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賃貸マンションほどリスクを取らず、手軽に始められる土地活用法
土地の活用において、賃貸アパート・マンションで運用するにはコストやリスクが高い特徴があります。
例えば、多額のローン支払いがあり、また突発的な修繕費用が必要となったり、入居者が確保できず空室となったり多くのリスクを伴います。
また、競合の賃貸住宅が多く、また駐車場や倉庫など他の用途として活用したほうが経営が安定する場合もあるでしょう。
このような場合に、賃貸住宅以外の設備を設置し土地を活用する方法を考えていきましょう。まずは駐車場からみていきましょう。
駐車場の方式は、月極駐車場とコインパーキングの大きく2つ
駐車場経営には、立体駐車場(屋内タイプ)と平面タイプ(屋外タイプ)の2種類にわかれます。
立体駐車場は、駐車場用の建物や機械を設置し、上方向に駐車場を伸ばすものです。
大型なものになると、駐車場専用のビル(タワーパーキング)を建てる場合もありますが、これらは業者向けといえるでしょう。
一方で、平面タイプは、更地に駐車スペースの区切り線を引いた青空パーキングをイメージください。初期費用が少なく、個人で駐車場運営を考える場合には屋外タイプといえます。
この平面駐車場には、駐車場スペースを月単位で借りる月極駐車場と、15分単位などで借りるコインパーキングの大きく2つに分かれます。
どちらが収益性に優れていると断定できるものではなく、立地や周辺の需要に大きく左右されます。
常時駐車スペースが埋まるくらいの需要がある都心部の駅チカ周辺などはコインパーキングとする方が有利ですが、地方部などでは一般的に月極駐車場とした方が経営が安定します。
メリットはリスクの低さや土地の制限の少なさ
土地を駐車場として運用する場合のメリットは、小さく始められ、土地の形状や大きさの制約も少なく、もし事業撤退する(他の用途に使う)場合にも容易に行えることです。
低予算で開始でき、失敗しても損害が少ない
賃貸マンションの場合には、建物を建設する(もしくは建物を相続などで引き継ぐ)ため多額のローンを組み、毎月その支払いが発生することが一般的です。
一方で、駐車場経営の場合には、舗装費やフェンス設置費などがかかります。また、コインパーキング用の場合には設備導入やメンテナンス費用もかかります。
(場所や広さにもよりますが)それでも200万円程度(コインパーキングの設備を導入する杯には+200~300万円程度)の初期費用で開始でき、賃貸アパートの建設費と比べれば極めて安価といえるでしょう。
狭小地や変形地でも駐車場として活用できる
賃貸アパートなどの場合には、ある一定の広さが必要で整形地でない場合、さらに建築が難しくなるなど、土地の面積・形状に左右されます。
しかし、駐車場の場合には小さな土地でも変形地でも、自動車が駐車できる広さがあれば経営できるため、土地の制約は低いといえます。
また、自動車だけでなくバイク(自動二輪車)の駐車場とすればさらに土地の自由度が高まります。
転用や更地への変更が容易
賃貸住宅の場合には、借主を強く保護する借地借家法などが適用され、立ち退きは困難を極めます。
そのため、土地を他の用途に転用しようと考えても、事実上不可能な場合が多いものです。
しかし、駐車場の場合には人が住んでいるわけではないためそのような難しさはなく、3カ月前の通知など事前通知によって利用者を立ち退かせることができます。
つまり、駐車場事業を止めることができ、新たな土地活用を行うことが可能なのです。;
デメリットは土地の非効率性いによる収益性の低さ
デメリットとしては、税制優遇が受けられないことや、初期費用が少ない(リスクを取らない)分、利益(リターン)も少ないことなどがあげられます。
固定資産税が優遇されない
住宅が建っている土地の場合、固定資産税および都市計画税が1/6や1/3と大きく軽減されます。
しかし駐車場の場合にはその特例が適用されず、賃貸アパートなどと比べ、6倍もの固定資産税を払うことになります。
また駐車場は更地としてみなされ、相続税対策においても節税効果に乏しいという現状があります。
率はよいが収益額が少ない
駐車場は事業開始に必要な資金が(賃貸住宅に比べて)少ない分、投資利回りは30%を超えることもめずらしくなく、2~3年で初期費用を回収できることも多いものです。
しかし、これは初期投資額が少ないためであり、額でみた時、賃貸住宅に比べてかなり少なくなります。
リスク・リターンの原則通りの当たり前の話ではありますが、収益額は大きくないことは理解しておきましょう。
例えば、都市部の200㎡の土地に、10台の自動車を月極1.5万円/台で駐車させる場合、年間収益は180万円(=1.5万円/月・台×10台×12カ月)です。
賃貸アパートで200㎡の敷地面積があれば10部屋は取れるため、賃料を7万円/月としても年間収益は840万円(=7万円/月・部屋×7部屋×12カ月)となり、その差は歴然です。
