価格に織り込まれていない事実があれば値が動く。将来の可能性でも

販売価格は売主が決めた、あくまでも希望価格です。

この価格を基準として、基本的には買主との交渉を経て最終的な取引価格(実勢価格)が決まります。

交渉材料としては、売主の価格設定が検討不十分でありその点を突かれた場合や、売主や買主個人の事情によるものがあります。

特に価格に不満はない買主が、言ってみるのはタダだからともう少し安くしてくれるよう交渉が持ちかけられることもあるほどです。売主側も、それが許容範囲であれば交渉成立を優先すべく、値下げに応じることもあるのです。

初めの売り出し金額(売主の希望価格)で取引されることもありますが、購入希望者が複数いない場合には、価格交渉(指値)がなされていることが多いといえるでしょう。

買主も売主も、不動産の状況(事実)をみて相手側に指摘。将来の想定(可能性)も

買主に不利になる状況が販売価格に織り込まれていない場合には、それを交渉材料とされ指値(値下げ)を受けることがあります。

具体的には、その物件が既存不適格であったり違法建築であったりする場合や、道路付けが悪いことなどがあげられます。

また、売主が売り急ぐ事情ができた場合にも、本来の販売価格より大幅な値下げをして売り出すでしょう。これも売り急ぐという事実が価格に反映され値が動いたということです。

打合せ1_s仮に買主から指値を受けても売主は防戦一方ではなく、「まとまった土地であるからこそプレミアムがある」ことや「角地で利便性が高い」ことなど、買主が認識していない事実を丁寧に説明し、販売価格(希望価格)の妥当性を主張します。

「建ぺい率や容積率が余っており土地の活用方法に伸びしろがある」ことや「再開発地域に指定され地価が値上がりする可能性がある」ことなど、可能性に言及して交渉することもあります。

指値(値下げ)は根拠ある条件提示を!大幅値下げは他決リスクも

物件の見方で価格が変化。売主・買主の関係性で相場からかけ離れた取引も

交渉によって価格の着地点はさまざまです。特に、売主・買主どちらかが相場の情報量に差がある場合、通常の取引価格より大きくかい離した取引となる場合もあります。

例えば、売主が相場情報に弱く、相続税路線価を単純に使って土地の価格を設定したとしましょう。

公示価格水準を販売価格とすべく、公示価格の80%程度の路線価で計算した土地の価格に「×1.25」(=1/80%)を掛けたとします。

打合せ2_300

路線価は道路に土地の価格が刻まれますので、同じ道路に接する土地は同じ価格ということになります。

しかし、同じ道路に面していても角地は利便性が高く、また、道路を挟んで向かい合った土地は玄関の方角が逆になり、日当たりに大きく影響します。

単純な例ですが、適正に不動産を評価するのは簡単なことではないことを覚えておきたいものです。

同じ不動産があったとしても、買主・売主の関係性や特殊事情によって金額は変わる

他にも、買主が海外在住の場合には円高円安によって、価格交渉を受ける場合もあるでしょう。

今後の日本経済の見通しや人口流出入、再開発やインフラ整備などさまざまな要因で価格は揺れ動きます。

このように、物件の外見上の要因や売主・買主の関係性、投資家の在住地など複数の要因で価格が形成されていくのです。

都心の風景_s特に、同じ物件で同じ立地、同じ条件だとしても、例えば友人知人親戚など知り合いと取引する場合など、売主・買主が親しい間柄である場合には相場とかけ離れた価格で取引される場合があります。

また、借地権者が底地権者へ借地権を売却するように特殊な関係にある場合は、買主が所有権(=底地権+借地権)を持つことができるようになるため売買金額が高くなるなど、売主・買主の持つ固有な特殊事情にも左右されます。

