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固都税は基本の計算式+優遇措置で決まる
固定資産税と都市計画税は、1月1日時点での(土地や家屋など)固定資産の所有者に対して、市町村(東京23区は都)が課税する税です。
都市部は税収の40%程度、町村は50%程度を占め、市町村にとって大切な税収なのです。尚、固定資産税と都市計画税をあわせて「固都税」と呼びます。
固都税は以下の計算式で計算されます。
固都税=課税標準額×税率
固定資産税と都市計画税は、以下で述べるように、課税標準額は固定資産税評価額が用いられ、税率も地方税で範囲が決まっています。
それぞれで当てはめると以下の通りです。
- 固定資産税=固定資産税評価額(土地・建物)×税率1.4%(標準税率)
- 都市計画税=固定資産税評価額(土地・建物)×税率0.3%(制限税率)
固定資産税と都市計画税をあわせて、「本来(正規)の固都税=固定資産税評価額×1.7%」とまずはご理解ください。
小規模住宅用地の特例で、土地の固都税が1/6に
ここから、各種の減額措置が認められており、最終的な額はだいぶ小さくなるように設計されています。
具体的には課税標準額(固定資産税評価額)に対する優遇措置や、それらを基に算出した固都税に対する優遇措置などです。
特に有名なのが土地の固定資産評価額が1/6にまで減額される「小規模住宅用地の特例」です。
細々して難しいことろがあるかもしれませんが、大きな考え方だけしっかり押さえましょう。
税率は標準税率と制限税率が決まっている
固定資産税の標準税率(基準)はほとんど1.4%
固定資産税の標準税率とは、地方税法の「第2節 固定資産税」に定められています。
特別な事情がない限りこの税率を使ってくださいというものです。事実、ほとんどの自治体で「1.4%」が採用されています。
(固定資産税の税率)
第350条 固定資産税の標準税率は、百分の一・四とする。
2 市町村は、当該市町村の固定資産税の一の納税義務者であつてその所有する固定資産に対して課すべき当該市町村の固定資産税の課税標準の総額が当該市町村の区域内に所在する固定資産に対して課すべき当該市町村の固定資産税の課税標準の総額の三分の二を超えるものがある場合において、固定資産税の税率を定め、又はこれを変更して百分の一・七を超える税率で固定資産税を課する旨の条例を制定しようとするときは、当該市町村の議会において、当該納税義務者の意見を聴くものとする。
また、1.7%を超える税率を設定しようとする場合には、市町村の議会で納税者の意見を聴くよう義務ずけられています。事実上、最高でも1.7%と考えてよいでしょう。
都市計画税の制限税率(上限)は0.3%
都市計画税の制限税率とは、同じく地方税法の「第6節 都市計画税」に定められています。
これは最高税率と読み替えてもよく、最大でも「0.3%」までとしてくださいと決まっています。
(都市計画税の税率)
第702条の4 都市計画税の税率は、百分の〇・三を超えることができない。
市町村によって採用する税率は異なりますが、概ねほとんどの場合、固都税合わせて「1.7%」と考えていてよいでしょう。
課税標準額=固定資産税評価額
課税標準額とは、税率を掛ける前の価額で、土地や建物(家屋)の評価額と考えてください。
固定資産税も都市計画税もいずれも固定資産税評価額を用います。いずれも市町村が計算し、納税者へ通知するため自分で計算する必要はありませんが、考え方は押さえておきましょう。
この課税標準額は、3年に1度評価替え(再度評価しなおすこと)されますので、3年間は据え置かれるといえます。毎年評価を行うのが望ましいのですが、あまりにも土地・建物があるためおカネも時間もかかり、物理的に不可能なのですね。
そのため、評価替えを行う年度(基準年度)以外の年度で著しく地価の下落がみられた場合などは、個別に課税標準額を見直し、修正します。
土地の固定資産税評価額
土地の固定資産税評価額は、固定資産税路線価にその土地の面積を掛けることで算出されます。
固定資産税路線価は、公示地価の70%を目途として、3年に1度決定(評価替え)されます。
建物(家屋)の固定資産税評価額
建物の固定資産税評価額は、評価時点で同じものを作り直す時にかかるコストを基に計算されます。
建築費の70%を目途として、新築時に1度だけ評価され、その後は経過年数に応じて機械的に減額されます。
土地と建物(家屋)に対するさまざまな優遇措置
本来の固都税に対して、一定の条件を満たす土地や建物であれば、固都税が減額されます。
自分で住むためのマイホームに対して高い固都税がかかってしまうと、基本的な生活が難しくなります。ですので、特に住宅用地には手厚い減額がなされています。
また、耐震性やバリアフリーなどに優れた優良な住宅を増やそうとする国の思惑を反映して、そのような住宅に対しては減額措置が講じられます。
たくさんあり、それぞれが複雑に思えるかもしれませんが、一つ一つはそれほど難しいものではありません。
計算方法に惑わされることなく、どういう意図でそのような措置が取られているか理解しましょう。
尚、このような優遇措置は税制が改革されるとその内容も変わり、また廃止になったり新たな制度がでてきます。最新情報はこまめにチェックしてくださいね!
不動産売買での固都税の精算
不動産売買が例えば4月1日に行われ、所有権が移転した場合でも、その年の固定資産税は全額売主(1月1日時点で所有していた元の所有者)が支払わなければなりません。
この不公平感をなくすため、通常は、売買時に売主と買主で按分します。
つまりこの場合、1月~3月(年間の1/4)を売主が、残り3/4を買主が負担するように、金銭のやり取りが行われます。
また、その年の納税通知書が送られてくるのは5月ころです(地域によって前後します)。
それまでに決済が行われる場合には、過去の固都税を今年の固都税とみなして計算したり、納税通知書が送られてきてから、固都税の精算を行ったりします。
これらはあくまで、売主と買主の合意に基づくものですので、法律で決められた方法はなく、自由になされているのが現状です。
売主の税務取り扱い:清算金には所得税が課される
本来、固定資産税・都市計画税は1月1日時点で不動産を所有していた売主が全額負担すべき性質のものです。
それを買主との間で按分したとしても、買主が代わりに固都税を納めるわけではありません。
つまり、売主は不動産を売却する対価として清算金を受領するとみなされ、清算金は売買代金の一部とみなされるのです。
そのため、売主にとっては清算金は収入となり所得税が課されるのです。
買主側の税務取り扱い:清算金は不動産取得費用
買主にとっては、あくまでも売主に対する売買代金の支払いであるため、「契約書に記載の売買代金+固都税清算金」が不動産の取得価額となります。
つまり、税務上の土地・建物の価額に組み込まれ、清算金を費用として申告することはできません(かわりに減価償却費で少しずつ費用化されます)。
さらに、税金ではなく売買代金の一部であるため、売主が事業者である場合には消費税がかかります。
消費税は土地にはかからず建物にのみ課されますので、清算金の内、建物部分に相当する部分に消費税が課されます。
固都税のまとめ
固定資産税および都市計画税は、それぞれ標準税率と制限税率が定められ、課税標準額は固定資産税評価額を用います。
ただし、土地や家屋にさまざまな軽減措置があり、条件に適合する場合には固都税が安く抑えられます。次ではその優遇措置を具体的にみていきましょう。
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