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入居申込みとは入居したいという意思表示。契約ではない!
しっかりと検討した後、「このお部屋がいい!」と心を決めたら、まず行うことは希望家賃や希望入居日などを記載した入居申込書の提出です。
この入居申込みとは、お客様が「このお部屋をこういう条件で入居する意志がある」とオーナー(大家さん)に意思表示をするものです。
あくまでも意思表示であり、契約ではありません。
お部屋は早い者勝ちです。心に決めたらなるべく早く申し込みましょう。
「入居交渉する権利を得る」と理解すると分かりやすいかもしれませんね。入居申込みをした後、オーナーとの細かな条件交渉が始まります。
申込みはキャンセルできる。法的拘束力もない
入居申込みの後、条件面が折り合わなければ、契約を結んでいない限りいつでもキャンセルできます。
違約金の支払いなどはありませんし、法的拘束力もありません。
ただしオーナーも本気で検討に入ります。安易な気持ちでキャンセルをするとトラブルとなることもあり、人間同士、お互い誠実な対応を心がけたいですね。
条件交渉は入居申し込みの時に限る。後出しはトラブルの元
入居申し込みの時に希望条件を付けて申し込みます。
つまり、「家賃をもう少し下げてもらえれば入居するのに…」といった希望があればこのタイミングでしなければなりません。
契約の段階で交渉するのは大変心象が悪くなりますのでご注意ください。
不動産会社は交渉相手ではなく、あなたに代わる交渉人
不動産会社(仲介業者)の収入は、お客様からいただく仲介手数料のみです。
その仲介手数料は宅地建物取引業法という法律で、家賃の1カ月分までと定められておりますので、家賃が下がると手数料が下がってしまいます。
それでもお客様が入居していただければ収入となるわけですから、オーナーにどうにかお客様のご希望をのんでくれないかと交渉するのです。
つまり、不動産会社はお客様のご要望をどうにか通すため、矢面に立ってオーナーと話をする交渉人なのです。
あなた自身のご要望を理由を添えて詳しく伝える。過度な家賃値下げは禁物
希望を通すためには、お客様ご自身のご事情を丁寧にご説明し、しっかりしたストーリー(理由)を基に誠意を持って交渉に当たります。
そのためにも、不動産会社とはチーム一丸となって、できるだけ詳しく背景も含めてご希望を伝えましょう。
尚、過度の家賃交渉はオーナーから嫌がられます。
家賃を下げたくないという気持ちもありますが、本当に家賃を継続的に払っていただけるのだろうかと不安になるからです。お互い、誠意を持った交渉をしたいですね。
主な交渉ポイントは家賃・敷金・礼金。オーナーの立場も考える
交渉ポイントとして最も多いのが「家賃」「敷金」「礼金」です。
この中でオーナー側からすると最も避けたいのが家賃交渉です。
一度家賃を下げてしまうと、その後(少なくとも2年程度は)ずっと家賃が下がったままになるからです。
一方で、「敷金」はいずれ退去時にその一部をお返しするお金ですし、「礼金」は1回きりで家賃の1~2カ月分が相場ですので、家賃で回収できると考えます。
出費のない要望や、ワンタイムで終わり建物価値のあがる希望は通りやすい
その他、家賃などを直接下げる代わりに他の交渉材料を持ち出して、実質的な値下げを引き出す方法もあります。
例えば、大家さんからお金が出ていかないフリーレント(入居後から一定期間家賃無料)や更新料無料、(出費はあるけれど物件の価値があがる)エアコンなどの設備設置などです。
キャッシュフローを圧迫しないものや、出費しても一回きりで終わるものなどはオーナーも要望に応じやすいといえます。
このような事情を考え、家賃の減額にこだわりすぎず、お互い気持よく交渉していきましょう。
交渉時期のおすすめは「5月」「8月」「11月」?!
