※住宅ローン減税制度は改正されています。
本記事の内容は、一部古い内容を含む可能性があることにご注意ください。
目次
電気・ガス代が安くなる。身体や環境の負荷低減も
認定を受けた低炭素住宅は、断熱性能に優れ夏涼しく冬暖かい家であるといえます。
また、省エネ性能も確保され、エネルギーを効率的に使う住まいです。これらの性能を持つ住宅には以下などのメリットがあります。
電気・ガス・水道料金が安くなる
省エネ性能に優れる低炭素住宅は、エアコンなどによる電気・ガス消費が抑制され電気代やガス代も安くなります。
長く住むほどじわじわとメリットが得られるといえます。
選択的項目で節水対策として、節水型の便器や水栓、食洗器などを設置した場合は水道代が安くなります。
また、エネルギーマネジメントとしてHEMSなどを採用したり、太陽光発電装置や蓄電池を設置すれば電気を効率的に使用できそれに応じて電気代が節約できます。
ヒートショックを抑え健康的な生活が送れる
省エネ性能による断熱性能の向上は、部屋ごとの温度差が少なくなり、急激な温度変化が引き起こす身体への悪影響(ヒートショック)が防ぐことが期待されるなど健康面も向上します。
ヒートショック現象とは、急激な温度変化によって血圧が大きく変動することで体に変調をきたす現象です。
寒いと血管が縮まり血圧低下、暖かいと血管が広がり血圧上昇するため寒い脱衣所で服を脱いだ後、暖かいお風呂に浸かると危険な場合があるのです。
結果として、血圧が大きく変動して失神や心筋梗塞、脳梗塞などを起こすことがあります。高齢者が家庭内で死亡する原因の1/4をも占めるといわれており、高齢社会には無視できない問題となっています。
特に冬場には気を付けなければならず、暖房をつけても部屋が寒かったり温まるまでに時間がかかったりする住宅は要注意です。脱衣所や浴室には二重窓を設置し断熱対策を施すことが大切です。
また、これは低炭素住宅とは直接関係ありませんが、血圧の急激な変化で足元がふらつき、浴室の段差でつまづく事故もあります。断熱対策とともに段差解消(バリアフリー化)も行うと尚、健康的なお暮らしが実現できるでしょう。
二酸化炭素の排出を抑制でき社会的意義がある
建築物(躯体)の低炭素化として、住宅の劣化を軽減することは、住宅の長寿命化を意味します。
つまり、不必要に新築住宅を建設することを抑制できます。
約2割が住宅関連ともいわれる建築廃材や、二酸化炭素の排出の抑制など環境負荷が大きく低減できます。
所得税や登録免許税などが減税される
低炭素住宅を新築させるインセンティブを与える意図や、余分にかかるコストを補填しようとさまざまな減税施策が行われています。
税の種類 | 一般住宅 | 認定低炭素住宅 | |
---|---|---|---|
所得税 | 住宅ローン 減税 | 控除対象限度額:4,000万円 控除率:1.0% 控除期間:10年間 最大控除額:400万円 | 控除対象限度額:5,000万円 控除率:1.0% 控除期間:10年間 最大控除額:500万円 |
投資型 減税 | - | 控除額:標準的な性能強化費用相当額の10%(上限65万円) ※住宅ローン減税との併用不可 | |
登録免許税 (住宅用家屋) | 保存登記:0.15%(特例) 移転登記:0.3%(特例) 抵当権設定登記:0.1%(特例) | 保存登記:0.1% 移転登記:0.1% 抵当権設定登記:0.1% |
住宅ローン減税(所得税から控除)
住宅ローン減税は、住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合、10年間にわたり年末残債の1%相当額を各年分の所得税額から控除するものです。
例えば、初年度の年末のローン残債が3,000万円であれば、その1%分の30万円分が所得税から控除されます。翌年度の残債が2,900万円であればその年は同じく1%分の29万円、さらに翌年度の…と10年間続きます。
一般の住宅の場合には、年間最大40万円までの控除が限度ですが、低炭素住宅の場合は50万円まで、10年間で最大500万円の控除が受けられます。
例えば、初年度年末のローン残高が5,000万円(1%相当額が50万円)の場合、一般の住宅では40万円、低炭素住宅の場合は50万円控除されます。
10年間では一般住宅は上限400万円、低炭素住宅の場合には+100万円の500万円まで控除するという優遇措置です。
投資型減税(所得税から控除)
低炭素住宅を新築した場合に、性能強化費用として支出した額の約10%分が所得税から控除されます。尚、この制度は一般住宅にはない減税制度です。
「性能強化費用=住宅の床面積×43,800円/㎡」と計算されます。
例えば、100㎡の床面積であれば、性能強化費用438万円(=100㎡×43,800円/㎡)となり、この10%相当額である43.8万円(=438万円×10%)がその年の所得税から控除されます。
もし、その年の所得税で控除額が余る場合は、翌年の所得税に持ち越せます。
