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不動産取引で買主の味方はいない?!仲介業者は契約して初めて報酬が発生
資産価値にこだわるマイホームの購入において、「知らないこと」はそのままリスクになります。
多くの方にとって不動産取引は慣れ親しんでいません。「おかしいな」と思っても不動産会社がそういうなら「こんなもんだろう」と自分を納得させてしまい知らないうちに危険な取引を行ってしまう可能性があります。
例えば取引のプレーヤーには主役である「売主」・「買主」、売主側の「元付仲介業者」・買主側の「客付仲介業者」の4人です。この内、買主の味方といえるのは買主自身以外にいないともいえます。客付仲介業者も売主側にいるのです。
これは宅建業法上、仲介業者は“契約して初めて仲介手数料が発生する”、つまり契約しない限り報酬がゼロだからです。
そうすると、客付仲介業者であっても「契約させたい」という動機が強くなります。物件のいいことしか言わずにリスクやマイナス情報といったネガティブな情報を積極的に開示しなくなります。まずはこのことを理解しておきましょう。
同じ物件1つに不動産屋は複数。他の会社で契約されることを防ぐために押し売り
成約しなければ手数料が入らない一方で、一つの物件にたくさんの不動産屋が群がっています。競争が激しい構図です。
ほとんどの物件は「REINS」(レインズ)という不動産会社専門の物件データベースに登録されます。その物件をお客様に紹介するのですが、つまりどの不動産会社でも同じ物件を紹介できます。
契約して初めて仲介手数料をもらうことができるため、他の会社で契約が行われてしまうと報酬ゼロです。
ですので「なんとしても自社で決めて欲しい(他決を防ぎたい)」という動機が強くなり、これも押し売りを生む要因となっています。
不動産屋の営業担当者は歩合制も少なくない。同じ会社でもお客様の奪い合いが発生
さらに、同じ会社内であっても個人の営業担当者は歩合制で契約している場合も少なくありません。例えば、仲介(契約)して手数料が100万円入ってきたら、(固定給とは別に)その20%分の20万円をもらえるといった契約方法です。
会社間でも個人間でも「自社・自分で契約を取りたい」というインセンティブが強く、買主に対して売り込む圧力が高まってしまうのです。
そうなると、他人にお客様(買主)を取られないよう、いいことしか言わず契約に結びつけようとすることに繋がります。
お客様視点からみれば、リスク情報を開示しない不動産屋がいれば他の不動産会社に行く、つまり会社を選ぶ権利を持っているのです。安易に契約しないよう、不動産の前にまずは不動産屋を見極めましょう。
不動産取引は、物件の前に信頼できる専門家を選ぶことが第一歩です。まずは「①不動産会社」・「②リフォーム・リノベーション会社」・「③ファイナンシャルプランナー」の選び方を知りましょう。
①物件はどこも同じ。物件情報以外の知恵を出す不動産エージェントを選ぶ
取引構造から分かる通り、不動産会社はお互いほとんど同じ情報量を持ち、REINS(レインズ)で物件情報を共有しています。
売り手に強い業界構造だからこそ、あなた(買主)は不動産会社を選ぶ権利があり、そして慎重に見極めることが大切になります。以下の説明や提案があるかチェックしましょう。
メリット・リスク | チェック項目(例) |
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メリット情報 (正確な知識?) |
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リスク情報 (丁寧な説明?) |
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考え方として、短期的な目先の利益を追求(無理やり押し売り)せず、長い目でみて安心安全な取引を心がけけている会社を選ぶことが重要になります。リスクやマイナス情報こそしっかり教えてくれるかどうかが一つの大きなポイントです。
物件情報に書かれてあることは一般消費者でも理解できます。そこからは読み取れない知恵を出す不動産エージェントを選ぶことが大切です。
例えば購入予定の建物状況は問題ないか、将来売れる物件か、立地の災害耐性はどうか、家計に大きな影響のある住宅ローン控除の申請手続きに問題ないか(トラブルになることが少なくありません)など、不動産のプロだからこそわかるリスクを開示するエージェントを選びましょう。
中古住宅を買うならインスペクションをあっせんできる「かし保険案内宣言店」で!
安心安全な取引を最優先して不動産屋を選ぶ場合、「インスペクション」+「瑕疵保険」に強い会社選びが一つの方法です。
マイホームを買う前の「建物状況調査」(インスペクション)を行い、買った後にみえない欠陥が見つかった場合にその補修費用を支払ってくれるのが「既存住宅売買瑕疵保険」です。
加入前に検査が必ずありますので、建物の構造の重要部分に対する一定の安全性と万が一の資金に備えた安心感を得られます。
特に、瑕疵保険を付帯することに積極的に対応する会社は「瑕疵保険案内宣言店」として認定されており、首都圏既存住宅流通推進協議会のホームページ上でその会社を検索できます。
長期的に安心安全な家を購入するために、中古の品質チェックと万が一の備えた保険の知識・知恵が豊富な会社を選びましょう。
ミトミで仲介されるお客様には、建築士によるインスペクションをご提供しています。お申込みは以下のページから!
