消費税は、事業者が提供するモノ・サービスに課される税

消費税は、国内において「事業者」が「おカネをもらって行う」「モノの販売やサービス」に課されます。事業者には法人のほか個人事業主も含みます。

消費税・108円_sより厳密に言えば、「対価を得て行う資産の譲渡等と外国貨物の輸入」に対して課されます。難しい言葉が出てきましたが、不動産取引に関しては以下の3つが該当します。

  • 不動産の売却などの「資産の譲渡」
  • 不動産の賃貸などの「資産の貸し付け」
  • 不動産仲介会社や司法書士のサービスなどの「役務の提供」

消費税が課されない取引もある

消費税には、「非課税取引」、課税条件を満たさない「不課税取引」、輸出に類似する取引の「免税取引」に該当する取引には消費税が課されないようになっています。

例えば国外の取引や、無償で行う取引は不課税取引となります。

非課税と不課税の違い非課税と免税の違いなどは重要ではなく、このように消費税がかからない取引があることを知っておいてください。

そして不動産取引においては、本来は課税されるべき要件を備えていても、消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないものや社会政策的配慮から、課税しない非課税取引が重要です。

【具体例】不動産における非課税取引

不動産取引において、消費税がかかるものとかからないものの具体例を以下の表にまとめます。

ただし、後述する通り例外もありますので、それと合わせてご覧ください。

 課税非課税
取得・賃貸
  • 建物の購入代金
  • 建築・リフォームの請負代金
  • 住宅ローンの事務手数料
  • 仲介手数料
  • 住宅以外の敷金・礼金・保証金
    (返還しないもの)
  • 土地の購入代金
  • 住宅ローンの保証料
  • 火災保険料・生命保険料
  • 住宅の敷金・礼金・保証金
  • 住宅以外の敷金・礼金・保証金
    (返還するもの)
  • 租税公課
保有・居住
  • 住宅以外の家賃・共益費
  • 住宅ローンの事務手数料
  • 更新事務手数料(管理会社への支払い)
  • 管理料(管理会社への支払い)
  • 住宅の家賃・共益費・更新料
  • 地代
  • 住宅ローンの返済利息
  • 租税公課
売却・退去
  • 仲介手数料
  • 抵当権抹消登記を依頼した司法書士の報酬
  • 租税公課

また、マイホームなどを購入する場合や投資物件として取得し賃貸する場合、賃借する場合などを合わせて記載していますので、取引によって該当しない項目もあります。

土地の売買と賃貸、住宅の賃貸は非課税取引

消費税法に規定される通り、「土地の譲渡・貸付け」「住宅の貸付け」は非課税取引として消費税がかかりません。

(非課税)
第6条  国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第一に掲げるものには、消費税を課さない。

別表第一 (第6条関係)
1 土地(土地の上に存する権利を含む。)の譲渡及び貸付け(一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合を除く。)
13 住宅(人の居住の用に供する家屋又は家屋のうち人の居住の用に供する部分をいう。)の貸付け(当該貸付けに係る契約において人の居住の用に供することが明らかにされているものに限るものとし、一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合を除く。)

つまり、土地の売買または賃貸(地代を徴収して他人に貸す)、住宅の賃貸(家賃をもらって他人に貸す)は消費税がゼロになるということです。事務所や店舗など事業用の家賃は消費税がかかります。

尚、事務所などとの併設住宅については、住宅部分のみが非課税となり、家賃を住宅部分と店舗部分に合理的に分ける必要があります。

土地・住宅の貸付けでも課税される場合

条文の中にもある通り、以下の場合などは非課税取引にはならず、消費税が課されます。

  • 1か月未満の賃貸など短期賃貸の場合
  • 舗装した駐車場やプール、テニスコート、野球場などの施設の利用に伴って土地が使用される場合
  • 契約書に居住用であることが明記されていない場合

つまり、いくら土地や居住用の住宅を賃貸に出しても、消費税がかかることがあるということです。

例えば、短期間で限定したものであったり、その土地に住宅以外の施設が建ちサービスを提供したり、居住のための賃貸であることが契約時に定められていない場合です。

駐車場_s尚、駐車場は駐車している車両の管理を行っている場合や、駐車場としての地面の整備またはフェンス、区画、建物の設置などをして駐車場として利用させる場合に課税されます。特に管理も舗装もしていない場合は非課税と考えられます。

