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ポイントは「相場観の習得」と「お部屋を借りる動機」
お部屋と一口に言っても、世の中見渡せば住宅ばかりです。お部屋を探すポイントは、ここに列挙しきれないくらいたくさんあります。
しかも、人によってそのポイントの重要度もまったく変わってきます。その中でも、多くの方にとって特に大切な「相場観の習得」と「購入動機」についてご説明します。
まずは多くの物件に触れ、相場観を養う
多くの方はご自身の予算帯の家ばかりをみるものです。しかしそれでは相場観がみえてきません。
まずはご自身の予算にこだわらず(インターネットなどで)たくさんの物件を見渡すことで目が肥えます。
そうすると、「この部屋はこうだから高い」「駅徒歩15分で周りに商業施設もないから安いんだ」など、価格とお部屋のバランスが見えてきます。
これが相場観であり、相場観を習得するとお部屋の良し悪しの判断がつき、ご自身でも一つ一つのお部屋の質が理解・納得できるようになるでしょう。
引っ越しの動機や目的を忘れない。迷いを断ち切る
相場観が習得できれば希望予算帯のお部屋に絞り込んでいきましょう。
ただ、多くのお部屋を見ると、お部屋について理解が深まる反面、さまざまなこだわりがでて、誰もが迷ってくるものです。
つまり、目利きができるようになる頃には、どのお部屋でも何らかの不満がでてきます。
そして知らず知らずのうちに、その不満に振り回され、当初の予定から大きくハズレ、「こんなお部屋に住むつもりじゃなかった…」と後悔することになることもあるのです。
そういう時は、「なぜお部屋を借りたいのか?」「目的は何か?」という動機・目的を思い出し、初心に戻ってみてください。全てが理想通りの完璧な物件はありません。
その動機を基準軸として物件をランキングしていくと、ブレずにお部屋探しを進められます。入居後に後悔することもないでしょう。
内見(内覧)による確認は必須。図面や用語は実はあやふや
お部屋探しでは「百聞は一見にしかず」を徹底することが大切です。
図面上の検討や営業担当からの伝聞ももちろん大切ですが、実際にそのお部屋をご自身の目で見て、判断してください。これが本当に大事なことなのです。
「現況優先」の罠。あたなの目でしっかり確認する
不動産会社から渡される図面には「現況優先」や「現況と図面が異なる場合、現況を優先します」などの文言がどこかに書いてあります。
つまり、図面が必ずしも正しい情報であるとは限らず「もし間違っていても現況で納得してください」ということです。
そもそもこの図面、専門の設計士などが描いているわけではなく、不動産会社の営業担当などが現場を見て作っているものなのです。
大きく異なることは考えにくいものですが、ご自身の目でしっかりと確認することが大切です。
用語がアヤフヤ。不動産業者もあいまいなまま使っている
例えば「アパート」と「マンション」、「ベランダ」「バルコニー」「テラス」の違いはお分かりでしょうか。実はこれらにハッキリとした定義はないのが実情なのです。
大まかな意味合いを以下に説明しますが、あくまでも目安であることご注意ください。しっかりとご自身で確認することが何より大切ということです。
また、広さの目安となる「畳」の表記にも注意が必要です。
社団法人首都圏不動産公正取引協議会の不動産の表記における広告ルールでは、「畳」を使う場合は1.62㎡以上なければならないと定められていますが、実際の広さは実際にお部屋を見て確認することが望ましいと考えられます。
さらに「畳」や「帖」といった違いや、地方によってもその定義が異なるなど、曖昧さが残っているのが実情です。
名称 | 説明(目安) |
---|---|
アパート |
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マンション |
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ベランダ |
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バルコニー |
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テラス |
|
「徒歩○分」は早歩き?!実際に歩いてみるのが一番
徒歩表示については、明確な規定があります。ただ、それが実態に即しているかというとご自身で確認するのが一番ということになります。
どのように徒歩○分を決めるかというと、道路距離を1分間に80m(1秒で1.3m)のペースで歩いた場合にかかる時間(1分未満の端数は+1分として切り上げます)です。
徒歩ペースは人によって異なりますし、信号や坂、歩道橋などで通常よりかかる時間をすべて無視しています。実際としては、その時間で歩くとなると早歩きをしなければならない場合もあるでしょう。
だからといってこの表記を無視していいものでもありません。
誤差はあるにせよ、大まかな距離感はつかめますし、お部屋探しの目安になります。繰り返しますが、実際にご自身で歩いてみた距離感を信じることが大切なのです。
内見時に忘れがちな室内のチェックポイント
それでは具体的なポイントをみていきましょう。
尚、これは一例をあげたに過ぎません。実際にはご自身がなににこだわるかを再確認した上で、内見しましょう。
【部屋の広さ・収納スペース】内覧時は広く見える
冷蔵庫や洗濯機など、既にお部屋に設置する家具や家電がわかっていれば事前にサイズを測っておきましょう。
内見時にはガランとして広く感じます。しかし、実際には荷物が入った状態で生活しますので、収納が充分とれるかどうか実際に住むことをイメージしながら確認しましょう。
特に、収納スペースはお部屋によってかなり差があります。
クローゼットの中にハンガーパイプがあるかどうかによっても利便性や収納効率も変わります。
【設備】エアコン台数や照明の位置、小物入れの数もチェック
エアコンや照明、ガスの種類など基本的な設備を確認しましょう。
