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競争激化、審査方法も軟化。あなたに相性の良い金融機関(銀行)を探す
住宅ローンはどこに申しこめばよいのでしょうか。申込先によってどのような違いがあるのでしょうか。ここでは金融機関の違いをみていきましょう。
その前に、銀行のこれまでの流れを少しおさらいしましょう。一昔前、メガバンク(都市銀行)は大きな企業、地方銀行は中小企業や個人をメインのお客様としてきた過去があります。
しかし2007年3月に住宅金融公庫が廃止して以降、民間の金融機関はこぞって住宅ローンに力を入れています。
銀行の規模の大小に関わらず、積極的にどの銀行も顧客獲得に汗を流しています。
「住宅ローンだけではほとんど儲からない状況だ」という大手銀行の発言もある通り、有力な融資先の乏しい地銀や信金までも低金利での融資に前のめりとなって、金利引き下げ競争を繰り広げています。
それは2015年1月、金融庁が過当競争を懸念して各銀行のリスク管理の緊急調査を実施したほどです。
あなたの正確な情報が生命線。属性を積極的に伝えれば柔軟な審査が可能に
このような中、銀行は「返してくれるかどうか」を徹底的に見抜こうとするのです。
「なんで年齢とか年収とかこと細かに聞くのよ、失礼だなあ」と嫌な気持ちになるかもしれませんが、正確な情報が銀行の生命線であり、しっかりと情報提供することがローン審査通過にとても大切なのです。
逆に、各銀行ごとに審査の方法に違いがあり、通常の審査では通過しないお客様でも、しっかりと状況を説明し書類を提出することで審査を通過することもあるのです。
一昔前に聞かれたアタマが堅いというイメージとは異なり、ギリギリまで柔軟な姿勢をとる銀行も多くあります。金利引き下げ競争の裏に、徹底した審査と柔軟性が潜んでいます。生き残りに必死であるのは銀行といっても例外ではないのです。
それぞれ個性あり。1社であきらめず、複数の金融機関へのローンを申し込み
柔軟性を持ってきたということは、銀行によってその審査基準が大きく異なる部分もあるということです。(大げさに言えば)銀行が生き残りをかけた審査を行っており、それぞれが差別化を図っているのです。
つまり、得意とするお客様のカテゴリー(住宅ローンを申し込む方の属性)がある程度分かれているともいえるのです。
申し込み先の金融機関によっては審査の結果、希望した金額より減額されることもありますが、ひとつの銀行でダメだからといって諦める必要はありません。
申込みには手数料などは一切かかりませんし、希望の金額や金利水準でなかった場合には、複数の銀行へ審査申し込みしてあなたにぴったりの金融機関を探しましょう。
【提携ローン】同じ金融機関でも、不動産会社とつながりがあれば優遇も
同じ金融機関へローンを申し込む場合にも、提携ローンと「非」提携ローンと2つに分かれます。提携ローンとは、金融機関と不動産会社が提携している住宅ローンです。
提携しているということは、その金融機関とあなたを仲介する不動産業者がお互いをよく知っており信頼関係ができているということです。
つまり、大まかな融資条件を両者間ですりあわせており審査スピードも速く、その条件に満たないお客様であっても、密に連携し不動産会社はローン通過に尽力します。
不動産会社は「提携先の銀行が得意とするお客様の属性や審査の重点ポイントはここだ」と理解しており、金融機関は「紹介のお客様はある程度信用が高い。今後の取引のためにも金利を下げよう」といった具合に、お客様のメリットとなる状況にあるのです。
メリットは「通過率アップ」「優遇金利」「審査の簡素化・スピード」など
具体的には以下のようなメリットがあります。
- 審査通過率アップ
一概にはいえませんが、お互いよく分かり合っている金融機関と不動産会社が連携するため、お客様ご自身で申し込む場合より審査の通過率がアップする場合があります。不動産会社は審査を通過させるコツを心得ており、一見通過が難しい方でも、補足資料や補強材料などを持ち込んで金融機関と交渉することで通過することも少なくありません。
