等価交換は土地とマンションの住戸を交換する取引

等価交換とは、地主(土地所有者)が自分の土地を差し出す代わりに、建築業者がその上にマンションを建てるものです。

そして、建築業者が建てたマンションのいくつかの区分を地主に与えるという不動産取引の方法です。

つまり、地主は自分の土地を一部失いますが、その代わり新築のマンションの複数戸(場合によっては一つの住戸)が手に入るという物々交換なのです。

地主とディベロッパー(建築会社)との共同事業

例えば、地主(土地所有者)が土地評価額3億円の土地を差し出し、不動産会社(建築会社)が7億円のおカネを用意してその土地にマンションを建築します。

これはマンションを建築するプロジェクトに、地主が30%相当額の土地を出資し、建築会社が70%相当の現金を提供した共同プロジェクトなのです。

そして、竣工したマンションの内、30%相当に当たる住戸を地主が、残り70%相当を不動産会社が保有します。

割り当てられたマンションの活用方法は3つ

新築マンションを土地と交換した地主には3つの活用方法があります。

与えられたマンションを「自分で住む(事業用として使う)」「賃貸マンションとして他人に貸し出す」「売却して現金化する」という3つの方法です。

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また、建築会社は地主に割り当てた以外の住戸(上の例でいえば70%相当の住戸)を分譲マンションとして売り出し、利益を確保します。

お互いが儲かる仕組みが等価交換事業なのですね。

戸数の割り当ては「出資額方式」と「収益還元方式」の2つ

割り当て戸数を決定する方法は大きく「出資額方式(原価積み上げ方式)」と「収益還元方式(市場性比較方式)」の2つがあります。

ここでは出資額方式を前提として説明しています。

「出資額方式(原価積み上げ方式)」とは、土地評価額と建設費を合計した総事業費の内、土地評価額の割合に応じた床面積を土地所有者に還元する方法です。

「収益還元方式(市場性比較方式)」とは開発事業者(建築会社)が最低限確保したい利益を基に、必要専有部分の床面積を計算し、残りを土地所有者に還元する方法です。

等価交換事業の大まかな流れ。建築前に地主と合意・契約

等価交換の手順は大まかに以下の流れで進みます。

【1】ディベロッパーが基礎調査・採算性検討後に地主の合意を得る

まず、ディベロッパー(建築会社)が環境調査や建築コスト、法的規制などを調査し、土地が活用できるか見極めます。

そして収支が合うかシミュレーションし、採算性を検討します。

handshake_ss収益が確保できそうであれば、その大まかな土地活用プラン(事業計画)を地主へ持ち込み、基本合意書を結びます。

ここで、建築後のマンションやビルのいくつの住戸を地主へ渡すのか、その交換比率の合意を取ります。

住戸で綺麗に割り切れない場合は、調整分を現金で渡すことも合意書の中に盛り込みます。

【2】マンションの間取りなど詳細設計をし、地主と契約書を締結

その後、マンションの間取りや設備の詳細な設計に入ります。

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割当床面積や区分数、割当階数、土地の所有権移転日やマンションの引渡し日など細かい部分まで条件を決定していきます。

それを経て、条件に合意ができれば等価交換契約書を地主と結びます。

【3】ディベロッパーがマンション建築後、地主に住戸割り当て

ここからは建築会社が工事を開始し、設計書通りにマンションを建築します。

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できあがれば、等価交換契約書通りに、元の土地所有者に区分マンション(場合によってはキャッシュ)を引き渡します。

不動産会社(建築会社)は元の地主へ引き渡した住戸以外の部分について、分譲マンションを販売して利益を確保します。

等価交換のハードル3つ。採算性のよい土地に限定される

地主は自己負担ほぼゼロで新築マンションを取得できたり、権利関係の調整につよい等価交換。

しかし、等価交換事業は、開発事業者(ディベロッパー)にとって採算性の合う土地でなければ事業自体が成り立ちません。

大きく「立地」「敷地面積」「容積率」の3つがポイントとなってきます。

分譲マンション販売で利益をとれるような「好立地」の敷地が必要

まずは立地が大事です。

ディベロッパーとしては、マンションを建設して土地所有者にマンションの住戸を割り当てた後は、残る区分マンションを分譲販売しなければ利益を確保できません。

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つまり、売れるマンションでなければならず、立地の良い土地でなければ事業を行う動機がわかないでしょう。

