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いつでも売れる資産価値の高いマイホームが大前提
賃貸物件と異なり、マイホームは自分自身で所有する資産です。
いつでも売れたり貸せたりする物件を購入できれば、毎月の住宅ローン返済がそのまま貯金になります。
今後、寿命が延びライフスタイルに応じて住み替えていく「住み継ぐ時代」が到来する中、資産価値のない物件を買ってしまうとそれは負債となり、住宅ローンや家に縛られた人生となってしまいます。
引っ越したくても売却できない、または大幅に値下げして売るしかできず、次の物件購入費を捻出することが難しくなるのです。
資産価値にこだわった住宅の購入方法はここでは深入りしませんが、それを大前提とした上で、その他の物件の選び方のポイントをご説明します(中古物件を購入される場合を想定しています)。
ポイントは「相場観の習得」と「マイホームを買う動機」
マイホーム(売買物件)を選ぶ際、何からみてよいかわからない程、たくさんの検討項目をあげることができます。
しかし、人によって検討項目もそれらの重要度もまったく変わってきます。その中でも、多くの方にとって特に大切な「相場観の習得」と「購入動機」についてご説明します。
多くの物件に触れ、相場観を養うことで価格の理由を学ぶ
もしかしたらご自身の予算帯の家ばかりをみようとされるかもしれません。しかしそれでは相場観がみえてきません。
まずはご自身の予算にこだわらず(インターネットなどで)たくさんの物件を見渡すことで目が肥え、「この物件はこうだから高い」「この物件は土地の形状が悪いから安いんだ」など、価格と物件のバランスがみえてきます。
価格の理由が分かるということは、同じ物件でも多くの見方を知ることでもあり、マイホームに対する洞察力が変わってきます。理由が分からなければ不動産会社の担当者に遠慮なく聞きましょう。
もしあなたが特に気にならない理由や、あなたが購入後にそれを解消できることなどで大きく価格が下がっている物件がある場合、それは購入価格を大きく抑えることができチャンスともいえます。逆もまたしかりです。
これが相場観を養うメリットでもあり、マイホームの良し悪しの判断がつくようになります。ご自身でも一つ一つの住宅の質が理解でき、納得できる買い物ができるのです。
マイホーム購入の動機や目的を忘れない。迷いを断ち切る
相場観が習得できれば希望予算帯のマイホームに絞り込んでいきましょう。ただし多くのマイホームをみると、物件の理解が深まる反面、さまざまなこだわりがでて誰もが迷ってくるものです。
つまり、目利きができるようになる頃には、どの物件でも何らかの不満がでてきます。そして知らず知らずのうちに、その不満に振り回され、当初の予定から大きくハズレ、「こんなマイホームに住むつもりじゃなかった…」と後悔することになることもあるのです。
そういう時は、「なぜマイホームを買いたいのか?」「目的は何か?」という動機・目的を思い出し、初心に戻ってみてください。全てが理想通りの完璧な物件はありません。
その動機を基準軸として物件をランキングしていくと、ブレずにお部屋探しを進められます。入居後に後悔することもないでしょう。
内覧時の見た目に惑わされない。見えない部分こそ重要
マイホームを購入される際、内覧をすることは必須ですが印象に惑わされないようにしましょう。本当に大切なのは躯体など「外から簡単に見えない部分」です。
例えば、いくら表面がキレイだとしても雨漏りやシロアリに懸念がある物件は手を出してはいけません。まずは見えないところを理解するように心がけてください。
家を”箱”として捉え、将来の間取り変更・増改築の柔軟性を知る
リフォーム・リノベーションを前提として中古住宅を購入する場合、後から工事で変更する部分については現在の見た目はどうでもいいといえます。
特に躯体部分を残して自分の好きな間取りに変えるフルリフォームを行う場合はなおさらです。その場合は、住宅を単なる”箱”として捉えることが大切です。
