容積率とは、建物の延床面積が土地面積の何%か

容積率とは、「敷地面積に対する建物の延床面積の割合」のことです。

例えば500㎡の敷地に7階建てのマンションがあり、各階の床面積が100㎡であれば延床面積が700㎡となり、容積率140%(=700㎡÷500㎡)となります。

容積率・敷地面積・延床面積_400

容積率=建物の延床面積÷敷地面積

建ぺい率が敷地面積に対する建築面積の割合であったこととの違いをご理解ください。もし1階だけの建物であれば、建ぺい率=容積率となりますね。

ただし、建ぺい率の場合と同様に、敷地が2項道路に接している場合はその道路の中心線から2mの位置を道路と敷地の境界線とみなすため、その部分は敷地面積とはみなされません。

容積率は用途地域と前面道路の幅員の制限の内、小さい(厳しい)方

容積率の上限は用途地域と前面道路の幅員(道の幅)に応じてその最大値が決まっています。

角地などで前面道路が複数接する場合、一番道幅が大きいものを採用して基準を定めます。

尚、(準)都市計画区域の用途地域が定まっていない地域は特定行政庁が定めます。

用途地域に応じた容積率の上限は、下の表の中から地域ごとに都市計画でいずれかが指定されます。これを「指定容積率」といいます。

容積率(指定容積率>基準容積率)_400

また、前面道路の幅員が12m未満の場合、前面道路の幅員に応じて例えば「幅員×0.4」などと決まります。これを「基準容積率」といいます。例えば、前面道路の幅が6m(<12m)であれば、240%(=6m×40%)となります。

この指定容積率と基準容積率の小さい方が、その敷地に適用される容積率となります。上図の例でいえば、この敷地の容積率の上限は240%(<300%)となります。

容積率_s尚、幅員が12m以上であれば指定容積率による制限はなく、指定容積率がそのまま容積率の制限となります。

また、幅員による制限は、特定行政庁が都市計画審議会の議を経て区域を指定した場合には、前面道路の幅員に乗じる係数を×40%や×60%、×80%に変更できます。尚、両区域外であっても条例によって容積率を制限することができます。

2項道路の場合は敷地面積に含まない代わりに道路幅員を4mとみなす

前面道路が2項道路の場合、敷地面積から除外されることは上述した通りですが、代わりに4mの幅員とみなしてくれます。

ですので、4m×40%(または60%)の基準容積率と、指定容積率の小さい方が、その敷地の容積率上限となります。

【緩和策5つ】地下室や駐車場・駐輪場などは容積率の制限が緩和される

地下室や半地下、駐車場は条件を満たせば一定の範囲内で容積率計算から免除されます(それだけ大きな建物が建てられます)。

尚、これはあくまでも容積率の計算上、床面積を除外するものであって他の規制の場合には地階や駐車場・駐輪場であっても含まれますことご注意ください。

【緩和1】地階は「地上部分と合わせた延床面積の1/3」を上限に床面積を免除

地階は以下の条件を満たせば、地上部分と地下部分を合わせた合計延床面積の1/3までであれば、地下部分は容積率計算の床面積から除外されます。

項目説明
適用条件
  • 住宅の用または高齢者などの入所・入居の用に供されていること
  • 地盤面から地階の天井高さ≦1m
除外される床面積以下のいずれか小さい方

  • 地下部分の延床面積
  • 地上・地下の延床面積合計÷3

例えば以下の図のような住宅用の地下部分があるマンションで、地下の天井高さが1m以下とします。

この場合、地下の延床面積100㎡と、地上・地下を合わせた延床面積700㎡÷3=233㎡の小さい方、つまり地下の延床面積100㎡すべてが容積率を計算する時の延床面積から除外されます。

地階の容積率・敷地面積・延床面積_400

よって、このマンションの延床面積は600㎡(=700㎡-100㎡)とみなされ、容積率は120%(=延床面積600㎡÷敷地面積500㎡)となります。

尚、「高齢者などの入所・入居の用に供される」というのは、いわゆる老人ホームなどの施設を指します。高齢者の増加に対応した良質な老人ホームなどの供給を促すためのものです。

半地下も1/3以上埋まっていれば地階とみなされる

建築基準法における地階の定義は、以下の通りです。

(用語の定義)
建築基準法施行令 第1条 この政令において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
二  地階 床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの三分の一以上のものをいう。

つまり、以下の図において以下の計算式が成立するものです。

地階の定義_s2

地下室の床から地盤面までの高さh≧(1/3)×床面から天井までの高さH

一部地上に出ているものは半地下などと呼ばれますが、建築基準法上は1/3以上埋まっていれば、すべて地階とみなすのです。

【緩和2】駐車場・駐輪場は“建物と合わせた延床面積の1/5”を上限に床面積を免除

駐車場や駐輪場は、建物と駐車場を合わせた延床面積の1/5までであれば、容積率計算の床面積から除外されます。

項目説明
適用条件
  • 駐車場の用に供されていること
    • 単独車庫やカーポート型やビルトイン型など、構造は自由
除外される床面積以下のいずれか小さい方

  • 駐車場・駐輪場部分の床面積
  • 建物・駐車場の延床面積合計÷5

例えば以下の図のような駐車場があるマンションの場合、駐車場の延床面積50㎡と、建物部分の延床面積700㎡を合わせた延床面積750㎡÷5=150㎡の小さい方、つまり駐車場の延床面積50㎡すべてが容積率を計算する時の延床面積から除外されます。

駐車場の容積率・敷地面積・延床面積_mよって、このマンションの延床面積は700㎡(=750㎡-50㎡)とみなされ、容積率は140%(=延床面積700㎡÷敷地面積500㎡)となります。

