消費増税で不動産価格は上がる?下がる?家を買う最適なタイミングはいつ?
目次
所費税が10%に増税されるとどうなる?マイホームはいつ買えばいい?
2019年9月に消費税が8%から10%に増税される予定です。
+2%とはいえ、不動産取引は数千万円という大きな金額の取引となり、十万円単位で消費税額が増える可能性があります。
一方で、個人所有の中古住宅はそもそも消費税がかからない(非課税)ので影響はないこと、業者所有の新築・リノベ物件も建物部分にのみ課税されることなど、基本的なことは理解しておきましょう。
さらに、優遇制度の「すまい給付金」は年収775万円(目安)以下の人まで適用できるよう拡充され、最大50万円のお金が戻ってきます。
あわせて、住宅ローン減税の拡充なども予定されており、物件や購入者の属性によっても消費増税の影響は大きく軽減されることもあります。
こういう状況の中で、家を買うことに対して「消費増税の影響は?」「いつ買えばいいのか?」などについて考えてみましょう。
駆け込み需要・2020年オリンピック前の一斉売り出しで価格が下がる?
消費増税によってその後の不動産価格がどうなるかについては、様々な説があります。
よく聞かれるのが、消費増税によって消費マインドが落ち込み(家計が圧迫され)、増税前の駆け込み需要後に住宅市場も冷え込むというものです。
また、2020年のオリンピック・パラリンピック前に一斉に不動産が売り出され、(供給過多となり)消費増税による冷え込みと相まって、不動産市場の大きな値崩れが起きるともいわれます。
特に一部都心のタワーマンションなどは、5年ほど前に海外投資家が投資目的(キャピタルゲイン狙い)で爆買いしています。
これらが一斉に売り抜けようとすることで、値崩れが起きると予想されています。
不動産価格が上昇している中で、増税による消費冷え込み(や駆け込み需要)と、売却物件の急増が同時進行し不動産バブルがはじけるといった悲観論もあります。
過去の増税時は本当に駆け込み需要だった?新築から中古への流れという指摘も
一方で、駆け込み需要が本当にあるか、という疑問を持つ業界人も少なからずいます。
前回の増税時には駆け込み需要(需要の先取り)による反動で、増税後に新築マンションの大幅な供給減が起きたとされています。
ただ、これは一時的なものではなくその後もマンションの供給戸数は減少の一途をたどり、2016年には新築マンションの供給戸数が24年ぶりの低水準にまで落ち込んだほどです。
駆け込み需要だったのか、新築から中古への需要トレンドの変化だったのかなど、意見が分かれているところです(消費税だけでなく他の要因も多く絡んでいることも状況を複雑にしています)。
いずれにせよ、消費税増税だけを考えて先読みすることは難しいことが分かります。
一斉売り出しで影響を受けるのは都心湾岸部のタワマンなど限定されたエリア?
湾岸エリアなど投資目的で購入した物件の売出急増については都心の湾岸エリアやタワーマンションなど一部の限定されたエリアの話ともいえます。
加えて、オリンピックの5年後である2025年には大阪で国際博覧会(万博)の開催が決定されました。
政府は、2025年万博の経済効果を全国で約2兆円と試算、景気浮揚策に位置づけています。あわせて、大阪府・市はカジノを含む統合型リゾート(IR)の開業も目指しています。
消費税増税の影響以上に、不動産価格の下支えがなされ価格の一段高があると判断されれば、価格が維持・上昇するという見方もあります。
極論を言えば、消費者の多くが「増税後は値下がりするからそれまで待とう」と思えば、結局増税後の需要が高まり価格が上昇します。
エリアや経済環境の変化、消費者行動まで含めて考えてみると、いろいろなシナリオがそれぞれ合理性を持つことになりますね。
売主の違い(物件の種別)で影響が違う!個人売主はそもそも課税されない
売主の違いによっても様相は異なります。個人が所有する中古住宅はそもそも、売買価格に消費税がかかりません(非課税)。
消費税の影響を直接受ける物件は、新築住宅やリノベ物件など売主が業者(課税事業者)の物件です。
個人は利益を追求する立場でもなく、すべての物件が影響を受けるというわけではないということです。
ただ、消費マインドが全体的に低下し、消費税が課税される多くの売主業者物件が値下がりをした場合、それに引きずられて本来は消費税の影響を受けない個人売主物件も値下がりすることは十分考えられます。
尚、(数万円程度の支払い増加に留まりますが)個人の中古住宅取引においても、仲介手数料や住宅ローンの融資手数料、司法書士の報酬などには消費税がかかることは知っておきましょう。
新築やリノベ物件でも価格動向は違う?逆算で後から消費税額が決まることも
売主が業者の物件の中でも、値上がり・値下げどちらになるかは状況に応じて異なるでしょう。
消費税分そのまま価格があがる場合や、設備などのグレードを落とし価格維持しながら実質的に値上げをする場合があります。
