定生産緑地の指定」では高齢化に対応できない。ならば農地を貸し出しやすく!

そもそも高齢化で、農業を続けられない・後継ぎもいないという地主さんも少なくないということを忘れてはいけません!

つまり、売却以外の選択肢である「農業を続けるか、10年先延ばしにするか」というのは、“地主自身が農業を続ける”という前提があります。

でも実態は農業人口が減っているんです。そこで、農水省などは「ならば、体力のある企業やNPO法人などに農地を貸し出しやすくしよう!」という制度を推し進めています。

「ん?農地貸し出すだけでなんと大げさな…」と思ったあなた!農業というのは日本にとって重要な産業で(あといろいろ大人の事情とか利権とかあって)、貸し出すには「農業委員会」というガッチガチの規制を敷く組織の承認が必要だったんです。

これを、今後は市町村の承認があったらそれでいい(農業委員会の承認は不要)ということにしましょって話を進めています。

貸し出せば、相続税の納税猶予などのこれまで優遇していた税制をそのまま地主さんに適用するよ、政府も地主も借りてもみんなハッピーだね!ということを狙っているのです。たぶん。。。

都市部の農地って少ないでしょ?て思ったあなた!億ですよ億!!

なんでこんなに注目される記事なるかというと、やっぱり生産緑地が与えるインパクトが大きいからです。

都市部の農地って、イメージするだけでこっそりひっそり土地があるみたいなイメージですけど、全国に約1.3万ヘクタールあります。ヘクタールって小学校以来ですが^^;、「1ha=10,000㎡」です。

つまり、生産緑地は1.3万ヘクタール=13,000ha=130,000,000㎡…なんと「1.3億㎡」!!!(卒倒)ざくっといって、例えば敷地100㎡に一戸建てを建てまくるとすれば、130万もの家が建ちますよー!!!

 面積(ha)割合地区数
(都市数)
割合
東京都3,296 ha25%11,556
(27)
18%
(12%)
神奈川県1,380 ha10%8,830
(19)
14%
(9%)
埼玉県1,793 ha13%7,221
(37)
12%
(17%)
千葉県1,175 ha9%4,153
(22)
7%
(10%)
(関東圏合計)7,645 ha57%31,760
(105)
51%
(47%)
大阪府2,068 ha15%9,589
(34)
15%
(15%)
愛知県1,166 ha9%8,470
(34)
14%
(15%)
(主要都市合計)10,879 ha81%49,819
(173)
80%
(78%)
その他2,563 ha19%12,654
(49)
20%
(22%)
(全国合計)13,442 ha100%62,473
(222)
100%
(100%)

しかもですよ、農地っていうから地方にいっぱいあるかと思いきや、ほとんど都市圏にあるんですこの生産緑地。まあ指定の経緯からすれば当たり前といえば当たり前ですが。。

東京都だけで約3,300ha(全国の生産緑地の内約25%)、関東圏だけで約7,600ha(約6割)、それに大阪府と愛知県を加えた主要都市合計で約11,000ha(8割超!)なんです。

首都圏という、それだけ利用価値のある場所にある土地だからこそ、売ろうとする動機が働くことが予想されるので政府もしっかり緑の維持をしようとするんですね!

不動産の制度は政府主導で決まる?国交省のHPをみれば未来が分かる?!

不動産業界のお上は、なんといっても国土交通省様様様です。様を3つくらい付けてみました(”ω”)ノ

今回も、順当にいけば(何もしなければ)、生産緑地の期限切れで大量の土地が不動産業者に流れるでしょう。

実際、建売業者さんなんかは地主向けにセミナーなどを開いて虎視眈々と土地取得を狙ってるみたいです。

それを国交省(や農水省)が、時代に合わせた制度へ変更することでそれに歯止めを掛けようとしている、ともみることができます。

立地適正化計画、容積率緩和、安心R住宅…不動産の仕組みは国交省が決めている?

こういう例は枚挙にいとまがありません。マイホーム購入にもこういう制度変更は大きな影響を与えます。

例えば、都心部で土地が足りなくなったら容積率を緩和したり(都市の“上空”を使う)、人口減少に対応して「立地適正化計画」を定めたり、中古住宅の取引を活性化するために「安心R住宅」を作ったり。。

ある意味、不動産というのは国の制度に翻弄されやすいともいえるかもしれませんね(; ・`д・´)または、国交省のHPに未来が載っているともいえます!だからミトミは国交省の動きの解説なども続けているんですね~(*´▽`*)

今回の生産緑地については、まだ農地貸し出しの緩和制度は確定したわけではないですけど、「農水省はなどは早ければ秋の臨時国会に関連法案を提出し、年末の政府・与党による税制改正論議で必要な協議を求める」とあります。

今後の成り行きに注目です!私もまた新聞眺めておきます( `ー´)ノ

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