※住宅ローン減税制度は改正されています。
本記事の内容は、一部古い内容を含む可能性があることにご注意ください。
建築着工までに時間と費用がかかる
長期優良住宅にはたくさんのメリットがありますが、一方でデメリットはあるのでしょうか。詳しくみていきましょう。
長期優良住宅基準の設計が必要
一般住宅と異なり、長期優良住宅の認定基準にあわせて住宅を設計する必要があります。
大手の建築会社など長期優良住宅にノウハウのある会社であれば多くの時間はかかりませんが、慣れていない建築会社(工務店・ハウスメーカー・設計事務所)など場合には一つ一つ確認していく必要があります。
それを施主(建築主)とも打合せすることになりますので、あなたの時間も要します。数週間~1カ月程度は余分に時間がかかるでしょう。
そして長期優良住宅の認定には、登録住宅性能評価機関での技術的審査(性能評価)と所管行政庁での審査の両方が必要です。申請方法にもよりますが、この審査にも数週間程度の余分な時間がかかるでしょう。
申請コストがかかる
評価機関や所管行政庁での審査(申請)にはコストがかかります。
自治体や建物の構造、所管行政庁への直接申請か評価機関での事前審査を行うかによっても変わりますが、10万円はかからない程度と考えてよいでしょう。
そして、設計図面や説明書などの必要書類は施主(建築主)ご自身では用意しないでしょうから、建築会社(ハウスメーカー・工務店・設計事務所など)がそれらの書類を作成して申請します。それに10万円以上の手数料がかかります。
あわせて申請コストが15~25万円程度かかることになるでしょう。
建築にも費用がかかる
長期優良住宅の場合には、一般住宅より質の高い住宅です。
その分材質や工程が多くなり、通常よりも建築コストが上がります。もちろん、施主から支払うおカネ(出費)も多くなります。
ただし、2020年までにすべての新築住宅を新しい省エネ基準が義務付けられることなどを受け、大手建築会社を筆頭に、既に現在の新築住宅でも高品質住宅を前提として建築されているものも少なくありません。
また、長期優良住宅の基準の中には、例えば点検口を設置することなど当たり前の要件もあります。
ですので、必ずしも建築コストが大きく上がるともいえません。施主の希望も含めどこまで求めるかケースバイケースといえるでしょう。
【追記】住宅の省エネ化の流れは変わらないものの、2020年の義務化は撤回されました。詳しくは以下コラムをご参照ください
建築後も手間と費用がかかる
維持保全をしなければならない
建物が建ち新たな暮らしを始めてからも長期優良住宅である限り、建築前に提出した維持保全計画に沿って、定期的に点検を行い必要に応じて改修や設備交換が必要です。
少なくとも10年に1度の頻度で点検しなければなりません。
もしこれを怠った場合には、特定行政庁(地方公共団体)から助言や指導、改善命令が出され、それに従わない場合、認定が取り消される恐れがあります。
住宅の使用方法にもよりますが、当然ながら修繕にはおカネもかかります。
住宅履歴情報を作成・保管しなければならない
長期優良住宅は数世代にわたって使用する住宅を目指しており、住宅の健康状態を履歴情報として残しておくことが求められます。
点検した結果に加え補修などを行った場合、どの業者がどういう施工を行ったかなども含めて住宅履歴を作り、それを残さなければなりません。
履歴情報の作成を業者に依頼する場合には、お金もかかります。
認定住宅に認定されるということは、それだけ義務が課され手間もコストもかかってくるのです。
税金は実質そんなにお得ではない?
住宅ローン減税はローン残高と収入が多くないと特にならない
長期優良住宅の場合の住宅ローン減税では、控除対象限度額が5,000万円と一般住宅に比べて+1,000万円の増額、所得税からの最大控除額は500万円と+100万円お得でした。
しかしながら、一般住宅の場合にも4,000万円の控除対象限度額が設けられています。
優良住宅を建てても4,000万円以内の借り入れの場合はお得になりません(一般住宅の減税制度の範囲内に収まります)。
また、一般住宅であっても所得税からの控除額は最大400万円(=年間40万円×10年間)です。
毎年の所得税が40万円以下であれば、これも長期優良住宅だからといって所得税が安くなる効果はありません。
登録免許税や不動産所得税の特例効果も少額
所有権の保存登記や移転登記に関わる登録免許税や、不動産を取得した際の不動産取得税は確かに一般住宅に比べて安くなります。
しかし、長期優良住宅のメリットで具体的にみた通り、安くなる金額としてはあわせて10万円弱でしょう。
しかも、課税標準額が1,200万円以下の住宅であれば、1,300万円まで控除する長期優良住宅の減額効果はなく(一般住宅の特例措置の範囲内に収まり)、不動産取得税の効果はありません。
そうなると、一般住宅に比べて、登録免許税と不動産取得税であわせて5万円に満たない減額効果しかないでしょう。
住宅を購入する金額との比較や、優良住宅に課される手間暇を考えると、優遇幅が小さいと考えられるかもしれません。
固定資産税の額そのものが上がる
新築住宅の居住部分120㎡相当まで1/2の固定資産税を減額してくれます。これが戸建ての場合は3年間、マンションでは5年間続きます。
長期優良住宅であれば、それぞれ5年間と7年間続くため、2年分減税措置が長くなるのでした。
減額効果としては10~30万円程度と考えられますが、これは一般住宅の場合と家屋の固定資産税額が同じであれば、という前提です。
家屋の固定資産税は、家屋の固定資産税評価額を基に1.4%の標準税率が掛けられ算出されます。そして、家屋の固定資産税評価額は再建築した場合にどれくらいコストがかかるかを基に計算されます。
つまり、長期優良住宅は質の高い住宅であるため、その課税標準額が一般住宅に比べて上昇します。
ですので、減税措置2年間延長の減少効果と、固定資産税そのものの上昇効果を足し合わせて考えなければならず、お得感はかなり薄れることになります。
長期優良住宅のデメリットのまとめ
長期優良住宅のメリットが、場合によってはそれほどメリットでなくなることもあり、逆に手間暇が増えることがわかりました。
質の高い住宅ではありますが、認定の申請に手間や時間、コストがかかり、建築後も長きにわたって行政から義務を課せられてしまいます。
さて、ここで紹介したデメリットを含め、あらためてメリット・デメリットを整理すると何がみえてくるでしょうか。
メリットの捉え方は正しいのか、デメリットは本当にデメリットなのか、次ではその本質をみていきましょう。
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