一方で、消費税分を業者が負担し価格値下げなど、会社の規模や経営方針によってさまざまな展開が予想されます。
また、そもそも例えば新築住宅の場合、消費税込みの価格を始めに決めて販売することも少なくありません。
例えば、「このエリアなら、税込みで5,000万円で売れる」と初めに事業計画で総額の販売価格が決まります。その後に、消費税を逆算することが多いのです。
土地には消費税がかかりません。土地の割合を若干大きくすることで、建物部分の税抜き価格を下げ、消費税込みの金額を維持するということもあるのです。
好立地物件はむしろ価値が上がる?個人が売主なら値下げしないケースも
エリアによっても売買価格の変化に違いがあることが予想されます。特に郊外住宅の影響は大きいと考えられます。
結局は需要と供給のバランスです。例えば、都心の好立地物件であれば、消費税分値上げして強気価格で売り出すことも十分考えられます。
特に企業と違って売却の期限がなく、そもそも消費税増税の影響が少ない個人の売主であれば、いい物件を安易に値下げしてまで売ろうとしないでしょう。
特にインスペクション(建築士による建物状況調査)が徐々に普及する中、中古住宅の質は以前より見極めやすくなっています。
メンテナンスの行き届いた高品質の中古住宅は、むしろ消費増税によってその価値があらためて見直される好機となるケースすらあるでしょう。
都市部に比べ土地の仕入れ値が安い郊外の新築住宅。値下げされる可能性が高い
一方で、郊外の新築住宅(戸建て・マンション)は大幅な値下げも考えられます。
現在、新築住宅を建てるビルダーは、戸建て・マンション用地(土地)の仕入れに苦戦しています。特に都心で土地値が高止まりしており、思うように用地仕入れができません。
結果として、(資金力の乏しい会社などでは)土地値が比較的安い郊外に新築住宅を多く建てていますが、思うように売れていないケースも散見されます。
その状況で増税となれば、価格競争(在庫処分)が始まり、ますます値下げをせざるを得ない状況となるでしょう。
消費税は日本全国一律に影響をおぼよすのではなく、エリアによってプラスにもマイナスにも働くのですね。
不動産は「税」より「金利」が影響大。待つことで金利上昇リスクがある
以上、さまざまな角度から増税後の動きを読む難しさや不透明な部分の多さをみてきました。
増税後に価格が上がる・下がる・維持する(関係ない)というまったく異なる説があるのは、それぞれ前提としているものが大きく異なるためです。
その前提の上で、一般的に不動産価格に大きな影響を与えるのは、「税」よりも「金利」です。
現在、所得の上昇率よりも不動産価格の上昇率が高い状況においても、売買が盛んな理由の一つが史上空前の低金利であることです。
一方、足元では長期金利が上昇しており、今後金利上昇していくリスクがあります。消費増税の後に買おうと考える場合、住宅ローン支払い総額が膨れ上がるリスクがあります。
購入を「待つリスク」といえ、総合的な視点を持って住宅購入の時期を考えましょう。
賃貸に住んでいる場合、購入を先延ばしすることで家賃支払いリスクあり
さらに現在賃貸物件に居住している場合、家賃を支払い続けなければならないという事実もあります。
例えば月10万円程度支払っている場合、1年末だけで単純に▲120万円の出費が発生します。消費増税分を十分吸収できる金額です。
売買代金だけを意識してしまうと、損する買い方となる可能性もあります。金利上昇リスクも含めて考えればなおさらです。これも「待つリスク」です。
結局、増税の影響に関する“一般論”と、実際に自分が買う物件がどの程度影響を受けるかという“具体論”では大きく異なります。
実際には、一つ一つの物件を買う前に、資産性や価格の妥当性をしっかりチェックすることがなにより大切といえます。
「消費増税だから焦って購入」は厳禁!購入前にしっかり検証してもらう
消費税の増税は確かに大きなインパクトを持ちます。ただ、消費税の動向だけで不動産購入の判断をするのはあまりおすすめできません。
増税前後のさまざまなシナリオに一喜一憂するのではなく、具体的に購入を検討しようとしてる物件の資産性や、ご家族のライフプランなどを一つ一つ検証することが大切です。
もちろんその上で「待つ」という選択肢もまったく問題ありません。
購入する・しないに関わらず、厳禁なのは、不動産会社が検証・チェックをなにもせず、根拠を持った説明も受けずに購入・見送り判断をすることです。
「早く買った方がいいといわれたから、勧められるがままに買った」「待った方がいいと言われたから、良さそうな物件の購入を見送った」とならないよう、しっかりと説明を受けてくださいね。
もちろん、いつでもミトミにご相談ください!
【P.S.】「この家、買っていいのかな?」…迷わずご相談ください!
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