さらにリフォームを前提としていなくても、将来間取り変更などを行う時が来るかもしれません。その場合、例えば床や天井、壁が二重構造になっているかどうかで給配管や電気設備の増設や移動の制限も変わってきます。
少し専門的になりますが、(在来工法やツーバイフォーなど)住宅の構造によって間取り変更の容易さも変わってきます。
ホームインスペクション(住宅診断)で現在の状態を調べる
中古戸建て住宅を購入する場合には、ホームインスペクションを実施し目に見えない部分を、建築士などの専門家に調査することを強くおすすめします。
質の良い住宅を長く使うストック型の社会を実現しようと、国も中古住宅の品質向上に乗り出しています。その中で2016年、インスペクションを促すように宅建業法も改正されています。
住宅購入は資産購入です。排除できるリスクや不安を解消する手段としても、ぜひインスペクションをおすすめします。
管理費の額よりも、修繕積立金が計画通りか・長期修繕計画は妥当かが大事
マンションを購入される場合には、毎月「管理費」などの名目でマンションの管理組合から一定の金額を徴収されます。
管理費は、マンションの管理会社へ支払う対価や、共用部分の維持管理等に使われます。また、外壁塗装などの今後の修繕のために積み立てておくためのおカネとしても使われます。
(毎月の住宅ローン返済額とは別に)管理費がいくらかかるのかを知っておくことは、今後のファイナンシャルプランにも影響しますので、大切なことです。しかし、もっと気にするべき点があります。
修繕積立金が計画通り貯まっているか(滞納はないか)
マンション管理組合は管理費から一部捻出して、将来の修繕に備えて「修繕積立金」として積み立てていきます。
計画通り積み立てられていれば問題ありませんが、支払いを滞納している居住者がいる場合、計画よりも積立金が少ない場合もあります。
この場合、将来の大規模修繕ができず、マンションの劣化につながります。マンションの資産価値も下がってしまうことに加え、安全性にも関わってくる事態にもなり得ます。
管理費が大幅に値上がりするリスクはないか
もし十分な積立金がない場合、マンション管理組合が毎月の管理費を大きく値上げする(居住者で足りないおカネを出し合う)か、銀行など金融機関から借り入れるか、修繕内容を変更したり先送りせざるを得なくなります。
いずれにせよ居住者に負担を強いることになります。このような事態は多くのマンションで起こっており、決して他人事ではありません。
管理費の値上げ予定があるかどうかは、マンション管理組合や管理会社に聞けばわかることも多いものです。事前にチェックしておきたい項目です。
修繕計画は妥当か。定期的に修繕を行っているか
修繕計画は定期的に実施されることを予定していて、その工事内容が現実離れしていないか、過去にどのような工事を行ってきたか、など計画そのものももチェックしたいものです。
細かい部分まではわからないことも少なくありませんが、ある程度の目安にはなります。
また、修繕計画があっても実際に行われているかどうかは別問題です。上記のような積立金不足のような理由で延期されている場合も少なくありません。
そもそも修繕計画自体がないという場合には長期的にみて安心安全な住生活が遅れない可能性もあります。購入前にマンションのメンテナンスの計画性・実行性をしっかり確認しておきましょう。
内見(内覧)による確認は必須。図面や用語は実はあやふや
見えない部分を見抜くことが大事ですが、もちろん見える部分をしっかり見ることも大切であり、マイホーム探しでも「百聞は一見にしかず」を徹底することが大切です。
図面上の検討や営業担当からの伝聞ももちろん大切ですが、実際に購入候補の住宅をご自身の目で見て判断してください。
「現況優先」の罠。あたなの目でしっかり確認する
不動産会社から渡される図面には「現況優先」や「現況と図面が異なる場合、現況を優先します」などの文言がどこかに書いてあります。つまり、図面が必ずしも正しい情報であるとは限らず「もし間違っていても現況で納得してください」ということです。
そもそもこの図面、専門の設計士などが描いているわけではなく、不動産会社の営業担当などが現場を見て作っているものなのです。大きく異なることは考えにくいものですが、ご自身の目でしっかりと確認することが大切です。