マンション用地に適したある程度まとまった土地、かつ、利便性の良い土地というのは多くあるわけではありません。

そんなに頻繁に等価交換が成り立つものではありません。それは、立地の良い土地という条件をクリアするのはそんなに簡単なことではないことが最も大きな理由の一つです。

マンション住戸を多く取れる「敷地面積」と「容積率」が必要

敷地面積について、基本的にマンションやビルを建築しますので、それなりの広さが必要になります。

100坪程度は最低必要と考えておいてよいでしょう。

商業地域_s容積率について、いくら敷地面積があっても、容積率が小さい場合にはあまり多くの住戸を作ることができなくなります。

そうすると、土地所有者に割り当てた後の残り戸数が少なくなり、ディベロッパーの収益があがりません。採算性が悪く事業として成り立たないのですね。

その他高さ制限など他の法令も大切になってきます。規制の緩い商業地域や近隣商業地域にある土地が好まれます。

等価交換事業は地主との調整が一番難しい

等価交換事業はたくさんのメリットや活用方法がありますが、課題の一つが地主との合意形成といわれます。

特に、複数の地主がいる場合にはそれが難航しやすい傾向にあります。

虎の子の土地を差し出すのです。やはり地主の「それに見合った資産を割り当ててほしい」と気持ちもとてもよくわかります。

ただ、度が過ぎてしまうと、事業がうまく進まないのです。

地主とディベロッパーは共同事業者。計画変更リスクも含めて理解しあう

地主は、ディベロッパー(開発事業者)の共同事業者でありパートナーであるという意識の醸成が大切だといわれています。

割当床面積の決定や、区分数、割り当てられる階数など決める項目は多岐にわたります。「どうせなら広い住戸がいい」「もう一部屋増やしてくれ」「もっと高層階がいい」など、要望を上げたらキリがありません。

また、一旦合意し、基本合意書や等価交換契約書が締結されたとしても、マンションを建設し、実際に引き渡されるまで、(規模にもよりますが)2~3年を要するでしょう。

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その間に経済状況や不動産市況が変化することで、2~3年前に想定したマンションの資産価値とかい離することもあるのです。

等価交換事業に合意する時には、まだ建物が建っていないので、それぞれのイメージで話が進みます。

実際に建設されてから、「こんなはずじゃなかった」とならないともいえず、将来を見据えてしっかりと合意形成することが課題となります。

新たな居住者のことも考えた透明性高い事業内容が大切

等価交換事業に登場するプレーヤーには、大きく3者います。

特に土地所有者(地主)と開発事業者(建築会社)に加えて、建設された分譲マンションを購入する新たな居住者がいることを忘れてはいけません。

建築会社としては、等価交換事業を進めるために、地主の要求を過度に呑んでしまう場合があります。

地主は自分の権利が大きくとれるように主張し、建築会社は分譲マンションが売り切れれば利益を確保できます。

将来のマンション利用者のために不透明で不合理な取り決めはしない

自分たちの利益を過度に追求して、密室の合意がなされれば、一番の不利益を被るのは分譲マンションを将来購入する方になるのです。

あらかじめ不透明な合意がなされたマンションを購入させることは許されることではないでしょう。

bad-person_ss具体的には、土地の所有者の住戸のみ管理費や修繕積立金を不合理に安く設定することが考えられます。

また、等価交換の対象となる土地に隣接する土地を同じ地主が所有している場合、そこをマンションの駐車場に変更し、相場より高い駐車場代金に設定することもあります。

長期的に快適な住環境を実現するには健全なマンション管理が必須

地主に割り当てられる住戸数が多い場合、マンション管理組合での発言力が増します。

健全なマンション管理運営が阻害される恐れもあります。特に、中小規模マンションであれば、事実上、地主の意向がそのまま管理組合の意向として反映されることになり、注意が必要です。

等価交換事業で竣工した分譲マンションを購入される場合には、特段不透明な合意がないことの確認や、特定の人間が保有する戸数が偏りすぎていないかなどを確認しましょう。

悩む・困る・ご近所トラブル_sもし、悪質な地主が多くの戸数を保有し、管理費などを免除されているという場合、適切に修繕計画を実施できない可能性もあります。

そうすると購入した分譲マンションの資産価値を下げる事態など、誰も得しない状況を招くことも考えられます。

性悪説で述べていますが、もちろん、信頼できる開発事業者や地主であれば、大きな問題にはならないかもしれません。

しかし、例えば地主が死亡しその後一人の相続人が住戸を引き継いだ場合など、何が起こるかわかりません。しっかりと確認し、安全安心に納得して不動産取引をしましょう。

土地の譲渡方式に注意!「全部譲渡方式」は危険が伴う

等価交換の場合、地主から開発事業者(建設会社)に土地を差し出します。

この差し出し方には、「全部譲渡方式」と「部分譲渡方式」があります。

全部譲渡方式はマンション建設会社、部分譲渡方式は地主に有利

全部譲渡方式は、特に資金力のない建築会社にメリットがある反面、土地の所有者には大きな危険が伴います。

部分譲渡方式は土地所有者に税金面でメリットがあり、お金を節約できるメリットがあります。

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できるだけ部分譲渡方式で契約するようにしたいですが、信頼できる開発事業者が資金調達できず事業が進まないのでは本末転倒です。