- 優遇金利
ほとんどの場合、提携ローンでは通常の金利より優遇されます。「店頭金利より▲1.7%」などという具合です。金融機関側としては、積極的にお客様を紹介してくれる代わりに、サービスするということですね(不動産会社によっても優遇金利の幅が変わります)。
- 審査の簡素化
不動産会社を通じて住宅ローンを申し込むため、必要書類をご自身で揃える手間や金融機関とのやり取りが大幅に省けます。ご自身で申し込む場合は、本人書類以外に物件に関する資料(土地建物の登記簿謄本や公図・測量図など)を求められます。さらに、提携ローンでは不動産会社が申し込むため、平日のみ営業している金融機関に何度も出向いたり、電話対応したりする時間を取る必要もありません。
- 審査スピード
提携ローンの場合、ご自身で直接申し込む「非」提携ローンに比べ、審査スピードがかなり早いとお考えください。例えば物件の担保評価額について、不動産会社が資料一式を集め、金融機関の代わりに算出して提出することもあります。これだけとっても審査が早いことが分かりますね。
提携ローン申し込みだからといって、余分な手数料は取られない
提携ローンだからといって、紹介料などの名目でお客様や金融機関からお金をいただくこと一般的にありません。
なぜなら、金融機関は住宅ローンの窓口を広げられることでお客様獲得につながり、不動産会社はローンを通すことで売買契約の成立につながるからです。両者ともメリットがあるのですね。
もし不安な場合には「紹介料などは発生しませんよね」と確認しておきましょう。
【非提携ローン】金融機関の選択肢の幅が広い。あなた自身で自由に選択
非提携ローンとは、提携ローン以外の住宅ローンのことです。お客様が直接、金融機関に住宅ローンを申し込むことになります。
メリットは、あなた自身で住宅ローンを選ぶことができることです。
提携ローンの場合、煩雑な業務をほぼすべて不動産会社が引き受け、審査過程も管理し、スピードも早く優遇金利まで得られる可能性があるため魅力的に映ります。しかし、不動産会社が提携する金融機関に絞られます。
金融機関同士の競争が激化しさまざまな住宅ローンの商品も開発される中、あなた自身でピッタリな商品や提携ローンの優遇金利を更に上回る低金利の商品があれば、そこに申し込むのもよいでしょう。
「保証協会付ローン」は4種類の銀行あり。それに加えて「フラット35」
住宅ローンでは大きく分けて、民間の金融機関が貸し出す「保証協会付住宅ローン」と、公的な金融機関である住宅金融支援機構が貸し出す「フラット35」に分かれます(公的ローンには財形融資や自治体融資もありますがここでは割愛します)。
「保証協会付」というのは、一般的には銀行が直接おカネを貸すのではなく、保証協会という別法人が審査をし、万が一貸し倒れが起こった場合もこの保証会社が銀行に補填するためです。
保証協会付ローンには大きく「メガバンク(都市銀行)」「地方銀行」「信用金庫」「ネット銀行」の4つに分かれます。お客様それぞれの特性(属性)によって、ベストな借入先に申し込むこみます。
①【メガバンク(都市銀行)】審査スピードが速くサービスメニューが充実
経営体力(資金力)が大きくリスクを取る余資があるため、金利も安めに設定され、長期的いお付き合いする銀行として、なにより安心感があります。
また、ローン審査業務のスピードも早いです(提携ローンの場合、3営業日程度)。1日を争う人気物件購入などではとても大きなメリットです。
さらに、住宅ローンに付随したサービスが充実していることも特徴の一つです。例えば、割引価格で3大疾病や7大疾病、火災、地震の保険へ加入できる商品もあります。
これは住宅ローンを組む時にしか入れないもので、その代わりお得に加入できるのですね。住宅ローンを組むことは将来設計を考え直すチャンスでもあるのです。
住宅ローンを組むことができる加入者の裾野が広いことも特徴です。例えば、住宅ローンを組む時に加入が要求される「団信」に健康上の理由などで入れない方にも、(適用金利は上乗せされますが)「ワイド団信」という加入要件が緩和された保険が用意されています。
