物件情報が無価値に?“不動産リスクを積極的に伝える会社”を選ぶ時代に
目次
人口減少が深刻化した平成時代。その裏では不動産の情報整備が進んだ
昭和の終わりと平成の終わりの決定的な違いの一つは、人口の状況です。
昭和後期にはベビーブーム世代(団塊の世代)が一斉に家を買い始めた人口ボーナスを謳歌した時代である一方で、平成の終わりは人口減少・少子高齢化が深刻化しているという正反対の状況です。
「人口減少時代の家探し」それが令和時代の家探しともいえ、今後はますます将来も貸せて売れる「資産価値のある家」を買うことが大切になっていくでしょう。
昭和と平成の終わりの決定的な違いをもう一つ挙げるとすれば、REINSに代表されるように不動産に関する「情報整備」です。
(売買価格データが未公表であることなど、世界的にみればまだ情報開示が遅れている現状はありますが)平成は、情報整備が数多く行われた時代でもありました。
昔は情報の非対称性で儲けた時代。バブル崩壊はデータ不足が理由の一つだった?
平成初期までは日本における不動産データは乏しいものでした。それがバブル崩壊を招いた遠因ともいわれます。
それほど客観的なデータが不足しており、また情報の非対称性でビジネスをしていた側面もあり、ある意味感覚的なさじ加減で取引がなされていたともいえるかもしれません。
その反省もあり、平成には公的機関・民間両者とも各種不動産データの整備を行い、情報の透明性が高まりました。
例えば、不動産価格の動向を指数化した不動産価格指数(国交省)、民間各社が提供している相場情報や過去の売出事例、ハザードマップといった災害情報など、その他にも多くの情報が容易に入手できるようになりました。
また、住宅性能評価制度やインスペクション、「安心R住宅」など建物の状況を分かりやすく消費者に伝える制度の創設も平成に相次いで行われました。
ここではそれらを踏まえ、今後の不動産情報のあり方や取引の変化についてみていきましょう。
REINSがネット運用を開始、不動産会社が取り扱う物件情報量が同じに
不動産会社専用の物件共有データベースである「REINS」。平成で不動産取引に最も大きなインパクトを与えたものの一つでしょう。
特に1999年(平成11年)にREINSがインターネット運用を開始したことや、その後に個人客向けの物件情報サイト(SUUMOなど)が充実したことから家探しは大きく変わりました。
それまでは、REINSの使い勝手が悪かったり、仲介会社が独自に売り物件を集めお客様(買主)に個別に営業をしたり、物件情報誌(紙面)で広告している状況でした。
昔は不動産会社ごとに取り扱う物件が異なっていた時代といえ、物件情報そのものに価値があったのです。お客さん側としても物件情報だけを求めて不動産会社に来店していました。
それが今やどの不動産屋でも同じ物件を取り扱えるようになっています。もはや物件は会社ごとにほとんど違いはありません。
SUUMOなどの物件情報サイトにも、同じ物件なのに違う会社が広告を載せていることがよくあります。それは、REINSを介して不動産会社は同じ物件を取り扱えるためなのです。
物件情報“以外”が活用されない。命に関わる災害情報も提供されず消極的
REINSによって物件情報は一気に共有されるようになったものの、物件以外の情報が十分活用されていないという課題も残っています。
物件以外の情報、例えばハザード情報や過去の取引情報、住宅履歴など各種データはあるものの散らばった状況にあります。さらに不動産各社は儲けに直結する「物件情報」の発信“だけ”に力を入れていることが少なくありません。
例えば平成では、阪神・淡路大震災や東日本大震災、熊本大地震などが起こり、今後は南海トラフの巨大地震も懸念されています。地震の他にも、西日本豪雨に代表されるように豪雨や猛暑など異常気象も続き、温暖化の進行も指摘されています。
その中にあって、ハザードマップ(災害予測)や防災情報がさまざま提供される中、消費者には事前に情報が伝わっておらず、効果的に活用されていないという課題も浮き彫りになっています。
不動産会社から消費者に対して、購入エリアの液状化のリスクや浸水被害などを詳細に情報提供することが行われていないことも一因でしょう。
むしろ、不動産会社としては契約が遠ざかるようなリスク情報を隠したがるため、消費者自身が積極的に調べない限り、災害情報に触れないことも起こり得るのです。
囲い込みや非公開物件も根強い。米国MLSを手本に不動産総合データベース化を期待