しっかり見極めて契約しましょう。

全部譲渡方式とは一旦すべての土地を譲渡する方式。過去にトラブルも

全部譲渡方式とは、マンションを建設する前に、土地の所有者が開発事業者に土地の所有権を譲渡(移転)する方式です。

マンションが建った後で、開発事業者から土地の所有者へ土地付き区分建物の譲渡を受けます。

開発事業者のメリットとしては、土地譲渡方式を「全部譲渡方式」とすれば、自分の土地とできますので、等価交換対象の土地を担保に金融機関から資金調達できます。

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つまり、資金調達に苦労することなく事業がスムースに進むのですね。

一方で、先に土地を譲渡するということは、マンションが建っていない段階で、土地は開発事業者の名義になるということです。

悪質な場合、マンション建設会社が土地を第三者に転売したり、マンションを建てずに会社を計画倒産させた詐欺事件も実際に発生しています。

部分譲渡方式とは後から帰ってくる共有持ち分の土地は譲渡しない方式

部分譲渡方式とは、土地所有者が土地の一部のみ譲渡します。

この一部の土地評価額に相当する区分マンション(建物)を割り当てるようにする方式です。

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マンションを建築後、土地の所有者に住戸を割り当てますが、それはマンションの建物部分+共有持分の土地を割り当てるということです。

どうせ後で共有持分相当の土地が帰ってくるのであれば建物部分に相当する土地だけ譲渡して、返還される土地は初めから譲渡しないという方式なのです。

地主のメリットとしては、(詳細は割愛しますが)全部を譲渡する場合に比べて、土地の名義移転に伴う登録免許税や不動産取得税など税金が安くなるということです。出ていくキャッシュが少なくなるのですね。

【参考】マンション建替えは、自己資金負担の少ない等価交換を多く利用

等価交換がよく用いられるのはマンションを建て替える時です。建替えの時には、解体費や建築費など多額のおカネが必要となります。

きちんと計画的に積み立てていれば問題はありませんが、往々にして不足しているのが実態です。

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その場合に、区分所有者がおカネを出し合うという合意を形成するのも至難の業です。

そんな時に使われるのが、資金を用意する必要のない等価交換なのです。

近年は事業が成り立たない傾向。今より規模の大きなマンションを建てられないため

しかし、最近は等価交換事業が成り立たず、マンション建替えが実現しないことも多いのです。容積率と既存不適格が課題となっています。

等価交換事業は事業者が建設したマンションを分譲販売することで利益を確保します。もし既存のマンションがギリギリまで容積率を使っている場合はどうでしょうか。

建ぺい率・容積率_sその場合、新たに建築したマンションの住戸を増やすには、一つ一つの住戸の面積を小さくするなど、既存の入居者にとっては痛みを伴う提案がなされ現実的ではありません。

つまり、等価交換によるマンション建て替えは、今よりも大きなマンションを建てることを前提としているのです。

容積率を余らせず、最大限土地を有効活用して建築されたマンションの場合、等価交換によってマンションを建て替えるのは難しいのです。

既存不適格のマンションは今より小さな規模に。隣地と含めた開発なら可

等価交換によらず、建替えという時に問題になるのが、既存不適格建物です。

すなわち、建築当時の法律では合法であったものが、建築基準法の改正などにより、現在の法律にはそぐわなくなったものです。

%e6%82%a9%e3%82%80%e3%83%bb%e4%bb%95%e6%96%b9%e3%81%aa%e3%81%84_sこの場合、制限が過去より厳しくなっているということで、建替え自体が難しい物件です。

そのままの大きさのマンションを建替えることはできず、建て替えてしまうと、既存の入居者が住戸を確保できない事態に陥ってしまう可能性が高いのです。

このような場合には、マンション隣地の土地が空いているならその土地を含めてマンションを建て替えることや、隣接するマンションも同じく建て替えしたいという場合に共同で大きなマンションに作り替えることはできます。

lamd%e5%9c%9f%e5%9c%b01_sまた、一定規模の敷地面積を要するなど一定の条件はありますが、特定行政庁の許可が取れれば、容積率や高さ制限を緩和できる「総合設計制度」を利用するのも一手です。

しかし、本当に建替える必要があるのか、改修や修繕で対応できないのかなど、建て替えありきではなく、まずは多角的な検討が大切でしょう。

等価交換のまとめ

ここでは、「土地売却」×「建物取得」の合わせ技である等価交換という手法をみてきました。

開発事業者とタッグを組み、資金を必要とせずにマンションやビルを建てることができるメリットの多い方式です。

一方で、等価交換は事業として採算性があわないと実現できない手法でもあります。

どの土地でも実施可能なものでないことに加え、実施できる土地であっても、地主との合意形成がスムースにいくかどうかがキーとなるものでした。

次は等価交換における地主(土地所有者)やディベロッパー(建築会社)のメリットを具体的にみていきましょう。

等価交換のメリットと活用法。賃貸経営や相続時にも有効

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