エアコンや照明はついていて当たり前とお考えかもしれませんが、これもお部屋によってさまざまです。
特に水回りは生活する上で毎日何度も使う大事な場所です。
小物も多く、お風呂場やキッチン、洗面所の小物入れがどれくらいあるのかも確認しましょう。
【窓からの眺望・騒音】日光を遮る建物の有無や窓を開けた時の騒音
目の前に景色を遮る大きな建物がないかどうかを確認しましょう。日当たりにも関わってきます。
また、周辺との位置関係を見て、プライバシーがきちんと確保できるかもチェックするとよいでしょう。
さらに、窓を開けて大通りや線路、大きな娯楽施設などが近くにないか調べましょう。
【ベランダ・バルコニー】向きだけでなく実際の日当たりをチェック
ベランダがどちら向きか、きちんと日差しが入り明るさを確保できるかを確認しましょう。
一般的には、南向きであれば日照時間が一番長く、東向きであれば午前、西向きなら午後の日当たりがよいです。図面上ではなく、実際に現地で確認することが大切です。
また、ベランダやバルコニーに洗濯物や布団が干せるスペースがきちんと確保されているか、屋根がついているかなどを確認しましょう。
特に女性の場合はプライバシー上問題ないかチェックしましょう。
【電波状況】携帯電話がつながりにくいのは致命的!
多くの人にとって必要不可欠なインターネットや電話、これがスムースに使えないと生活する上で非常に不便を感じてしまいます。
携帯電話の電波状況を確認しましょう。
場所によっては電波が入りづらく、電話やインターネットに不便を感じます。毎日使う方にとってはかなりイライラが募ってしまいます。
入居後にはなかなか有効な改善策がないものですので、事前にチェックしたいですね。
部屋の外も忘れない!建物のチェックポイント
次に、部屋の外へ出て建物全体のチェックをしましょう。
【共用部分】入居者のマナー水準を推し量る
郵便ポストや玄関、ゴミ置き場、廊下などにゴミが散乱していないか、私物が置かれていないか、綺麗に掃除されているかなどを確認しましょう。
入居者のマナーのレベルも推し量ることができますので、きちんと確認したいポイントです。
例えば郵便ポストの周りにチラシが散乱しても誰も片付けていない場合、入居後も不愉快な思いをすることになるかもしれません。
また、管理人さんが常駐するマンションの場合、管理人さんにご挨拶するなどして、マンションの入居者の様子もチェックしてみましょう。
【設備】特に女性は防犯をしっかり確認。宅配ボックスの大きさも
宅配ボックスや24時間ゴミ置場、防犯カメラ、オートロックなどを確認しましょう。特に女性の場合、防犯に関する確認は重要です。
防犯カメラの死角がないか、オートロックは簡単に破られる仕組みになっていないかなど、実際に有効に機能しているかも重要です。
また、例えば宅配ボックスでは、その有無のみならず、大きさもチェックしておきましょう。
住みやすさを左右する周辺環境のチェックポイント
最後に、建物の周辺の環境をチェックしましょう。
【商業施設】コンビニなどよく使うお店があるか確認
近くにコンビニやスーパー、飲食店があるととても便利です。
クリーニング屋やコインランドリーを定期的に使う方はその場所も確認しておきましょう。
また、駅から距離があり自転車やバイクを使われる方は、駅前に駐輪場や駐車場があるかどうかも併せて確認したいところです。
さらに、その営業時間も大切なポイントになります。
【夜の景色】安全性を重視する方は昼夜両方みておく
不動産会社との内見は昼に行うことが多いですが、意外と昼と夜の印象が変わることもあるのです。
特に女性の場合、夜の人通りや明るさなどは防犯上気をつけたいポイントです。
できれば、夜の景色も見ておくことをおすすめします。交番の位置も確認し、万が一の事態に備えられる体制を整えましょう。
安心して暮らせるよう、少し面倒でもチェックしておくことをおすすめします。
【大型施設】工場・学校・病院・大型店舗の影響を考える
近くに工場や学校、大型店舗があるかどうかも確認しておきましょう。
病院や大型店舗は便利な半面、サイレンの音や騒音が発生する可能性が高まります。
また、工場や学校はトラックの騒音や子どもの声などが聞こえてくる場合もあります。気にされる方はきちんと現場でチェックしておきましょう。
共益費・管理費は家賃と合算するクセを!あまり意味を深く考え過ぎない
物件広告には「賃料」と「共益費・管理費」が別に記載されています。
共益費や管理費とは、お部屋の外の部分である共用部分の清掃・維持・管理のために支払われるお金とお考えください。
具体的には、共用部分の照明器具代や電気代、消防点検代、エレベータの電気・定期点検代、ゴミ置き場の清掃、固定資産税や都市計画税の一部充当などです。
お客様の立場で考えれば、共益費・管理費も毎月支払わなければならない出費となります。これらを合算して家賃と考えるクセをつけましょう。
実態としては物件オーナーにとっては「家賃」名目での入金も「管理費」名目でも同じことで、家賃を安く見えるために別にしている場合も多いものです。
ですので、共益費・管理費がゼロ(無料)となっている物件もありますが、これは賃料に含めていると考えましょう。合算して考えるクセをつけておけば惑わされることもなくなります。
共益費・管理費の区分は「割安にみせたい」オーナーの都合も
物件広告を見た時、パッと目に付くのは大きな文字で書かれている賃料だと思います。一方で共益費・管理費は小さく書かれていることが多いものです。
例えば合算の家賃が同じ70,000円のお部屋でも「賃料68,000円」(共益費・管理費2,000円)と「賃料70,000円」(共益費・管理費0円)ではどちらがお得にみえるでしょうか。
特に、インターネットでお部屋探しをされる方が多い現在、条件検索で賃料を絞り込まれると、6万円台と7万円台ではお客様の目に触れる機会に大きな違いが生じるという事情もあります。
このように、多くはオーナー側の都合による場合もあるのです。お客様の立場に立って考える際には、合算して考えるというクセをつけておきましょう。
家賃の5~10%程度が目安。これより安いと管理がずさんの可能性も?