不動産屋は物件紹介屋でない。物件情報はSUUMOなど民間ポータルサイトも充実
今や物件情報自体はSUUMOやHOME’Sなどの民間の大手ポータルサイトのみならず、不動産屋のホームページにも物件検索画面を用意しているところが多くあります。
不動産屋とお客様との間の情報格差はほとんどなくなったともいえ、お客様自身で物件を探せる環境になっています。
国交省が指定する公益法人である不動産流通機構の「REINS(レインズ)」は業者のみが閲覧できますが、一方で、不動産の4つの大手業界団体(全国宅地建物取引業協会連合会・不動産流通経営協会・全日本不動産協会・全国住宅産業協会)が運営する「不動産ジャパン」もあります。
不動産ジャパンは広く一般の消費者に解放されています。公益財団法人不動産流通推進センターが運営する総合不動産情報サイトで、おとり広告などにもかなり気を使っている印象を受けます。
昔は不動産会社が情報を独占していたこともありその情報自体に価値があった時代もありましたが、これからは物件はお客様でも探せます。不動産会社に求められるのは、エージェントサービスであり「買っていい物件かどうか」見えないリスクを見抜き、提案することこそ意味があるでしょう。
物件紹介屋とエージェントの違い。購入後もずっと安心できる買い方を
物件情報それ自体があまり価値を持たなくなってきた不動産業界。
物件紹介業としての仲介業務を続ける会社と、リスク情報を積極的に開示するとともにその対策を考える不動産エージェントでは、取引後の暮らしに大きな変化が生まれます。
物件紹介屋としての仲介会社 | 不動産エージェント |
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【不幸】購入後はすべて買主の責任に | 【安心】購入後もずっと心地よい暮らし |
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物件紹介に力を入れる仲介業者は、とにかく手数料を稼ぐことに力を注ぎ、短期的な目先の利益を重視します。いいことしか言わず、面倒な手続きを嫌います。
一方で、エージェントは長期的な買主の利益を最優先し、ネガティブ情報の開示はもちろんのこと安心な生活を実現するために瑕疵保険制度などを積極的に提案します。
買い方をおろそかにして危険な取引をすれば、購入後にはすべて買主の自己責任となります。リフォームの履歴を残したり、瑕疵保険で安心を買うことで購入後もずっと心地よい暮らしを実現しましょう。
②技術力あるリフォーム会社を選ぶ。会社規模やデザインに惑わされない
中古住宅を買ってリフォーム・リノベーションする場合、そのリフォーム会社選びも大切です。
見た目や表層をキレイにすることはどの会社でもできます。逆に、素敵なデザインの施工事例があったとして、どの会社でやったものか分からないことから分かる通り、そこで差別化できるものではありません。
大きく異なるのは見えない部分の安全性です。「耐震改修ができない」「取ってはいけない壁を取ってしまう」という会社が少なくないのが建築・リフォーム業界です。
だからクレーム産業とも呼ばれるのです。
安心・安全な住宅は見えない部分・隠れている箇所こそ大切ともいえます。確かな技術のある会社選びをしましょう。
チェック項目 | 判断基準 |
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リフォーム業者との相性 |
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許認可・登録 |
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在籍 |
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実績・経験 |
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価格の妥当性(見積書) |
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アフターサービス・保証 |
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マナーその他 |
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リフォームは協働作業。大手が受注しても下請けの中小企業が現場に入る構造
リフォーム工事は大手だから安心というわけではありません。大手が元請業者となり、下請け孫請け…というように地場の工務店が実際の現場に入って施工するのが一般的です。
一定の安心感はあるかもしれませんが、人件費などが高く結局割高になってしまうことも少なくありません。
リフォーム会社の中には営業に特化した会社もあり、下請けにほぼ丸投げし紹介料を利益のほとんどとしている会社もあります。
会社の規模だけで選ぶのはおすすめできず、一方で上の表の通りチェックポイントは多数あり、唯一正しい選び方はありません。
リフォーム会社の選び方は、「相性」「実績」「費用」「保証」「対応」などあなた(施主・依頼者)が何を重視するかや、リフォーム規模や内容によっても変わります。
大きな工事には「許認可」「在籍」で客観的なチェック。リフォーム瑕疵保険も確認
小規模な修繕工事であれば、専門店や現場(自宅)に近い会社の方がコストパフォーマンスや細やかでスピード感ある対応が望めるかもしれません。
しかし大きな工事を依頼する場合には、先々のことを考えて選びましょう。一つの判断基準としては、表の太字部分である「許認可・登録」「在籍」があげられます。客観的に判断できます。
これらを満たすリフォーム・リノベーション会社はとても少なく、20社に1社もない印象です(ミトミではこの基準を満たす会社をご紹介することもできます)。
また、「許認可・登録」の中に「瑕疵保険検査会社登録」の有無がチェックポイントとして挙げています。これは、万が一の瑕疵に備えて「リフォーム瑕疵保険」を付保できる会社という意味です。
この保険は、施工中・竣工後に第三者の建築士が現場を検査した上で「問題がない」(または指摘ポイントを補修した)と認められた工事についてのみ、加入できます。検査があるため一定の工事品質が保たれる効果もあります。
この瑕疵保険を利用できる事業者は保険会社(住宅瑕疵担保責任保険法人)の審査を受けなければならないため、会社自体に一定の質が求められます。この登録事業者の保険利用件数などは公開されていますので、確認してみましょう。
③ファイナンシャルプランで資産形成。独立系FPが中立アドバイス!