駐車場用地はアパートやマンション建築などと比較して大きな建築費がかからず、修繕費などもあまりかからない一方で、大きな収益も期待できないという意味では、ローリスクローリターンの経営といえるでしょう。
土地活用の効率が悪い
駐車場は自動車やバイク専用の建物を建てて立体駐車場としない限り、土地を上に伸ばして活用することはできません。
つまり、1階部分のみしか有効に利用できていないといえます。
賃貸住宅であれば最低2階建てと、同じ敷地であっても2倍の活用度を持っているといえます。そのため、収益額が少ない結果となっているのですね。
実際に駐車場を回って競合の状況を調査する
駐車場は賃貸アパートなどと異なり、どれくらい駐車場が埋まっているか外からわかります。
駐車場経営を開始しようと考えたら、その土地周辺の駐車場を見て回り、どれくらいの稼働率が実現できているか事前調査しましょう。
また、月極駐車場とコインパーキングの比率がどのようになっているかも含めチェックし、駐車場事業を開始するか、そして月極とコインパーキングどちらの形態で実施するか考えましょう。
特に都市部では、車を日常的に使わない方が増えており、マンションに備え付けの駐車場も外部に開放しているところも少なくありません。
その場合にはマンションの駐車場の稼働状況含め調査するとより精度の高い事業計画が立てられるでしょう。
駐車場料金の相場は都市と地方で数倍も異なる
月極駐車場は、地方部と都心部でも変わりますが「0.5~3万円/月・台」が相場といえるでしょう。高いところでは5万円/月を超えるところもあります。
コインパーキングは、これまた立地によりますが「100~500円/時・台」程度が相場といえるでしょう。高いところでは1,000円/時を超えるところもあります。
仮にコインパーキングが24時間1カ月フル稼働すれば「7.2~36万円/月・台」となり、月極駐車場より収益が高いことがわかりますが、これは理論値です。
立地や需要に応じてどちらのタイプにするかを決定しましょう。
定期メンテナンスやトラブル対応が必要。管理運営の丸投げも可能
賃貸住宅には、家賃回収や共用部分の清掃、設備故障などのトラブル、入居者からの騒音苦情、未契約者の無断使用など様々なトラブルが起こり日常的な管理を管理会社に任せている方も多いでしょう。
駐車場も同様で、集金業務や定期的な清掃、設備の保守・故障対応、駐車場利用者からの苦情などのトラブルに対応しなければなりません。
特にコインパーキングでは、駐車場利用時に自動車に傷がついたことへのクレームや、駐車場利用者同士のトラブル、おカネを支払わないように巧みに駐車する利用者、精算機の防犯対策など、さまざまな問題が発生します。
自主管理(自分で管理)することもできれば、それらが面倒くさい場合には専門の業者に管理を委託することも可能です。
月極駐車場であれば機械故障やトラブルの発生が少ないと考えられますが、設備保守やトラブル対応が煩雑なコインパーキングの場合は外部業者に委託することも一案でしょう。
収益を圧迫するのは、固定資産税・都市計画税
駐車場を経営する場合、初期費用としての舗装費や設備費は全国でそんなに大きく変わるものではありません。
大きく変わるのは固定資産税・都市計画税です。
都会は地方に比べ、固都税が何倍も高く、同じ駐車場経営をしていてもこの費用で大きく収益に差が出ます。
もちろん主要都市であれば駐車場の料金や稼働率は一般的に上向くと考えられますが、いずれにしても固都税という大きな費用を忘れてはいけません。
舗装のない青空駐車場は相続税の節税の効果なし。舗装をおすすめ
更地の土地をジャリを敷いたままそのまま青空駐車場にしている場合、更地とみなされ賃貸マンションのように相続税評価額を下げることができません。
屋根やフェンスを設置せず、青空駐車場としてそのまま駐車場とする場合でも、アスファルトなどを敷けば「構築物」として扱われ、200㎡まで50%評価減となる小規模宅地等の特例が適用できます。
もちろんアスファルトの舗装工事には費用が掛かり、200㎡の敷地では100万円程度の出費が発生しますが、10年かけて償却費を計上できます(コンクリート舗装の場合は15年で償却)。
なにより駐車場利用者からすればアスファルト舗装を望むと考えられ、舗装は実施した方がよいでしょう。
駐車場としての土地活用のまとめ
駐車場としての土地活用は、手軽に開始でき、もし失敗したとしても賃貸住宅経営ほど損失も大きくなりません。
一方で、収益の額も大きくなくローリスク・ローリターンといえるでしょう。
途中で駐車場の経営を止めたいと思ったら事前通知によって、事業を撤退することもできます。
土地活用をしたいが、あまり大きなリスクを取りたくない方や、将来他の活用法を行える余地を残しておきたい方には向いているといえるでしょう。
次は、駐車場と同じく人ではなくモノ向けの活用法としてレンタル収納スペース(倉庫)をみていきましょう。
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