郊外の新築ブームから一転、不便で地価も急落。都心への回帰が本格化

1980年代後半にバブル景気で不動産価格が上昇し、「夢の新築」ブームが起こりました。

都心の不動産価格が手が届かないところまで高まり、周辺地域に住まいを求める動きが起こったのです。

それから35年経過しローンも支払い終えた今、これから素敵な老後が待っているはずでした。

しかし、人口減少・少子高齢化などのあおりを受け、スーパーマーケットや病院の撤退、学校の統廃合、バス路線の廃止などによる交通の便悪化など、マイホームの周辺環境が不便になってしまったのです。

自宅を売って利便性の高い都心へ移り住もうにも、地価も下落(特に国道16号線沿いの下落が深刻)、建物も老朽化し安値でしか売れないのです。

動くに動けない」状況となっており、老後の暮らしに暗い影を落としています。

「人口減少」かつ「2極化」時代。東京から流出した人口が1997年以降戻ってきた

この時期に何が起こり、現在水面下でどのような状況となっているのかみてみましょう。

1980年から2016年までの関東圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)における人口純流出入(=流入数-流出数)の推移は以下のようになっています。

1996年までは東京都から人が出ていき、代わりに周辺3県(神奈川県・埼玉県・千葉県)に人が流れていく状況でした。地価上昇などで人が外へ出て行っていたことに加え、自然減(=出生数-死亡数)などの要因もありました。それが、地価も落ち着いたことなどから東京に人が戻り、1997年から純流出入数が増加に転じました。

一方で周辺3県は純減には至っていないものの、人口流入の勢いに明らかに陰りがみえ、東京都などへ人口流出が起こっていることが分かります。

実際、東京都の人口は2016年時点で21年連続で増加し続けています。利便性を求めて都心回帰の流れが強まったこともあり、都心の不動産価格は上昇する一方、郊外住宅は地価が下落に拍車がかかる事態となっています。

家を買ったり借りたりする人が激減?空き家増加に備えた住宅購入を!

人口減に加えて高齢化も進み、マーケット人口(家を買う人の数)が激減?

人口が減って郊外住宅のニーズが少なくなり自宅の売却価格が下がる一方、利便性の高い都市部の不動産価格が上昇したことで郊外住宅から都心へ移り住めない状況が生まれています。

これはなにも関東圏のみならず全国的な動きです。今後、日本の人口減少はますます進むといわれています。そうなると郊外住宅を買う人も減り続け、希望の売値ではさらに家が売れなくなってしまいます。

国や研究所が発表する国税調査や人口統計をみると、日本の人口は以上のグラフのように推移すると予想されています。

ここで注目したいのは、総人口ではなく生産年齢人口(15~64歳の人口)です。この世代が家を借りたり買ったりする主な不動産マーケット人口といえるためです。

2015年と比べて、2050年にはその不動産マーケット人口が▲35%も少なくなることがうかがえます。人口減少と高齢化がダブルで進むことで、住宅の購買層が一気に減り始めるのです。

今後35年間、13倍のスピードで不動産マーケット人口が減少?住替えの備えが必要

過去35年(1980年~2015年)の間での人口増減をみると▲2.6%(=(7,682万人ー7,888万人)÷7,888万人)の減少に留まっています。

それに対して未来の35年間(2015年~2050年)の間に、その13倍超(▲35%)もの人がいなくなることが予想されているのです。

(1980年代後半にはバブル経済による地価の急上昇という特殊要因はあったものの)前人未到の人口減少・少子高齢社会が本格化するころには、「住み替えたくても自宅が売れない」人が増える可能性が少なくありません。

人口は不動産価格と密接に関わります。これからの時代、前人未到の人口減少の真っただ中で家を買うということをまずは知っておきましょう。

全国的に空室率が上昇、3~4軒に1軒は空き家に?住宅が大幅に余る時代へ

人が減るということは、家が余ることも示唆します。

事実、2013年に総務省が発表した空き家数・空き家率(実績)は「820万戸・13.5%」と「7~8軒に1軒は空室」となっています。

住宅着工戸数シナリオ別の将来の空家率推移(野村総合研究所「知的資産創造(2009年10月号)」:国土交通省「2008年住宅・土地統計調査」などを基に作成)