お部屋探しも1年を通して、その動き方に一定の法則があります。時期によって不動産の繁忙期も異なります。
ただし、生活様式が多様化する現在、これらが必ずしも当てはまらなくなっております。ご参考程度に、一般論として受け止めてください。
1~3月は繁忙期。オーナーがかなり強気になる時期
1月~3月は物件数が豊富(供給が多い)のと同時に、お部屋探しをするお客様も多く(重要も多く)、家賃はやや高めに設定される傾向にあります。
オーナーが強気で、なかなか交渉が難しい時期であるといえるでしょう。
新年度が始まる4月にあわせて、新大学生や新社会人の方がお部屋を探すためです。物件が豊富ですのでこだわりのお部屋が見つかる可能性も高い時期でもあります。
4~7月は掘り出し物件の狙い目。引っ越し費用も安い傾向
年度の区切りが4月ということは、大学を卒業されたり新天地へ赴任する社会人は3月末に退去します。
つまり、いい物件であっても4月以降にしか入居できない物件も多くあるということです。
オーナーも4月に入居を決めないと、最悪その後1年間入居者が確保できないリスクを考え始めます。
そのため、出費の多いゴールデンウィークもある5月以降は交渉に応じる可能性が高い傾向にあります。また、引越費用も、3月のピークからズラすことで安めに抑えられるメリットもあります。
8月は閑散期はオーナーが弱気。探す人が少なく要望が通りやすい
8月は物件数が少ない(供給が少ない)のと同時に、お部屋探しをするお客様も少なく(需要も少なく)、オーナーも積極的に交渉にのってくる傾向にあります。
お盆や夏休みなど大型連休もあり、この時期にお部屋を探す方が少ない分、オーナーも少し譲歩しても入居者を獲得したいのですね。
9~12月はピーク前の前哨戦。9月に家賃上昇・11月に下落・12月に上昇
10月は年度後半の開始月でもあり、その前の月である9月から物件が動く傾向にあります。
9月で入居者を確保できなければ、11月に向けてオーナーも家賃を下げ始めたり、交渉に応じやすくなる傾向にあります。
そして12月になれば、1~3月のお部屋探しのピーク時期が見え始めるため、だんだん交渉に強気になり家賃も高めに設定されやすい時期となります。
この時期は探してみないとなんともいえない、波のある時期となりそうですね。
「申込証拠金」にご注意!契約が成立しなければ返してもらう
入居申込み時に、「申込金」を支払うことがあります。「手付金」「予約金」などの名目で呼ばれることもあります。
これは入居意思をしっかり示す意味合いが含まれています。預り金ですので、そのまま契約が成立すれば、問題なく仲介手数料などに充当されます。
ここで注意が必要です。大原則として、契約に至らなかった場合は、支払った申込証拠金は返還されます。しかし、この返還をめぐったトラブルが散見されるのが現状です。
悪質な営業担当にいたっては、「仮契約したのですから、契約に至らなかった場合は返還しません」などと、かたくなにお金を返すことを拒むこともあるようです。そもそも仮契約などありえません!
預り金の返還拒否は宅建業法違反!困ったら公的機関へご相談を
より詳しく説明すると、不動産会社がこのような預り金の返還を拒否することは、宅地建物取引業法という法律で禁止されています。
また、契約に至らなかった場合にそれまでにかかった経費を不動産会社がお客様に請求することもできません。
あくまでも契約が成立した時にのみ、仲介手数料をいただくことができるのです。
申込金の支払い自体に問題はありませんが、このようなトラブルに巻き込まれないよう、証拠金の支払いを求められた場合、しっかりと今後の取扱いについて確認しましょう。
具体的には、この預り金を預けた日や返還日などの日付や預り金の目的などを明記した「預り証」を書いてもらいましょう。一時的に預かっただけのお金ですから「領収証」ではなく「預り証」とすることにご注意ください。
もしトラブルとなった場合には、東京都の場合「不動産相談(東京都都市整備局)」などに相談に行ってみるとよいでしょう。その他の道府県の場合にも、それぞれ相談窓口が設置されています。
入居申し込み・条件交渉のまとめ
いいな!と思う物件があれば入居申し込みをしましょう。これは契約ではなくキャンセルもできますが相手方もあることですので、誠実な対応をしたいですね。
そして、条件交渉をするならばこのタイミングです。自分の希望を押し付けるのではなく、オーナー側の気持ちも察してお互いが受け入れやすい形で交渉できるといいですね。
また、一般論として交渉しやすい時期・しにくい時期というものはあります。引っ越しのタイミングは自由に決められない場合もありますが、条件交渉のご参考にしてください。
次は、いよいよ契約・決済・入居をみていきましょう。
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