用語がアヤフヤ。不動産業者もあいまいなまま使っている
例えば「アパート」と「マンション」、「ベランダ」「バルコニー」「テラス」の違いはお分かりでしょうか。実はこれらにハッキリとした定義はないのが実情なのです。
大まかな意味合いを以下に説明しますが、あくまでも目安であることご注意ください。しっかりとご自身で確認することが何より大切ということです。
また、広さの目安となる「畳」の表記にも注意が必要です。社団法人首都圏不動産公正取引協議会の不動産の表記における広告ルールでは、「畳」を使う場合は1.62㎡以上なければならないと定められていますが、実際の広さは実際にお部屋を見て確認することが望ましいと考えられます。
さらに「畳」や「帖」といった違いや、地方によってもその定義が異なるなど、曖昧さが残っているのが実情です。
名称 | 説明(目安) |
---|---|
アパート |
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マンション |
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ベランダ |
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バルコニー |
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テラス |
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「徒歩○分」は早歩き?!実際に歩いてみるのが一番
徒歩表示については、明確な規定があります。ただ、それが実態に即しているかというとご自身で確認するのが一番ということになります。
どのように徒歩○分を決めるかというと、道路距離を1分間に80m(1秒で1.3m)のペースで歩いた場合にかかる時間(1分未満の端数は+1分として切り上げます)です。
徒歩ペースは人によって異なりますし、信号や坂、歩道橋などで通常よりかかる時間をすべて無視しています。実際としては、その時間で歩くとなると早歩きをしなければならない場合もあるでしょう。
だからといってこの表記を無視していいものでもありません。誤差はあるにせよ、大まかな距離感はつかめますし、お部屋探しの目安になります。繰り返しますが、実際にご自身で歩いてみた距離感を信じることが大切なのです。
内見時に忘れがちな室内のチェックポイント
実際に内覧する際の具体的なポイントをみていきましょう。尚、これは一例をあげたに過ぎません。実際にはご自身がなににこだわるかを再確認した上で、内見しましょう。
【家の広さ】内覧時は広く見える。設備が設置できるかも確認
内見時にはガランとして広く感じます。しかし、実際には荷物が入った状態で生活しますので、収納が充分とれるかどうかもあわせて確認し、実際に住むことをイメージしながら確認しましょう。
また、洗濯機や冷蔵庫など主要な設備をそのまま使用する場合は、置きたい場所に本当に収まるか寸法を測っておくといいでしょう。
【窓からの眺望・騒音】日光を遮る建物の有無や窓を開けた時の騒音
目の前に景色を遮る大きな建物がないかどうかを確認しましょう。日当たりにも関わってきます。
また、周辺との位置関係を見て、プライバシーがきちんと確保できるかもチェックするとよいでしょう。さらに、窓を開けて大通りや線路、大きな娯楽施設などが近くにないか調べましょう。
【ベランダ・バルコニー】向きだけでなく実際の日当たりをチェック
ベランダがどちら向きか、きちんと日差しが入り明るさを確保できるかを確認しましょう。
一般的には、南向きであれば日照時間が一番長く、東向きであれば午前、西向きなら午後の日当たりがよいです。図面上ではなく、実際に現地で確認することが大切です。
また、ベランダやバルコニーに洗濯物や布団が干せるスペースがきちんと確保されているか、屋根がついているかなどを確認しましょう。特に女性の場合はプライバシー上問題ないかチェックしましょう。
【電波状況】携帯電話がつながりにくいのは致命的!