戸数でみれば、1993年から2013年の20年間で空家数が1.8倍に膨れ上がっています。

また、2009年に野村総合研究所(NRI)が示した将来の空家の発生推計によると、2040年には「2~5軒に1軒程度が空き家」(空室率20%~43%)になるとされています。

2040年には2~3軒に1軒は空き家?節税対策で賃貸アパートも急増、需給を度外視

NRIの推計は、総住宅戸数と総世帯数の差を空き家と定義、2003年度と同じ滅失数(住宅が減る数)が続く一方で、住宅着工数(住宅が増える数)がどの程度変化するかをシナリオ別にわけたものです。

NRIが独自に試算した着工戸数の「NRIシナリオ」に加え、2003年度に比べて着工数が続く「現状」(100%)・「半減」(50%)・「1/3」(33.3%)、そして住宅が取り壊されていく数と新築される数が等しい「住宅ストック一定」(16.3%)にわけたものです。

着工数の実績によれば、平均的に2003年比85%程度の着工戸数推移(2003年の新設住宅着工戸数が116万戸に対して2004~2016年の平均が99万戸)であることや、2013年の総務省発表の空家率が13.5%だったことなどを考えると、50%~100%シナリオの可能性が浮上します。

つまり「2040年には2~3軒に1軒は空き家」(40%弱の空家率)となる可能性も否めない状況にまできているのです。

さらに今後の新築戸数は不透明な様相を呈しています。例えば再建築率が低く、古い家屋をそのまま残して新築されている現状や、2016年には節税対策などで特に地方における新築賃貸アパート戸数の急増、需給バランスに従わないような建設も行われているのです。

いずれにせよ、現在の状況が続けば空き家が増えていくことはほぼ確実な状況です。家余りが進行する中で、マイホーム購入を行うことになるのです。

人口が二極化する日本、地方の賃貸アパート建設増で住宅着工が97万戸に

住む場所も家の性能も国が選別。自宅の価格も下がり補助金も受けにくく?

国も自治体も、人口減少で家余りの時代をただ黙って放置しているわけではありません。この課題を乗り越えるべく既に動き出しています。

その急先鋒といえるのが「立地適正化計画」です。

地域住民の数も税収も落ち込む一方で、行政サービスを効率的に提供するためには住民には固まって住んで欲しいというのが市町村の本音でしょう。それを推し進めるのが立地適正化計画です。

都市計画と民間施設誘導の融合(国土交通省:みんなで進める、コンパクトなまちづくり)

計画を策定することを決めた各市町村は、ここに人を住まわせたいという「居住誘導区域」や、ここに都市機能を固めたいというエリアを選び病院や複合施設などを誘導する「都市機能誘導区域」などを定めます。

強い言葉でいえば「見捨てるエリア」と「盛り上げたいエリア」を分け始めています。人の住む場所を選別し始めているのです。

自宅が居住誘導区域から外れた場合、地価の下落が予想されます。資産価値に大きな影響を与える計画が着々と進んでいます。

住むエリアを市町村が限定する立地適正化計画!家の資産価値に大きなインパクト

2020年からエコ住宅しか新築できない。不良住宅を壊す条件で支給する補助金も

国は性能が高い住宅を残そうともしています。家の性能も選別を開始しているのです。例えば、2020年からは改正省エネルギー基準に合致する住宅しか建てられなくなります。

さらに国は、良質な中古住宅の購入やエコ住宅への建替え、住宅のエコリフォームのいずれかに対して一定の補助金を出す補助金事業「住宅ストック循環支援事業」を実施しました。