自己資金を積み増せば、永住権のない外国の方でも加入できる銀行もあります。
②【地方銀行】資本力に劣る分、小回りが利く。積極的に融資する姿勢
メガバンクと大きく異なるのは経営体力(資金力)です。メガバンクに比べ規模の小さい地方銀行や信用金庫は、同じリスクを取ろうとすれば金利をどうしても高くせざるを得ないのが現状です。
一方で、地方銀行や信用金庫は地域密着で小回りが効く強さがあります。
さらに、地方銀行はメガバンク以上に融資先不足が深刻(お金を貸す先がない)であり、複雑で難易度の高い特殊案件でも積極的に取り込もうとする姿勢があるのです(その分、金利は上乗せされます)。
審査が有利となるよう追加で提出書類を求めてきたり、別の角度から申込内容を審査してなんとか審査を通せないか柔軟に考えます。
③【信用金庫】地域社会の利益を優先。個人事業主なども積極融資
信用金庫は営利を主目的としておらず、地域社会の利益を優先します。営業地域には管轄があり、その活動は一定の地域内で限定されているなど、地域の発展に貢献するという側面が強い組織です。
裏を返せば、地元の個人事業主などの一般的にはなかなか都市銀行では審査が通りにくいお客様でも審査を通す動機が強いといえます。
書類上からは分からないお客様の素性を重視するなど、信用金庫独自の柔軟な審査基準を持っていると考えられます(金利は若干高めです)。
なぜこのような特徴があるかというと、信用金庫は銀行ではなく、銀行とは組織の成り立ちや趣旨が異なるためです。
銀行は「銀行法」の下、株主の利益を優先する営利法人である株式会社です。一方で、信用金庫は「信用金庫法」の下、地域の方々が利用者・会員となって互いに地域の繁栄を図る相互扶助を目的とした協同組織の金融機関なのです。
④【ネット銀行】効率運営で低金利が期待。一方で柔軟性に欠く一面も
ネット銀行の特徴は、対面で相談できる店舗を持たず、インターネット上での取引を中心としている点です。
ネットのみで申込みが完了するため、利便性は高く、コスト削減を徹底しているため、金利も業界最低値にもっていく力があります。
反面、担当者と対面して申込方法や審査を通す方法などを直接相談できず、電話相談窓口も多くないというデメリットがあります。
つまり、対面で相談できる他の金融機関に比べ、コスト削減できる分金利は低めに設定される余地がありますが、一方で審査に通りづらく柔軟性に乏しいという特徴があります。
申込み資格が厳しく、電話問合せを受け付けず柔軟な対応に欠ける側面も
具体的には、他の金融機関では申込みの資格として、年収を150~200万円以上としていますが、ほとんどのネット銀行では300万円以上と高めの設定です。
徹底的なコスト削減を行うネット銀行では、審査対象(申込者)を絞り込むことで効率的な運営をしているのですね。
また、電話問い合わせも難しい場合があり、審査の状況が把握できないもどかしさもあり、成約の確実性を要求する売主側から敬遠される可能性もはらみます。
決済の直前になって想定していた額が金利を受けられなくなる事例もあり、ネット銀行だけに頼ることはリスクもあります。
さらに、「希望金額は3,000万円でしたが2,800万円までなら貸し出せます」「金利は1.3%でなく+0.2%を上乗せした1.5%なら貸し出せます」などの減額承認や金利上乗せのご提案も基本的にありません。
ネット融資は始まったばかり。今後競争の激化とともにサービスも拡充される
35年前にネット銀行の住宅ローンはありませんでしたから、未だ長期的な住宅ローンを完済した事例はありません。
長きにわたりお付き合いをしていく住宅ローン、対面での相談なくしてローンを組むことに不安を覚えるお客様がいらっしゃるのも現状です。
ただし現在は過渡期といえ、サービスも拡充されてきている印象も受けます。
今後、ネット銀行での住宅ローンが標準となれば、そのような不安を払拭すべく、ネット銀行の特徴も変化してくるかもしれませんね。
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