建物価格にのみ消費税が課税。建物価格のみの算出方法

不動産を売買する際、土地と建物を合わせて売買することが多いものです。

不動産価格は基本的に税込金額である総額が記載されており、例えば「5,000万円(税込)」と書かれている場合、土地価格と建物価格の合計金額です。

そして、土地には消費税がかからず、建物のみにかかります。つまり「不動産総額(税込)=土地価格(税抜)+建物価格(税抜)+建物の消費税額」となるのです。

総額と消費税額から建物価格・土地価格を計算する方法

購入した不動産の契約書に消費税額が書かれている場合、土地価格(税抜き)と建物価格(税抜)をそれぞれ算出することができます。

  • 建物価格(税抜) =(消費税額÷消費税率)
  • 土地価格(税抜)=不動産総額(税込)-建物価格(税抜)-消費税額

総額と土地価格から建物価格・消費税を計算する方法

土地価格のみ分かっていて消費税がわからない場合は以下のようになります。

  • 建物価格(税抜) =(不動産総額(税込)-土地価格)÷(100%+消費税率)
  • 消費税額=建物価格(税抜)×消費税率

例えば、2015年(消費税率8%)に購入した不動産の契約書に購入代金5,000万円(内、消費税100万円)と記載されていれば、それぞれ以下のように求まりまり、もちろん価格は一致します。

  • 建物価格(税抜)「1,250万円」 =(消費税額100万円÷消費税率8%)
  • 土地価格(税抜)「3,650万円」=不動産総額5,000万円-建物価格1,250万円-消費税額100万円
  • 建物価格(税抜)「1,250万円」=(不動産総額5,000万円-3,650万円)÷(100%+8%)
  • 消費税額「100万円」=建物価格1,250万円×8%

その他の方法(土地・建物価格の総額しか分からない場合)

不動産の総額しかわからない場合、税法上にも建物と土地の価格を分ける方法に規定はなく、合理的な方法で分けるしかありません。

例えば以下の方法が考えられます。

  • 固定資産税評価額の土地・建物の価格割合で按分する方法
  • 近隣相場から土地の時価を土地価格とする方法
  • 建築着工統計調査(独立行政法人統計センター)など公的機関のデータを基に建物の価格を概算し、減価償却費分を引いた額を建物価格とする方法

売主が個人の場合、建物の購入代金でも消費税がかからない

消費税は、「事業者」がおカネをもらって行うモノの販売やサービスに課税されるのでした。

もし、売主が法人や個人事業主ではなく、個人の場合にはそれに該当しません。ですので、個人売主のマイホームやセカンドハウスを購入する場合には消費税がかかりません。

ただし、個人でも投資物件などを売却する場合には個人事業主とみなされ課税される場合がありますのでご注意ください。

仲介手数料の額も消費税によって変わる。払い過ぎに注意!

取引価格が400万円以上の不動産売買の場合、仲介手数料の上限は「税抜き価格の不動産価格×(3%+6万円)」に対して消費税が課されます。

仲介手数料を計算する場合には、税抜き価格に戻す

注意しなければならないのは、税込みの総額で表示されている金額には、「非課税の土地」と「課税の建物」の価格が混じっているということです。

ですので、単純に「(税込総額×3%+6万円)×(1+消費税率)」としたのでは、払い過ぎになるということです。

先ほどの2015年(消費税率8%)に購入した不動産総額5,000万円(内、消費税100万円)の例の場合、税抜きの不動産価格4,900万円(=土地価格3,650万円+建物価格1,250万円)です。

この場合、仲介手数料の上限は以下の通り「165.24万円」です。

仲介手数料「165.24万円」=(税抜きの土地・建物価格4,900万円×3%+6万円)×1.08

もし、これをそのまま消費税額100万円分を含めた総額の5,000万円に対して同様に計算してしまうと、仲介手数料が「168.48万円」(=(5,000万円×3%+6万円)×1.08)となり、3万円以上も多くなってしまいます。

個人が売主の場合には仲介手数料が高くなる?

不動産を購入される場合、売主が個人として所有するマイホームやセカンドハウスの場合、建物価格にも消費税がかかりません。

つまり、「不動産総額5,000万円」と書かれていても、消費税が0円なのです。

個人・住宅家_sつまり、5,000万円は税抜き価格であって、これにそのまま仲介手数料率の3%が掛けられます。上の例でいえば、正規の仲介手数料が「168.48万円」(=(5,000万円×3%+6万円)×1.08)となるのです。

なんだか納得がいかないかもしれませんね。。

そもそもその物件が業者が売主であった場合、売り出し価格は5,000万円ではなく「5,000万円+建物の消費税額」となるわけで、初めから売り出し価格が安くなっていたということですね。

消費税のまとめ

不動産取引を行う上で、消費税がかかるものとそうでないものをみてきました。

土地の賃貸や住宅用の家賃など、(本来の課税条件を満たしながらも)消費税がかからない取引を頭にいれておきましょう。

特に、建物価格にのみ消費税が課されますので税込み表記の不動産価格では税抜きの建物価格がいくらなのか一見わかりずらいものです。

仲介手数料では税抜き価格に仲介手数料率を乗じるものですので、払いすぎることのないようしっかりチェックしましょう!

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