物件探しやリフォームももちろん大切ですが、本当に大事にしなければならないのはマイホームを購入してからの生活です。
また、建物の間取りや設備などモノに関わることだけでなく、おカネに関することも忘れてはなりません。
マイホームを買うにあたって多くの方が住宅ローンを組みます。購入後から毎月途切れることなく続くローン返済は家計に少なくない影響を及ぼします。
マイホーム購入は住宅ローン購入とも言え、そして銀行から融資を受けるという機会は生活を見直す絶好のチャンスでもあります。ローンのみならず、住宅を購入した後にはお子さんが生まれたり、自動車を買ったり、広くなった家で趣味を始めたりとなにかとおカネが出ていくものです。
また「いくら借りられるか」ではなく、「いくら返せるのか」という個々人の生活に合わせた返済可能額をあぶりだすことこそ大事です。
年収によって借入可能な額はわかりますが、いくらかりて良いのかという返済可能額を計算するためにも、住宅購入にあたってはぜひファイナンシャルプラン(資金計画)をたてることをおすすめします。
有料でも客観的に分析する独立系FPに依頼。保険商品を売り込むプランナーは避ける
多くのプランナーがいますが、大きく「保険会社のグループ会社に所属するFP」と「独立系FP」の2つに大別されます。
保険会社が後ろにいるFPは、自社商品を売り込もうとするインセンティブが働き中立で客観的な立場からアドバイスを受けられない可能性があります。無料相談という言葉につられず、見極めたいものです。
有料であっても独立系プランナーを選ぶことをおすすめします。有料ということはそのアドバイスで報酬を発生させるということで、保険商品を売り込む必要もないのです。
尚、細かな計画を立てたからといって、多くの方はその通りにいくわけではないでしょう。しかし、あらかじめ数値目標を定めておくことで、その計画からズレた時に具体的にどの項目の支出が増えているのかなどが把握でき、無駄な出費を防ぐことができます。
一度やっておくだけで、長い目でみて大きな効果が期待できます。マイホームという資産を手に入れるだけでなく、家計を総合的に見直すことで堅実な資産形成につながります。
不動産エージェント・リフォーム会社・FPの選び方のまとめ
不動産購入においてはどうしても物件そのものに目が傾きがちです。しかし、まずは信頼できる有能なプロを選ぶことこそ力をいれたいポイントです。
難しいことは、あなたの要望を汲み取ってくれる専門家に任せてマイホーム購入することで、結果的に長い目でみてあなたの暮らしを安心・安全にすることができます。
不動産業界においては、どうしても構造上売り込みしたいインセンティブが働きます。また、リフォーム会社も表層デザインでごまかせても目に見えない部分でコスト削減(手抜き)を行うことはカンタンにできます。
あなたの資産形成にも大きな影響を及ぼす不動産の取引。慎重に会社選びをしたいものですね。
次は、買ってはいけない物件を自分でチェックする方法をみていきましょう。
【P.S.】「この家、買っていいのかな?」…迷わずご相談ください!
マイホーム購入をお考えでしたら、ぜひ個別相談(無料)をご利用ください。 多くの方から高い評価を得ている個別相談。まだ家を買うかどうか決まっていない方から、既に取引を進めている方までぜひお気軽にご利用ください!※【実績】最高評価“来て良かった!”が96%超!