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管理計画・住宅履歴は最適管理の土台。将来の担い手に安心感も

長期優良住宅の様々なメリットデメリットを挙げました。

特にデメリットについて、正確にはデメリットというよりも「長期優良住宅だから」発生するデメリットというわけではなく、住宅を長く使う基本であり王道を実施する上で発生する当然の手間とコストといえるでしょう。

不動産の比較・見比べ_s例えば建築前に将来を見据えた維持管理を計画し、それを実行し履歴に残すことで家を最適な環境に保つことができます。無駄な修繕も防ぐことに繋がります。

さらに、将来その住宅を使う人も最適な管理ができます。ご自身が中古物件を購入する状況を想像してください。しっかり管理した履歴が確認できればそれだけ安心できます。

それは優良住宅を売却する時に価格面で大きな強みとなることも意味します。

定期点検が大規模な破損や事故を防ぐ

一般的に、水は住宅の天敵です。雨漏りは躯体部分をむしばみます。キッチンや浴室、給排水管など水回り設備は老朽化しやすいものです。

こまめな点検によって、症状が現れる前に先手で対応すれば部分補修ですみます。

ペンキ・女性・補修_s一方で、定期点検を怠り症状がみえてから対応してしまうと、最悪すべて取り替えることになり結局はトータルでみて多大なるコストがかかります。

大きな病気を防ぐための定期健康診断と同じですね。目先の診察料を惜しまず検査をすることで、後で大病を患うことを防ぐことができ、結果として金銭的にもお得になるのです。

建築コストの増加は質の高い暮らしの対価

住宅性能の向上やそれに伴う建築コストの増加についても、目に見えない断熱や耐震、省エネ性能といった品質を実現するためには避けて通れないものです。

逆に、それだけ手間暇かけるからこそ、質の高い住環境が達成できるのです。

固定資産税・電卓・ペン・骨組み・再建築_s省エネ対策は電気代などが安くなるメリットもあります。

さらにそれだけでなく、部屋ごとの急激な温度変化が引き起こすヒートショックを未然に予防する効果など、おカネに代えがたいメリットもあります。

税金のために質の高い家を建てるのではない

税制面についても、これは国として「いい家を作って、きちんと手入れして、長く大切に使う」というストック型の社会を実現するための補助的な位置づけです。

税金が安くなるから長期優良住宅を新築するという順番ではなく、また優良住宅が税金含めて金銭的にお得な住宅であることを目的とするものではありません。

長期優良住宅・赤・住宅・包み込む・手_s

長く住まう住宅を作る社会の流れが先にあり、現在の過渡期には建築会社や施主などが必ずしもこの流れに追いついていません。

一般的となるまで煩雑な手間がかかるため、それを一定の範囲で費用を補助するという趣旨と考えるのが適切だと考えられます。

優遇税制は今後変更する可能性あり。節税のための住宅でもない

優遇税制も期限付きで状況に応じてその内容が変わったり打ち切られたりします。

裏を返せば、優良住宅が本質的に持つメリットではないともいえるのです。

また、固定資産税についても、住宅の質を高めるため、その課税標準額が高まるのは当然といえます。一般的な住宅よりも品質が高いため、その評価が同じであることの方がおかしいともいえます。

お得になるからそれに合う住宅を建築するのではなく、どのような住宅に住みたいかを考えた結果、それに応じた税金がかかってくるといえるでしょう。

長期優良水準の住宅でも認定しないという方法もある

認定されなくてもその品質は変わらない

長期優良住宅は、認定を受ければ減税や住宅ローン「フラット35」のメリットがあります。

しかし、長期優良住宅でなくとも、例えば省エネ性能が高い住宅など適合証明書が取れる物件であれば適用可能です。

インスペクション(住宅診断)_ssまた、同水準の質の高い住宅であれば認定を受けなくとも、経年劣化を防ぎ質の高い住宅を維持できます。

トータルで住居費負担が軽減されることや、環境負荷を低減でき電気・ガス代が削減できることなどはもちろん変わりません。

売却価格という点でも、「認定長期優良住宅」という国のお墨付きが分かりやすくインパクトがあるでしょう。少なくとも、住宅履歴をしっかり残し買主の不安を払拭できれば、それが価格に反映されることも予想されます。

「優良住宅を新築するけれど、認定してもらうつもりはない」もOK

これらを総合的に考え、優良住宅を新築するけれども認定はしない、という方法も十分あり得るのです。

認定を受けなければ特定行政庁の指導などがなくなるため、ペースメーカーがいなくなり自律して定期点検などを行う必要があります。

しかし、それができるのであれば、特定行政庁が介在することでの煩わしい手間やコストがなくなります。

なにより、認定しようがしまいが、資産価値を下げないよう住宅を大切に使うことが大切であることに変わりはないのです。

これからの住まい選びの参考とする

国が長期優良住宅の基準を定めたことは、これから求められる住まいの参考基準を示したともいえます。

認定するしないに関わらず家を新築する場合や中古住宅を見極める際の参考とするだけでも意味があるでしょう。

特に、これまで“品質の高い住宅”といっても具体的に何に気を付けなければならないかがいまいち不明瞭でした。

そこで、国が総合的に意見を集約し明確に打ち出したのが、長期優良住宅の住宅性能です。認定するしないとは別に、これから求められる住宅の水準を理解するだけでも意味があるでしょう。