物件情報だけに限っても、「囲い込み」に象徴されるように一部の非公開物件が生まれる状況(業者がREINSに登録しない状況)もあります。
違法に物件を非公開とした際の罰則規定が緩いことも原因です(米国の不動産業界では免許はく奪もあり得ます)。強制的に情報公開を促すためには法改正も必要でしょう。
また、REINSは売出物件の情報に偏りすぎており、米国のMLSという情報共有システムと比べて、情報の種類や網羅性、鮮度、違反時の罰則などすべてにおいて足元にも及ばないのが現実です。
そのような事情を受け、日本でも住宅履歴やインフラの整備状況、税金情報、ハザードマップ、周辺の不動産価格などを一元化して管理する「不動産総合データベース」化の計画があります。
現状では多くの課題も抱え実用化はまだ遠い状況ですが、今後の改善に期待したいところです。
平成時代にある程度整備された情報やシステムといった資産をうまく引き継ぎつつ、令和時代にはそれらを発展させることでクリーンな取引が自発的に生まれる仕組みを作ることが次代の課題です。
検証型の仲介業者が増える?「どの物件を買うか」から「誰から買うか」
以上より、不動産仲介会社は物件情報の提供のみならず、今後はアドバイザーとしての役割が強まると考えられます。
物件情報のみならず、価格の妥当性や流動性(将来の売りやすさ)、建物の状況(耐震性・インスペクション・マンション管理状況など)、災害リスク、資金計画の安全性(ファイナンシャルプラン)など多面的な情報提供が求められます。
一方で、情報過多で混乱しないよう必要十分な情報を分かりやすく意味付けし、知恵の提供を行うことも同時に大切です。
さらには、少子高齢化・長寿命化時代となる令和、お客様の住宅購入動機や背景、今後のライフプランまで考えた家探しを支援することも強く意識されるようになるでしょう。
まとめると、「どの物件を買うか?」から「誰を通じて買うか?」により重点が置かれるようになるということです。リスク情報や本当の価値を評価・検証する業者の価値が高まる時代といえます。
不動産会社によって評価の仕方や考え方は多種多様です。物件は同じでも、納得できる検証・説明をしてくれる不動産会社を選んで取引したいですね。
仲介手数料の中身が変わる。会社が選ばれる時代、物件紹介は価値が薄れる
これまでの不動産取引においては、仲介手数料の対価は物件紹介料を多く含むものでした。
それは、物件情報サイトへの広告掲出がこれほどまでに多い現状を見ても、広告費を手数料の中に多分に含ませていることがよく分かります。
今後は、物件情報や契約業務の対価としての仲介手数料から、「本当にこの物件を買っていいのか?」「この不動産の価値とリスクは何か?」といった検証を行う対価としての手数料が意識される時代となるでしょう。
物件紹介型の仲介から検証型の仲介へ、不動産会社各社とも方向転換を求められるのがこれからの時代ということです。物件紹介だけ行う会社の価値は薄れていくでしょう。
現状では宅建業法上、リスク情報は最低限の限られた項目しか伝えなくていいことになっています。
そうではあれば、今後は積極的に「必要とした情報を分かりやすく提供してくれるか?」「不動産の検証を行うか?」と、お客様自身が不動産業者を選ぶ時代となっていくでしょう。
リアルエステートテックで業務効率化。余った時間で本質的な検証業務に集中できる
それと並行して、従来の契約業務などは効率化・安全化されていくことが予想されます。
IT重説の解禁やAIの活用、ブロックチェーンによる不動産取引の安全化など「リアルエステートテック」によってこれまでの契約業務が変化してくでしょう。
この効率化によって生み出された時間には、不動産のプロだからこそ取り組むべき業務に集中できるようになります。
さらにいえば、仲介手数料の自由化や両手仲介の原則禁止まで法律が踏み込めば、より消費者のニーズに合わせた安全な仲介取引が実現されていくでしょう。
令和時代は、等しく提供される物件情報や当たり前の業務ではなく、それ以外の部分でいかに価値を提供できるか、そこが不動産会社に厳しく問われる時代の到来です。
もちろんミトミも不動産会社の1社に過ぎません。よりよい情報提供に向け、いつでもご意見をいただけると嬉しいです。ミトミへのご相談もお待ちしています!
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