尚、用途が車庫であれば、自動車も自動二輪も、自転車でもOKです。また構造についても、建物に組み込んだビルトイン型車庫や、単独車庫、柱と屋根のみのカーポート型車庫などすべて対象となります。

【緩和3】蓄電池や貯水槽の設置部分、共同住宅の共用部分も容積率計算に不算入

地下室や駐車場などと同様、以下の部分も容積率算定の床面積に不算入となります(建築基準法施行令 第2条)。

容積率算定の床面積不算入部分上限
専ら防災のために設ける備蓄倉庫部分建物部分などを含めたすべての延床面積×1/50
床に据え付ける蓄電池設置部分建物部分などを含めたすべての延床面積×1/50
自家発電設備設置部分建物部分などを含めたすべての延床面積×1/100
貯水槽設置部分建物部分などを含めたすべての延床面積×1/100
共同住宅の共用の廊下・階段・バルコニー
エントランスホール・エレベーターホール
なし(すべて不算入)

尚、共同住宅のエレベーターホールは免除されますが、エレベーター自体は延床面積に算入されます。

また、管理人室や設備室、トランクルームなども除外の対象として含まれます。

【緩和4】特別大きな敷地は、特定行政庁の許可があれば容積率が大きくなる

大きな敷地の場合には、容積率の緩和が認められる場合があります。

具体的には、高層住居誘導地区を除く、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域、商業地域内にある一定規模の敷地に(住宅を含む)建物を建てる場合、敷地内か敷地の周囲に空地を確保し、特定行政庁の許可を得られれば容積率が緩和されます(最大1.5倍)。

条件は自治体によって異なりますが、敷地面積が1,000㎡以上などとなることが多く、主にマンションや複合オフィスビルを対象とした制度といえます。

【緩和5】特例容積率適用地区なら余った容積率を他の建物へ上乗せできる

別の建物に、余った容積率を付け加えることができる場合があります。

地域地区の一つ、「特例容積率適用地区」の場合には、第一種・第二種低層住居専用地域、工業専用地域以外の9種類の用途地域内で指定することができます(都市計画法第9条15項)。

つまり、使用されずに残っている容積率を他の敷地に移動させ、上乗せして土地の有効利用を実現するものです。両方の地権者の申請に基づいて特定行政庁が指定します。

指定容積率が異なる地域にまたがる場合は加重平均

敷地が、指定容積率が異なる地域にまたがっている場合には、加重平均を行います。

つまり、それぞれの地域の延床面積の上限を計算して合算したものが、その敷地全体の延床面積(上限)です。

容積率=(一方の容積率×その部分の敷地面積+他方の容積率×その部分の敷地面積)÷全体の敷地面積

例えば以下の図のように、全体で180㎡の敷地があり、一方が120㎡の敷地で指定容積率が300%、他方が60㎡の敷地で指定容積率が200%とします。前面道路は12mありますので基準容積率の制限はありません。

この場合、オレンジ色の敷地部分では延床面積上限が360㎡(=120㎡×300%)、ピンク色の敷地部分では120㎡(=60㎡×200%)となりますので、全体の敷地に対して480㎡(=360㎡+120㎡)が延床面積の上限となります。

容積率(2つの地域にまたがる場合)2_400これは、敷地全体で考えた場合の容積率が267%(=延床面積上限の合計面積480㎡÷全体の敷地面積180㎡)を意味します。

尚、建物の配置は自由に行えます。つまり、一方の地域に建物を寄せ、単体でみれば容積率が超えている場合にも全体の敷地でクリアしていれば問題ありません。

超高層ビルは空地を作って容積率を満たしている

50階建てビルなど超高層ビルはどのように容積率を満たしいてるのでしょうか。それは敷地の中に空地を作って、建築面積を限定しているためです。

例えば商業地域で容積率が1300%が指定されている場合、建築面積を敷地面積の25%とすれば50階建てビルでも容積率を満たします。

容積率の具体例(超高層ビル)2_m

また、日本では(地震やビルの効率などから)100階建てビルというのは考えにくいかもしれませんが建築面積を敷地面積の10%に抑えれば100階建てのビルを建てても容積率1000%です。

同じ1000%でも、建ぺい率を50%とすると20階ビルが建ちます。ずいぶん横に広がりますね。

また(上図にはないですが)建築面積を20%とすれば、50階建てのビルは容積率が1000%となります。

容積率のまとめ

容積率は、その建物が、敷地面積の何倍の延床面積を持つかを表す指標です。用地地域のみならず、前面道路の幅員が12m未満であればその道幅によっても制限が課されます。

また、駐車場や地下室は容積率の算定時に床面積から除外されるなど、一定の緩和措置があります。

敷地内に自由な大きさの建物を建ててよいのではなく、建ぺい率と容積率を合わせて建物の床の大きさや容積が制限されることになるのです。

さらにいうと、建ぺい率と容積率を満たさせば自由に建築できるわけでもありません。次はその高さ制限についてみていきましょう。

高さ・斜線の制限

【P.S.】失敗しない家の買い方を2時間でマスター!【大好評セミナー】

現在「家の買い方セミナー」(無料)を開催中です。

多くの方から高い評価を得ているこのセミナー。まだ家を買うかどうか決まっていない方から、既に取引を進めている方までぜひお気軽にご参加ください!

不動産屋の選び方・物件の見抜き方
物件サイトに潜むリスク・落とし穴
【実例】危険な取引/住宅購入の失敗
取引を有利に進める3つのコツ etc…

※【実績】最高評価“来て良かった!”が98%超!