既に高品質住宅の施工は始まっている

2020年度にはすべての新築住宅が新たな省エネ基準に合致するよう義務付けられることが決定しています。

これは、国土交通省、経済産業省、環境省が共同で設置した「低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議」で決定されたもので、力の入れ具合も相当なものです。

実はオフィスビルや商業施設など2,000㎡以上の建築物を皮切りに、300㎡以上の建物、そしてすべての新築住宅と段階を追って義務化される予定で、既に動き出しているのです。

省エネ・節約・住宅・おカネ・コンセントプラグ_sその先には、「省エネ」「創エネ」「蓄エネ」などを駆使し、創エネルギー≧消費エネルギーとなる「ゼロエネルギー住宅」(ZEH:net Zero Energy House)も見据えています。

2030年には新築住宅の平均でゼロエネルギー住宅を、2050年にはすべての住宅でゼロエネルギー住宅とする目標が示されています。

この流れを受け、大手建築会社を中心として、現在の新築住宅もこれらの品質を前提として施工されているものも少なくありません。

省エネ住宅にもフラット35などの優遇措置や補助金制度は適用されるため、長期優良住宅でなくとも金銭的なメリットも得られるのです。

【追記】住宅の省エネ化の流れは変わらないものの、2020年の義務化は撤回されました。詳しくは以下コラムをご参照ください

省エネ住宅の義務化が白紙撤回?!今後、新築戸建てを買う場合の注意点とは?

建てた後では申請できないことに注意

新築時に認定を受けなかったけれど、後になって長期優良住宅の認定申請をしたいと思ってもできません。

また、基準に該当する中古住宅を購入した場合であっても残念ながら認定申請はできません。

ダメ・NO・男性_s必ず住宅の着工前に申請し、認定されることが必要なのです。着工中であっても申請は受理されません。

認定するかどうか結論を出してから着工しましょう。

本当の課題は住宅の評価が適正になされないこと

申請が必要であったり場合に応じて報告が必要になったりと、行政が住宅の状況を管理するのは確かに煩わしいものです。

できれば公的機関が入らずして、建物の所有者それぞれが住宅の状況に応じて維持管理し品質向上に努めることが一番無駄がないでしょう。

質の高い住宅も年数を経れば価値がゼロになってしまう

行政がペースメーカーとなって最終的には住宅の質を保つことのできるため、住宅の所有者にもメリットがあるといえます。

ただ、「認定」という仕組みがメリットを提供するのは、将来の買い手かもしれません(そしてそれは売却価格に反映され売主のメリットでもあります)。

住宅・セピア・白黒・欠陥_s

特に、現在は建物の状況を正確に把握し、それを積極的に評価できる仕組みが整っていません。

金融機関も築年数をメインに住宅の状況を判断しており、「法定耐用年数」という、住宅の実態とはかけ離れた評価基準しか持ち合わせていないのが実際のところです。

もちろん、金融機関の中にも築年数によらず融資し、積極的に目利きする姿勢をみせるところもあります。国交省も築年数のみによらない評価を実施するよう提言しています。

現状は良い住宅と悪い住宅がきちんと見分けられない

つまり現状は、不良住宅と適正住宅が見極められず、最終的には土地の値段だけで不動産(土地+建物)価格が決まる市場なのです。

買主としても中古住宅に対する不安が大きく、その意味で国による「認定」が安心材料となる現状があります。

所有者にとっても、いくら適切にメンテナンスしても、それが物件価格に評価されないのであれば手間と時間とコストばかりかかる点検・補修をする動機がなくなってしまいます。

住宅の健康に気を付けた分、評価される市場の形成が求められる

住宅を適切に管理すればそれ応分の資産価値を認めるようになれば、自ら住宅を適切な状態にメンテナンスしようという強いインセンティブが生まれます。

最終的には行政が関わりなく、売り手も買い手も、融資する金融機関も仲介する不動産会社も、皆が中古住宅の品質を見極められる中古住宅市場が形成されれば、わざわざ認定してもらう必要もなくなるでしょう。

man_magnifying-glass_ssまだ長期優良住宅が始まって間もないこともあり、まずは行政が旗振り役となって良好な住環境の形成を推し進めている過渡期であるということです。

この流れが本格化し実を結べば、大切に使った住宅はそれに見合う資産価値を認めるという健全な住宅市場が形成されます。

日本人の国民性にも親和性のある「良いものを長く使う」暮らし方が実現されていくでしょう。

長期優良住宅のメリット・デメリットのまとめ

長期優良住宅は、健康的な住宅のあるべき姿の一つを国が明文化したものであるという考えを受け入れれば、そのメリット・デメリットの本当のところがみえてきます。

健康診断料がもったいないから健康診断に行くのをやめる、という行動はどこか本来の目的を見失っているように感じます。

それと同じことで、良い住環境で暮らすためには相応のコストがかかるのは当たり前で、それをデメリットと捉えるかどうかはご本人次第です。自分で健康管理ができるのであれば、認定を受けなくとも健康で健全な生活というメリットは享受できます。

長期優良住宅が何を目的としているものなのかを理解することで、今後の不動産との付き合い方を考えていきたいですね!

次は長期優良住宅の兄弟分ともいえる低炭素住宅の認定基準や申請方法をみていきましょう。

【低炭素住宅の認定基準・申請方法】省エネやCO2削減に特化した優良住宅

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