多くの人にとって必要不可欠なインターネットや電話、これがスムースに使えないと生活する上で非常に不便を感じてしまいます。
携帯電話の電波状況を確認しましょう。場所によっては電波が入りづらく、電話やインターネットに不便を感じます。毎日使う方にとってはかなりイライラが募ってしまいます。
入居後にはなかなか有効な改善策がないものですので、事前にチェックしたいですね。
部屋の外も忘れない!建物のチェックポイント
次に、部屋の外へ出て建物全体のチェックをしましょう。
【共用部分】入居者のマナー水準を推し量る
マンションの場合、郵便ポストや玄関、ゴミ置き場、廊下などにゴミが散乱していないか、私物が置かれていないか、綺麗に掃除されているかなどを確認しましょう。
入居者のマナーのレベルも推し量ることができますので、きちんと確認したいポイントです。
例えば郵便ポストの周りにチラシが散乱しても誰も片付けていない場合、入居後も不愉快な思いをすることになるかもしれません。
また、管理人さんが常駐するマンションの場合、管理人さんにご挨拶するなどして、マンションの入居者の様子もチェックしてみましょう。
【設備】特に女性は防犯をしっかり確認。宅配ボックスの大きさも
宅配ボックスや24時間ゴミ置場、防犯カメラ、オートロックなどを確認しましょう。特に女性の場合、防犯に関する確認は重要です。
防犯カメラの死角がないか、オートロックは簡単に破られる仕組みになっていないかなど、実際に有効に機能しているかも重要です。また、例えば宅配ボックスでは、その有無のみならず、大きさもチェックしておきましょう。
住みやすさを左右する周辺環境のチェックポイント
最後に、建物の周辺の環境をチェックしましょう。
【商業施設】コンビニなどよく使うお店があるか確認
近くにコンビニやスーパー、飲食店があるととても便利です。クリーニング屋やコインランドリーを定期的に使う方はその場所も確認しておきましょう。
また、駅から距離があり自転車やバイクを使われる方は、駅前に駐輪場や駐車場があるかどうかや、その営業時間も大切なポイントになります。
【夜の景色】安全性を重視する方は昼夜両方みておく
不動産会社との内見は昼に行うことが多いですが、意外と昼と夜の印象が変わることもあるのです。特に女性の場合、夜の人通りや明るさなどは防犯上気をつけたいポイントです。
できれば、夜の景色も見ておくことをおすすめします。交番の位置も確認し、万が一の事態に備えられる体制を整えましょう。安心して暮らせるよう、少し面倒でもチェックしておくことをおすすめします。
【大型施設】工場・学校・病院・大型店舗の影響を考える。用途地域もチェック
近くに工場や学校、大型店舗があるかどうかも確認しておきましょう。病院や大型店舗は便利な半面、サイレンの音や騒音が発生する可能性が高まります。
また、工場や学校はトラックの騒音や子どもの声などが聞こえてくる場合もあります。気にされる方はきちんと現場でチェックしておきましょう。
さらに、購入予定のエリアにどのような用途地域に該当するのかも調べましょう。将来用途が変更する可能性もありますが、そのエリアに建つ建物の種類や、どのような街づくりを行おうとしているのか分かります。
また、用途地域は道路一本を挟んで異なることもあります。周辺も含めて調べましょう。
マイホームの選び方・内見方法のまとめ
マイホームを選ぶ際、感覚的なイメージで選ぶと後悔することになります。まずは相場観を養い、どのような要因で価格に差が生まれているか理解しましょう。
また、間取りや設備に過度にこだわるのではなく、大切なのは躯体などの見えない部分の状態です。間取りなどはリフォームで変更することができますが、構造や躯体などは修正が難しいものです。
さらに、管理費もその水準に一喜一憂するのではなく、今後の修繕計画や現在の積立金の状況など時間軸をもって考えることが大切です。
次は、マンション購入を検討されている方に重要な「修繕積立金」の適正水準の確認方法などについて具体的にみていきましょう!
【P.S.】「この家、買っていいのかな?」…迷わずご相談ください!
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