あくまでも目安ですが、大家さん(オーナー)が家賃と管理費をきっちりとわけて算定している場合、一般的には家賃の5%程度が最低水準とお考えください。
10万円/月の家賃なら5,000円/月程度、5万円/月なら2,500円/月程度です。
もしこれより低い水準の場合、清掃や管理の質が下がる可能性があります。内覧の際に確認しておきましょう。
また、エレベーターがある賃貸マンションは定期点検などの費用がかさむため、管理費は高めに設定されることが多い傾向にあります。
敷金・礼金・更新料は家賃部分のみにかかる。フリーレント時にも管理費はかかる
原則として、敷金や礼金、更新料などは、管理費(共益費)を除いた家賃部分のみにかかります。
逆に、フリーレント時には家賃はタダですが、専有部分ではなく共用部分にかかる費用とされている共益費は支払う必要があります。
もちろん原則ですので例外対応もあるでしょう。
ゼロゼロ物件に注意!入居時はお得も、入居中や退去時に損になる?
お部屋を探していると、中には敷金・礼金がともにゼロ(無料)という「ゼロゼロ物件」というものがあります。
費用が安く抑えられそうという印象を持つゼロゼロ物件ですが、しっかりこの意味を理解した上で検討しましょう。
他の名目で請求?結局同じことを割安にみせているだけ?
敷金とは、家賃を滞納した場合などに、オーナーがそこから補填するためにあらかじめ預かっておくお金です。
(契約次第ですが)退去時にクリーニング代としてここから補填する(入居者の負担となる)こともあります。
ゼロゼロ物件の中には、この敷金をゼロとする代わりに「保証金」や「ハウスクリーニング代」としてしっかり請求するものもあります。
確かに「敷金」という名目では請求されないため敷金はゼロといえるかもしれませんが、実質的な負担は変わらない場合があります。
尚、関西圏ではここでいう「敷金」のことを「保証金」と呼ぶことが多く、この話とは別物であることご注意ください。
家賃に上乗せ?初期費用は抑えられるがトータルで割高に…
礼金とは、お部屋の契約時にオーナーに支払うお金のことです。敷金のように戻ってくることはありません。
ゼロゼロ物件の中には、この礼金をゼロとする代わりに家賃に上乗せする場合があります。例えば、礼金を家賃の1カ月とるオーナーの場合を考えてみましょう。
本来であれば設定家賃が60,000円である物件に対して、礼金(60,000円)をゼロとする代わりに、月々の家賃を2,500~5,000円程度上乗せして62,500~65,000円で貸し出すわけです。
そうすると1~2年間で60,000円(=2,500×24カ月、5,000円×12カ月)を回収できます。さらにその後も上乗せ分の家賃が収入となるわけです。住んでいる間ずっと礼金を払っている状況なのです。
もちろん、価格戦略の一環として安くお部屋を貸し出すゼロゼロ物件もありますし、ゼロゼロ物件自体が決して悪いものでもありません。
大切なのは、きちんとその意味を理解した上で、総合的に納得・判断してお部屋を借りるということです。
賃貸物件の選び方・内見方法のまとめ
世の中には本当に多くの賃貸物件があります。
そこからベストなお部屋選びをするには、”あなたにとって”いい物件、あなたの目的を満たす物件は何かをはじめに強くイメージすることが大切です。
物件が絞り込めた後は、必ず実際に内見(内覧)にいきましょう。広告図面(マイソク)の記載は実はあいまいな部分が多く、時には間違っていることもあります。
しかし「現況優先」という記載に従って「内見しないあなたが悪い」ということになりかねません。
共益費・管理費はあまり深く考えず、合算して考える癖をつけるとともに、敷金・礼金ゼロゼロ物件はその意味をしっかり理解した上で契約しましょう。
次は、入居申し込みをする際のポイントをご説明します!
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