この中で、エコ住宅の建て替えにおいてはわざわざ耐震基準に合致しない建物であることを確認した上で、その住宅を解体することを求めています。

質の高い住宅を増やすことと合わせて、不良住宅を減らすことも同時に行っているのです。町はずれに住居を構えたり、陳腐化した住宅に住めば、将来そのマイホームには価値が認められなくなる時代になりつつあります。

人口減少に対しては人口集約、空き家上昇に対しては老朽化住宅の滅失(取り壊し)推進と高品質住宅の建築で対応することによって、家が選別されその資産価値も二極化していくと予想されます。

【追記】住宅の省エネ化の流れは変わらないものの、2020年の義務化は撤回されました。詳しくは以下コラムをご参照ください

省エネ住宅の義務化が白紙撤回?!今後、新築戸建てを買う場合の注意点とは?

長寿命化で「終の棲家」からライフステージに応じて「住み替える」時代へ

このような住宅市場の変化やトレンド、それに対する対応がなされる中、私たち自身にも大きな変化が起こっています。日本人の寿命が伸び続けているということです。

内閣府によると、栄養の改善や医療技術の進歩などによって、2050年の平均寿命は、男性が83.6歳・女性が90.3歳まで伸びると予想されています。

0~30歳までが一人前になるまでの成長時代、30~60歳を社会や家庭で自己実現していく現役時代と考えると、老後にさらにもう一つのステージ分60~90歳が残っているともいえます。

それに合わせて、「終(つい)の棲家」といわれるような「家と居住者が一体」となっていたカタツムリ型の時代から、老後は老後に応じた場所へ住み替え(住み継いでいく)ヤドカリ型の時代へとライフスタイルが変わっていくことが予想されます。

つまり、マイホーム購入の意識が「一生に一度」から「一生に何度も」へと変わるのです。そこでは冒頭にあげた事例のように、住み替えに備え、高値で売れるマイホームの購入法がカギとなるのです。

資産価値(リセールバリュー)にこだわるマイホーム選び。投資家目線を!

郊外住宅で「動くに動けない」状況に追い込まれてしまうのは、購入価格より大幅にマイホームの売却価格が下がってしまったことが大きな理由です。

資産価値の高い住宅、つまり売却益(=売却価格-購入価格)がでるマイホームを購入すれば、住宅ローン返済がそのまま貯金になり「いつでも貸せて売れる」キャッシュを生む住宅となります。

30年後に移り住もうと考えた時に、住み替えるための資金を住宅そのものが捻出してくれるのです。「住宅ローンにおカネが吸い取られ手元に残らない…」という事態が避けられるのです。

その為には住宅を資産と捉え、その資産価値を意識する買い方がカギになってきます。マイホームを買うために費やした資金は単なる出費ではなく、後から戻ってくる・戻ってこさせるようにしなければなりません。

つまり、「投資」であるという視点を持つことが大切です。そうすることで資産価値の高いマイホームを買うことができ、住み継ぐライフスタイルが実現できるのです。

家の資産価値は立地が9割?現金化できるマイホームで将来の住み替えが可能に!

背景(マイホームを取り巻く環境)のまとめ

人口減少・二極化(一極集中)・少子高齢化と日本の人口が減り続け、マイホームを借りたり買ったりする不動産マーケット人口も減っている日本。

国は、住む場所や住宅の品質まで絞り込もうとしています。

そして周りの取り巻く環境だけではありません。あなた自身の寿命が延びることで、今後はライフステージに応じて住宅を「住み継いでいく」時代になるでしょう。

郊外住宅の悲鳴のように、これまでと同じマイホームの買い方をしてしまうとその住み替えに備えることができません。

これからは資産価値(売却益)の出る家を買うことが長い目でみて安心な暮らしを実現する第一歩といえます。

次は、資産価値の高いマイホームの意味は何か、どのような考え方で購入すればよいのか、あなたにどういう自由を与えるかをみていきましょう。

【考え方】将来の売れる物件を買う。資産性ある中古でローンと土地から解放

【P.S.】「この家、買っていいのかな?」…迷わずご相談ください!

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