住宅ローン減税制度と異なり、ローンを組まずに現金一括購入した方も利用できます。むしろ、住宅ローン減税とは併用できませんので、現金購入の方など住宅ローン減税ではあまり効果がない方が対象ともえいます。
登録免許税
住宅を新築した場合や、売買や相続によって所有した場合には、土地と家屋について所有権の保存登記(不動産に初めて設定する登記)や移転登記(既存の不動産の所有権が移転した時に設定する登記)を行います。ここでは家屋の登録免許税の話です。
登記をする場合には登録免許税がかかり、低炭素住宅の場合には一般の住宅よりも税率が安くなります。
例えば、課税標準額が2,000万円の住宅用家屋を新築して保存登記する場合、一般住宅であれば3万円(=2,000万円×0.15%)、長期優良住宅であれば2万円(=2,000万円×0.1%)と、1万円安くなります。
尚、課税標準額は登録免許税を計算する基になる建物の価格(固定資産税評価額)で、取引価格や建築費とは異なります。
同じ住宅が、売買などで所有権移転し移転登記をする場合、一般住宅であれば6万円(=2,000万円×0.3%)、低炭素住宅であれば2万円(=2,000万円×0.1%)と安くなります。
住宅ローン「フラット35s」で優遇金利が受けられる
35年間借入の通常のフラット35においても、メリットがあり一般住宅に比べ100万円程度のメリットが出る場合があります。
具体的には、金利を引き下げる期間が当初5年間である金利Bプランに比べ、認定低炭素住宅などの場合に利用できる「金利Aプラン」では、「当初10年間」に引き伸ばされます。
CO2削減に貢献する設備は容積率に不算入
低炭素に貢献する蓄電池などの設備は、容積率の計算から除外され、そういう設備を導入することで不利にならないように配慮されています。
せっかく低炭素の住宅を建ててもその分狭い家しか建てられないとなる不公平を排除するものです。
具体的には、通常の建築物の床面積を超える場合に、認定低炭素住宅の延床面積の1/20(5%)を上限として、以下の部分は容積率の計算から除外されるという容積率特例です。
- 太陽熱集熱設備や太陽光発電設備を設ける部分
- その他再生可能エネルギーを利用し、かつエネルギー消費性能の向上に資する設備を設ける部分
- 地中熱・河川水熱・海水熱・下水熱・地熱・雪氷熱・バイオマス(木質燃料や有機性廃棄物など)などを冷暖房や給湯、発電などのエネルギー源として利用する設備
- 燃料電池設備を設ける部分
- 蓄熱設備を設ける部分
- 蓄電池を設ける部分
- 床に据え付け、再生可能エネルギー発電設備と連携するものに限定
- コージェネレーション設備(発電時の排熱を冷暖房や給湯に有効利用する設備)を設ける部分
- 全熱交換器(換気のための廃棄と取り入れる外気を熱交換して冷暖房を効率的に利用する機器)を設ける部分
- 雨水・井戸水・雑排水の利用設備を設ける部分
尚、この特例を適用する場合、原則としてこれら設備は壁で覆われた専用室であることが求められますが、他の部分と明確に区分されている場合にも適用可とされています。
低炭素住宅のデメリット
長期優良住宅のデメリットと同様なことがいえます。
つまり、低炭素住宅のメリットが、場合によってはそれほどメリットでなくなることもあり、逆に手間暇が増える場合があるということです。
建築前・建築時に手間暇がかかる
一般住宅と異なり、低炭素住宅の認定基準にあわせて住宅を設計する必要があり、申請コストもかかるため、建築着工までに時間と費用がかかります。
また、実際の建築にも、低炭素に貢献する設備を導入することなどにおカネも時間もかかります。
建築後もメンテナンスが必要
建築後も、太陽光発電設備など、低炭素住宅特有の設備を維持・メンテナンスすることに手間や費用を要します。
各種減税制度もメリットは限られる
住宅ローン減税も、ローン残高や収入が多くなければ一般住宅の減税制度の範囲内で十分賄えるため、高収入で大きな住宅ローンを組んだ方限定の優遇措置ともいえる側面があります。一般住宅であっても所得税からの控除額は最大400万円(=年間40万円×10年間)もあるのです。
登録免許税の特例措置も、実質数万円のメリットといえ、目を見張るほどのメリットとはいえないでしょう。
メリット・デメリットのまとめ
低炭素住宅には金銭的なメリットがある一方で、そのメリットの一部は限定された人しか享受できないことに注意する必要があります。
しかし、低炭素住宅は断熱性や省エネに優れた住宅であり、長期的にみると質の高い暮らしやヒートショックの抑制など、おカネに代えられない(目に見えない)価値があります。
よい住宅に長く住まう生活を実現することで、身体的にも精神的にも満足のいく暮らしをし、電気代などが節約され経済的にも少なからずメリットを受けたいという方に適しているといえるでしょう。
最後に、同じ認定制度のある長期優良住宅との違いをみていきましょう。
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