唯一無二の価格決定法というものはないといえ、最終的に定まった価格にはさまざまな背景が見え隠れするものです。

価格を形成する要素は数多く存在。検討要素を絞って交渉をスムースに

不動産価格が形成される要因の内、「地域要因」や「個別的要因」については、取引事例比較法における検討項目でもみたように、いくらでも多くできます。

ここでは最後に「一般的要因」を同じく「不動産鑑定評価基準(国土交通省)」より引用します。

一般的要因とは、一般経済社会における不動産のあり方及びその価格の水準に影響を与える要因をいう。それは、自然的要因、社会的要因、経済的要因及び行政的要因に大別される。一般的要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。

Ⅰ 自然的要因

1.地質、地盤等の状態
2.土壌及び土層の状態
3.地勢の状態
4.地理的位置関係
5.気象の状態

Ⅱ 社会的要因
1.人口の状態
2.家族構成及び世帯分離の状態
3.都市形成及び公共施設の整備の状態
4.教育及び社会福祉の状態
5.不動産の取引及び使用収益の慣行
6.建築様式等の状態
7.情報化の進展の状態
8.生活様式等の状態

Ⅲ 経済的要因

1.貯蓄、消費、投資及び国際収支の状態
2.財政及び金融の状態
3.物価、賃金、雇用及び企業活動の状態
4.税負担の状態
5.企業会計制度の状態
6.技術革新及び産業構造の状態
7.交通体系の状態
8.国際化の状態

Ⅳ 行政的要因

1.土地利用に関する計画及び規制の状態
2.土地及び建築物の構造、防災等に関する規制の状態
3.宅地及び住宅に関する施策の状態
4.不動産に関する税制の状態
5.不動産の取引に関する規制の状態

これらすべての項目を検証することは事実上不可能といえるでしょう。

また、需要が強い地域であれば、買主の交渉に丁寧に応じなくとも、言い値で取引できることもあるでしょう。

握手_s

少しでも安く買いたいという気持ちはわかりますが、あまりにも交渉を伸ばして売主がそっぽを向いてしまっては元も子もありません。

大切なのは、価格を決定する手法は手法として理解しながら、それに振り回されすぎず、個別具体的に取引における立場や関係性などを含めて総合的かつ大局的に俯瞰しながら、売主・買主双方の納得いく着地点を探ることでしょう。

実際に交渉するのはパートナーとなる不動産仲介業者。チーム一丸となる

購入申込み(条件交渉)をするために交渉の矢面に立つのは売主や買主本人ではなく、その間に入る不動産仲介業者です。

つまり、不動産会社の力量で、その指値交渉の成功可否が大きく変わってきます。

不動産会社とチーム一丸となれるかどうかが、まずは交渉の成果を大きく左右します。

ざっくばらんに話し合える不動産会社(パートナー)探しが良い不動産取引の第一歩。心地よい不動産会社とともに納得のいく交渉を行いましょう。

取引価格(実勢価格)のまとめ

取引価格は、売主と買主の交渉を経て最終合意した着地点です。

仮に同条件の不動産があったとしても、売主や買主個人の特別な事情があれば値が上がることも下がることもあります。

取引価格をすべて合理的に説明するのは困難ともいえます。だからこそ、公示地価など客観性を追求する価格を算出する際には、説明できない特殊な取引事例は参考データから除外するのですね。

不動産価格7つ:取引価格_700

これまで、公的機関が発表する土地価格である公示価格路線価家屋の評価額である固定資産税評価額、土地+家屋を民間企業や売主個人が定める積算価格や、取引事例比較法収益還元法などの販売価格についてご説明してきました。

そして取引価格は感情的な側面が影響したり、個人的な関係性が優先される場合もあることがわかりました。不動産の価格は最終的な取引では、多くの思惑や事情がぶつかり合って形作られます。

唯一の決め方がないからこそ、柔軟な取引ができ、不動産会社の腕の見せ所ともいえるでしょう。最期に、実際の成約価格(取引価格)を調べるのは現状では難しいことをみていきましょう。

不動産売買の重要情報である「取引価格(成約価格)」は現状では非公開

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価格は適正か(妥当性)
将来の売りやすさ(流動性)
住宅ローン減税の対象かどうか
地震に強い建物か(耐震性)
管理の状況(マンション)
土地の資産性(戸建て)